いよいよ熱い戦いの幕が開く。２年連続で全日本女子学生優勝大会（全日本）への出場を逃してきた女子剣道部。しかし、今季は関東女子学生優勝大会でベスト８に入る躍進を見せ、見事全国の舞台への切符をつかんだ。早慶戦１１連覇の快挙も成し遂げ、勢いに乗る女子剣道部をけん引しているのが、菊池優香主将（社４＝京都・日吉ケ丘）と髙橋萌（スポ３＝栃木・佐野日大）の上級生二人だ。大一番を直前に控えた二人に、これまでの戦いを振り返っていただくと同時に全日本に懸ける思いを伺った。
※この取材は１０月２１日に行われたものです。
「全員で一緒に前へ」（菊池）
全日本への思いを語る菊池主将（左）と髙橋
――これまでの戦いを振り返ってチームの変化は
髙橋 前よりチームの仲が良くなりました。
菊池 団結力がすごく生まれて、今までも別にまとまっていないというわけではなかったんですけど、より部員同士のまとまりが強くなったなと思います。
――それは何かきっかけがあったのでしょうか
菊池 １年間を通して徐々に強くなっていきました。
――これまでの試合で最も印象的だった試合は
菊池 やはりこの前の団体の関東（関東学生優勝大会）ですね。特に全日本を懸けた戦いは、私は印象が強いです。
髙橋 私も、私自身は選手として出られなかったんですけど、全日（全日本学生優勝大会）に出たいという思いで頑張ってきたので、全日が決まった時の試合は印象深いです。
――どのような気持ちで試合を見ていましたか
髙橋 やはり悔しい気持ちもありました。でも、みんなに頑張ってもらって全日出場を決めてもらって、全日こそは自分が出ようと思っていました。
――お二人から見て、早大女子剣道部はどのようなチームですか
菊池 練習ではしっかり、お互い学年関係なくアドバイスをしあえるチームです。あとはオンとオフがしっかりしているかなという感じですね。勝つために（学年が）上だから何も下からの意見を聞かないとかじゃなくて、上級生も強くなるために積極的にアドバイスをもらったりします。４年生が基本は引っ張っていくというのはあるんですけど、４年生が突っ走ってっていうよりも全員で一緒に前へ進むという感じですね。
――髙橋選手はいかがですか
髙橋 その通りですね（笑）。
――１年生や２年生からも意見はよく出るのですか
髙橋 練習のメニューとかは。
菊池 けっこう出るよね。メニューも多少は（下級生に）相談したりするんですけど、技術的なアドバイスとかをもらったりとかしますね。
――毎年剣道部では上下関係なく仲が良いのですか
菊池 部の仲は良いんですけど、学年でまとまって仲が良いという部分もありますね。
――オンとオフの切り替えがしっかりしているとのことでしたが、オフの日も剣道部のみなさんで過ごすことはありますか
髙橋 最近もみんなでディズニーランドに行ってきました（笑）。
菊池 行ったね（笑）。
――オフの日の過ごし方はいかがですか。剣道からは離れた過ごし方なのでしょうか
菊池 剣道からは離れてますね（笑）。ちゃんと休みます。遊んだりします。
髙橋 私もそうすることが多いです。
――髙橋選手から見て菊池主将はどのような人ですか
髙橋 練習中はすごく見ていていつでも真剣に追い込んでやっているなと感じます。練習以外ではすごくふわふわしています（笑）。
菊池 してないよ（笑）。
髙橋 みんなにも頼りがいはあるんですけど、いじられてて（笑）。すごく優しい先輩です。
――と、言われていますが菊池主将はいかがですか
菊池 ふわふわはしてないです（笑）。
一同 （笑）。
――ふわふわしている具体的なエピソードはあるんでしょうか
髙橋 うーん。具体的にというか普段接していてふわふわしていると感じることが多いです（笑）。
――逆に菊池主将から見て、髙橋選手や後輩の選手たちはいかがですか
菊池 萌はどちらかと言うとぼけーっとしてますよ（笑）。
髙橋 えー、してないですよ（笑）。
菊池 ぼけーっとしてるんですけど、そういう子もいたり、しっかりしている子もいたり、いろいろな後輩がいますね。でも、みんな練習のときはすごい真面目に、真剣に取り組んでいて、頑張っているんですけど、普段のときはやっぱり「先輩ご飯行きましょう」とか言ってくれたりします。話しかけてくれるというか、気さくな子たちがいっぱいですね。
――後輩から誘ってくれることがあるのですね
菊池 はい。よく行きましょうって言ってくれます。
ワセダの剣道、ワセダの良さ
関東女子学生優勝大会では意地を見せた菊池主将
――お二人から見て、いまの早大剣道部の強みは何でしょうか
菊池 私はチームワークかなと思います。仲の良さからくる部分ですね。技術面はやっぱり個々でそれぞれ持っているものが違うので、チームワークが大きいと思います。もし技術的なところで言うなら前に攻めて狙う、相手の出てくるところを狙うところが強みかなと思います。
――髙橋選手はいかがですか
髙橋 私も同じところだと思います（笑）。
一同 （笑）。
髙橋 チームワークと前に出ていくという部分ですね。
――試合後のインタビューでもよく『攻める剣道』という言葉を聞きますがチームで共有している意識なのでしょうか
