10月30日に迫った全日本学生優勝大会。特集第2弾では学年を越え、最高学年となる4年生の松田圭司(社4=大阪・清風)、2年生ながらこの1年間試合に出続けている馬場恭大(スポ2=神奈川・東海大相模)、そしてフレッシュな1年生の門田功成(社1=兵庫・育英)にお話を伺った。
※この対談は、10月26日にオンラインで行われました。
学年は違えども、寮は同じ3人
メンを受ける門田
――他己紹介をお願いします
松田 まずは馬場くんから。剣道の面でいくと王道な感じで、正々堂々とした剣道をするので、私の方が2個上で先輩ですけど憧れるような剣道をしているなと思います。思い切った剣道でうらやましいくらいです。門田くんは同じ大阪出身なので、3つ下にもかかわらず私も名前を知っていた有名で強い選手です。なので、率直に(早稲田に)入ってきてくれてうれしいです。しかもほんの少し目つき悪いですけどかわいげのある後輩で、一緒にいてすごく楽しいです。この3人はみんな同じ寮で、その時間もあって非常にかわいく思っています。
馬場 松田さんは先輩で、正直入学したての時は大阪の人だし怖いなと思っていたのですが、そんなことは全然なくて、絡みやすいですし優しいし、寮でいつもお世話になっています。剣道面では、出ばなのメンとかが松田さんは得意なのですが、そういう出ばなのメンとかの技は試合で必要になってくるので、自分も憧れますし、それを見て打ちたいなと思って練習しています。門田くんはすごい努力家で、普段はおちゃらけているのですが、剣道になるとすごい真剣になっていて、そういうところは私も見習わないといけないなと思います。
門田 松田さんは普段からとても気さくに話しかけてきてくれて、日常生活だけではなくて剣道の時も試合前とか後とかに一言アドバイスをくれたり、自分が困っている時とかに声を掛けてくれる優しい先輩です。馬場さんは先輩なんですけど、あまり上下関係がないくらいとても仲良く話しかけてくれたり、ご飯に連れて行ったりしてくれる優しい先輩です。
――お互いの紹介を聞いてみていかがでしたか
松田 恥ずかしいですね。後輩たちは無理してますね、持ち上げようとしてくれて(笑)。
馬場・門田 無理してない、してない(笑)。
――今全員が同じ寮というお話がありましたが、学年が違う中でもプライベートでの交流はあるのですか
松田 そうですね。寮も一緒で、一緒にご飯を食べたりもします。道場が早稲田で、東伏見というところに寮があるので行き帰りも一緒にかぶったりするので、生活習慣はよく似てるんじゃないかなと思います。
「全日本でも勝つビジョン」(馬場)
つばぜり合いをする馬場
――ここから今年度の試合の振り返りをさせていただきます。まずは春にあった個人戦の、関東学生選手権大会について振り返りをお願いします
松田 私は1回戦で負けてしまって、非常に悔しい結果に終わってしまったのですが、早稲田全員が求めている結果、「全日本に出る」という結果にすら届かなかったという結果があったからこそ、今までこのシーズンを走り切れたのではと感じているので、確かに悔しい結果ではあったのですが、それがあったからこそ今があるのではないかなと思います。
馬場 春の大会は私は2回戦で負けてしまって、相手がかなり強い相手だったのですが、正直私としては一つの壁で、個人戦になるとそこで意識しすぎて負けることが多かったので、そういうところで勝てる選手にならないといけないなと思いました。その試合が終わってからはもっと力をつけるぞとなったので、そういう悔しさがあったからこそ、次は団体で全日本に挑戦できるなという感じです。
――続いて9月には、団体戦の関東学生優勝大会がありました。この時は3選手ともにメンバー入りを果たしていますが、この時の選考を振り返ってみていかがですか
松田 選考は、私が早稲田4年目で、今までの1、2、3年間とは全く別の選考方法で、新たに自分たちが考えてこれが良いだろうなという選考方法でした。そういうこともあってこれ選ばれる可能性少ないなとも思っていて、個人戦でメンバーには入りはしたのですがそこからメンバーから外れるというのは大いにあることで、早稲田も自分たちがトップとして試合には出ているのですが、層も実際には厚いと思うので、それで今までの選考方法以上に過酷というか負ける可能性も大きいですし、かと言ってチャンスもありました。そういった選考だったので、ただ試合に出る以上に緊張しました。でもその中での緊張感も気持ち良かったりして、楽しみながらできたと思います。
