7月1日に第57回全日本女子学生選手権大会が、7月2日に第71回全日本学生選手権大会が日本武道館で開催された。全国から各地の大会を勝ち抜いた選手、女子90名、男子176名が出場した。早大からは、女子は中原菜月(社3年=愛媛・帝京第五)が昨年度に引き続き2年連続の出場、男子は門田功成(社2=群馬・育英)が初出場となった。早大からはそれぞれ男女唯一の代表であり素晴らしい試合を繰り広げたが、中原は昨年度同様に2回戦で敗退し、鬼門の2回戦を突破することが出来ず、門田は2回戦で東北大会の優勝者の高橋(仙台大)に勝利するも、3回戦敗退となった。
中原の1回戦の相手は九州女子大学の谷口。初めて見る相手だったため序盤は探り合いとなった。お互い相手に合わせて技を狙っていき、なかなか決めきれない試合が続く。しかし試合3分ごろ、相手がメンを狙って剣先が上がっているところを誘い出し、相手のメンを受けて返しドウを合わせて放ち一本。得意技で一本を決めることができ、中原優位で試合が展開する。すると続けて試合3分30秒ごろ、一本目と同様にがメンを打ちたがっているところに、今度は先をとり出コテで一本。練習していた技が実を結び二本目を奪うことができた。メンを打つ前に竹刀が浮く相手に対して、メンに合わせる技で試合を決めることできた。
構える中原(写真右)
昨年度は悔しい思いをした2回戦。相手は同じ関東連盟の強豪校、筑波大学の海津。試合後に「相手のペースに飲まれていた」と語ったこの試合、序盤から中原は積極的に動いて一本を狙いに行くも相手に冷静に対処される。試合30秒ごろ、思い切ってメンを打ちにいったところに、先を取られ出コテで一本を奪われる。その後も攻めようとする姿勢を見せるが、相手は簡単には打たせてくれず中原は自分のペースをつかめない。打ちにいったところは全て、打ち切る前に防がれてしまう。試合3分ごろから中原にも攻めるチャンスが生まれる。コテやドウで良い打突が見え始めるが決めきることができず。試合4分ごろに中原のメンに合わせて返しドウを決められて二本目を奪われた。昨年度に続きまたしても2回戦を突破することができなかった。自分のペースで相手に攻めた1回戦、逆に相手のペースに飲まれた2回戦。決まり手も相まって対照的な試合となった。
ドウを決めた中原(写真手前)
門田の1回戦は第4試合場の第1試合だった。相手は北信越大会ベスト8の池田(福工大)。消極的な相手に門田が攻めていく試合が続く。均衡を破ったのは試合2分ごろ、門田が一度メンを狙いに行くそぶりを見せ、相手の剣先が浮いたところにコテを放つ。ここで相手はコテを狙ってくるが、更に連続でメンを放ち一本。相手は決まったのか一瞬分かっていないそぶりだったが、審判全員の旗が上がる素晴らしいコテからのメンで今大会一本目を奪った。この後大きな試合展開はなく5分が経過、一本勝ちとなった。
2回戦の相手は東北大会の優勝者の高橋(仙台大)。試合後に「特に気にしていなかった」と語ったように、全く引くことない試合を繰り広げる。序盤は探り合いながら打ちに行こうとしてもメンを防ぐ体勢になって、間合いを詰めて鍔迫り合いになるだけの展開が続く。試合3分ごろ、間合いを一歩詰めて剣先を少しあげ、相手がメンを防ぎに行くのを誘う。そのまま相手の竹刀が上がったところに素早くコテを放ち一本。間合いを詰めたらメンを防ぐことを繰り返していた相手に対して、効果的な一本を決めた。ここから相手は激しい攻めを見せるが、門田は一切隙を見せず一本を守り切る。1回戦に続いて一本勝ちとなった。
メンを放つ門田(写真左)
3回戦、相手は関東ベスト32の小畔(中大)。1回戦、2回戦とは打って変わって、試合開始直後から激しく打ち込みにくる相手に対して、門田は攻め負けないように打ち返していく。試合1分ごろ、門田は竹刀を動かしながら一本を狙いに間合いを詰めようとする。しかし相手は一歩ひいて、門田の竹刀を大きく払いメンを放つ。門田は全く対応することができず一本を奪われてしまう。この後も門田は一本を狙いに積極的に攻めていく。試合2分ごろには、良い打突のメンが見られるが相手もコテを合わせており、どちらにも旗は上がらず。このまま5分が経過し3回戦敗退となった。試合終了の笛が鳴った時には悔しそうに天を仰いだ。試合後に「一瞬引いてしまった」と語ったこの一本、1回戦から動きが悪くなかっただけに一瞬の隙で負けた悔しい試合となった。
残心をとる門田(写真右)
早大勢の全日本個人戦は2回戦、3回戦敗退となった。しかし、彼らのこの経験は秋の団体戦の関東大会に向けて大きな糧となるだろう。秋には彼らの大きく成長した姿が見られることに期待したい。
(記事 小島大典、写真 近藤翔太、小島大典)
結果
中原菜月(社3年=愛媛・帝京第五)
1回戦〇 中原|ドコー|谷口(九女大)
2回戦△ 中原|ーコド|海津(筑波大)
門田功成(社2=群馬・育英)
1回戦〇 門田|メー|池田(福工大)
2回戦〇 門田|コー|高橋(仙台大)
3回戦△ 門田|ーメ|小畔(中大)
コメント
中原菜月(社3年=愛媛・帝京第五)
―今日の試合を全体的に振り返ってみていかがですか
去年よりは試合前の調子も良かったので、今日は行けるんじゃないかっていうのがありました。
――昨年度に続き2年連続での全日本になりましたがいかがでしたか
去年が2回戦負けだったので、今年はそれ以上に行って上位を目指そうと思ってたんですけど、また同じ2回戦で負けちゃって、2回戦の壁は厚いなと改めて思いました。
――1回戦で決めたドウ、コテについてはいかがですか
相手も分からなかったので、最初探りながらやってて、最後自分の得意な技が出たのと、あと出コテは練習していたので今まで打てなかった技が打てたので良かったかなと思います。
――2回戦については、2本ともメンに合わせて1本を決められたと思いますが、それについてはいかがですか
全部相手のペースに飲まれてて、なかなか自分のペースでできなかったので相手が上だったなと思いました。
――秋の団体戦に向けての目標を教えてください
秋の団体戦では、今回の負けをバネに私が勝ってチームの勝ちに導けるように、夏の練習を頑張りたいと思います。
門田功成(社2=群馬・育英)
――今日の試合を全体的に振り返ってみていかがですか
1回戦からあまり動き自体は悪くなかったんですけど、最後(3回戦)の打たれたところだけ、一瞬自分が引いてしまったところは反省すべき点だなと思いました。
――初の全日本出場でしたがいかがでしたか
とにかくこの舞台を楽しもうと思って、今日はやろうと思ってました。
――1回戦で一本を取ったコテからのメンについてはいかがですか
あの技はずっと練習していたので、打てるチャンスがあったらと思っていました。
――今日の試合から何か得られたことはありましたか
勝負の厳しさと剣道の難しさを改めて感じました。
――秋の団体戦に向けて目標を教えてください
関東大会、全日本どちらも悔しい結果になったので、また一から鍛え直して関東優勝、そして全日本一を目指して頑張りたいと思います。