今回で50回目を迎えた全日本女子学生選手権(全日本)。各地の予選を勝ち抜いた猛者たちがしのぎを削るこの舞台に、早大からは川上ゆき女子副将(スポ4=熊本・菊池女)、河村奈穂(スポ3=大分鶴崎)、杉村麻記(社3=茨城・守谷)、太田麻友(スポ1=茨城・守谷)の4名が出場した。川上は惜しくも2回戦で敗退してしまったが、河村がベスト16、太田がベスト8、杉村はベスト4と躍進。5月の関東女子学生選手権に続いて、全国でも早大剣士が確かな存在感を示した。
出場した全員が1回戦を突破し、迎えた2回戦。しかしここで、川上がまさかの敗退となった。制限時間の5分では決着がつかず、延長戦に突入したこの試合。強気の剣道で前に出続けた川上だったが、メンに飛び込んだところをコテで合わせられてしまった。試合後は「本当に悔しい」と肩を落とした川上。秋の団体戦に向け、課題を残す結果となった。一方で河村、杉村、太田は、延長戦にもつれ込む接戦を確実にものにし、それぞれベスト16まで歩みを進める。しかしその後強豪・法大の選手と対戦した河村が二本負けを喫し、ベスト8目前でトーナメントから姿を決してしまう。直前の試合で10分以上の延長戦を戦ったこともあり、「(体力的に)全然余裕がなかった」と試合を振り返った。
期待のルーキー太田はベスト8と奮闘する。得意技である引きメンを立て続けに決め、並み居る強豪選手をはね返した。準々決勝では相手の技の速さに対応できず敗れたものの、1年生ながら出場を果たした全国の舞台で堂々とした剣道を披露。「夏の練習を無駄にしないようにしたい」と、秋の団体戦に向けてさらなるレベルアップを誓った。
1年生ながら堂々とした剣道を披露しその名を知らしめた太田
今大会で早大勢トップの成績を残したのは杉村だった。初出場となった全日本で、ベスト4に入る活躍を見せる。上段の構えから、強化してきたメンを中心に技を繰り出しトーナメントを勝ち上がった。また、勝った試合はすべて延長にもつれ込む長期戦。「相手の技に対して、冷静に判断できていた」と、しっかりと好機を見極め、それを逃さず勝ちにつなげた。3年目にしてついに頭角を現してきた杉村。主力選手として、秋の団体戦での活躍にも期待がかかる。
初めての大舞台でベスト4という好成績を残した杉村
3名がベスト16以上の成績を収めた早大。これだけの選手が上位に進出できた大学は数少ない。また、「今回の結果はすごく自信になった」(杉村)との言葉通り、それぞれが一定の成果を感じることができたはずだ。早大の強さを全国に示す結果となった今大会。次は秋の団体戦で。そのためにも、まずは夏の期間で稽古に励み、技に磨きをかけていきたいところだ。
(記事 進藤翔太、写真 佐藤諒、鎌田理沙)
★川上副将が東西対抗試合に出場
全日本女子学生選手権(全日本)終了後、同会場で全日本女子学生東西対抗試合(東西対抗)が行われ、早大からは中堅として川上副将が出場した。全国の大学から選ばれた代表選手が大学所在地ごとに東軍と西軍各10名のチームに分かれ、勝ち抜き形式で勝敗を決する大会だ。1勝1敗の緊迫した雰囲気の中バトンを受け取った川上は、西軍の中堅で全日本予選の九州地区女王である三浦遥(福岡大)と激突。持ち前の力強い剣道で積極的に攻め込む川上だったが、終盤にツキを決められ無念の1本負けを喫した。その後東軍は三浦を打ち崩せず連敗。形勢不利のまま大将・大亀杏(明大)を迎え、大将決戦までもつれ込んだものの最後は西軍に軍配が上がった。川上は「申し訳なかったという気持ちでいっぱい」と本大会を振り返り、全日本での2回戦敗退という結果にも「本当に悔しい」とコメントするなど辛酸をなめた1日だった。しかし、そこで終わらないのが川上の強さ。「今のままじゃだめだなと本当に痛感させられたので、頑張らなきゃいけない」と決意を新たに、秋の団体戦で日本一をつかみ取ることを誓った。厳しい夏の稽古でも真摯に剣道に向き合う姿勢を貫き、秋にはまた一回り成長した姿を見せてくれるだろう。
(記事 久野映)
結果
川上 2回戦敗退
河村 ベスト16
杉村 ベスト4
太田 ベスト8
