【連載】関東大学選手権直前特集『-SHINKA-』【第3回】芝本航矢×細田悠乃×吉田翔太

空手

 最終回には、今年のチームをけん引する幹部に就任した芝本航矢主将(スポ4=東京・世田谷学園)、細田悠乃主務兼副将(社4=沖縄・開邦)、吉田翔太副将(スポ3-埼玉・栄北)が登場。新型コロナウイルスの影響で通常とは大きく異なるスケジュールとなったが、3人による笑顔の絶えない対談からはチームの充実ぶりが伝わってきた。今回は、幹部からみたチームの状況やここまでの取り組み、そして今大会への目標や意気込みについてお話を伺った。
※この取材は9月20日にオンラインで行われたものです。

「(練習再開後のチームについて)みんな動きが変わっていて、1ランクアップしたような、一皮むけたような、すごくいい状態」(芝本)

エースとして、そして主将として最後の関東団体に挑む芝本主将

――お互いの印象について伺いたいのですが、芝本選手の印象はいかがですか

細田 私が1年生の時にも同じように取材でこの質問をしていただいたんですが、その時とあまり変わっていなくて。いい意味でも空手バカという印象ですね。というのも、自分は高校までの空手と大学からの空手は違っていて。高校までは実家にいるし空手のことだけ考えていれば良かったんですが、大学になってからは自分の生活だったり、勉強やバイトなどいろいろやることが多くてなかなか空手だけに集中するのが難しかったです。でもそういった中でこういう同期がいたから常に勝ちとかを意識できました。いい刺激をもらっていますし、そういった部分で航矢はすごく空手バカだなと思いますし、こういう同期で良かったなと思います。

吉田 芝本主将は、やっぱり誰よりも気合いを入れてますし、主将だからまとめなければいけない役職ではあるんですが、先頭に立ってチームを引っ張ってくれているという面では本当についていきやすくて感謝しかしてないです。でも初めて会った時の印象は、こんなに声のでかい人は見たことがないというくらい声の大きい先輩です(笑)。

芝本 いやいや、いいところで止めとけよ!(笑)

――続いて細田選手の印象についてお願いします

芝本 本当に何に対しても一生懸命ですね。もちろん空手競技に対しても、今4年生という立場になって後輩もできて、厳しい中でも優しさもありますし、メリハリがついています。練習以外の面でも、副主将兼主務という役職もやっていて、主務に関しても競技がおろそかになりそうな仕事の量なんですが、それもしっかりこなして、みんなからの信頼の厚い副将兼主務だなと感じています。そういうところで、主将の私も助けてもらっているなと思っています。

吉田 細田先輩は形の選手なんですが、形って個人形の場合だと自分との戦いではないですが、孤独というか、自分の中で思ったようにという集中力の高さがあると思います。他にも主務ということで、細田先輩がしっかりやってくれているからこそ自分たちは何の問題もなく試合に出られるという部分が大きいので本当に感謝しています。あとは先輩なんですが、本当に関わりやすくて、たまに先輩ということを忘れてしまうくらい親しみやすいです。

――最後に吉田選手の印象についてはいかがでしょうか

芝本 吉田選手はすごく物静かな選手でなかなか表には出さないんですが、内に秘めたる「勝ちたい」だとか、絶対自分が成績を残すんだという強い気持ちは誰よりも持っていると思います。絶対に調子が悪くても逃げたりしないですし、それに向かってとことん、何で勝てなかったんだろうって考えるし、勝ちへの貪欲さとか考える力というのは非常にあると感じています。今、後輩ながらも副主将を務めていて、自分が主将として目の行き渡らないところまでしっかり見てくれているので、そういったところで副主将の役割も果たしてくれて、非常に頼もしい存在です。

細田 航矢(芝本)の方からもあったんですが、学年が違うとけっこう見えない部分ってあって。それは学年が違うから関わる時間が少ないとか、形と組手という違いなどもあるんですが、こっちから話してみると貪欲に勝ちたいだとかいろいろ考えているんだなと感じます。特に自分が今4年になって思うのは、面倒見がいいなというところですね。特に自粛期間は全体での稽古がなかなかできなくて、個人で練習というかたちだったんですが、その中でも吉田はけっこう同級生や2年生、1年生などの後輩も見たりしていて。自分だけじゃなくて周りも見ているなという印象です。来年どうなるんだろうねという話をよくするんですが、吉田の様子とかを見ていると、来年も楽しみだなと思いますね。

