伝統の一戦で11連覇!新たな歴史をつくる

剣道

 ことしで32回目の伝統ある戦いが早大剣道場で行われた。早慶対抗女子試合(早慶戦)ではここ10年負け知らずの早大。連勝記録更新のため、高い士気をもって試合に臨んだ。引いて相手を誘って、出てきたところを打ってくる慶大に対し、早大は攻めて相手が崩れたところを打つ剣道で対抗。先鋒・高橋萌(スポ3=栃木・佐野日大)をはじめとして、実力が拮抗(きっこう)し、延長戦へもつれ込む戦いも多かった。しかし、自力で勝る早大が終始試合をリード。三将・阪本皇子(スポ2=長崎・島原)が2本勝ちした時点で優勝が確定していたが、残る2人もダメ押しの白星を挙げる。勝数6-1と圧勝し、早慶戦11連覇を果たした。

 厳かな開会式を終え、ついに戦いの幕が開いた。ギャラリーの熱い声援が飛び交う中始まったのは先鋒戦。高橋は引く相手に対して強気に前に出て間合いを詰めるという先鋒らしいプレーを見せた。激しく打ち合うも、互いに決定打はなく、勝負は延長戦へもつれ込む。攻める高橋は、気迫に屈して思わず動いた相手にメンを打ち込み、初戦を華々しく飾った。これで勢いづいた早大は、次鋒・河村奈穂(スポ1=大分鶴崎)が冷静に引きメンを決め、危なげなく勝利。続く五将戦では、川﨑茜(文1=京都・日吉ケ丘)が果敢に攻め、抜きドウを放つなど思い切った動きを見せたが、有効打突とはならず延長戦へ。その後もなかなか決まらず、我慢比べは続く。しかし、持久戦には、体力と粘り強さに定評のある川﨑に分があった。つばぜり合いで相手が気を抜いた一瞬に竹刀を一閃。引きドウを決め、相手を下した。上級生はもちろんのことながら、ルーキーの活躍も目立つ前半戦であった。

チームに勢いをもたらした高橋

 五将・川﨑が勝った時点で早大は勝数3。あと1勝で優勝が決まるが、慶大もそう簡単な相手ではない。中堅・川上ゆき(スポ2=熊本・菊池女)は攻めの姿勢で挑み、積極的に技を繰り出すも、延長戦の末に返しドウを取られて敗北。ストレート優勝を阻まれてしまった。連敗し、ペースを握られるのは避けたい早大。三将・阪本は悪い流れを断ち切るように引きメンを決め、早々に1本を取る。2本目も、身長差をものともせずに合メンで打ち勝った阪本に旗が上がった。ここで早大の優勝が確定したとはいえ、落としたくはない副将戦。副将・畝尾奈波(スポ3=京都・日吉ケ丘)は延長戦にまでもつれ込む熱戦を制し、チームに勢いをもたらした。大将戦では大将・菊池優香主将(社4=京都・日吉ケ丘)が活躍。相手のコテをテクニカルにいなしてメンを決め、勝利を収める。勝数6-1と慶大を圧倒し、連勝記録を10から11に塗り替えた。

優秀選手に選出された阪本

 快勝したが、菊池は「全国で戦って上位に入賞するには、まだまだ力不足」と自分たちの実力を厳しく分析していた。来月行われる全日本女子学生優勝大会で優勝するという高い目標を掲げている早大女子剣道部が現状に甘んじることはない。常に上を見続ける早大の今後の活躍からますます目が離せない。

(記事 佐藤諒、写真 中丸卓己、藤川友実子)

結果

○早大6-1慶大

先鋒 高橋  メ ―    福沢

次鋒 河村  メ ―    前園

五将 川﨑  ド ―    荻野

中堅 川上    ― ド  上田

三将 阪本 メメ ―    石川

副将 畝尾 コメ ― コ  竹内

大将 菊池  メ ―    佐藤

優秀選手 阪本、上田(慶大)

コメント

菊池優香主将(社4=京都・日吉ケ丘)