馬場 いつも選考は午前中にやるのですが、合宿中に団体の選考は行って、正直体とかもきつい中で団体戦をどう勝ち抜くかというところを重視した選考でした。やはりそれがあったからこそ、団体で苦しい場面、体がきつくなってきた場面で力も発揮することができたし、選考というのは自分にとってメンバーに入るか入らないかだけではなく、その先の試合でどういうパフォーマンスをするのかにもつながったと振り返ってみて改めて思います。
――今後につながった選考の一試合はありますか
馬場 どの試合がというよりも、選考自体が合宿で午後にあって、午前に練習した後の午後で相当体もきつくて、試合でも1試合目、2試合目、3試合目とどんどん勝っていくに連れてどんどん疲労が溜まっていきますし、そういったことを考えると選考の試合も今になってはためになっているなと思います。
――最後に門田さんお願いします
門田 私は1年生で、初めての選考だったのですが、団体戦形式ということもあって、チームの先輩方が声を掛けてくれてとてもやりやすかったですし、メンバーに入りたい気持ちはあったのですが思い切ってやれたなと思っていて、あまり緊張せずに割り切って試合することができたなと思います。
――実際に団体戦の試合を振り返ってみていかがですか
松田 関東の団体戦は、私は4回戦、準々決勝というかたちで出させてもらったのですが、もうすでに2、3回戦で全日本を決めてくれた門田くんと馬場くんがスターティングメンバーで出てくれて、そこには感謝しながらも自分にとっての初戦は格上の中央大学ということで練習試合でもボコボコにされていた相手だったので、すごくガチガチでした。試合の流れ的には私が先鋒で、前の試合の流れがあまり良くなくて、それをひっくり返してやろうという振り切った気持ちでできて、結果は一本負けでしたが、チームに勢いをつけるという意味では先鋒の仕事はできたかなと思っています。負けは本当に悔しかったのですが、その後門田くんや馬場くんが勝ってくれたので、その仕事はできたプラスチームが勝てて、あまり剣道の目に見える実績というのが大学生になってからなかったので、求めていた実績には及ばないですが実績を得られてまずはうれしかったなと思っています。
馬場 関東の試合は、やはり全日本の予選ということで、まずは2試合勝てば全日本への出場が決まる(※早大は1回戦シード)ので、その2試合をどうやって戦うのかなど試合前も相手をすごく研究しましたし、それをしっかり出してほとんどミスなくいけたというのはその2試合に関しては良かったです。その後は、中央大学というのは練習試合でも1回も勝ったことのない相手で、ボコボコにされていた相手だったので、負けるかなというか結構厳しい戦いになるのだろうなというのは予想できていたのですが、そこで勝つことができてそこは自分たちの自信になりましたし、全日本でも勝つビジョンというかそういった希望があるなと私は感じた試合でした。
門田 私は勝ったら全日本出場という3回戦から出場して、最初はとても緊張していて右も左も分からないような試合になってしまったのですが、4回戦の中央大学からは、松田さんの話にもあったように松田さんが先鋒で出て、私がその後ろのポジションだったのですが、松田さんがとても勢いを与えてくれるような試合をしてくださって、それに私も勇気づけられたというか、それに乗って試合していけたので、チームとしても個人としても良い結果につながったなと思いました。
――ここからは早慶戦について伺っていきたいと思います。男子は6年ぶりの優勝を果たしました
松田 私たち今の4年生は、優勝した経験がない学年です。早慶戦に関しては慶応の方が強いという感じがあって、逆にそれが私たちは挑戦者だというか、失うものもないと思って全力でぶつかっていくことができたと思います。早慶戦のための準備として慶応の傾向であったり、どういう技を持っているかだったりの研究がいろいろありました。剣道において相手の研究というのは非常に大事なので、それは私たち優勝した後の学年、今3年生の子たちが4年生になった時だったり、馬場くんがいずれキャプテンになると思うので2年後だったりっていうふうに、後に続くための優勝にすることができたんじゃないかなというふうに思っています。
馬場 まずは今まで6年間勝てていなかったということで、正直6年間を実力的に見ても早稲田の方が強いので、勝ってこなかったことがちょっと不思議なくらいの感じなんですけど、やっぱりそこでちゃんと今年は勝てたっていうのが、この先全日本が控えている中で、チームのいい自信になる試合だったと思います。でもその中で全日本のメンバーの、7人で出ているうちの4人は後ろの方で負けてしまったという、松田さんも言っていたんですけど、相当相手の研究とかもした上で負けてしまって。やっぱり試合って言うのは何があるか分からないなっていう怖さと、いくら実力(差)が開いていても、それをひっくり返すだけのことができるのが剣道だと思うので、そういうことを勉強させてもらったいい試合だったと思います。
