慶大へのリベンジ果たせず惜敗

剣道

 令和初の早慶対抗試合(早慶戦)が真新しい早稲田アリーナで開催された。対勝負、抜き勝負が1年交代で行われる伝統の一戦、今年は引き分けなしの抜き勝負で争われた。これまでの戦績は早稲田43勝、慶應義塾36勝、4引分。約2ヶ月前、関東学生優勝大会で慶大に破れている早大としては負けられないこの一戦、両校とも大将に勝負の行方を託す大熱戦となった。しかし、最後は慶大にあと一歩及ばず惜敗、早大はリベンジを果たすことが出来なかった。

 序盤戦、早大は幸先の良いスタートを切る。1年生ながら先鋒に大抜擢されたルーキーの和田晃貴(社1=東福岡)がコテと引きメンで二人を抜き、続いて慶大十八将・森田優人の勢いを次鋒・松田圭司(社1=大阪・清風)が面返しドウでしっかりと止め、勝ち星を挙げる。その後、本大会の優秀選手にも選出された十七将・吉村逸平(社3=東福岡)が地力を見せつけるべく3人抜きを果たし早稲田が大きくリード。しかし、ここで慶大の伏兵・横溝勇太郎に怒涛の6連敗を喫し、早大は前半のリードを一気に失ってしまう。その悪い流れを断ち切ったのは十一将・岡田悠貴彦(スポ4=福井・高志)。巧みな試合運びで2人を抜いて、再びリードを取り戻す。最後の舞台で4年生としての意地を見せつけた。その後、中盤戦は一進一退の展開に。再び流れを早大に引き戻したのは、優秀選手にも選出された九将・渡邉龍(スポ2=福島・安積)。豪快な飛び込みメンを武器に3人抜きを演じた。

優秀選手に選出された吉村

 しかし、簡単には流れを渡さない慶大。チームの後ろを託された福田渓(社3=佐賀・龍谷)、和田優樹(社4=東福岡)、野中翠(スポ2=千葉・安房)らの必死の攻めも、なかなか思うように通じない。四将・藤本大地(スポ2=岡山・玉島)が上段から見事なメンを放ち、2人を抜くも、チームの中核を担う三将・藤田啓人(スポ3=東福岡)が慶大四将・長谷川倫太郎に無念の敗北、終盤戦は慶大にリードを許す展開に。そして、4人残しの状況で副将・中嶋優樹(法4=東京・國學院久我山)が引き出される。しかし、ここから中嶋の猛反撃が始まった。慶大の実力者である副将・黒川大樹を相メンで制するなど、冷静な試合運びで圧巻の3人抜き。慶大大将・伊藤謙剛を引きずり出し、早大が先に王手をかける。一進一退の攻防となったが、最後は無念にも伊藤の面返しドウに屈し、勝負を決めきることはできなかった。勝負の行方を託された大将戦は、早大・秋山健太(スポ4=福岡大大濠)と慶大・伊藤謙剛の両校主将同士の因縁の戦いに。会場の緊迫感は最高潮に達した。伊藤の怒涛の攻めを巧みに凌ぐ秋山、互角の勝負の行方は延長戦へもつれ込んだ。そして延長となり数相後、機を見た秋山は渾身一滴の飛び込みメンを放った。しかし、相メンの判定は慶大(白軍)の有効打突を示す白旗3本。秋山は、茫然と立ちすくんだ後、清々しく刀を納めた。その瞬間、早大の敗北が決まった。

熱く盛り上がる早大勢

 「チームで勝つことをずっと目標としてきたので、やっぱり結果は悔しい」(中嶋)。予選である関東学生優勝大会、そして全日本学生優勝大会(全日本)いずれも悔いが残った早大にとって、今大会に懸ける想いは大きく、さらなる悔しさを噛みしめた。「一致団結して、自分たちの目指すべき道を進んでいってほしい」。悔しさあふれる表情で、秋山主将は後輩たちに思いを託した。来年からは藤田が主将を受け継ぎ、チームを引っ張っていく。早慶戦優勝、そして日本一奪還へ。新体制となった早大剣士たちの新たな活躍に期待がかかる。

(記事 坂田実咲、写真 湯口尊)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

コメント

秋山健太主将(スポ4=福岡大大濠)

――熱戦となりました

一陣が相手を抜いてくれたところ、副将の中島が最後踏ん張って頑張っていたところは見ていて特に熱い気持ちになりました。いい試合だなと感じた場面がとても多くありました。

