全日本大学選手権 11月17日 東京・日本武道館
先月に行われた関東大学選手権の結果により、男女ともに団体組手で全日本大学選手権出場の権利を得ていた早大。11月17日、関東大学選手権と同じく東京・日本武道館の地で、4年生にとっては部として臨む最後の公式戦、集大成となる全日本大学選手権に臨んだ。
男子は1回戦、佛教大と対戦した。前年、2回戦敗退だった西日本大学選手権で、3位入賞を果たしている佛教大。早大は今試合のオーダーを、先鋒・上野凌雅(法1=京都産業大附)、次鋒・澤祐太郎(教4=東京・世田谷学園)、中堅・時田隼門(社4=東京・玉川)、副将・池田倖紀(スポ4=北海道・恵庭南)、そして大将が吉田蒼一朗(スポ4=東京・世田谷学園)という5人中4人が4年生のオーダーとし、初戦に臨んだ。
1年生ながら先鋒で出場した上野は、序盤に1点を先制されたが、その後は果敢に技を出す相手にも遅れを取らない。残り1分を切ってからカウンターで上段突きを決め、同点に追いつく。しかし試合終盤の上野が取ったかのように思われた上段突きにも審判の旗は動かず、逆転は叶わなかった。1ー1(佛教大先取)で早大は黒星スタートとなった。
次鋒・澤の試合は中なかなか得点が動かなかった。1点の重みが増していく中、残り時間は20秒を切り、注目の先取ポイントを奪ったのは佛教大。澤は「慎重になるあまり勝負どころで積極的に仕掛けることができなかった」と振り返った。逆転のため、必死に攻撃を仕掛けるも、最後は立て続けに技を食らってしまった。0ー3で惜しくも敗れ、早大は2連敗を喫し、後がない状況に追い込まれる。
ここで登場したのは関東大学選手権でもチーム唯一の勝利を挙げたエース・時田。相手の動きを冷静に受け続け、残り時間44秒というところでついに攻撃を仕掛ける。見事上段突きで先取を奪った時田は、さらにその後も1点を追加し、余裕を持って試合を運んだ。大量得点とはならなかったものの、2ー0で白星をつかみ、1回戦敗退までギリギリのところで踏みとどまった。
依然として2回戦進出のためには勝利が絶対条件となる重要な一戦。今年度主将を務める池田が登場し、1回戦5試合の中でも最も白熱した試合が展開された。序盤は互いに相手を伺う時間が続くが、一瞬のスキに先取ポイントを献上してしまう。池田も上段突きのカウンターですぐに同点に追いついたが、その後は佛教大の前拳に苦戦し、中段蹴りを2本決められるなどで点差は6点に広がってしまった。しかしここから、主将らしい諦めない姿勢を見せる。まずは上段突きで1点を返すと、続いて池田も中段蹴りを決めて3点差に。その後も相手に休む間を与えず立て続けに技を出し続けた。最終スコアは4ー7。最後の1秒まで目の離させなかった終盤の反撃も、一歩及ばず敗戦。池田は、早大の1回戦敗退に悔しさをあらわにした。
大将として最後に出場したのは、ケガの影響もあり、関東大学選手権では出場を逃していた吉田。チームとしての勝敗は決まっていたが、「大将の自分が最後しっかり勝って終わりたい」という思いを持って臨んだ。試合は序盤から互いに相手を伺い、膠着(こうちゃく)状態に。吉田もところどころで思い切った攻撃を仕掛けていたが、審判の旗は重く、ポイントには結びつかなかった。そのまま時間は経過し、0ー0の引き分けで試合が終了。この5人で臨む最後の公式戦が終わった。
一方の女子は4年生で女子を率いるエース・藤平がケガで欠場。1回戦は先鋒・栗田眞悠(スポ1=石川・小松大谷)、中堅・大田花希(スポ1=福井工大附福井)、そして大将に武川祐奈(社1=石川・小松大谷)の1年生3人組で臨んだ。
先鋒・栗田は、対選校・愛知大のリーチの長い前拳に先取を奪われ、0ー1で敗戦。女子は3人制のため、中堅の大田が敗戦すると1回戦敗退が決まるが、大田が1ー0で競り勝つ。愛知大は大将が棄権のため、武川が不戦勝となり、2ー1で1回戦を突破した。
2回戦では宮崎産業経営大と対戦。早大は1回戦と同じオーダーで臨んだ。先鋒の栗田の試合は終盤まで両者の技が得点に結びつかず、膠着(こうちゃく)状態に。このまま0ー0で引き分けに終わるかと思われたが、終了間際に相手に上段蹴りを許してしまった。3点差を覆すことは難しく、0ー3で黒星スタートとなった。