――今年のチーム状況についてはいかがですか

芝本 今年はコロナウイルスの影響でなかなか部員が集まれない状況が続いたので、一人一人が孤立しないようにミーティングを開いたりしました。またビデオ研究や課題の洗い出しなどにみんな積極的に参加してくれたので、チームとしては練習できない時期も含め1年間通して気持ちはつながっていたのかなと思っています。実際に練習が始まって、本当に練習がなかった期間とは思えないくらいみんな動きが変わっていて、1ランクアップしたような、一皮むけたような、すごくいい状態だなと思います。自分はあまり率先して声掛けするようなタイプではないんですが、自分が主将としてあるべき姿を見せて、それに気づいてくれる部員がいるので、いい効果が出ているのではないかと感じています。大会を控えていますが、非常にいい状態に持っていけているなと思っています。

――チーム内の雰囲気という面ではいかがですか

芝本 そんなに張り詰めた嫌な空気というのはないと思いますね。4年から1年までよくコミュニケーションが取れていますし、1年生からも4年生に声を掛けてくれたりアドバイスを求めてくる場面もありますので、いい雰囲気だと感じています。その上でしっかり厳しいところは厳しく、コミュニケーションを楽しく取る部分では楽しく、メリハリのよく効いたチームだと思います。

「(主務と副将を兼任することについて)部員と競技者としても競技以外でもいろいろ関われる」(細田)

形選手で唯一の大会経験者として最後の大会に臨む細田主務兼副将

――新型コロナウイルスの影響で練習の中断や夏合宿の中止など例年と異なった日程になりましたが、ここまでどのようなスケジュールで活動していましたか

芝本 練習ができなかった期間はZOOMで週1回ミーティングを行って、そこで今までできていなかった強豪校などの対戦相手のビデオ研究ですとか、また1週間のうちにビデオを撮ってもらってLINEなどに送ってみんなで見て、できているかどうか課題を言い合ったりなどはやっていました。夏合宿も中止になって、ちょうど2週間前くらいなんですが、その時は二部練習というかたちで代替しました。そこで追い込んで、大会まで2週間くらいなので気持ちを切らさず、もう1週間頑張って、あと2、3日で体を整えていこうかなと思っています。

――自粛期間ならではの工夫があったということですが、自粛期間だったからこそのプラス面、マイナス面はありましたか

芝本 プラス面でいえば自分の課題をもう一度見つめ直せたというのは非常に良いことだったなと思います。個人の時間が増えたので、より周りを気にせず、より自分のやりたいことを入念にできたのはプラスでした。マイナスに関しては、空手は対人でするので、対人ならではの反応の動きなどができなかったのは痛いなという部分はありました。

吉田 プラスだったことは、自分に今何が足りないのか、本来どういったことをしていけば勝ちにつながるのかといった課題を見直すという点では時間があって、考えるチャンスが多かったかなというのは感じます。マイナス面では芝本主将もおっしゃっていたんですが対面での練習ですね。やっぱり相手あっての試合なので、いくら自分の頭の中でできていても相手がどういう動きをするかによって動きを変えなくてはいけないので、そこができなかったというのはマイナスに働いてしまうのかなと思います。

――自粛期間中は皆さんどのように練習されていましたか

芝本 家(の中)でやったり、家の前でやっていたり、僕なんかは公園でランニングをしたり、そういうところがない人は各自家で筋トレをやっていました。できることは全部やったという感じでしたね。

細田 私は形だからというのもあり、組手と違って必ずしも人とやらなければいけない練習はないので、一人で鏡を見ながらフォームや基本を見直していました。あとは部分的に直したい箇所を繰り返しやることでちゃんと定着しているかを確認したりしていました。

