先週の女子に引き続き、男子の関東学生新人戦(新人戦)が東京武道館で開催された。主力選手がケガで欠場というアクシデントに見舞われながらも、若手剣士たちが奮闘。シードのため2回戦からの登場となった早大は、国学院大との初戦に挑む。いきなり代表戦までもつれるなど苦戦したものの、秋山健太(スポ1=福岡大大濠)が代表戦を制し辛勝した。3回戦も苦しい展開となるが、今大会で獅子奮迅の活躍を見せた大将・秋山の勝利で亜大を制す。続く4回戦では優勝候補の一角であった明大と激突。序盤にリードを許しながらも、1年生の活躍で一時は勝ち数で並ぶ猛追を見せる。強敵相手に善戦したものの、本数差で惜敗しベスト16で今大会を終えた。
早大にとって初戦となった2回戦。国学院大との試合は互いに一本が決めきれない引き分けの試合が続き、勝負は代表戦にもつれ込んだ。1年生ながら大将を務め、代表にも選出された秋山は「私を頼りに回してきてくれていたので絶対勝たないといけない」と奮起。長時間にわたる試合をメンで制し、3回戦へと望みをつないだ。続く亜大との試合では先鋒戦で黒星を喫したが、次鋒・和田勇輝(社1=東福岡)が二本勝ち。その後、五将戦を落としたものの、「大将の秋山を信頼して自分のできることに徹した」(中嶋優樹、法1=東京・国学院久我山)と後続は引き分けでつなぎ、勝負は大将戦へ。再び勝負の行方を背負った秋山は期待に応え、試合開始直後にドウを決め早大に勝利をもたらした。
チームの大黒柱として活躍した秋山
ここまで薄氷の勝利で勝ち上がってきた早大は、4回戦で強豪並み居る明大と対戦。先鋒、次鋒と続けて二本負けを喫し、やはり明大のカベは高いかに思われた。しかし、五将が引き分けると、中堅・岡田悠貴彦(スポ1=福井・高志)が「一本取るしかない」と値千金の勝利。続く三将戦では中嶋が躍動し、実績ある強敵相手に「胸を借りるつもりで臨んだ」と大金星を挙げ、勝ち数で明大に並ぶ。その後副将戦に敗れたが、大将・秋山が日本代表経験者である山田凌平から相メンを奪うなど最後まで明大に食らいつく大健闘。惜しくも本数差で敗れ早大勝利はかなわなかったものの、若手剣士たちが底力を見せる好試合となった。
強敵相手に白星を挙げ、早大を勢いづけた岡田
ほとんどの選手が公式戦初出場で、他の強豪校に比べスポーツ推薦入学者も少ない。加えて中心選手が無念の欠場という布陣で挑んだ大会だった。しかし「みんな一生懸命で剣道が好きなメンバー」(秋山)と言われる選手たちが、それぞれ一年間の努力の成果を発揮。「強い相手とするときであっても精神的にもっと強くならなくてはいけない」(和田)と実践経験を経たことならではの課題も見つかった。来年早大を背負っていく3年生は実力者のそろう学年だが、若手剣士たちも負けていない。そんな好感触を手に、早大剣道部は鍛錬の冬へと突入する。
(記事 久野映、写真 佐藤諒、栗林桜子、松本一葉)
結果
2回戦 ○早大1(2)―0(1)国学院大
先鋒 半田 ド―メ
次鋒 和田 ―
五将 丸田 ―
中堅 岡田 ―
三将 中嶋 ―
副将 松葉 ―
大将 秋山 ―
代表 秋山 メ―
3回戦 ○早大2(3)―2(2)亜大
先鋒 半田 ―メ
次鋒 和田 コメ―
五将 丸田 ―コ
中堅 岡田 ―
三将 中嶋 ―
副将 松葉 ―
大将 秋山 ド―
4回戦 ●早大3(4)―3(6)明大
先鋒 半田 ―コメ
次鋒 和田 ―メコ
五将 丸田 ―
中堅 岡田 メ―
三将 中嶋 ドメ―ド
副将 松葉 ―メ
大将 秋山 メ―
早大 ベスト16
コメント
秋山健太(スポ1=福岡大大濠)
――本大会は安井(奎祐、スポ2=茨城・水戸葵陵)選手がケガで欠場ということもあり、普段試合にレギュラーとして出場されている秋山選手が中心となるような場面もあったかと思いますがいかがでしたか
前がつないでくれたので、私を頼りに回してきてくれていたので絶対勝たないといけないなとずっと思いながら試合をしました。
――普段は前衛での出場が多いですが、きょうは大将という役割でした
高校ではずっと大将とか後ろの方でやっていたので、きょねんまでやってたってことで慣れてるので難しいってことはなかったです。