中堅の大田は、体格な大きな選手を前にしても、落ち着いて技をさばき続ける。開始40秒に、相打ちで見事上段突きのポイントを奪うことに成功。ここまでは試合を優位に進めていた大田だったが、惜しくも残り20秒で1点を許し、追いつかれる。さらに残り15秒を切ってから場外に出たことにより先取を取り消され、1ー1の引き分けで試合を終えた。
勝負の行方が託された大将戦。1回戦が不戦勝だったため、今試合が初戦となった武川は序盤から自分のペースで試合を運ぶ。開始25秒で中段突きでポイントを奪うと、その25秒後にも上段突きで追加点に成功。残り25秒には再び中段突きを決め、3点を奪った武川は相手に得点を許さず逃げ切り、勝利を収めた。
1勝1敗1分で3戦を終えた今試合は、代表戦に突入。早大は2戦目に出場した大田が代表戦に臨んだ。開始1分を過ぎても両者に得点が入らなかったものの、残り47秒で宮崎産業経営大の前拳が大田の上段に入り、先制点を奪われる。大田も積極的に距離を詰め、相手を追い込んだが、技が決まらなかった。終盤にも1本ずつ突きで得点を奪われ、最終スコアは0ー3。2回戦敗退が決まった。
現体制で挑んだ最後の公式戦。試合内容は男女ともに悔しいものとなったが、4年生の吉田は「最後の公式戦で4年生の同期全員で出場できたことは本当に幸せで嬉しかった」と振り返った。
公式戦は今大会で今年度最後だったものの、早大は12月1日に早慶戦を控える。今年度主将を務めている池田は、「最後、全員が笑って終われるようにすることが主将の使命」と早慶戦への強い思いを口にした。今大会での悔しさを糧に、集大成を笑顔で終われるように。4年生は4年間の全てを出し切り、後輩へバトンをつなぐ。
(記事・写真 濵嶋彩加)
◆試合後コメント◆
池田倖紀主将(スポ4=北海道・恵庭南)
ー一部として臨む最後の公式戦でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
本大会はこれまであまり良い結果を残せなかったので、最後は今までで1番の成績を残したいと思っていました。夏からこの大会に向けて全員で頑張ってきたので、その自信を胸に戦いに臨みました。
ー一結果は惜しくも1回戦敗退となりました。部全体としてこの結果を振り返っていかがですか
ただただ悔しい、申し訳ないという気持ちでいっぱいです。
ー一終盤まで点の取り合いという接戦でしたが、個人の試合を振り返っていかがですか
自分の実力を出し切ることができませんでした。そこが自分の弱さでもあるし、相手の強さでもあると思います。
ーー主将として部をまとめてきた1年間。全日本を終えて今のお気持ちはいかがですか
大変なこともありましたが、みんなの頑張りのおかげで、常に雰囲気も良く素晴らしいチームだったと思います。あと一つ、結果を残せれば最高でした。総じて自分の実力不足でした。
ーー12月1日に控える早慶戦に向けての意気込みをお願いします
全日本団体では男女とも悔しい思いをしました。最後、全員が笑って終われるようにすることが主将の使命です。必ず勝利を掴んできます。
時田隼門(社4=東京・玉川)
一ーまずは部として臨む最後の公式戦でしたが、どのような気持ちで挑みましたか
早大の一員としてコートに立てることへの誇りと喜びを噛み締めながら、一戦一戦を大切に戦うことを心掛けました。
ーー
先月の関東大会同様、チームのエースとして唯一の勝利を挙げられたと思います。自分の結果、試合内容についてはいかがですか
勝利を挙げることができた点は良かったものの、試合内容については納得のいくものではありませんでした。自分の持ち味を十分に発揮できず、課題の残る内容だったと感じています。
ー
一後輩へのメッセージをお願いします
来年度は2・3年生が中心となり、試合経験の少ない選手が多い中で大変なこともあると思います。しかし、皆さんはそれぞれが異なる強みや個性を持った素晴らしい選手たちです。お互いを信じ、支え合いながら、僕たちの代を軽く超えるようなチームを作り上げてください。皆さんならきっとできると信じています!応援しています!