門田 私は初めての早慶戦だったんですけど、昨年の試合は高校3年生だった当時ライブ配信で見ていて。負けて私も悔しかったですし、今年も早慶戦前に4年生をはじめ先輩方が早慶戦に懸ける思いが強くて、1年生は私も含めて3人出場したんですけど、先輩が言っていたように負けてはいけないなということで、みんなで話し合いながら4年生の先輩方の力になれるように試合前はそういう気持ちで挑みました。
――それぞれ早慶戦のご自身の試合を振り返ってみていかがでしょうか
松田 自分の試合としては、相手も有名選手ということもあって、それなりに私も準備して行って。予定通り研究して準備した部分がしっかり出せたかなと思っていて。相手はガツガツくるような動きの速い選手で、その選手にどうやったら勝てるかな、自分では何を生かして勝てるかなというふうに考えて、その考えた通りに試合を運べたという意味では非常に個人としては納得のいく試合だったかなと思っています。
馬場 私はけっこう準備万端で、自分の中では「絶対に勝てる」というくらい研究もしましたし、そういう状態ですごく自信を持って行ったんですけど、やっぱりさっきも言いましたけど、試合っていうのは何が起こるか分からないし、自分が自分の思っていた通りに全部うまくいくということがないなというのを改めて勉強しました。そういう勉強ができたという意味では、早慶戦が全日本の前にあって良かったなと思います。今後の全日本ではそういうところもしっかりと抑えながら、もっといい成績を残せるように頑張りたいと思います。
門田 初めての早慶戦、慣れない環境の中で、自分自身とても試合前から緊張していて。試合もあまり内容が良くなかったんですけど、悪いなりに我慢して最後勝てたことだけが良かったかなと思いました。
「周りを信じて」(松田)
ドウを打つ松田
――ここからは全日本学生優勝大会(全日本)について伺っていきたいと思います。全日本の選考はどのように行われたのでしょうか
松田 今回メンバー決めは特になかったです。関東のメンバーそのまま9人ということでこのメンバーになりました。決める話し合いに私は参加してはないんですけど、感想としては、確かに剣道って先ほど馬場くんからもあったように、何が起こるか分からないっていうか、実力差はあっても簡単にひっくり返ることがあるっていう競技なんですけれども、その中でも確かにある試合のうまさであったり、大舞台で腹をくくれる気持ちの強さみたいなのは確かにあるので、その面で考えるとこの9人は私からすると文句のない9人だなと思います。
――全日本の団体戦で自分が期待されている役割は何だと思っていますか
松田 私自身は1番目に出る先鋒だったり、2番目の次鋒であったりと基本的におそらく前の方になると思うので、そういった役割は最悪勝てなくてもいいけど、チームに流れをちゃんとつくるっていう。わざわざ盛り上げる試合を意識する必要はないんですけど、確実にチームに勢いのつく技であったり、気持ちを全面に出していくっていう試合が期待されているんじゃないかなと思っています。
馬場 私はそんなに期待されていないっていうか、買ったらラッキーくらいに思っているんじゃないかなっていうふうに思って、気楽に頑張っていこうと思います。
門田 1年生っていうこともあって、私も前の方のポジションやると思うんですけど、後ろには強い先輩が控えているので、もう1年生らしく思い切って戦おうと思ってます。
――続いて、他の二人に期待している役割について教えてください
松田 まず馬場くんから。先ほど自分では過小評価していたみたいですけど、実際馬場くんは後ろを任されるくらいの実力者で、強いチームの後ろの方の主力選手にも勝てるほどの実力はあるので、そういった面では堂々とした思い切った技で、一本もぎ取ってほしいなと思っています。門田くんは先ほど1年生で思い切った試合をしていきたいとあったんですけど、まさにその通りで。得意技のメンであったり、勢いのある連続技っていうのが門田くんのいいところなので、後ろに先輩がいるからとか、前がいるからとか、あんまり気にせずに自分の動きに集中して、思い切った技を出していってほしいなと思っています。
馬場 案外期待されてたなっていうふうに驚きました。
門田 松田さんの言葉通り頑張りたいなと思います。
――続いて、馬場選手からお二人に期待することを教えてください
