12連覇達成!全日本へつながる勝利 

剣道

 ことしで33回目を数える早慶対抗女子試合(早慶戦)。慶大、日吉キャンパスにある小さな剣道場が異様な熱気に包まれた。本大会12連覇を目指し、ワセ女剣士たちが伝統の一戦に挑む。熱い戦いが繰り広げられ、2戦を残して3勝2敗という混戦に。きょう大一番、副将・川上ゆき(スポ3=熊本・菊池女)が圧巻の二本勝ちを収め、早大の優勝を決定づけた。大将戦は惜しくも敗れたが、結果は勝ち数4-3で早大が勝利。連勝記録を11から12へ塗り替えた。

 通常、剣道の応援は拍手のみの静かなものだが、この伝統の一戦は特別だ。声援がひっきりなしに飛び交い、打突が出るたびに歓声が上がる。そんな普段とは違う空気の中、先鋒・河村奈穂(スポ2=大分鶴崎)が登場。互角の戦いの末、一本負けを喫し、早大の白星発進はならなかった。次鋒は期待の新人・小西波瑠(スポ1=大分鶴崎)。堂々とした竹刀さばきで圧勝し、早慶戦デビューを華々しく飾った。続いて登場した五将の髙橋萌女子副将(スポ4=栃木・佐野日大)は、「絶対勝つ」と強い気持ちで臨む。惜しい打突は何度も飛び出すものの、相手を捉えきれず延長戦に。長丁場の試合は体力的にもきついものだったが、仲間の声援に支えられた。「強気で」、「前に前に」という声に応えるかのように攻め込み、相手が居着いた隙を逃さず会心のメンを打ち込む。激闘を制し、後半戦への弾みをつけた。

勢いのある剣道で早大に流れを引き寄せた小西

 中堅・阪本皇子(スポ3=長崎・島原)は、制限時間間際に引きドウを決め早大の勝利に王手をかけた。ここで勝負を決めてしまいたい三将の川﨑茜(文2=京都・日吉ケ丘)だが、思わぬ苦戦を強いられ無念の敗北。慶大ギャラリーの盛り上がりはきょう大一番をみせた。しかし、副将の川上は惑わされることなく「自分の試合をすれば勝てる」と自分の剣道を貫き二本勝ち。早大の12連覇を決めた。チームの優勝が確定し、畝尾奈波女子主将(スポ4=京都・日吉ケ丘)は自らのプライドを懸けた大将戦に挑む。手に汗握る熱戦となったが、激しい攻防の末にコテを合わされ散った。黒星で終わったものの、畝尾は「チームが勝ったことの方がうれしい」とすがすがしい笑顔を見せた。

強敵を打ち倒し、優秀選手に選ばれた髙橋

 つなぐ剣道でことしも栄冠を手にした早大。「今取り組んでいることが少し出せた」(川上)、「内容は悪くなかった」(畝尾)と、来る全日本女子学生優勝大会(全日本)へ向け着実に調子を上げている。目標は優勝と口をそろえ、気合も十分だ。来月には表彰台の頂で、きょうと同じ笑顔を見せてほしい。

(記事 久野映、写真 佐藤諒)

集合写真

結果

○早大4―3慶大

先鋒 河村   ―コ   安井

次鋒 小西 メメ―   福沢

五将 髙橋  メ―   竹内

中堅 阪本  ド―   前園

三将 川﨑  メ―メコ 小林

副将 川上 メメ―   西村

大将 畝尾   ―コ  上田

 

優秀選手 髙橋、上田(慶大)

コメント

畝尾奈波女子主将(スポ4=京都・日吉ケ丘)

――最後の早慶戦(早慶対抗女子試合)に懸ける思いはいかがでしたか

最後なのでみんなで勝ちたいという思いはありました。ただ、全日本(全日本女子学生優勝大会)が次の一番大きな目標であるので、全日本につながる試合ができればいいなと思っていました。

――ご自身の試合を振り返って

結果は負けてしまったんですけど、内容としては悪くなかったかなと思います。なので修正するところをきちんと修正して、全日本では私が必ず勝って優勝したいと思っています。

