記念すべき50回目を迎えた関東女子学生選手権が東京武道館にて行われた。28枠しかない全日本女子学生選手権(全日本)への出場を目指して各校総勢517人が参加し、早大からは10人が出場。中澤結貴(人3=埼玉・伊奈学園)が5回戦に勝利しベスト16入りを果たすと、品川大華(スポ3=広島・広)は5回戦には敗れたものの敗者復活戦の2回目に勝利。この結果を受けて、中澤と品川が見事全日本への出場権を獲得した。しかし、小西波瑠主将(スポ4=大分鶴崎)や去年全日本に出場した太田麻友(スポ3=茨城・守谷)をはじめとする8人の剣士たちは悔しさの残る結果に終わった。
早大にとって今大会は波乱の幕開けとなる。去年ベスト8に輝きチームをけん引してきた太田が1回戦で姿を消したのだ。相手は去年の準々決勝で対戦した明大・小松。チャレンジャーとしてこの試合に挑んだが、延長の末引きメンを決められてしまった。「私もそこ(引きメン)を狙っていた」と太田は唇をかんだ。太田に続き山下紗奈未(社4=山形・左沢)、横幕はるか(人4=福島・白河)、阿住朱莉(社3=山形・左沢)、石田結稀(社3=大阪・四天王寺羽曳丘)の4名が2回戦で敗退。また3回戦では、小西がメンを決められ敗れてしまう。ことしは徹底して打たせないことを意識していたが、「逆に慎重になりすぎて、自分らしい剣道ができなかった」と振り返る。これで小西は四年連続で全日本出場を逃す結果となった。さらに去年ベスト16の沖田瑞希(社4=京都・日吉ヶ丘)と二神明日美(社1=愛媛・済美)は惜しくも4回戦敗退。二神は公式戦初出場となったが、堂々たる剣道を披露した。
去年の悔しさを晴らした中澤
4回戦までに8人が敗退する中で、存在感を示したのは中澤と品川だった。中澤は二度目の公式戦となったが、2回戦で2本勝ちを決め勢いに乗ると、ここから強敵を次々と撃破。全日懸けとなる5回戦も粘り強く戦い、メンで勝利を収めた。6回戦は日体大・相馬に惜しくも敗れたがベスト16で大会を終えた。「惜しい1本で終わらずに1本で決めきるというのを練習してきた」と中澤。去年は同期が活躍する中で試合に出場できず悔しさを味わったが、結果を残した。また去年は初戦負けに終わった品川は、1、3回戦で2本勝ちを決めるなど安定した戦いを見せる。しかし、5回戦で明大・藤崎に敗れると「完全に切れてしまった」と集中力を欠き、敗者復活戦の1回目も敗北を喫した。そして疲労がピークに達する中で迎えた2回目。品川を支えたのは「避けるところは避けて、打つところは打つことを徹底すれば大丈夫」というコーチからの言葉だった。「自分の打てるところだけ打とうと思っていい試合ができた」と振り返るように、力を振り絞り得意のメンで勝負を決めた。結果、中澤と品川の2名が全日本出場権を獲得。去年苦しんだ3年生コンビが見事好成績を収めた。
見事敗者復活戦を勝ち抜いた品川
「下の学年もしっかりと実力がついて、部内戦とかも厳しい戦いができていると思う」と小西はチーム内の競争に手応えを感じている。しかし全日本出場者は2名と、チームは本調子ではない。しかし秋には関東女子学生優勝大会が控えている。部員一人ひとりが自分の剣道を見つめ直し、チーム全体として成長することが求められる。そして中澤と品川は全日本でも結果を残し、チームに勢いをつけたいところだ。「今度は4年生が引っ張る」と小西は闘志を燃やす。剣道部は悲願の団体日本一へ歩みを進める。
(記事 永池隼人、写真 松本一葉、大山遼佳、新藤綾佳)
結果
小西 3回戦敗退
山下 2回戦敗退
沖田 4回戦敗退
横幕 2回戦敗退
阿住 2回戦敗退
石田 2回戦敗退
中澤 ベスト16、全日本出場
太田 1回戦敗退
品川 5回戦敗退、(敗者復活戦勝利により)全日本出場
二神 4回戦敗退
コメント
小西波瑠主将(スポ4=大分鶴崎)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
そうですね、選手としてでるのはもう四年目だったので、今年こそは(全日本に)出たかったんですけど、まだまだ力が足りなかったなと思います。
――この試合に向けてどのようなご準備をされてきましたか
ことしは徹底して打たせないことを意識していたんですけど、逆に慎重になりすぎて、今日は自分らしい剣道ができませんでした。
――1回戦から延長になる中で最後はドウで決めましたが振り返っていかがですか
最近ドウは決めていた技だったので、試合でも一本になるなと思って狙ってたんですけど、相手がきたのを何かしようというのが強かったので、受け身になってたかなと思います。
――2回戦も延長になってツキで決めましたが振り返っていかがですか
そうですね、あそこで集中力を切らさずに決めれたのは良かったと思います。
――3回戦も延長になり惜しくも敗れました受け身になってしまったという話がありましたが振り返っていかがですか
甘さが出たかなと思います。