コメント
川上ゆき女子副将(スポ4=熊本・菊池女)
――本日の試合を振り返って
本当に悔しいです、その一言に尽きます。
――関東女子学生選手権から1か月少し時間がありましたが、どのような稽古をしてきましたか
関東終わってすぐから地元に戻って母校で教育実習に行っていました。自分にとってすごくいい時間で、大学生と一緒に稽古をするという環境ではなくなってしまったのですが、恩師や高校生の後輩たちと練習することで、自分の中でも質のいい稽古ができたと思っています。なので(きょうの試合も)いけるかなと思ってたんですけれど、まだ足りなかったですね。
――全日本女子学生東西対抗試合にも出場されていましたね
中堅というポジションも頂いて本当にありがたい話だったんですけれど、結果はあのような試合になってしまって、大将にも本当に迷惑をかけて申し訳なかったという気持ちでいっぱいです。
――秋の団体戦に向けて意気込みをお願いします
(本大会に出場した)4人の中からベスト8、ベスト4の選手が出て早大強いんだなってことをはたから見ていて改めて思ったので、そういった仲間の力を借りながら団体で日本一取っていかなきゃなと思ったので、自分がもっとしっかりしないと、今のままじゃだめだなと本当に痛感させられたので、頑張らなきゃいけないなと思っています。
河村奈穂(スポ3=大分鶴崎)
――初めての全日本出場でした
個人戦で勝ち上がったことがなかったので、今回は大学に入って初めての全日本でした。とりあえず、一回戦突破を目指して頑張りました。全国大会に出てくる人はみんな強いので、一戦一戦大事に戦おうと思いました。
――関東女子学生選手権から、どのような稽古をしてきましたか
関東のときに、しっかり構えを崩さずに中心をとって下がらないことができていたので、それを崩さないようにやっていこうと思いました。
――シードのため、二回戦からの出場でした。コンディションの調節が難しかったと思いますが、どのように対応しましたか
私のコートが試合の進行が遅かったんですけど、選手係の子としっかりアップをして準備はできていたと思います。
――目標の一回戦突破を達成しました
一回戦勝って二回戦も勝って、そのあと全然考えてなかったです。相手のことを何も把握してなくて、そこがちょっと足りなかったなって思います。
――長引いた二回戦のすぐあとに三回戦が始まりましたね
やってるときに私だけ汗だくで、全然余裕がなかったです。体力的にもやばかったです。相手も上だったなって感じています。
――三回戦では、先取されてからすぐに出コテを取られてしまいました
一本取られて時間が来ると負けだったので、打っていった方がいいなって思ったんですけど、考えが甘すぎて普通に取られちゃったので、もうちょっと頭使っていけば良かったなって思います。
――次の試合まで、どのような稽古をしていきますか
1ヶ月くらいオフに入って、夏合宿が始まります。それまでに私は日韓戦もあるので、身体がなまらないようにしていきたいです。
杉村麻記(社3=茨城・守谷)
――ベスト4という好成績でした。今の気持ちを聞かせてください
率直にうれしいですね。
――初の全日本女子学生選手権でしたが、緊張などはありましたか
緊張はそんなにしなかったですね。むしろ、いいところで一本が取れましたし、のびのびと試合ができたかなと思います。
――いいところの一本というのは具体的にどんな場面だったのでしょうか
相手の技に対して冷静に判断できていたので、ここだ、というところで自分の技を出せました。そこで一本が取れたので、良かったと思います。
――上段の構えはいつから取り始めたのですか
高校1年生の夏ですね。監督から、上げてみろ、と言われてからやり始めました。
――初戦から延長戦が続きましたが、何か影響はありましたか
いや、全然なかったですね。一試合一試合集中できていたので。試合が延長に入って疲れたというよりも、試合が終わるたびに気持ちを高められていたと思います。
――メンでの一本が多かった印象です。振り返ってみていかがでしたか
