関東学生優勝大会から約1カ月、大学の頂点を決める戦いが2年ぶりに戻ってきた。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされた全日本学生優勝大会だが、今年は無観客という形ながらも開催された。2年前に1回戦で敗れた早大は、その雪辱を果たすため、気合十分で試合に挑んだ。1回戦の関西学院大、そして2回戦の中京大も厳しい戦いを強いられ、3回戦の日体大との試合では、惜しくも勝ち数がひとつ及ばず、ベスト16で敗退した。
今大会では関東学生優勝大会と変わり、「人生で先鋒を任されたことはなく初めての挑戦でした」と語る、三浦晃太郎(法4=東京・早稲田)が先鋒として入った。その三浦は1回戦で、中断し間合いがとれたところにメンを綺麗に決め、一本勝ちを収める。この活躍により駒を進めた早大は、2回戦で中京大との一戦に挑む。三浦は先鋒らしく勢いある試合を展開するも、引き分けになる。次鋒の門間光児 (社2=熊本・九州学院)は攻める姿勢で相手を下がらせ、メンを奪い一本勝ちを収める。五将の大串快晴(スポ3=愛知・星城)、中堅の藤本大地(スポ4=岡山・玉島)は引き分けになるものの、三将の渡邉龍 (スポ4=福島・安積)は相手の少しの隙を逃さずメンを打ち込み一本勝ちに。副将の野中翠(スポ4=千葉・安房)は二本負け、大将の鈴木涼也(社 4=佐賀・龍谷)は引き分けになり、3回戦へ駒を進めた。
3回戦で対峙したのは日体大。三浦は先にメンを取られるも、試合再開後冷静に手元が浮いたところにコテを打ち込み、また絶えず攻める気迫を見せコテを決め、二本勝ちを収める。次鋒の門間は間合いを見極めながら攻めるも、引き分けになる。3回戦ではそれまでと異なり藤本が五将に、大串が中堅に入ったが、どちらも決まらず時間切れになり引き分けになる。三将の渡邉は近い間合いからメンを打ち込まれ一本負けになり、続く野中も引き分けに。勝負は大将戦によって決着する展開になる。鈴木は足を休むことなく動かし続け、常に攻める姿勢を絶やさなかったが、メンを打とうとしたとことに出鼻でコテを決められ、一本負けになる。結果として、勝ち数がひとつ及ばず、惜しくもベスト16で今大会を終えることとなった。
2年前の雪辱は果たしたものの、優勝を目指す早大としては悔しい思いも残った。次の大会は4年生にとっては最後となる、伝統ある早慶戦。「4年間の全てを出し切り必ず優勝します」(鈴木)と気迫は十分。集大成である試合でどのような闘志が見られるのか、期待がかかる。
(記事 柴田真帆)
※今大会は写真撮影禁止だったため、写真がございません。申し訳ございません。
結果
1回戦 ○早大1(2)―(1)0関西学院大
先鋒 三浦 メ― 秋山
次鋒 和田 ✕ 尾畑
五将 大串 ✕ 大野
中堅 藤本 ✕ 福井
三将 渡邉 ✕ 向江脇
副将 野中 メ✕メ 竹嶋
大将 鈴木 ✕ 茂田
2回戦 ○早大2(2)―(2)1中京大
先鋒 三浦 ✕ 村崎
次鋒 門間 メ― 尾上
五将 大串 ✕ 菱田
中堅 藤本 ✕ 倉石
三将 渡邉 メ― 山口
副将 野中 ―メメ 藤井
大将 鈴木 ✕ 鎌浦
3回戦 早大1(2)―(3)2 ○日体大
先鋒 三浦 ココ―メ 西口
次鋒 門間 ✕ 藤島
五将 藤本 ✕ 山本
中堅 大串 ✕ 前田
三将 渡邉 ―メ 棗田
副将 野中 ✕ 貝塚
大将 鈴木 ―コ 百田
コメント
鈴木涼也(社4=佐賀・龍谷)
――本日の試合を振り返っていかがですか
個人的にはとても悔しい結果に終わってしまったと思っています。1回戦から厳しい戦いでしたが皆が繋げてくれて勝つことができました。3回戦では私まで繋げてくれたもののチームを勝利に導くことができませんでした。早慶戦では大将として必ず勝ちたいと思います。
――2年ぶりの全国大会でしたが、どのように思いましたか
2年前は1回戦敗退という悔しい経験をしてそれ以来の全国大会だったので、2年前の借りを返し優勝するという気持ちで臨みました。
――大将として、主将としてどのように大会に挑まれましたか
