新たな戦いの幕が上がった。西村慶士郎(平27スポ卒=現高校教諭)前主将らが引退し、新体制となった早大は、今季初の公式戦であり全日本学生選手権(全日本)の予選でもある関東学生選手権に参加。昨年度は結果を残した嘉数卓主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)や勇佑多(社4=東福岡)が早々に姿を消していく中、ルーキー安井奎祐(スポ1=茨城・水戸葵陵)や2年生の勇大地(スポ2=東福岡)が勝ち上がる。下級生の活躍が目立つ一方で、諏訪稜介(スポ4=茨城・水戸葵陵)も上級生の意地を見せ奮起。ラストイヤーにして初めて全国への切符を手にする。上位入賞者は出なかったものの、計3名が予選を通過した。
ベスト32と全日本出場決定戦(敗者復活戦)で勝利した24名の計56名が全日本に進める今大会。3回戦まで勝ち進んだ勇大はその分岐点である4回戦に臨んだ。勝負は延長戦にまでもつれ込む熱戦となったが、相手のコテが届く前に、目にも止まらぬ速さでメンを奪い白星を挙げる。この時点で大阪行きが決定。しかし、目標はあくまでも優勝だ。さらに上を目指すべく、ベスト16を懸けた強豪・国士舘大の選手との5回戦に挑む。互角に渡り合う勇大だが、ひとたび先取されてしまうとその後は間合いを潰されて有効打を放つことができない。最後まで一本を取り返すことができず、黒星を喫する。全日本を決めたものの、「優勝できなかった」と悔しさをあらわにした。
早大最高順位を叩き出した勇大
今大会が初陣となる安井。1年生とは思えぬ安定したパフォーマンスで4回戦まで駒を進めた。しかし、ここできょねんの関東覇者に敗北してしまう。敗者復活戦に回った安井は、「絶対に勝つ」という強い気持ちで見事二本勝ちを収め、全日本出場枠に滑り込んだ。同じく、4回戦で昨年度の全日本優勝者であり今大会でも頂に立った梅ケ谷翔(中大)に延長戦の末敗れ、敗者復活戦に望みを託した諏訪。一試合目を落とし、もう負けが許されない厳しい状況に陥る。しかし、「最後だけは絶対勝とう」と執念のコテを決めて最上級生としての面目を守った。
1年生ながら全国ヘの挑戦権を勝ち取った安井
出場メンバー7人のうち3名が全日本への道を切り開いた早大。「3人出場を決めることができたのでその点についてはよかったと思います。しかし、上位に入っている選手が多い他大と比べてちょっと寂しい結果と言えると思います」と嘉数は今回の成績に満足していない様子だ。勇大のベスト32が最高順位と昨年と比べて奮わない結果となったが、これはあくまでも予選。本番である全日本まであと一カ月半ある。それまでにどこまで己を高めることができるか。戦いはまだ始まったばかりだ。
(記事 佐藤諒、写真 藤川友実子)
結果
勇大 ベスト32
諏訪 4回戦敗退(敗者復活戦を勝ち抜き、出場決定)
安井 4回戦敗退(敗者復活戦を勝ち抜き、出場決定)
大﨑泰拓(社2=奈良大附) 3回戦敗退
嘉数 2回戦敗退
勇佑 1回戦敗退
久田松雄一郎(スポ2=佐賀・龍谷) 1回戦敗退
コメント
嘉数卓(スポ4=神奈川・桐蔭学園)
――全日本出場権を逃してしまいました
不本意な結果となってしまいました。
――敗因は何だと思われますか
運がなかったかなというのは多少はあると思うんですけど、やっぱりまだまだ力が足りなかったのかなと思います。
――早大から3名全日本出場権を獲得しましたがその点はいかがですか
上位入賞は残念ながらできなかったんですけど、なんとか3人出場を決めることができてその点についてはよかったと思います。しかし、上位に入っている選手が多い他大と比べてちょっと寂しい結果と言えると思います。
――嘉数さん個人としての次の目標は何ですか
私は個人戦がダメで、あとは9月の団体戦に向けてまた明日からやるしかないと思うので、それに向けて頑張っていきたいです。
――団体戦に向けてこれから何を意識して稽古しますか
相手のスピードとかパワーとかに対応できるだけの体力や精神力がまだまだ全然足りていないと思うのでそこをこれからしていかないといけないなと思います。
諏訪稜介(スポ4=茨城・水戸葵陵)
――今大会までにどんなことに力を入れて練習されてきましたか
4年生がきょう3人出てたんですけど、私だけ2回目の出場ということで、練習中も試合を意識して、自分で一本を取れるような練習をしてきました。
――今大会にはどのような意気込みで臨まれましたか
もちろん全日本学生選手権(インカレ)出場も目標だったんですけど、優勝を狙っていて、結果的に負けてしまって、敗者復活で勝つことができて(インカレの)出場権を得られたという感じです。
