熱戦を勝ち抜き、2人がインカレ出場決定

剣道

 新たな1年の幕開けだ。今季初の学生大会であり、全日本女子学生選手権(インカレ)への登竜門ともいえる関東女子学生選手権。強豪ぞろいの激戦区・関東で、ことしもし烈な戦いが繰り広げられた。昨年同大会で好成績を収めた菊池優香主将(社4=京都・日吉ヶ丘)、川上ゆき(スポ2=熊本・菊池女)が惜敗を喫する中、ルーキーの川崎茜(文1=京都・日吉ケ丘)が堂々のベスト16入り。畝尾奈波(スポ3=京都・日吉ケ丘)も敗者復活戦である全日本出場決定戦を勝ち抜き、早大剣士7人のうち2人がインカレ出場権を手にした。

 ベスト16と全日本出場決定戦で勝利した総勢28名がインカレに進む今大会。ことし早大に入学したばかりのフレッシュな顔が、この狭き門をくぐり抜けた。1、2回戦を2本勝ちで決めた川崎は、4回戦で東農大の選手と激突。序盤から積極的にメンを狙うも決め切ることができず、試合は延長戦に。相手の攻撃をしのぎ、ひたすらチャンスを待つ。そしてついに試合が動いた。焦れた相手がメンを打ってきたところをすかさずすり上げ、鋭いメンで1本勝ち。ベスト16を決する戦いに駒を進めた。運命の5回戦、勝負は拮抗(きっこう)したまま再び延長戦にもつれ込む。慎重に相手の出方をうかがうと、ここでも一瞬の隙を逃さず、飛び込みメンを決めた。6回戦では強豪校・法大の選手に敗れたものの、大学デビュー戦を鮮烈な勝利で飾り、その存在感を示した。

1年生ながらインカレ出場権を得た川崎

 一方、2年連続でインカレ出場を逃している畝尾は、緊張の中でも自分の剣道を貫き順調に勝ち進む。しかし、迎えた3回戦。緊迫した打ち合いが続いたが、受け身になった状態から相手にメンを先取された。残り時間が少なくなる中、勝負は決まりかけたかに見えたが、畝尾は諦めてはいなかった。「絶対に取り返そう」という気持ちで果敢に相手を攻めると、終了間際にメンを奪い延長戦に持ち込む。その後は相手にペースをつかませることなくメンを決め、4回戦に進出。迫力のあるツキで1本勝ちを収める。気合い充分に臨んだ5回戦ではメンを決められ敗北するも、全日本出場決定戦では得意とする上段構えの選手との対戦となった。攻めの姿勢で相手に打ち込むと、浅く入った相手のメンを払う。すかさずメンを打ち返し、見事1本勝ち。念願のインカレ出場権を獲得した。

インカレへの執念を見せた畝尾

 昨年に引き続き、2人の剣士を全国の大舞台に送り込むことになった早大。「攻撃力がまだないのでその攻撃力をつけていきたい」(川崎)、「こちらから攻めていく剣道を追求していきたい」(畝尾)と語る両者は、さらなる成長を遂げる意欲を見せた。今回惜しくもインカレ出場が叶わなかった選手たちもまた、団体戦での勝利を目指し全国の高みを見据えている。剣道部の飛躍の1年は、まだ始まったばかりだ。

(記事 山本葵、写真 高柳龍太郎)

結果

川崎 ベスト16

畝尾 5回戦敗退(全日本出場決定戦で勝ち抜き、出場決定)

阪本皇子(スポ2=長崎・島原) 5回戦敗退

高橋萌(スポ3=栃木・佐野日大) 3回戦敗退

河村奈穂(スポ1=大分鶴崎) 3回戦敗退

川上 2回戦敗退

菊池 1回戦敗退

コメント

菊池優香主将(社4=京都・日吉ケ丘)