――国学院大戦についてお伺いします。6戦引き分けで大将戦に回ってきましたがいかがでしたか
初戦から相手も力のある学校だったのでどうなるかなって思っていたんですけれど、タイで回ってきていい試合をみんながしてくれたので、長引いても我慢しようと思って戦いました。
――代表戦はいかがでしたか
何度も中高時代に対戦したことのある相手であまり分がいい相手ではなくて、何度か危ない場面もあったんですけれどなんとか勝てて良かったです。
――続いて亜大戦についてお伺いします。ビハインドで回ってきて、必ず勝たなければならない場面での出場でした
そうですね、初太刀で決まって良かったです。ただそのあと逆ドウを打たれ返されてしまって、手元が上がってしまったのでもっと前にいっていればよかったと反省があります。
――初太刀のドウは狙っていたのですか
色々なパターンを想定していて、その一つがかたちになったという感じです。
――明大戦は有名選手である山田凌平選手との戦いでしたがいかがでしたか
とても強い選手で、きょうは結果として勝てたんですけれど、これが例えば自分が勝てばチームが勝てるみたいな場面であっても取れたかっていうとたぶんそうではなくて。地力で勝てているとはまだ思わないので、もっと稽古を頑張って地力を付けてまた試合できるように頑張りたいと思います。
――順調に勝ち上がれば強敵・明大とぶつかることは予想されていたと思いますが、対策など行っていたのですか
とりあえず安井さんがいない状況でああいうメンバーで臨むって時に、取りあえずメイジに当たるところまでは絶対に勝つ、メイジとは一人一人実力を出し切って思い切りいこうって感じでした。具体的な対策とかは特になかったです。ただ試合前には、守りに入らず攻めていこうってことを皆で話しました。
――この1・2年生だけのチームで臨んだ初めての大きな大会でしたが、チームとしていかがでしたか
1・2年生はすごく自主練とかいっぱいしていて、みんな一生懸命で剣道が好きなメンバーなので、そういうメンバーで試合をできて、同期が活躍しているのがうれしかったです。
――他の選手の試合中も積極的に声を掛けている様子が見られました
あまり言える立場でもないんですけど、メンバーに対して頑張ってくれって思いはすごくあって、声を掛けたりしていました。
――これから大きな試合のない冬の期間となりますが、この間に強化したい部分はありますか
大学入ってからすこしやせてしまったので、しっかり体づくりをすることと、剣道の地力をもっと鍛えられるようにオフだからと言ってだらけず自主的に稽古をしていきたいです。
――来シーズンへの意気込みをお願いいたします
関東個人(関東学生選手権)があるのでとりあえずはそれに向けて個人的に頑張っていきたいのと、今の3年生がすごく強くて、強い1年生も入ってくるので力のあるチームになると思うので団体でも結果を残したいです。ことしは個人も団体も早慶戦(早慶対抗試合)でも私自身としてはすごくふがいない結果になってしまったので、本当に結果を出せるように頑張っていきたいと思います。
岡田悠貴彦(スポ1=福井・高志)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
楽しかったです。
――初の公式戦でしたがいかがでしたか
練習で2週間ためてきたんで、まあそれを爆発できたんでよかったです。
――明大戦では負けられない場面で回ってきましたね
はい。
――いかがでしたか、緊張はされましたか
緊張はありました。でもやっぱり、みんなに一本取るしかないって言われてその分思いっきり行けたので。
――最後はメンで決められましたね
はい。
――明大の強豪選手との対戦でしたがいかがでしたか
そうですね、無心で思いっきりやりました。
――ことし一年を振り返っていかがでしたか
やっぱりワセダに入って、強い人たちに囲まれて揉まれて自分も成長できたかなと思います。
――来年に向けてどのような練習をしていかれますか
もっと剣道を楽しんで、さらにレベルアップできるように頑張りたいです。
――最後に来年に向けての意気込みをお願いします
日本一です!