馬場 私は後ろをやることが多いと思うので、正直本当は前で勝ってきてほしいな~、後ろが楽になるので。本当にそれで来るに越したことはないんですけど、やっぱり試合なんで何があるか分からないし、ちゃんと後ろを信じて、思い切って前では戦ってきてほしいなというふうに思っています。それで勝っても負けても、やっぱり試合でチームを勝たせるのは、勝負所は後ろだと思っているので、しっかりそこで私も勝てるように頑張りたいと思います。
松田 しっかり後ろに回したいと思います(笑)。
門田 同じくです(笑)。
――では、門田選手からお二人に期待していることを教えてください
門田 松田さんには関東の大会と同じように、チームに勢いをつけてくれるというか、私に勇気をくれるような試合をしてほしいと思っています。馬場さんは後ろの大事なポジションで、いつも通り安定した戦いをしていただけたらなと思います。
松田 勇気を与えられるようにしていきたいと思います(笑)。
馬場 同じくです(笑)。
松田 なんでお前も勇気与えんねん(笑)。
――松田選手は今4年生ということで、最後の全日本になります。どのような思いですか
松田 部の目標として早慶戦優勝と全日本優勝というふうに掲げているので、それが達成できずに早稲田は来ているので、最後一発かましていきたいです。4年生最後だからびくびくするような試合をするんじゃなくて、さっき門田くんが言っていたように、思い切った試合を自分も。4年生なんですけど、1年生のような、もい切った試合をしていきたいと思います。
――馬場選手、門田選手は現在下級生ですが、お世話になった4年生の方はいらっしゃいますか
馬場 それはもちろん松田さん。やっぱり寮も一緒ですし。
松田 正直に言え正直に。
門田 私も松田さんですね。
松田 嘘つくな。正直に言え。
一同 (笑)。
馬場 でも4年生は本当にどの先輩方にもお世話になっていて、いろいろご飯にも連れて行っていただきました。本当にすごくお世話になっていて、ちょうど私が1年生で入ってきた時の3年生の先輩方で、4年生に絡みづらい分、私たち1年生は3年生にどんどん絡んでいっていたのもあるので、今の4年生との親交は深いですし、だからこそ4年生は勝たせてあげたいです。私たちもしっかりと4年生のためにも戦っていかないといけないなと思わせてくれる4年生です。
門田 誰が一番というのは悩ましい質問なんですけど、4年生の先輩方は全員とても優しくて、大学1年生から見た4年生って怖いというか、あまり近づけない感じだと思うんですけど、今年の4年生は全員とてもフレンドリーで、近寄っていきやすい雰囲気の4年生方だなと思います。
――ちなみにですが、この前の対談では山本勇真(スポ3=大阪・明星)選手がお世話になった先輩に松田選手を挙げていました
松田 山本くんは大阪出身で同郷で、彼が入学前からお互いちょっと知っているくらいの関係で。しかもちょっと話はそれるんですけど、誕生日も一緒なんですよね。7月14日で、ちょっと「いぇーい」みたいな感じにもなるので、お世話した覚えはないですけど、そう言ってくれて率直にうれしいですね。
――では最後に、全日本への意気込みをお願いします
松田 この剣道人生、5歳から剣道初めて10何年の集大成だと思っているので、かと言ってその自分だけに固執するのではなくて、剣道は団体戦なので後ろであったり、周りを信じて全員で力を合わせて取り組んでいきたいと思います。
馬場 さっきも言ったんですけど、4年生のためにもしっかり活躍して、目標は日本一っていうのが目標で、この1年間やってきたと思うので、そこを目標に一戦一戦戦っていこうと思っています。
門田 日本一を取ることを目標に頑張ることも一つなんですけど、1年生ながら私を選んでくれて、悪い時も励ましてくださった先輩方のために、一戦一戦全力で戦いたいなと思います。
(取材・編集 荒井結月、髙田凜太郎 写真 荒井結月、堀内まさみ)
◆松田圭司(まつだ・けいじ)
2000(平12)年7月14日生まれ。大阪府・清風高出身。社会科学部4年。甘いものが好きだという松田選手。この取材の次の日には、タルトの食べ放題に行ったそうです!
◆馬場恭大(ばば・やすひろ)
2002(平14)年8月1日生まれ。神奈川県・東海大相模高出身。スポーツ科学部2年。ファッションにこだわり出したという馬場選手。秋になったということで、暖色系のコーディネートが増えたとか。
◆門田功成(もんでん・こうせい)
2003(平15)年5月19日生まれ。兵庫県・育英高出身。社会科学部1年。キングダムの漫画が好きな門田選手。好きな登場人物は、主人公の信というキャラクターだそうです!