――きょうの試合を振り返って

気持ちで負けていてすごく情けない試合だったと思います。

――シーズン開幕戦でしたが、緊張はありましたか

開幕戦なんですけど、4年生なので個人戦は最後の試合ということもあり、緊張していました。

――冬季はどのような練習をされたのですか

打ちの強さを意識したり、男子とも一緒に練習をして、スピードに慣れたりっていうのを取り入れていました。

――その成果を出せたと思う部分はありますか

やってきたことは身にはついているんですけど、気持ちが負けていたのでその力を出すことができずに負けてしまったんだと思います。

――秋の団体戦に向けて

まず自分の気持ちに勝つということを心がけて取り組んで、絶対にきょうみたいな試合はしないで関東でも上位に入って、全日本に必ず出たいと思います。

畝尾奈波(スポ3=京都・日吉ケ丘)

――きょうの試合を振り返って

今日は調子が良かったです。昨年、一昨年と4回戦で負けてしまっていたので、ことしはまず4回戦を突破して、全日本に出場することを目指して頑張りました。

――3回戦は先に1本取られてから奪い返す展開となりましたが

(1本)取られた時は少し受け身になってしまっていました。1本取られた後は、自分からどんどん攻めて、絶対に取り返そうという気持ちで戦って。その後は自分のペースで攻めて、自分らしい試合ができたと思います。

――全日本出場決定戦にはどのような気持ちで臨みましたか

全日本出場を目標に練習してきていたので、必ず出場権を奪ってやるぞという気持ちで臨みました。また、私は上段の選手は比較的得意なので、その分気持ちは少し楽でした。こちらが受け身にならないよう、攻めの姿勢で戦うことができたと思います。

――今シーズン初の大会でしたが、緊張はされましたか

とても緊張しました。1、2年で全日本に出場できなかった分、3年では出たいという気持ちが強くて。1回戦が一番緊張したのですが、自分らしい剣道で勝てたので、その後は少し緊張もほぐれてきて。1試合ずつ集中して試合に臨むことができました。

――全日本開催までの期間に強化したい点はありますか

5回戦で負けてしまった時は自分が弱気になったところを相手に打たれてしまったのだと感じたので、こちらから攻めていく剣道を追求していきたいです。

――最後に、全日本への意気込みをお願いします

今回は女子は2人、男子は5人全日本出場が決まったので、全員が上位入賞できるよう頑張ります。

高橋萌(スポ3=栃木・佐野日大)

――きょうの試合を振り返って

最初の2試合は自分のペースでできたんですけど、上段が苦手というのもあって3回戦では技が出ませんでした。

――シーズン開幕戦でしたが緊張しましたか?

そこまで緊張はしなかったんです。1試合1試合丁寧にやろうと思っていました。

――2回戦は開始早々の2本勝ちでした

よく相手が見えていたかなと思います

――3回戦上段の相手について

相手が担いだところを狙っていたんですけど、手元を上げてしまったところを打たれてしまいました。

――秋の団体戦へ向けて

上段の相手とあたってもしっかり技が出せるように上段の対策をしたいです。

川上ゆき(スポ2=熊本・菊池女)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

微妙というか、自分の力が出しきれなかったという感じでした。

――今回の敗因はどのようなところにあると思われますか

自分の良さを出せていなかったというか、気持ちがまとまっていなかったです。

――開幕戦として臨んだ今大会ですが、緊張などはありましたか

緊張はめちゃくちゃしました。結構組み合わせ的に強い人がいっぱい固まっていたので、そのせいかわからないですけどすごく緊張しました。

――2年生となり、1年生が入ってきたことによる心境の変化はありましたか

そうですね。やはり後輩ができたので見せる立場になるのですが、後輩の前で変なことはできないという気持ちはありますし、先輩のためにも勝ちたいという、いろいろな気持ちはありますね。

――冬場の練習で特に何か強化したことはありますか

ワセダは結構オフが長いので、そのときに地元に帰って母校に行って先生に稽古をつけてもらって、メンタル的にも強くなったと思ったのですが、こうして結果が出なかったのでまだ全然足りなかったと思いました。

――秋の団体戦に向けて一言お願いします

きょねん悔しい思いをして、私がすごくふがいない試合をして負けてインカレに出られなかったので、その借りを返すという気持ちで臨んで、個人戦は負けてしまったんですけど、団体戦で勝てればいいかなとプラスに考えて頑張っていきます。