――四年連続で全日本への切符を逃しましたが今のお気持ちいかがですか
ちょっと今は何も考えられないです。
――敗因はやはり受け身になってしまったことでしょうか
ことしはでなきゃというプレッシャーがあって、それに勝てなかったのかなと思います。
――チームとしては中澤結貴(人3=埼玉・伊奈学園)選手品川(大華スポ3=広島・広)選手が全日本出場を決めましたが主将としてどう評価していますか
そうですね、下の学年もしっかりと実力がついて、部内全体的には部内戦とかも厳しい戦いができてると思うので、今度は4年生が引っ張っていけるように頑張ります。
――最後に今後の目標をお願いします
今回の悔しさをバネにして団体では絶対に日本一になれるように頑張ります。
太田麻友(スポ3=茨城・守谷)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
初戦から去年負けた相手で、実力の差が出てしまったかなと思います。
――どのような意気込みでこの試合に臨まれましたか
学年は一つ下なんですけど去年も負けてるし練習試合でも勝ったことがないので、チャレンジャーの気持ちでやらさせていただきました。
――この試合に向けてどのようなご準備をされてきましたか
特に準備はしてないんですけど、自分の力が出せるようにいつも通りのことをしようと思ってました。
――去年準々決勝で負けている相手との対戦でしたが振り返っていかがですか
去年は時間内に終わったんですけど、その時は本当に気持ちが切れていて。今回は初戦で負けたら全日本のも出れないので、頑張ったんですけどって感じです。
――ご自身で敗因はどのように考えていますか
打たれたのが引きメンだったんですけど、私もそこを狙っていて。打たれるとしたらそこ、打つとしてもそこかなというのはありました。私が抜いたところだったので参りましたという感じです。
――全日本に出られないということで今のお気持ちはいかがですか
すごい悔しいんですけど、4年生の方も出れてないので、本当にお世話になっていて4年生といい思いしたいので、団体戦に懸けようと思います。
――最後に今後の目標をお願いします
とりあえず関東はないので、関東団体で全日本の出場権をとることが一番の目標だと思います。
品川大華(スポ3=広島・広)
――全日本出場おめでとうございますきょうに向けて準備してきたことはありましたか
特別な事をしないようにして、普段通りの生活をするように心がけました。
――強い相手で緊迫した試合が多かったと思いますがいかがでしたか
集中力を切らさないで落ち着いてできたので、得意なところだけを出して勝負できました。集中力が切れなかったときは良かったです。
――特に5回戦の明治の藤崎さんは強かったと思いますが
お互いに突破口を見つけられず、最後のメンは完全にのられて自分が潜ってしまい、相手が上手だったと感じました。
――延長が多く、体力面でも厳しかったと思いますが
すごくしんどくて、藤崎さんに負けてからは完全に切れてしまって、敗者復活戦の1回戦も隙だらけで負けてしまいました。体力の限界でもうダメだ、と正直思ってしまいました。
――敗者復活の2回戦に向けてどう気持ちを切り替えましたか
コーチに「集中力切れてもいいから、避けるところは避けて、打つところは打つことを徹底すれば大丈夫だから」と言われて、集中力切れててもやろうと思えばできるんだと感じました。最後の試合はあまり集中力がなかったのですが、後ろで応援してくれている人の顔が見えたり、声援がすごく聞こえて自分の打てるところだけ打とうと思っていい試合ができたと思いました。
――昨年は1回戦で負けてしまいましたが、この1年間で成長したところを教えてください
技のレパートリーを増やしました。昨年は個人戦での戦い方ができていなかったので、自分の得意とするメンとかをどれだけ絞って出せるかが勝負だと思っていました。昨年は焦り過ぎていたのですが、今年は落ち着いて自分のできるところを分かってそれを狙っていけました。
――早大全体の結果を振り返っていかがでしたか
周りの人の試合を見ないで自分の試合に集中しようと思っていたのですが、見てしまいました(笑)。太田麻友(スポ3=茨城・森谷)には勝って欲しかったです。相手もすごく強い相手だったのですが、それに勝ってこそが太田麻友だと思っていたので残念です。でもそれを自分の糧にすることができました。
――全日本での意気込みをお願いします
初戦が緊張しがちで、自分の剣道ができないことが多いので、全日本ではとりあえず初戦突破を目標にして、そのあとは1試合1試合上を目指して戦っていきたいです。
中澤結貴(人科3=埼玉・伊奈学園)
――全日本女子学生選手権(全日本)出場決定おめでとうございます
ありがとうございます。
――率直にお気持ちいかがですか
最後負けてしまって悔しい気持ちはあるんですけど、全日本には出場できるのですごくうれしいです。