中嶋優樹(法1=東京・国学院久我山)
――初の公式戦でしたがいかがでしたか
あまり緊張はしませんでした。とりあえずチームとして1つでも多く上に行けたらいいなという気持ちで臨みました。
――初戦の国学院大戦を振り返って
大将の秋山につなげば勝てると思っていたので、無理はせず一本取れたら取ろうという気持ちでいました。最低引き分け以上で後ろに回そうと思っていました。
――2試合目の亜大戦は強気の相手に引き分けと健闘しました
取れたら取りたいと思っていたのですが、なかなかやりにくい相手でした。無理をする相手ではないかなと感じたので、大将の秋山を信頼して自分のできることに徹しました。
――強敵である明大戦では見事二本取りました
相手の方が実力も実績もあったので胸を借りるつもりで臨みました。だからこそ思い切った技が出せました。それがたまたま一本になり、後ろにつなげたので良かったです。
――今回のチームはいかがでしたか
先輩たちも仲良くしてくれたので、試合をしていて楽しかったです。このチームで試合ができて良かったなって思っています。
――この後はオフになりますが、今後強化したいところなどはありますか
稽古不足だと自分では感じているのでどんな場面でも一本取れるような剣道をできるようにもっとパワーをつけていきたいです。
――来年は2年生になりますが
おそらく後ろの方で試合することになってくると思うので、どんな状況で回ってきても自分が試合をひっくり返せるような選手になりたいです。
和田勇輝(社1=東福岡)
――早慶戦からどのような稽古をしてきましたか
代が変わって、新人戦(関東学生新人戦)に合わせて厳しい稽古をしてきました。
――本日は下級生のみの出場となる新人戦でした
今回は1年生が主体ということで、頑張らなきゃという気持ちで責任感を持ってやりました。
――安井選手が欠場ということで厳しい状況でした
そこはきっぱり割り切って、挑戦者の気持ちでやりました
――安井選手から何かお言葉はありましたか
私たちをすごく応援してくれました。頑張れよって。
――初戦から代表戦にもつれ込む、緊迫した試合となりました
最初は国学院大で、向こうは前評判が良いチームだったので、食らいつく気持ちで頑張りました。
――亜大との試合ではビハインドで出番が回ってきました
先鋒が負けてビハインドで出番が来て、流れを変えるという気持ちでやりました。
――見事な出コテでしたね
必死だったのであまり覚えていないです(笑)。
――4回戦で明大と当たることは分かっていたと思いますが、対策はされてきましたか
別に対策とかはなくて、全力でぶつかる気持ちでやりました。
――明大のメンバーは実績的にも優れていて、相当な強敵だったと思いますが、どのようなイメージを持っていましたか
ここまで来たら全力を出すしかないと思ってびびらずにやりました。
――実際にやってみていかがでしたか
すごい強かったです。
――実績を考えると、強敵相手にかなり食らいついた印象です
気持ちで負けていなかったから競れたのだと思います。
――本日は秋山選手が大活躍でした
すごく強くて、秋山に回せば勝てるって思ってやっていました。
――秋山選手が後ろにいるということで、安心感はありましたか
はい。すごく安心感がありました。
――秋山選手を中心にチームがまとまっていた印象です
そうですね。みんな秋山についていくっていう気持ちでやっていました。
――声掛けなどもされていましたが、チームというものを感じましたか
はい。
――今大会で得た課題はありましたか
技術的にはもちろん、強い相手とするときにも精神的にも、もっと強くならなくてはいけないなと思いました。
――ことしの大会はこれで最後でしたが、ことしを振り返っていかがでしたか
ことしは、早慶戦と新人戦に出させてもらえて、自分の力不足も痛感したので来年からレギュラーに入れるように頑張っていきたいです。
――どのあたりが足りないと思いましたか
今大会で上に上がるにつれて、2回戦はよかったけど、明大戦では負けた流れをそのまま引きずってしまったかなと思います。
――来年へ向けての意気込みをお願いします
来年はレギュラー入れるように、稽古も今以上に頑張っていきたいと思います。