菊池 そうですね。師範や監督にも「ワセダの剣道、ワセダの良さはそういうところだ」と言われているので。
――個人戦と団体戦の違いは何でしょうか
髙橋 団体戦は試合の前にみんなで丸くなって、「ファイト！」ってやるんですけど、ああいうのが「あ、まとまっているな」という感じがして、すごく楽しいです。
菊池 団体戦は一人ではないのでやっぱり自分のミスが影響して試合に負けてしまうこともあるんですけど、信頼できる仲間と一緒に戦えるので心強い部分もすごく大きくて。「部で戦っているな」という実感が団体戦の時はしますね。
――個人戦よりも応援の力も大きく感じますか
髙橋 そうですね。
――早慶対抗女子試合（早慶戦）の時は普段よりも声援が大きくて特別な雰囲気が感じられました
菊池 違いますね。
髙橋 全然違います。
菊池 すごく力が出ます。でも緊張感もすごいです。関東とかもやっぱり緊張はするんですけど、別の緊張が早慶戦ではありますね。
「４年生のために」（髙橋）
慶大戦では先鋒らしく攻めの姿勢を貫いた髙橋
――早慶戦を終えて、残すは全日本となりました。いま全日本に向けてどのような練習に取り組まれていますか
菊池 監督から言われたこととか、関東で実感したことがパワー不足でした。力が足りなかったりしたのでそういうところを強化しています。…してる？
髙橋 （笑）。してます（笑）。
一同 （笑）。
――全日本で警戒している大学はありますか
髙橋 まず立命館？
菊池 うん。立命館。
――どういったところが強みですか
髙橋 全然わかんないです（笑）。
菊池 （笑）。
――毎年強いということですか
菊池 ことしも関西で優勝しているチームなので。春に私たちは関西に遠征に行くんですけど、関西の他の大学と戦った時に（関西の大学は）強いなと思っている中で、立命館が上がったので、警戒というか、当たったときはそういうところがヤマ場になってくるのかなと思っています。
――２年間全日本を逃してきました。それだけに今回の出場には特別な意味があるのでしょうか
菊池 私は、きょねんの前ってなんて言うの…？
髙橋 おととし（笑）。
菊池 あっ、おととしですよね（笑）。おととしは私が負けちゃって、チームが取り返せなくて、全日本に出られなくなってしまって。やっぱりその時も本当に悔しいなっていう気持ちと、情けないなっていう気持ちもあって、その次の年も一度出られなくてそれが続いてしまったので、いま先輩方とも一緒に試合に出たかったなっていう気持ちもあります。それに同じ思いはもうしたくないです。下の代の子たちにもしてほしくないし、自分もしたくないなって。
――髙橋選手はいかがですか
髙橋 私は２年生の時から入ったので、おととしのことはわからないんですけど、きょねんはすごく強いチームだと思っていたので出られなくて、全日に出るっていうことはとても難しいことなんだなとすごく感じました。
――その悔しさを乗り越えての全日本になると思います。ことしの全日本への思いは
菊池 本当に優勝したいなって思っています。目指すは日本一ですね。
――菊池主将はこれが引退試合になるのでしょうか
菊池 新人戦はありますけど、いまの１から４年生でできるのはこれが最後ですね。
――４年間の集大成という意識もありますか
菊池 そうですね。最後なので、最後は勝ってみんなで喜んでおわりたいなって思います。
――髙橋選手の全日本への思いを教えてください
髙橋 やっぱり今まで引っ張ってきてくれた４年生のために、
菊池 思ってないでしょ（笑）。
髙橋 思ってますよ（笑）。
一同 （笑）。
髙橋 ４年生のためにしっかりやって優勝したいです。
――全日本での個人的な目標はありますか
菊池 どんな場面で回ってきても、しっかり自分の剣道をしたいです。特に勝負の懸かっているところでは、気持ちでまずは相手に勝って、あとは攻める剣道をしたいなと思います。
髙橋 うーん…。ちゃんと考えてますよ（笑）。
一同 （笑）。
菊池 いやいや、何も考えてないじゃん（笑）。
髙橋 考えてますよ（笑）。うーん。しっかり我慢して相手が出てくるところを捉えられるようにしたいです。（笑）。
菊池 （笑）。
――最後にチームとしての全日本での目標をお願いします
菊池 優勝です！
髙橋 優勝です！
――ありがとうございました！
（取材・編集 藤川友実子）
意気込みには監督からの言葉を書いていただきました！
◆菊池優香（きくち・ゆうか）（※写真右）
１９９３（平５）年１月２６日生まれ。１５９センチ。Ａ型。京都・日吉ケ丘高出身。社会科学部４年。なかなか色紙に書く言葉が決まらなかったお二人。しかし「一所懸命」に決まると、主将がそれまでの迷いがなかったように勢いよく書き込んでくれました！全日本でも頼れる主将に期待です！
◆髙橋萌（たかはし・もえ）（※写真左）
１９９３（平５）年８月９日生まれ。１５３センチ。Ａ型。栃木・佐野日大高出身。スポーツ科学部３年。一つ一つ丁寧に言葉を選びながら、マイペースに質問に答える姿が印象的だった髙橋選手。きっと全日本の舞台ではおっとりした取材とは打って変わって強気な攻めの剣道を見せてくれるはずです！