――きょうの試合を振り返って

素直にうれしい気持ちでいっぱいです。

――チームメイトの戦いぶりを見てどのようなことを感じましたか

最初の方はどきどきした試合だったのですが、みんな集中して試合に臨んでいたので、勝てると信じて試合を見ていました。

――ご自身の試合にはどのような気持ちで臨みましたか

大将ということで、ここで負けてしまうと締まりも悪くなってしまうので、絶対勝って完全に慶大を倒して、終わりたいなという気持ちで試合に入りました。

――決め手となったメンを振り返ると

相手がコテを狙いにきていたので、それを利用して、練習試合などでも使っている技を打ちました。

――ご自身にとっても得意な技だったのでしょうか

コテに対してはよくあの技を使っていたので、練習通りに狙って打ちました。

――11連覇を目指すプレッシャーはありましたか

プレッシャーは正直ありました。ですが監督がおっしゃっていたように、10連覇は先輩方の勝利であって、自分たちの勝利ではないので。一試合一試合を勝っていけばつながる勝利なので、連覇というのを意識しすぎず戦うことを心がけました。

――11月には全日本女子学生優勝大会(全日本)を控えていますが、チームの仕上がりは主将から見ていかがでしょうか

良くはなってきているのですが、やはり全国で戦って上位に入賞するには、まだまだ力不足だと思います。残りわずかな期間ではありますが、しっかり詰めて、もっともっと技術と精神状態を高めていきたいと考えています。

――全日本へ向けて、意気込みと目標をお願いします

全日本の目標は、優勝です。

畝尾奈波(スポ3=京都・日吉ケ丘)

――きょうの試合を振り返って

11連覇が懸かっていて緊張はしましたが、前がすごくいい試合をしてくれていて、勝負が決まっている中でも絶対に勝とうという気持ちで勝ちに行けたのでよかったと思います。

――団体として勝ちが決まっているなかで、何か心掛けたことは

きょねんと相手が同じで、きょねんは負けてしまっていたのでリベンジを懸けた試合でした。思い切って試合をやろうと思っていたので、相手が攻めてきてもそれに負けない気持ちでできたかなと思います。

――延長直後にメンを決めたことについては

自分の剣道ができました。自分のいいところを出し切れた結果だと思います。

――関東女子学生優勝大会でまだ甘い部分があるとおっしゃっていた「攻める剣道」については

しっかり自分でも攻めていけたし、待って何かしようという考えも出ず、自分から攻めていったところで相手を常に狙うという剣道ができたので以前より少し成長したかなと思います。

――きょう出た新たな課題は

1本取った時、打たれなくてもいい場面で出て取られてしまったので、自分が1本取った後にもう少し試合を丁寧にやって勝てる剣道にしていきたいと思います。

――全日本女子学生優勝大会にむけての意気込みは

今のチームはすごくいいチームだと思うし、優勝も目指せる実力はあるので一丸となってしっかり優勝目指して頑張りたいです。

高橋萌(スポ3=栃木・佐野日大)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

先鋒なのでしっかり勝って良い流れを作ろうと思っていました。自分の剣道もできましたしすごく良かったと思います。

――先鋒ということで難しさはありましたか

緊張感がありました。最初に試合をするということで少し緊張しましたが、先鋒らしく試合をしようとかはあまり考えていなくて、とにかく自分の剣道をしようと思っていました。

――自分らしい剣道とはどのようなものですか

相手をよく見て、相手が打ってくるところを打つという感じです。

――久々の公式戦ということで緊張はありましたか

少し緊張しました。

――試合は延長戦となりましたが、1本を決めた時はいかがでしたか

狙ってたところを打てたなと思います。

――では最後に全日本女子学生優勝大会に向けて意気込みをお願いします

きょうのような試合ができるように頑張りたいと思います。

川上ゆき(スポ2=熊本・菊池女)

――きょうの早慶戦に対する意気込みはどのようなものでしたか

絶対優勝というつもりでやっていました。

――11連覇へのプレッシャーはありましたか

いえ、特にそれはなかったですね。

――きょうのご自身の試合を振り返って

勝負が懸かっているところで回ってきて、慎重になりすぎましたかね。もう少し豪快にいっても良かったかなと思うんですけど。やはり最後に打たれてしまったところはいまの私の課題なので、改めて気づかされました。

――いまの課題というのは慎重になって守りに入ってしまうというところでしょうか

私が勝てばチームが勝つという状況でそれを意識しすぎてしまいました。あとは技の選択の部分だったり、あれだけ前半メンが当たれば相手も警戒するのは当然なので、しっかり上と下のバランスを考えて戦えれば全日本(全日本女子学生優勝大会)にもつながるかなと思います。