自分に勝負が回ってきたら必ず勝って、結果でチームを引っ張っていくという気持ちで臨みました。
――3回戦の日体戦、凄まじい気迫を感じました。どのような思いだったのでしょうか
自分が取り返さないと負けてしまう場面だったので必死に向かっていきました。
――個人として、あるいはチームとして具体的な改善点は見つかりましたか
3回戦では大将戦という大事な場面で先に一本を取られてしまい、そのまま取り返すことができず負けてしまいました。自分の得意な技を出すための利合いをあと1カ月意識していきたいです。
――早慶戦へ向けての目標や意気込みをお願いします
早慶戦では4年間の全てを出し切り必ず優勝します。
渡邉龍 (スポ4=福島・安積)
――本日の試合を振り返っていかがですか
チャレンジャーの気持ちで繋ぎの試合を展開できて良かったと思います。
――2回戦、中京大の山口選手にメンを決めました、どのように思いますか
最低限引き分けを意識して、どこかで一本が取れれば良いと思っていたので、良かったです。
――関東学生優勝大会から意識して改善した点などありますか
一回戦から自分達らしい剣道を展開することです。いつも一回戦で硬い試合をしてしまうので、今日は初戦から先に仕掛ける自分の剣道が出来たと思います。
――個人として、あるいはチームとして具体的な改善点は見つかりましたか
練習通りに自分の力を最大限発揮することが課題です。最後の大会である早慶戦では必ず持てる力を最大限に出し切れるように稽古に励みます。
――早慶戦への目標や意気込みをお願いします
必ずチームに貢献して優勝します。
三浦晃太郎(法4=東京・早稲田)
――本日の試合を振り返っていかがですか
良く動けていたと思います。とにかく「焦っていかない」「勝ち急がない」ことを意識して望んだ結果が良かったと思います。
――先鋒を任されていかがですか
今まで、人生で先鋒を任されたことはなく初めての挑戦でした。しかし、私自身団体戦の試合経験は少ない人間だったので、前の流れ、スコアを考えずに自分の出来ることをやるだけの先鋒は合っているのかなと最近の練習試合では感じていました。先鋒はガツガツくるような相手が多いので、それに合わせず、「勝ち焦らない」ことを自身に言い聞かせて臨みました。
――初戦、関西学院の秋山選手にメンを決めました、どのように思いますか
初戦の入りは、当部の課題でもあったので、とにかく「いつもの稽古通り」を意識しました。流れは自分にあったので、一本取れて良かったです。
――3回戦、日体大の西口選手に二本勝ちを収めました、どのように思いますか
なんとかいい流れを作って後ろに繋げたいと考えていました。2年前の新人戦の準決勝で、日本体育大学と対戦したのですが、私が二本負けをしてしまったせいでチームが負けてしまいました。なので、今回こそはという気持ちが強かったです。一本を取られた時もそんなに焦ることなく、相手の弱点をつけたところはよかったです。
――個人として、あるいはチームとして具体的な改善点は見つかりましたか
個人的にはもっと早い段階で相手の弱点を見つけることができるようになりたいです。そのためには、自分がもっと得意な場面を増やすことが重要だと考えています。普段の稽古から緻密な研究が必要だと感じました。チームに関してはとてもいい雰囲気ではあったと思います。課題としては、初戦の入り、そして地力の底上げだと考えます。早慶戦は一回勝負。一回でベストパフォーマンスを出すにはどうしたらいいか。そこの改善策はこれから探っていきます。地力の底上げに関しては、もっと選手間、部員間でコミュニケーションを取り、言いにくいところもありますがお互いの弱点の指摘、そしてお互いの得意技の吸収などが挙げられると思います。
――早慶戦へ向けての目標や意気込みをお願いします
目標はもちろん勝つことです。早慶戦は前回悔しい思いをしたので、今回こそはチームに貢献したいです。残り1ヶ月、自身の剣道をなるべく完成させ、また20人の選手全員の力も底上げ出来るような存在になりたいです。