厚かった全国のカベ 秋の団体戦に向け決意新たに

剣道

 大学剣道界最高峰の戦いが、ことしも開幕。激戦区・関東地区で全日本学生選手権(全日本)出場権を見事勝ち取った2名の早大剣士が全国の大舞台に挑んだ。全日本出場を逃してしまった仲間たちの思いを背負い気合十分で臨んだ大一番だったが、森本翼(社4=京都・龍谷大平安)は3回戦敗退でベスト32、久田松雄一郎(スポ3=佐賀・龍谷)は初戦敗退と、悔しさの残る結果となった。

 ラストイヤーに悲願の全日本出場権をつかんだ森本。初戦を堂々の二本勝ちで勝利すると、2回戦では九州地区で準優勝の強敵・望月脩平(鹿屋体大)と激突。延長戦にもつれ込みいきなりの山場となったが、一瞬の隙を突き見事なドウで勝利を挙げる。「自分なりに研究して、その結果が成果に現れた」(森本)と、緻密な研究と努力が実った大金星だった。続く3回戦の相手は今大会覇者となった明大の山田凌平。序盤から怒涛の攻めに苦しめられたが、森本は好機をうかがいつつ冷静にしのぎ延長戦に持ち込んだ。サドンデス形式となる延長戦、絶好のタイミングで引きメンを繰り出す。勝負ありかに見えたが判定は無効。その勢いで場外に出てしまった森本は2度目の反則を取られ、反則負けという悔しい形での敗退となった。「決して勝てない試合でもなかった」と手ごたえを感じていただけに不完全燃焼だったが、全日本覇者を追い詰めた経験は必ずや今後に生きてくるだろう。

強豪相手に会心の勝利を挙げた森本

 関東学生選手権でベスト8という好成績を収めた久田松は、初戦で別府大の選手と対戦。序盤に一本を取られてしまうも、「取り返さなきゃという思いで、前に出ることを意識した」とすぐさまメンを奪い返し貫録を見せつける。ところが終盤、さらにもう一本のメンを決められまさかの初戦敗退。「悔しさだけが残る試合になりました」と肩を落とした。

まさかの初戦敗退で肩を落とす久田松

 やはり厚かった全国のカベ。「個人戦(全日本)は私と久田松しか出られなかったという現実があるのでこれからチーム全体の底上げが必要」と森本が語るように、出場した2名だけでなくチームとしての課題も浮き彫りとなった大会だった。秋には『日本一』を目標として掲げる団体戦が控えている。全日本の舞台を経験した2人を中心に、チーム一丸となって厳しい夏の稽古に取り組む早大剣士たち。悲願達成に向け、鍛錬の夏が始まった。

(記事 久野映、写真 佐藤諒)

★久田松が東西対抗試合に出場

 全日本学生選手権(全日本)終了後、同会場で全日本学生東西対抗試合(東西戦)が行われた。全国から選ばれた有力選手が20名ずつ東軍と西軍に分かれ、勝ち抜き戦を行う今大会。早大からは久田松が東軍十七将として出場し、西軍十五将と対戦した。久田松は立ち上がりから機敏な動きを見せるが序盤にドウを決められてしまう。しかしほどなく、相手の動きが止まった瞬間に鋭いメンを決め勝負を引き分けに持ち込んだ。大将・加納彰大(筑波大)の活躍もあり、最終的に東軍が西軍に勝利。久田松も引き分けながらチームの勝利に貢献した。「一回戦で試合に負けて、切り替えて東西戦に臨みました」と試合を振り返る。関東学生選手権ではベスト8の成績を収め、絶好調だと思われた矢先のまさかの1回戦敗退。悔しい思いをした久田松の今後に期待したい。

(記事 下長根沙羅)

結果

森本 3回戦敗退(ベスト32)

久田松 1回戦敗退

コメント

森本翼(社4=京都・龍谷大平安)

――本日の試合を振り返っていかがですか

負けてしまった山田(凌平、明大)選手がそのまま優勝してしまって、決して勝てない試合でもなかったし、本当に悔しさが残るんですけど、これから秋の団体戦でしっかりと発揮できるように頑張りたいです。

――2回戦では鹿屋体大の有名選手・望月脩平選手に勝利されましたね

そうですね、強くて去年もこの大会でベスト8に入っている選手なので、自分なりに見れるところを研究してきて、その結果が成果に現れたのではと思います。

――決まり手は胴でしたが、胴を狙っていかれましたか

まあ狙って打ったというよりかとっさに出たという感じですかね、まあ狙って打てるようなものでもないので。

――関東予選から1ヶ月程度経ちましだか今までどのような練習をされてきましたか?

就職活動が忙しくてあまり練習できなかったんですけど、短い時間の中で中身を意識した練習をやってきてそれがある程度成果として現れたと思っています。

――秋には団体戦がありますが、それまでにどのようなことをしていきたいですか

やはり個人戦は私と久田松しか出れなかったという現実があるのでこれからチーム全体の底上げが必要だと思うのでしっかり全体で厳しい練習に取り組んでチーム一つになって勝っていけるようにこれからも頑張っていきます。

久田松雄一郎(スポ3=佐賀・龍谷)

――本日の試合を振り返っていかがでしたか

最後負けてしまったので、悔しさだけが残る試合になりましたね。

――初戦では1本取られた後にすぐに取り返しましたね

取り返さなきゃという思いで、前に出ることを意識していました

――関東予選から1か月ほど経ちましたが、これまでどのような練習をされてきましたか

これまで通り、抜かないように小さなことから意識してやってきました。

――東西戦の代表に選ばれた時の気持ちは

そんなにこれといっては特に意識はしていません。

――東西戦を振り返っていかがでしたか

1回戦で試合に負けて、切り替えて東西戦に臨みました。

――来週の日韓戦に出場されるそうですがどのような意気込みで臨まれますか

しっかり切り替えてやっていけたらと思います。

――秋には団体戦がありますが、それまでどのような稽古をしていきたいですか

しっかりビデオを見て考えてやっていきたいと思います。