女王復活!河村が優勝、3人が全国へ

剣道

 19年の時を超えて早大に女王が復活した。東京武道館の地で幕を開けた関東女子学生選手権。大会出場者は525人。そのうち5回戦まで勝ち進み、全日本女子学生選手権(全日本)への出場が許されるのはたったの28人。そのあまりにも狭き門に早大女子は苦しむ。実力者たちが次々に姿を消す中、その頂点に輝いたのは河村奈穂(スポ4=大分鶴崎)であった。

今大会を一本も取られることなく終えた河村

 河村の優勝への道のりは決してたやすいものではなかった。1回戦から6回戦まで全てが延長戦に突入。肉体的にも精神的にも苦しい試合が続く。しかし「1試合1試合着実に決めていこうと思って臨んだ」という言葉どおり、冷静に1本を取り続け全日本出場を決めた。その後は危なげなく準々決勝、準決勝と勝ち上がり、ついに舞台は決勝へ。決勝の相手は筑波大の大西ななみ。社会人も含めた大会、全日本女子選手権で堂々の準優勝を誇る本大会屈指の強豪だ。序盤から激しい攻防が続く。終始大西に圧倒される展開になるが河村も奮闘、果敢に技を繰り出した。そのまま試合は延長戦へ。そして会場全体が見守る中、勝負は決まる。河村が一瞬の隙をついてメンを叩き込んだ。3本同時に旗が上がり、早大応援席は歓喜の声を上げる。実に19年ぶりの快挙であった。

 活躍を見せたのは河村だけではない。昨年の全日本で1年生ながらベスト8入りを果たした太田麻友(スポ2=茨城・守谷)も快進撃を見せる。序盤から攻めの姿勢を見せ続け、次々と敵を打破。5回戦まで突破し全日本出場を決めた。続く6回戦でもメンを決め勝利。惜しくも準々決勝で敗れてしまいベスト8進出にとどまったが、全日本に向けて弾みをつける結果となった。また今大会初出場の沖田瑞希(社3=京都・日吉ヶ丘)も連戦を戦い抜きベスト16入り、全日本への出場権を手にする。

 笑顔の裏には涙がある。きょねんの全日本で4位に輝いた杉村麻記女子副将(社4=茨城・守谷)が3回戦、1年生時には準優勝を果たした川﨑茜女子主将(文4=京都・日吉ヶ丘)が4回戦でまさかの敗退。これが最後の個人戦となってしまった。また昨年度惜しくも4回戦で敗退した小西波瑠(スポ3=大分鶴崎)も一矢報いることはできず3回戦敗退。今大会初出場となった山下紗奈未(社3=山形・左沢)、安住朱莉(社2=山形・左沢)、石田結稀(社2=大阪・四天王寺羽曳丘)、品川大華(スポ2=広島・広)も全日本出場を果たすことはできなかった。

表彰されるスーパールーキー太田

 河村が個人1位という優秀な結果を残したが、早大としては全日本出場が10人中3人と悔しい結果に。これまでの全日本での実績や昨年の関東女子新人戦で準優勝したことを考えると、期待が大きかった分、落胆も大きい。しかし、女子剣士たちはもう振り返ってはいられない。河村、沖田、太田の3人は全日本での表彰台を、惜しくも敗れたメンバーは秋に行われる関東女子優勝大会(団体戦)での躍進を目指す。今も部員の中にくすぶるのは昨年の団体戦。実力も実績も申し分のないメンバーで挑んだ。しかし結果は2回戦敗退、全国への切符すら手に入れることができなかった。「自分のせいで負けてしまったのがずっと印象に残っていた。それでしっかり、団体でチームに貢献できるように個人で結果を出そうと思った」(河村)。「団体戦で負けてから、着実に結果が出てきている」(太田)。あの悪夢を、悔しさを忘れられなかったからこそ、女子剣士たちは強くなった。今回の敗戦も必ず次につながる。もう悔し涙は流さない。全日本でも、団体戦でも、早大女子剣士たちの頬を流れるのは歓喜の涙だ。

(記事 松本一葉、写真 下長根沙羅)

結果

河村 優勝

太田 ベスト8

沖田 ベスト16

川﨑 4回戦敗退

石田 4回戦敗退

杉村 3回戦敗退

安住 3回戦敗退

小西 3回戦敗退

山下 1回戦敗退

品川 1回戦敗退

コメント

河村奈穂(スポ4=大分鶴崎)

――優勝おめでとうございます。今日の試合を振り返っていかがでしたか

1試合1試合着実に決めていこうと思って臨みました。最初の方はあまり調子が良くなくて、メンもなかなか届かなくて。引き技が多かったです。延長戦も多くて時間をかけてしまったんですけど、なんとか勝つことができてよかったです。

――今日の試合ではドウで決める場面が多く見られたのですが狙われていましたか

いや、全然狙っていなくて。当たってよかったな、という感じでした。

――久々の公式戦となりましたが、この大会に向けて強化してきたことなどはありますか

公式戦は昨年の関東の団体戦(関東女子学生優勝大会)以来だったんですけど、そのときに私のせいで負けてしまったのがずっと印象に残ってて、それでしっかり、団体でチームに貢献できるように個人で結果を出そうと思って頑張りました。

――昨年はベスト4で敗退という結果でしたが、今年はリベンジを果たされましたね。

去年のこととかは考えずに一つ一つの試合を全力で戦うことを意識していました。

――川﨑茜女子主将(文4=京都・日吉ヶ丘)率いる新体制はいかがですか

そうですね、しっかりと芯の強いキャプテンや同期。後輩がいてくれて。周りがしっかりしていてひたむきで真面目で、心強いので今年こそは絶地に優勝したいと思います。

――部内の雰囲気はどのような感じですか

後輩も先輩もあまり関係なく意見を言い合える仲のいい環境なのでしっかり稽古でもいい雰囲気を作っていこうと思います。

――全日本、そして秋の団体戦に向けての意気込みをお願いします。

目の前の相手としっかり向かうことを目標に頑張ります。今までの悔しい気持ちを忘れずに、団体戦につながるように、明日からしっかりと一生懸命頑張りたいと思います。

太田麻友(スポ2=茨城・守谷)

――この大会にはどのような意気込みで臨まれましたか

一回戦突破ですね。

――きょうに向けて集中的に練習したことは

打ちが弱いのがきょねんからの課題だったので、きょねんは押し技とかも決められなかったので、打ちを強化するというよりも竹刀を変えました(笑)。先が軽かったのを、先を重くしたら振れるようになったので、それがもしかしたら良かったかもしれません。

――きょう全体を振り返ってちかがですか

私はいつも序盤に引き技とかで勝つんですけど、きょうは序盤で飛び込みメンとかをすることができて。気持ち的にも乗ってるなって思いながらできたと思います。

――惜しくも敗れてしまった準々決勝に関しては

相手が強かったです。前の練習試合でも負けてたので、チャレンジャーの気持ちでいったんですけど、精神的にも体力的にもあっちの方が勝ってる感じでした。

――きょねんに引き続き全日本出場を決められましたが率直なお気持ちは

安心しました。いけるかどうかわからなかったので、いけてよかったなって感じです。

――新体制についてはどうですか

きょねんの年末の新人戦から、関東の団体で負けてから着実に結果が出てきてるのかなって感じますね。

――全日本に向けての意気込みをお願いします

きょねんはベスト8で負けてしまったので、ベスト8以上を目指して頑張ります。