全日本学生優勝大会（全日本）で４年生を最高のかたちで送るために、下級生も気持ちを新たにして大一番に臨もうとしている。今回は春の全日本学生選手権に出場した小林直道（スポ２＝東京・高輪）、１年生ながら関東学生優勝大会で全日本の切符をつかむのに大きく貢献した勇大地（スポ１＝東福岡）、久田松雄一郎（スポ１＝佐賀・龍谷）の３人にお話を伺い、今季ここまでの戦いや全日本への意気込みを語ってもらった。
※この取材は１０月３１日に行われたものです。
「声から気持ちをつくる」（勇大）
２度目の全日本への意気込みを語る小林
――まずは初めての早慶対抗試合（早慶戦）を振り返っていかがですか
勇大 初めての早慶戦ということで緊張しました。
――雰囲気とかは違いましたか
勇大 思っていたよりは…。なんですかね…。みんな緊張しているというか、会場中がピリピリしているなとは思いました。
久田松 全日本とか関東とかとはまた違う試合だと感じました。
――やりづらさを感じたりは
久田松 やりづらいっていうか負けられない気持ちがあります。
――小林選手は早慶戦はいかがでしたか
小林 個人的には負けてしまって、正直あんまりいい試合をできなかったのですけど、早慶戦で悪かった点というのが分かったので今後の試合に生かすという感じです。
――今季これまでの戦いぶりを振り返って
小林 個人戦は個人的な問題なんですけど、団体戦はまだチームワークっていうのが関東大会（関東学生優勝大会）を振り返って欠けているのかなぁって。個人個人の力はすごくあって、一人一人が力を全部出していけば本当に優勝できると思うし、チームワークをもうちょっと作り上げていけないかなと思いました。
――関東が終わって早慶戦までにチームワークの向上はいかがですか
小林 そうですね（笑）。団体的に、取れるところは取っているし、いい感じに上がっています。
久田松 練習とかも意識高く持って全員が全員やれてると思います。いい練習できてると思うし、全日（全日本学生優勝大会）には自信を持っていけるかなぁって。
――高校剣道との違いは
勇大 そんなに…。みんな強えーよな（笑）。
久田松 簡単に勝てる試合がなくなった（笑）。高校のトップが集まってきているからどこ見ても強い。そのなかでもワセダは強いけど、結果が伴ってないかなぁって。
――印象に残った試合は
小林 ことしだったら、やっぱり早慶戦の大将戦ですね。
――見ている側としていかがでしたか
久田松 本当に緊張して…。勝つと信じて応援してました。
――久田松選手と勇大選手の印象に残った試合は
久田松、勇大 やっぱり早慶戦ですね（笑）。
――一番気をつけて練習してきた点は
小林 個人的には、試合をやってて止まっちゃったところ、手元を上げたところ相手に狙われたので、そこを稽古で崩れないように、しっかり中心を狙う練習を心掛けています。
久田松 自分を追い込むようにやるということ。厳しいところで負けないように自分を追い込むっていう練習をしていました。
――追い込めましたか
久田松 はい（笑）。もう追い込みすぎなんじゃないかってくらい（笑）。
勇大 声ですね。とりあえず出すっていう。声から気持ちをつくるというか。
――声は出ていますか
勇大 そうですね…。出てると思います（笑）。
久田松 出てるんじゃないですかね（笑）。
「いい環境でやらせてもらえています」（久田松）
春の個人戦から出場している勇大
――久田松さんと勇さんは上京されていますがいまは寮生活ですか
久田松 私は寮です。
勇大 兄ちゃん（勇佑多、社３＝東福岡）と二人暮らしです。
――寮での暮らしはいかがですか
久田松 高校でも寮だったので。こっちのほうが田舎だなぁって（笑）。今は東伏見で。
一同 （笑）。
久田松 なんで笑うんですか！
――お兄さんとの暮らしはいかがですか
勇大 最初は寮に入ろうと思ってたんですよ。兄ちゃんが寮出るってことで。
――お兄さんとどこかに出かけたりとかは
勇大 あー。たまにはありますね。
――今回この三人で対談ということについて
久田松 特に。
小林 まぁ、こうなるだろうと（笑）。１年生二人と２年生の私一人ということで。
一同 （笑）。
――三人の仲は良いですか
小林 みんないいですよ。稽古中とか剣道部として動くときは上下関係しっかりしていて、それ以外のプライベートでは友達…まではいかないですけど、それに近い感じで接していますね。
――仲が良すぎて困るといったことは
久田松 いや、めりはりはきちんとつけていて。そこはいいところですね。やるときはやるで、みんな切り替えがあります。
――川﨑茜選手（文１＝京都・日吉ケ丘）が男子のお世話係と対談でおっしゃっていましたが
勇大 えー（笑）。逆だと思ってました。
久田松 私たち二人がお世話をしています。後で言っときますね(笑)。
――特に仲の良い選手はいますか
久田松 まぁ、ここ二人はよく一緒にいます。
勇大 ニコイチです(笑)。
久田松 違います(笑)。そこまでじゃないです。
――小林選手は特に仲の良い方はいますか
小林 同期と遊びに行くんですけど、いつでも一緒にいる人はいないです。
――逆に先輩、後輩で特に仲の良い人はいますか
小林 個人的に仲のいい人はいますね。選手の先輩方や後輩とも仲はいいんですが、それ以外の選手ではない方とも仲が良くて、けっこう先輩にもご飯に連れて行ってもらったりしています。
勇大 みんな優しいです。
――１年生の二人が早大を選んだ決め手は何だったのでしょうか
勇大 憧れですね。カッコいいですよね。ＯＢになるんですが強い先輩もたくさんいて、いいなーと思いましたね。