阪本皇子(スポ2=長崎・島原)

――きょうの試合を振り返って

悔いが非常に残る戦いでした。

――勝ち上がる中で最も印象に残った試合は

そうですね、2試合目の相手は、高校時代から知っているすごく強い方でした。でも最近は調子が良かったので、1試合目から良い動きができましたし、2試合目も勝てて良かったです。

――シーズン始めとして良い仕上がりだったのですね

そうですね。ですが負けた和栗さん(宏恵、駒大)との試合で、気持ちが切れてしまったのでそこが今後の課題かなと思います。

――5回戦の和栗選手の印象は

強い相手ではあるので思い切ってやろうと思ったのですが、自分のペースを作る前に相手に打たれてしまったかな、という感じです。

――気持ちが切れてしまったということでしたが、敗者復活戦ではどういった心境でしたか

とりあえずインカレに行きたかったので、その気持ちは絶対に負けないようにしようと思いました。ですがやはり5回戦の試合の後からメンタル面で立て直せなかったので、そこが今大会の敗因かなと思います。

――次の団体戦へ向けて意気込みをお願いします

今回の試合では、皆悔しいと思うのですが、全日学出場が最も近かっただけに私が一番悔しい思いをしたというか、とにかく悔いが残る戦いだったので。この悔しい思いを次の練習に活かして、団体戦では必ず、関東大会を通過して、全日学に行けるように頑張りたいと思います。

川崎茜(文1=京都・日吉ケ丘)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

大学になってのデビュー戦ということで緊張したんですけど、でも逆に一年生だから思い切ってやろうと思ってできました。

――1年生ながらインカレ出場となりましたが、率直な感想を聞かせてください

素直に嬉しいです。でもまだまだやっぱり課題があると思うのでそこを全日本までに修正して、全日本ではチームのみんな、出れなかった先輩方の分もしっかり頑張りたいと思います。

――きょう出た課題というのは具体的にどういったことでしょうか

私はけっこう守って守って時間を使って相手を焦らして勝負するっていう戦い方なので、そうではなくて、攻撃力がまだないのでその攻撃力をつけていきたいなと思っています。

――最後に7月のインカレに向けての意気込みをお願いします

ひとつでも多く勝てるように優勝目指してしっかり頑張りたいと思います。

Q.それでは最後に7月の全日本に向けての意気込みをお願いします。
A.ひとつでも多く勝てるように優勝目指してしっかり頑張りたいと思います。

河村奈穂(スポ1=大分鶴崎)

――試合が終わったいまの感想をお聞かせ下さい

もっと個人戦の戦い方を考えて、試合で粘れたら良かったなと思っています。反省しか残っていないです。

――大学に入って初めての公式戦となりましたが、高校との違いは感じましたか

そこはそれほど感じませんでした。ただ高校と大学でルールが違う部分があるのですが、私自身まだまだ高校生の感覚が抜けていないので、そういった面で未熟だなと感じました。

――負けてしまった相手との間に力の差を感じる点はありましたか

個人戦なので、粘るところはもっと粘って戦えていれば無理して攻めなくても良かったと思います。また、相手は切り際を突いてきたので上手いなと感じましたし、大学生の剣道をもっと分かっていかないといけないです。

――今日は試合からどのような収穫が得られましたか

相手が打ってきた後にそのまま終わるのではなく、その返しをもっと意識していこうと思いました。

――ワセダの剣道部の練習にはすぐに慣れることができましたか

先輩方は厳しい所と優しい所のメリハリがしっかりしているので、良い環境で練習できていると思います。

――次の大会へ向けてどのような取り組みをしていきたいですか

次は団体戦なので、自分の役割というものがしっかりあると思います。個人戦は粘った方が勝ち上がれると思うのですが、団体戦はしっかり全員で一つの目標へ向かって努力していくことが重要です。次の関東学生優勝大会までに、オフ期間も挟むのですがそこでもしっかり練習していきたいです。