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ー12月1日に控える早慶戦に向けての意気込みをお願いします
絶対勝ちます!
澤祐太郎(教4=東京・世田谷学園)
ー
一最後の公式戦、どのような準備をしてどのような気持ちで臨みましたか
最後の公式戦であったため今まて練習してきたこと全てを出し切るという思いで試合に臨みました。準備としては、試合前に前回の試合の反省点や対戦相手の分析を綿密に行いました。
ー
一結果は惜しくも1回戦敗退となりました。この結果を振り返っていかがですか
試合に至るまでの部員全員の状態や調整度は決して悪くなかったと思います。しかし、結果として1回戦敗退という悔しい結果に終わってしまいました。しっかりと各人で反省点を振り返り、全員で次の早慶戦に臨みます。
ー
一個人の試合を振り返って、良かった点、悪かった点、それぞれいかがですか
良かった点は今までの試合に比べて全体的に慎重かつ冷静に戦うことができたことです。
反対に悪かった点は慎重になるあまり勝負どころで積極的に仕掛けることができなかったことです。
ーー12月1日に控える早慶戦に向けての意気込みをお願いします
早慶戦では、今まで支えてくださった全ての方への感謝の気持ちを強くもち、全員で今までの全てを出し切ります。そのために前回の試合で見られた甘い部分等をなくし、強い覚悟を持って臨んでいきます。
吉田蒼一朗(スポ4=東京・世田谷学園)
ーーメンバー外だった関東大学選手権からの1カ月、どのような練習を積み重ねてきましたか
関東選手権の2週間ほど前にケガをしてしまい、出場できず非常に悔しい思いをしたので、一刻も早くケガを治すことを第一に考えながら練習に取り組みました。また、自身の課題であるしっかりポイントを取り切るということを意識して準備をしてきました。
ー
ー部として迎える最後の公式戦でしたが、どのような気持ちで挑まれましたか
同期と後輩たちが繋げてくれた全日本選手権だったので、絶対に負けられないという思いだけで挑みました。
ーー結果についてはどのように受け止めていますか
チームとしての勝敗は決まってしまっていたので、大将の自分が最後しっかり勝って終わりたいなと思って臨みました。チャンスは何度かあったのにも関わらず、ポイントを取りきれなかったのは自分の弱さが出てしまったなと感じ、悔いの残る試合となりました。
しかし、最後の公式戦で4年生の同期全員で出場できたことは本当に幸せで嬉しかったです。また、先鋒の上野(上野凌雅、法1=京都産業大附)も思い切った試合をしてくれて、とても頼もしい存在でした。
ーー12月1日に控える早慶戦に向けての意気込みをお願いします
大学空手の最後の試合ということで、今まで支えてくれた家族や監督、コーチ、OBの先輩方全員に恩返しの気持ちも込めて必ず慶應を倒します。勝利し、今泉監督を胴上げできるよう、チーム一丸となって全力を尽くします。応援のほどよろしくお願いいたします。