――関東女子学生新人戦(新人戦)以来の公式戦となりましたが緊張はありましたか
そうですね、新人戦が初の公式戦で今回が2回目だったんですけど、久しぶりの公式戦ってこともあって緊張しました。
――きょうはどんな意気込みで臨まれましたが
私は、去年他の同期が試合に出て頑張ってたのに、ずっと試合に出れなくて。でもやっとことし出れたので、今までの悔しかった分を出し切って一戦一戦やろうっていう気持ちで臨みました。
――新人戦を終えてから何か取り組んできたことはありましたか
新人戦では、惜しいところがあっても決めきれなくて、チームに貢献できなかったので、打ちの強さとか、そういうところを意識して練習して、惜しい1本で終わらずに1本で決めきるっていうのを練習してきました。
――では試合を振り返りたいのですが2回戦での2本勝ちで勢いがついたのではないでしょうか
そうですね、2回戦は上段に対してで、すごい対策してきたんですけど、やっぱり3回戦がすごく強い相手だったのでそこでモチベーションを上げていけたのでよかったと思います。
――3回戦も強かったのですが、4、5、6回戦と強豪相手が続きました。特に日体大の相馬紀香選手は強敵でした。
特に相馬さんまでは相手の入りを見て一戦一戦って感じで戦ってきたんですけど、相馬さんの時は自分の苦手なタイプだなって前から思ってて、そういう苦手意識で自分の悪いところが出てしまったので、そこを反省して自分の悪いところを受け止めて、直していう練習をしたいと思います。
――具体的にはどこが苦手ですか
ちょこちょこ動くタイプで、手元が上がってしまうことがあるんで、そこを拾われたりとか、中途半端に打ったところを返されたりとか、すごい動きが機敏な選手なのでそういう相手にも対応できるようにしていきたいと思います。
――新体制となりましたが小西波瑠新主将(スポ4=大分鶴崎)はいかがですか
すごい明るい方で、みんなで頑張ろうって風に盛り上げてくれる方なので、相談とかも優しい人なんで、ここどうですかとかすごい質問もしやすいし、そういうキャプテンだからこそみんながこうやって団結してやっていけてるんだなって思います。すごいやりやすいです。
――いつも活躍なさってきた太田麻友選手(スポ4=茨城・守谷)がまさかの1回戦敗退となってしまいましたが、チーム内の雰囲気はいかがでしたか
麻友はすごい強くて、やっぱり同期なのに憧れのような気持ちもあって。そんな選手が負けてしまったので、麻友に頼らずにここは自分が全日本麻友の分まで頑張ろうっていう気持ちで頑張りました。
――全日本出場が10人中2人という結果になりましたがこの結果を受け止めていかがですか
2人って単純に少ないと思うので、少ない分その2人が全日本で上がれるようにこれから課題を持ってやっていきたいと思います。
――選考はどのようにされましたか
確定枠は5枠で、残りを5人で争う感じでした。今までずっと出れなかったので今年こそは出たいっていう気持ちが強くて、最初の選考で1番早く決めることができて、他のみんなより悔しい思いをしたっていうのが大きかったので集中できました。
――ことしの1年生はいかがですか二神明日美さん(社1=岐阜・済美)もメンバー入りしましたが
2個下の子で私も全然知らなかったんですけど、実績もある子だし選考では当たらなかったんですけど、稽古すると、すごい強くてやりにくい剣道をするんで、稽古を積極的に二神さんにもお願いしてやっていきたいなと思います。
――最後に全日本に向けてお願いします
せっかく出るんで楽しんでやるのと、やっぱり楽しんでやるために自分の課題を見つめ直して、1日1日の練習をしっかりやろう思います。
二神明日美(社1=愛媛・済美)
――今日の試合を振り返っていかがですか
今日の試合は動きは良かったのですが、最後はもう少し頑張れば勝つことができたと思うので悔しかったです。
――あと一歩で全日本出場でしたが
勝てそうだったのですが、もっと上に行くにはまだ実力が不足しているのでまた一から稽古を頑張りたいです。
――今後強化していきたい点はどのような部分ですか
1本に決めきるというのをもっと徹底したいです。
――今日の試合の中で1番苦しかった局面を教えてください
4回戦ですね。相手の力も強かったので自分ももっと力をつけたいと思いました。
――ワセダを選んだ理由を教えてください
ワセダでは文武両道ができると思ったのと体験の時先輩方とコミュニケーションを取る中で雰囲気が良かったので選びました。
――実際入部してみていかがですか
先輩方は優しく、稽古でも色々なことを教えてくれるので良い雰囲気の中やらせてもらっています。
――大学生になってから初の公式戦はいかがでしたか
凄く緊張しました。
――今大会へはどのような意気込みで挑みましたか
全日本へ出場できるようにと挑みました。
――部内の選考はどうでしたか
部内の選考も本番の試合だと思って挑みました。先輩方も強いの自分のペースで試合を行おうと心掛けました。