――全日本行きを決められて、いまのお気持ちは
序盤で同期2人が負けてしまって、4年生みんなで(インカレに)行こうと思っていたので悔しくて、その2人の分も日本一を目指してしっかり頑張っていきたいと思います。
――岩切勇人選手(国際武道大)との2回戦は、長丁場となりましたが体力的にはいかがでしたか
すごく辛かったです。でもあそこで負けるわけにはいかなかったので、自分の得意なところでしっかり勝負しようとは思っていました。
――4回戦では昨年のインカレ優勝者である梅ヶ谷翔選手(中大)との対戦になりましたが
向こう(梅ヶ谷選手)の方が経験もあって、私より全てが上回っていたので、どこまでできるかなという気持ちでいました。もちろん勝つ気でいたんですけど、どこまでできるかなという気持ちになってしまっていたというのが正直なところです。
――今大会もその梅ヶ谷選手が優勝されましたが、実際に戦ってみていかがでしたか
すごく素晴らしい選手で、礼儀正しくて、人間としてもすごい人だと思います。私より2歳下の選手ですけど、本当に素晴らしい選手だと思います。
――2回目の敗者復活戦は立ち上がりから手数を多く出している印象でしたか
敗者復活戦の相手は1試合目が中学の同期で、2試合目が高校の同期だったのですごくやりづらかったんですけど、さっきも言ったように同期2人が敗退していたので、最後だけは絶対勝とうと思って強気でいった結果だと思います。
――今大会の収穫と課題を教えてください
収穫としては練習してきたものが出せたことかなと思います。課題は強豪校とされている大学と対戦すると、手数も違うし、一本の破壊力だったり早さだったり、全てが私の方が全然下で、このままだと秋の団体戦では対抗できないと思うので、これからインカレや関東(学生優勝大会)の団体、全日本(学生優勝大会)の団体に向けて自分の良さをしっかり伸ばして確実に勝てる選手になっていきたいと思います。
――インカレでの目標は
もちろん日本一です。
勇大地(スポ2=東福岡)
――今日の目標は何だったのですか。また、ベスト32でしたがその点についてどのように考えていますか
全日本出場は一つ達成ということで良かったですが、上に上がれなかった、優勝できなかったというのはとても悔しいです。やはり優勝が目標だったので。
――初戦から延長にもつれ込むなど苦しんだ場面もあったように見えましたが、緊張などはありましたか。
緊張はありましたね。試合への入り方として初戦が大切だと思っているので、序盤の1、2回戦は緊張しました。
――3回戦では二本勝ちと快勝でしたが、振り返ってどこが良かったと思いますか。
1,2回戦よりはリラックスして臨めて、体もよく動きました。
――5回戦で負けてしまいましたが、その試合についても教えてください
相手はスピードもパワーもあり、そこで打たれてしまったのは自分のミスでした。力不足ですね。
――長丁場の試合もありましたが、その中で集中力を切らさなかったのが勝利につながったのではないかと思いました。日頃の稽古の中でどのようなことを意識しているのですか
気を抜かないように自分に厳しく、常に相手を意識して稽古することを心がけています。
――最後に、来月の全日本へ向けての抱負をお聞かせください。
全国の強豪校の選手と試合をするいい機会なので、それまでに一段階、二段階もレベルアップして臨んで、優勝を目指したいです。
安井奎祐(スポ1=茨城・水戸葵陵)
――全日本の出場が決定しましたが、いまのお気持ちをお聞かせください
全日本ではもっと上に上がっていけるようにこれから練習を頑張っていこうと思っています。
―― 今大会の目標と今日の結果についてお願いします
目標は優勝でした。去年優勝したひとに負けてしまったのですが、全日本が決まってよかったです。
――今日がデビュー戦だったと思うのですが、そのあたりはどうでしたか。
最初で緊張したのですが、全日本につながる試合ができてよかったです。
――4回戦で昨年度の関東学生選手権優勝者とあたりましたが、どこが怖かったなど、振り返ってみてどうですか。
とてもはやくて、ついていけないところがあったので、これからもっと練習してついていけるようにしたいと思っています。
――そのあとの敗者復活戦ではどのような気持ちで臨んだのかお願いします。
勝たないと全日本に行けないので、絶対に勝つという気持ちで戦いました。
――全日本が決まったときの気持ちは?
次は絶対優勝できるように頑張ろうと思いました。
――最後にもう一度全日本に向けて一言お願いします。
次優勝できるように頑張ります。