新体制になってから初めての公式戦に臨んだ早大剣道部は、3回戦まで順当に勝ち進み4回戦で順大に快勝。続く準々決勝で矛を交えたのはライバル慶大であった。一進一退の攻防を繰り広げ、勝負の行方が大将戦までもつれ込む熱戦に。思いを託された大将・小林直道(スポ2=東京・高輪)は勝ち切ることができず、敗北。ベスト8で大会を後にすることになった。
3回戦まで危なげなく駒を進め、4回戦で順大と対戦。昨年同大会で優勝し、ことしも頂を目指す早大としては落とせない一戦だ。先鋒戦を引き分けに持ち込むと公式戦初出場の次鋒・山本聖人(政経1=埼玉・早大本庄)が見事に2本勝ちを収め、チームを勢いづける。続く五将戦でも森本翼(社2=京都・龍谷大平安)が相手を打ち負かし流れは完全にこちらのものに。三将戦では普段からレギュラーとして活躍する勇大地(スポ1=東福岡)が躍動。メンで先取したのち、鮮やかにコテを決めて早大の勝利を確たるものにする。副将・久田松雄一郎(スポ1=佐賀・龍谷)が引き分けると大将・小林が白星を挙げ試合をきっちり締めた。
初の公式戦で3勝を挙げる活躍を見せた山本聖
準々決勝で待っていたのは宿敵・慶大。先月早慶対抗試合で負かした相手とはいえ油断はできないチームだ。先鋒戦を落とし、後手に回った早大であったが、「ケイオーには絶対負けたくない」という気持ちで戦いに臨んだ次鋒・山本聖が果敢に攻め2本勝ち。試合を振り出しに戻した。続く五将戦で敗れ、中堅、三将が引き分けるなどなかなか白星を取れない早大。この停滞した状況を打破したのは副将・久田松だった。「前に出ていけたところが良かった」(久田松)と振り返ったように積極的に間合いを詰め、相手を圧倒。2本勝ちを収め、大将戦に望みをつないだ。しかし、仲間の気持ちを背負った大将・小林は「守るのではなく(1本を)取る」と攻めの姿勢で挑んだが、それが焦りとなり敗北。連覇の夢はベスト8で途絶えた。
慶大に敗れ肩を落とす選手たち
目標を果たせず苦汁をなめる結果となった今大会。大事なところで勝ち切れなかった点は今後見直すべきだが、初めて公式戦に出たにもかかわらず勝利に貢献した山本聖や土壇場で逆転に成功した久田松など1年生が活躍した点は評価すべきだろう。これから長い調整期間に入る早大剣道部は、悔しさを胸に来季必ずや雪辱を果たすことを誓う。
(記事 佐藤諒、写真 藤川友実子)
結果
2回戦 ○早大6―0茨城大
先鋒 山本聖 コド―
次鋒 船橋 メ―
五将 森本 メ―
中堅 大﨑 メメ―
三将 勇大 メメ―
副将 久田松 メー
大将 小林 ―
3回戦 ○早大7―0青学大
先鋒 森 ココ―
次鋒 菅原 ツコ―
五将 森本 メド―
中堅 大﨑 ココ―
三将 勇大 メコ―
副将 久田松 メコ―
大将 小林 メコ―
4回戦 ○早大4―0順大
先鋒 森 ―
次鋒 山本聖 メメ―
五将 森本 メコ―
中堅 大﨑 ―
三将 勇大 メコ―
副将 久田松 メ―ド
大将 小林 コ―
準々決勝 ●早大2―3慶大
先鋒 森 ―コ
次鋒 山本聖 メコ―
五将 森本 ―コ
中堅 大﨑 ―
三将 勇大 ―
副将 久田松 メメ―
大将 小林 ―ココ
コメント
小林直道(スポ2=東京・高輪)
――今日の試合を振り返って
最終的に大将戦になったときに負けてしまって、他の試合では良かったんですけど最後に負けてしまって悔しいです。
――1、2年生のみの新人戦でしたが、やはりいつもとは違いましたか
いつも前でやっているポジションを1、2年生だけだと後ろでやるので、チームの流れとかも違うという感じがしました。
――慶大との試合は大将戦に勝負が懸かっていましたがどのような気持ちで臨みましたか
2―2の大将戦で本数は勝っていたんですけど、1本でも取られたら負けてしまうので、そこは守るのではなく(1本を)取る気持ちでいったんですけど、逆にそれが焦りになってしまって負けてしまうという結果になってしまいました。
――早慶対抗試合で戦った相手でしたが
こっちが対策するというか、向こうにもう完全に対策されていて。その面で考えないといけないなと思いました。
――これでオフに入りますがどのようなことを意識して練習しますか
試合の中で避けたところとかを打たれてしまったので、しっかり中心を攻めるようにすることを自主練などで練習していきたいです。
――ことし1年間を振り返って
いい試合もあれば悪い試合もあったのでいい試合と悪い試合を自分で観て、しっかり研究して、らいねんにつなげていきたいと思います。
――次の大会へ向けて
次の大会では必ずこの反省を生かしていい成績を残せるように頑張ります。
久田松雄一郎(スポ1=佐賀・龍谷)
――きょうの試合全体を振り返っていかがですか
いつも通りできたかなという感じです。
――ご自分の出来としても
そうですね、いつも通りでした。
――最後の慶大戦は1―2と負けている状況でしたが、プレッシャーはありましたか
ケイオーの大将は私と同じ道場で昔から強くて、小学校の頃にも日本一になっているような選手だったので、なるべくリードして大将に回したいと思っていました。結果としては良いつなぎ方ができたかなと思います。
――2本勝ちされましたがどういった点が良かったのですか
前に出ていけたところが良かったです。
――ライバル慶大との対戦でしたが特別な思いはありましたか
そうですね、もう絶対に負けたくなかったのですが仕方ないです。
――今大会の久田松選手個人の結果としては満足いくものでしたか
悪くはなかったと思います。
――この1年間を振り返っていかがですか
大学剣道とはこういうものだというのがわかった1年間だったと思いますし、練習面でも試合面でも本当に良い1年を送れたと思います。結果はついてこなかったですが、いろいろなことがわかった1年間でした。
――いままでとはどういった点が違いましたか
ワセダはほとんど学生主体で練習などをするので、自分で考えて自分でやって、自分で追い込むというのは大事なことだというのを改めて実感できました。
――最後に来季に向けて意気込みをお願いします
まず関東の個人(関東学生選手権)に出ることを目標に頑張っていきたいと思います。
山本聖人(政経1=埼玉・早大本庄)
――きょうの大会への意気込みはどのようなものだったのでしょうか
僕は早慶戦(早慶対抗試合)に出られなかったので、その悔しさをぶつけるつもりで臨みました。
――今大会が大学初の公式戦ということでしたが緊張はありましたか
1回戦はすごく緊張したんですけど、初戦で良いスタートが切れたので、3回戦は出なかったんですけど、4回戦、準々決勝は思い切ってやることができました。
――ご自身の試合を振り返って評価はいかがですか
調子はあまり良くなかったんですけど、うまく相手の剣道と自分の剣道が合ったという感じで。運良く勝てたので良かったかなと思います。
――慶大戦では0―1で負けている状況で回ってきました
繰り返しですが、早慶戦に出られなかった悔しさももありましたし、やはりケイオーには絶対負けたくないという思いで臨みました。
――来季への抱負をお願いします
全体的な試合を通じて自分の体力不足や試合の経験不足を痛感したので、これからオフに入るんですけどしっかりこの期間中に自主練を積んで、春に向けて良いスタートを切れるようにしたいと思います。