――全日本への意気込みをお願いします

今回チームとしてしっかり勝つことができたので、全日本は優勝を目指して頑張ります。

阪本皇子(スポ2=長崎・島原)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

とりあえず、勝てて11連覇を達成できたということにほっとしています。

――まず1本目の引きメンを決めた時はいかがでしたか

私が勝てばワセダが勝つという大事なところだったので、この一本を守り抜こうと思って試合をしました。

――2本目のメンは1本目を決めてすぐでした

そうですね。体が自然に動いたという感じです。

――対戦相手とは身長差がありました

きょねんも同じ相手だったので、ビデオを見ていろいろ研究しました。だから相手のことはいろいろわかっていたので落ち着いた試合運びができたと思います。

――相手のフットワークも軽いように見えました

そうですね。試合の主導権を握られないように心がけていました。

――前回お話を伺ったときは「パワーを強化したい」とおっしゃっていましたがその点についてはいかがでしたか

今ちょっと右足を痛めていて試合に向けて追い込めなかった部分はあったのですが、そこはうまく調整して今回このような結果となったので、パワーについては今後つけていかなければと思います。

――今回は優秀選手にも選ばれる活躍でした

やっぱりみんなが勝って流れができてこその私の勝利なので、もちろんうれしいですがチームが勝てたのが一番うれしいです。

――きょう何か心がけていた点はありましたか

どんな状況で回ってきてもチームが勝つための剣道をできるように考えていました。

――ここから修正していきたい点はありますか

とりあえず体を万全な状態にして、今後の全日本(全日本女子学生優勝大会)や関東新人(関東女子学生新人戦大会)につなげていけたらと思います。

――右足は重症なのですか

右足のかかとですが、そんなにひどくはないので大丈夫です。

――では最後に全日本に向けて意気込みをお願いします

きょうはとてもうれしいですがこの結果に満足せず、次の全日本で優勝できるようにまた一から頑張っていきたいと思います!

川﨑茜(文1=京都・日吉ヶ丘)

――今日の試合を振り返って

初めての早慶戦で緊張してガチガチになってしまって自分の力が出し切れなかったと思います。

――長い試合でしたが

なかなか相手も打たせてくれなかったので、ここは我慢勝負だなと思って、絶対に取られない、自分は勝つんだという気持ちで最後まであきらめずに頑張りました。

――早慶戦11連勝ですね

私は1年目なのですが、この11連勝がらいねん、さらいねんまたその次とつながるようにしっかり精進していきたいです。

――最初から攻めていた印象を受けましたが

下がってしまうと打たれてしまうので、前に前に攻めて攻めて相手を崩していこうと考えていました。

――相手はかなり密着してくる選手で、つばぜり合いが多くなっていましたがその点はいかがでしたか

私は引き技が結構得意なのですが、引っ付いてくる相手で自分のペースにもっていけなかったのですが、最後の最後に延長になって相手が抜けた一瞬、引きドウを決めることができてよかったです。

――抜きドウを放つなど思い切ったプレーが目立ちましたが

相手はメンばかり打ってきたので、抜きドウがいけるかなと思って狙いました。

――引きドウが決まったときどんな気持ちがしましたか

おお、当たったという気持ちです。まさか決まるとは思っていなかったです。

――全日本へ向けての意気込み

これからまだ1か月くらいあるので、日本一目指して練習に励みたいと思います。

河村奈穂(スポ1=大分鶴崎)

――初めての早慶戦を終えての感想は

周りの声が盛り上げてくれるので、心強い反面、それが緊張になったりもしたんですけど、楽しかったです。

――緊張は大きかったですか

そんなにはしなかったんですけど、試合前はしました。

――どのような意識で試合に臨みましたか

まずは下がらないでしっかり自分から攻めていこうと思っていました。

――決めた1本についてのご自身の評価は

狙っていたのですが、引き技なんですけど、もっと自分から攻めて前に出る技が出せれば良かったかなと思います。

――全日本学生優勝大会(全日本)への意気込みをお願いします

全日本ももうすぐなので、早く先輩方に追いつけるように頑張りたいと思います。