そうですね。メンを打てるようになったのは、コテを打ったり逆ドウを見せたりして上下に攻めをつくれたからかなと思います。そういう攻めをすることで、相手を崩せるということがわかったので、きょうのメンが打てたのかなと思いますね。
――上下に攻めるというお話がありましたが、初戦はコテを決めました。あれは狙い通りの一本だったのでしょうか
相手もすごくうまかったので、メンがなかなか当たらなくて。なので、最後は捨て身でいこうと思ってコテにいきました。そうしたら(審判の旗が)上がったので、良かったと思いましたね。
――延長戦は一本で終わってしまうプレッシャーもあったと思いますが、何を意識して臨んでいましたか
(一本を)取るところは無意識というか、体が勝手に動いているので、一本を狙っているということはなかったです。なので、特に意識していたこと、というのもなかったですね。
――準決勝の相手も上段を構えていました。相上段ということでやりにくさはありましたか
いや、苦手意識とかは全くなかったです。なので、冷静にやろうと思っていたんですけど、相手に引きメンを最初に取られてしまって。そこで相手のほうに流れがいってしまいました。そこから自分のペースに戻せなかったのがすごく悔しいです。
――引き技への対応についてはいかがでしたか
私、引き技打てないんですよ(笑)。でも、日体大の選手は引き技も全部打てるので、そこは見習っていかないといけないな、と今回の試合で思いました。
――早大からベスト16以上が3名と、秋に向けて実りのある結果だったと思いますが、それについてはいかがですか
そうですね。個々の実力もあると思いますし、チームとしてもみんな仲が良くて、切磋琢磨(せっさたくま)できる関係だと思います。これからオフに入るんですけど、みんなで一丸となってしっかり稽古をしていって、秋の団体戦でも勝ちにいけたらなと思います。
――秋までの期間でどういった点を強化していきたいですか
まず、メンは強化していきたいです。(メンを)打ったら必ず決まるくらいの、力強いメンを打てるようになりたいですね。あとは、引き技ですね。そこもこれからやっていけたらなと思います。
――ベスト4という結果を受けて、自分の中で何か変わったことはありましたか
すごく自信につながったと思います。団体戦では、新人戦の優勝とかで結果は出ていたんですけど、個人戦での実績はなかったので。今回の結果は、すごく自信になったと思います。
――最後に、これからに向けての意気込みをお願いします
秋の団体戦は個人の戦いではないので、チームとして勝てるようにしていきたいです。団体戦でも使えるような選手になれるように頑張りたいと思います。
太田麻友(スポ1=茨城・守谷)
――大学に入って初めての全国規模の大会ですが、緊張はありましたか
緊張しました。
――結果を見ればベスト8で勝ち進んだ印象がありますが
一戦一戦勝つことだけを考えていたので、結果はついてきたのですが、ベスト8というのは悔しいです。らいねんまた個人戦に向けて、この場所に戻れるように頑張ります。
――強い他校の選手に次々と勝ち進んでいましたが、きょうの調子は
良かったと思います。
――きょうの勝因は
目の前の相手に勝つことだけを考えてきました。先のことを考えなかったのが良かっんじゃないかと思います。
――引きメンを何度も用いていましたが、得意技のひとつでしょうか
得意です。それにプラスで部内の人に教えてもらった技で一本取って、勝てたので嬉しかったです。
――準々決勝について、互角に渡り合っていましたが、延長戦に入ってすぐメンを打たれてしまいました
ドウにいくか、メンにいくかわたしが迷っていたところに、相手のスピードが速かったので上から打たれてしまいました。
――その時のお気持ちは
「あぁ、打たれた・・・」って感じでした(笑)
――秋には団体戦もありますが、そのために夏の練習はどのように取り組まれていきますか
まだ団体戦のメンバーに選ばれるかどうかも分からないので、選考会で絶対勝って選ばれるように、夏の厳しい練習を無駄にしないようにしたいです。