――試合後の笑顔が印象的でした

私の前でもう勝利が決まっていましたし、もちろん自分の負けは悔しいものですが、それ以上にチームが勝ったことがうれしかったです。

――全日本に向け一言お願いします

全日本では関東大会(関東女子学生優勝大会)で負けてしまった法大と3回戦で当たってしまうのですが、関東大会での悔しさをばねにして、全日本では絶対に法大に勝って優勝して、笑顔で引退したいと思います。

髙橋萌女子副将(スポ4=栃木・佐野日大)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

強い相手だったんですけれども、これで最後の早慶戦ということで、絶対勝つという強い気持ちで臨むことができました。

――独特の雰囲気での試合でしたが、仲間の声援は聞こえましたか

はい、聞こえました。すごく励みになりますね。

――ご自身の試合を振り返って良かったと思うところは

相手に合わせず自分のペースで出ばなを狙えたのが良かったと思います。

――12分を超える長い試合でしたが、そういった面ではいかがでしたか

途中やはり疲れはあったんですけれども、周りの応援が聞こえて、最後なので諦めず頑張ろうと思えました。

――全日本に向けて一言お願いします

きょうは良い試合ができたと思うので、この勢いで全日本も頑張りたいと思います。

川上ゆき(スポ3=熊本・菊池女)

――きょうは早慶戦でしたが雰囲気などいかがでしたか

(ギャラリーが)あれだけ盛り上がってくれて、やっていてすごく楽しいし、同時に(こちらの気分も)盛り上がりますね。

――慶大の印象は

自分から仕掛けてガツガツ来るので、それに惑わされないように自分の剣道をしようと取り組みました。

――前の選手が黒星を喫した状態で順番が回ってきました

とりあえず自分の試合をすれば勝てると思ったのでそこまで焦らずできたので、二本勝ちできたのかなと思います。

――川上選手の勝利で早大の勝利が確定しました

ほっとしました。それだけです。

――全日本に向けて

今取り組んでいるところが少し出たのかなと思って自信にもなったので、全日本に向けてもっともっと徹底してやって良い結果が出せるように頑張りたいと思います。

阪本皇子(スポ3=長崎・島原)

――ご自身の試合を振り返っていかがですか

とにかく勝つということだけ考えていたので、何分かかってでも必ず勝つことを目標にしていたので良かったです。

――早慶戦に懸ける思いは

全日本があるので、この早慶戦は通過点として必ず勝ちたいと思っていました。勝つことはもちろん、内容を重視した戦いをしたいと思っていました。

――4年生のお2人の試合をご覧になっていかがでしたか

きのうのミーティングでも、4年生を最後の早慶戦で勝たせるために1,2、3年生がどれだけ頑張れるかという話をしていたので、奈波さん(畝尾女子主将、スポ4=京都・日吉ケ丘)は負けてしまったんですけれどすごく良い内容でしたし、二人とも全日本につながる良い内容だったと思います。

――全日本へ向けて一言お願いします

全日本では早いうちに法大と当たってしまうのですが、関東では法大に負けて悔しい思いをしているので、そこを倒して絶対に優勝します。

小西波瑠(スポ1=大分鶴崎)

――初めての早慶戦(早慶女子対抗試合)でしたが

とても緊張したんですけど、私のところで絶対取るという気持ちで頑張りました。

――アウェーでの試合でした

私はまだワセダで(早慶戦を)経験したことがないんですけど、すごく楽しく試合ができました。

――ビハインドを背負っての状況で順番が回ってきましたがプレッシャーは大きかったのですか

はい。正直、先鋒が勝ってくると思っていたので焦ったんですけど、いつも以上に気持ちが入った試合ができました。

――二本勝ちを収め勝負を振り出しに戻しました

取ったときは、よっしゃ!という気持ちでした(笑)。

――全日本に向けて

全日本では、補欠ではなく、自分が試合に出て勝つという気持ちで頑張ります。