―最後は惜しくも結果面では敗北となってしまいましたが、最後の試合で力を出し切ることはできましたか

ずっと大将戦まで勝負がまわってくることは想定していました。思い切って技を出せたので良かったかなとは思います。ただ、旗を審判に上げてもらうためにもっと前半に努力すべき振る舞いはあったんじゃないかなと反省点もあります。ビデオを見直してこれからに繋げたいと思います。

――早大生として最後の試合でした。4年間振り返ってみていかがですか

本当に短かったなって思います。特に最後の1年間は試行錯誤の繰り返しで、あっという間でした。結果に結びつくことなく終わってしまったのが凄く後悔なんですけど、これはこれで僕なんだって いうのを受け止めて、次に進めたらいいなと思ってます。

――下級生に伝えたいメッセージはありますか

今日はもう本当に下級生たちも熱い試合を展開してくれました。来年からは早稲田の方がもっともっと強いチームを作ってくれると思うので、一致団結して、自分たちの目指すべき道を進んでいってほしいと思います。

中嶋優樹副将(法4=東京・國學院久我山)

――本日のチーム全体を振り返っていかがでしたか

もう泥臭くてもなんでもいいから熱い気持ちを全面に出して試合をしようと皆で話していました。終わってみて、試合の仕方は悪くはなかったのではないかなと思っています。

―優秀選手に輝きました。今の率直な感想を教えて下さい

チームで勝つことをずっと目標としてきたので、やっぱり結果は悔しいですね。

――早大生として最後の試合でした。4年間振り返ってみていかがですか

悔しい気持ちが多かった4年間ですね。2年生の頃から試合には出させて頂いてたんですけど、なかなか思うような結果を出せず、最後の早慶戦でも負けてしまいました。この悔しさは後輩が必ず晴らしてくれると思うので、これからはサポーター側として剣道部に貢献したいと思います。

――大学生活も残りわずかですね。これからの目標を教えて下さい。

仕事はもちろんなんですけど、剣道も頑張ろうと思っています。実は慶大大将の伊藤選手と会社が同じなんですけど…笑。実業団でも選手メンバーに入って、全日本実業団で優勝することが目標です!

藤田啓人(スポ3=東福岡 )

――本日の試合を振り返っていかがでしたか

チームの結果としても個人的にも負けてしまって、正直納得いかないというのもあります。でも、結果は結果で出ているので反省して来年から活かして頑張っていきたいと思います。

――自分の前の選手たちの試合を見ていかがでしたか

慶大も力があって強いチームだったんですけど、チームの流れとしては良い形で回ってきたので自分も頑張りたいなという風に思って試合に臨みました。

――惜しい場面が何度も見られましたが、いかがですか

旗が上がらない中でも切り替えて臨みました。

――これから主将としてどのようなチームを作っていきたいですか

今年はチームとしていい結果が残せていないので、個人戦で勝つことももちろん目標としているのですが、それ以上にチームで勝って結果を残せるということを目標に頑張っていきたいと思います。

吉村逸平(社3=東福岡 )

――本日の試合を振り返ってみていかがでしたか

非常に悔しいです。

――本日までどのように準備されてきましたか

全員一丸となって練習に取り組んで、チームとしてゲームに勝つぞという気持ちでやってきた感じです。

――粘り強い剣道を展開したように見えましたがいかがでしたか

そうですね、目の前の相手を倒したいというのの繰り返し、連続だったのでそれがうまくいったのかなと思います。

――優秀選手に選出おめでとうございます。お気持ちはいかがですか

自分の試合、結果が評価されたのはうれしいですね。

――チーム全体として惜しい場面が何度か見られましたがいかがでしたか

何が足りないのでしょうかね。今すぐにはちょっと見つけられないですが…。

渡邉龍(スポ2=福島・安積)

――優秀選手に選出されました。おめでとうございます。本日の試合を振り返っていかがですか

優秀選手に選んでいただいたんですけど、試合中はとにかく一本を取ることしか考えていませんでした。決まった場面は無心で打ちました。

―本日に向けて特に練習してきたことはありますか

慶大は相手が出てきたところに応じる技が得意なので、一旦フェイントをかけてから技を出す練習をしました。

――これからの目標を教えて下さい

直近だと来週には新人戦が控えていて、メンバーに選んでいただいたので、ベストを尽くせるように頑張りたいです。