久田松 環境が良いというのと、ここが合っているなと思いました。西村兄弟が龍谷の先輩で憧れていたのですが、良くしていただいてます。
――お２人から見た小林さんの印象は
久田松 やっぱスーパースターです。小学校から見ていて、全国でずっとトップ取っていて。
小林 絶対思ってない（笑）。
勇大 いや本当ですよ（笑）。
――では勇大選手の印象は
小林 有名ですよ。こんなこと言っていますけど、中学で日本一になっていますし、本当に小学校のときから知っていました。
――では元々名前は知っていたのですね
小林 そうですね。
勇大 名前というか知り合いでしたね。
――では久田松選手の印象はいかがでしょうか
勇大 何か最初会った頃からヤンキーみたいな眉毛してました（笑）。
小林 いやもう勇くん（勇大地）と一緒で小さい頃から有名だったので、強いなーと思っていました。
勇大 絶対思ってないでしょ（笑）。
久田松 うれしいっすねー（笑）。
勇大 こいつ影響されやすいタイプなんですよ。
――新入生が入ってくるときは早い段階から知らされているんですか
小林 代によりますね。他の大学とかは（高校）２年生の冬に決まっちゃうところもあるんですが、それに比べるとワセダは（高校３年の）５月などで、私も５、６月に決まったので。
――決まったら剣道部へ稽古に来たりもするのですか
小林 そうだよね。
勇大 入試前ぐらい？高校が遠いので来れなかったんですよね。卒業前に来るか、後は入試前に稽古して、という位でした。
――先ほども早大剣道部の雰囲気の話が挙がりましたが、実際に入ってみた感想はいかがでしょうか
勇大 結構稽古しますね。大学生はそんなにしないのかなと思ったんですが予想以上にしましたね。イメージは週２、３ぐらいだったんですが、実際は日曜以外で。
久田松 週８です（笑）。いい環境でやらせてもらえています。
「勝ちたいですよね。率直に。」（小林）
早慶戦で優秀選手に選ばれる活躍を見せた久田松
――では、そろそろ本題の全日本に向けた話を伺いたいと思います。全日本を控えたいまの気持ちは
小林 まあ、勝ちたいですよね。率直に。関東でそういう面で不本意だったので、それを改善して全日本で勝ち上がりたいです。
勇大 最後優勝して４年生を引退させてあげたいなと思いますね。
久田松 私も４年生の足を引っ張らないように頑張ってやりたいなと思っています。
――稽古の内容ももう全日本に向けたものになっているのでしょうか
小林 もう完全に切り替えてやっていますね。全日本とその後の新人戦（関東学生新人戦）を踏まえてやっているという感じですね。
――みなさんのいまの調子はいかがでしょうか
小林 個人的にはちょっと負けていて調子が悪いので、これからあと２週間あるのでどう上げていくかという感じです。
久田松 絶好調です。でもどんなに調子が良くても勝つときもあれば負けるときもあるので…。バリアーを張っておきます（笑）。
勇大 分かんないです（笑）。
――１年生のお二人はここまで様々な大会に出ていますが、いかがですか
勇大 いや、特にそんな緊張とかはしないです。
久田松 してるんですけどね。試合が始まると普通ですね。
――緊張する暇もないということなのでしょうか
勇大 いや、緊張する暇は結構あります（笑）。
久田松 いい緊張感に持っていけてるのかね。
勇大 なんやろね。
久田松 剣道って難しいので分かんないこといっぱいあるんですよね。
――女子１年生の対談では「勝とうとすると負けてしまう」という話も出ましたが
久田松 それは弱いからだと思います（笑）。
勇大 まあでも、勝つ奴が勝つよね。
久田松 気持ちの面は大きいですね。
勇大 本当に殺すぐらいの勢いで行かないと相手も来るしね。
――最後に改めて全日本への意気込みを
小林 さっきも言ったんですけど、やっぱり勝つことが目的なので、そのためにあと２週間で準備して全日本優勝を目指して頑張ります。
勇大 早慶戦や関東大会とかも、優勝するぞって気持ちで行くんですけど、結局最後の全日本の団体で優勝したところが一番強いので、最後で優勝して日本で一番を取りたいですね。
久田松 先輩たちに日本一にさせてもらうのではなく、自分たち１年生が頑張って先輩たちを日本一にさせてあげたいという気持ちがあるので、一生懸命やりたいと思っています。
――ありがとうございました！
（取材・編集 高柳龍太郎、八木美織）
全日本での若手の躍動に期待です！
◆小林直道（こばやし・なおみち）（※写真中央）
１９９４（平６）年８月２０日生まれ。１７４センチ、８４キロ。東京・高輪高出身。スポーツ科学部２年。今回の対談では唯一の２年生だった小林選手ですが、対談中には１年生のお二人にいじられる場面も。それでも試合に入れば一変、凛々しい姿を見せてくれます。このめりはりの良さが剣道部の魅力なのでしょう！
◆勇大地（いさむ・だいち）（※写真左）
１９９５（平７）年１０月２７日生まれ。１６８センチ、６８キロ。Ｏ型。東福岡高出身。スポーツ科学部１年。女子選手の対談の話をすると全否定していた勇大選手。ですが実際には１年生同士でご飯会を開いたりと仲はとても良いそうです。勇大選手、実は意外とツンデレなのかも！？
◆久田松雄一郎（くだまつ・ゆういちろう）（※写真右）
１９９５（平７）年５月２７日生まれ。１７５センチ、７４キロ。佐賀・龍谷高出身。スポーツ科学部１年。クールな方だと思いましたが、質問に明るく丁寧に答えてくださった久田松選手。印象をうかがうと、勇選手いわく、「ヤンキーみたいだった」とのこと。心うちには熱いものが秘められているようです！