――試合の中止が相次ぐなかで、モチベーションを保つために心掛けたことはありますか

芝本 そうですね、4年生で私たちにとっては最後の年で、中止が相次いで正直モチベーションを保つのは難しいですし、何のために4年間やってきたんだろうという気持ちにはなりました。でもそこで一人の指導者からお言葉をいただいたんですが、「試合に勝ちたいという気持ちでやっていて、今はない中で、もう一度初心に戻って空手ができる、心から楽しめる期間じゃないか」と言っていただいて。たしかにそうだなと思いました。私も勝ちたいと思って必死にやっていたんですが、もう一回心を楽にして空手ができる楽しみというところに原点を置くことで、自然と空手の練習のモチベーションも保つことができました。また、私は蹴り技など新しい取り組みをすることによって、目に見えて達成したときにやってよかったなという、できてうれしいなというのも一つのモチベーションにはなっていました。

――皆さんそれぞれ役職についていると思うのですが、ご自身の役割や大変だったことがあればお聞かせください

芝本 主将という役割を担ってから、私の目標として、試合に勝つ喜び、負ける悔しさというのをみんなに味わってもらって、その喜びを味わうために一人一人が必死になって考えて練習する大切さというのを教えてあげたいと思っています。また私は自分の姿で引っ張っていくタイプなので、そういった主将としての姿を見せて、それに部員一人でも多く気づいてくれればいいなと思って。敢えて言っていないんですが、それに気づける部員がいたら非常に部としていいチームができるんじゃないかと思っています。なかなかそこが難しくて、実際に言わないと動けない部員もいて、バランス良くするのは非常に難しかったですし、スポーツ推薦以外にも新しく初心者で入ってくれる部員もいるといったレベルの差もありましたので、そういう兼ね合いなどはやっていて難しいなとは思いました。

細田 私は副主将と主務という役職を二つ兼任しています。副主将は主将のサポートなど競技を取りまとめるポジションで、主務はどちらかというと仕事で、部活を運営するための事務などの管理をしています。まずは、やっぱり二つ兼任しているとやることが多いのは大変ですね。でもある意味自分としていろいろな面を持ち合わせられるとポジティブに捉えています。というのも部員のいろんな面を見られるんですね。競技者として関わるところ、主務としてもっとプライベートな部分に踏み込んで、部活以外は何をしているのか、勉強はどうなのか、将来的に何をしたいのかという、競技以外でもいろいろ関われるとポジティブに捉えています。また先ほど言ったように主将は背中で語るタイプなので、逆に私は普段から関わるようにして、今何を考えているのか、どういう悩みを持っているのかというのを聞くように意識しています。そこはいいところですが、逆に早慶戦など大会が近かったり、学期の変わり目とかになると単純に主務の仕事がかなり増えるので、時間がないとか、やることが多いと精神的にきついということはありますね。

吉田 私も副主将という役職をいただいているので、今までのようにただ練習についていくだけではだめだなと考えて、一番は主将のサポートはもちろんですが、声掛けをするようにしています。さっきから話に出ているように芝本主将は口うるさく言うのではなく自分が見本を見せて気づかせるタイプの人なので、気づけない学生に対して自分はしっかり教えて声掛けをして、芝本主将の模範的な行動に気づけるようしています。その学生が自分で主将の姿を見て気づいてもらえるような手伝いができたらいいなと思って練習に参加してきました。難しかったのはやっぱり、スポーツ推薦で入ってきた学生もいれば、大学から空手を始めた学生もいて、目指すべきところや目的のずれから練習で温度差を感じた時もあったところです。どうしたらその温度差を極力少なく、みんな一定に保てるのかと考えていくのが難しかったですね。

――今年の新入生についての印象や、入部してからの変化を感じたことがあれば

芝本 やっぱり初めは緊張して入ってきてくれるんですが、私たちもそれほど厳しい雰囲気ではなくいつでも迎え入れるので、1週間くらいしたら、ちょっと先輩に向かってそれはアウトじゃない?というくらいまで入り込んでいます(笑)。そういうところは個性を出してくれているので、慣れてきているんじゃないかなと思います。

――ちなみに、今年は何人入部されたのでしょうか

芝本 1年生は5人です。

細田 さらに2年生に2人入ったので、去年から新たに入ったのは7名です。ここ(4年生)が2人だけなのに…(笑)。

芝本 悲しいですよ(笑)。

――先輩としても育てがいのある学年となったのではないでしょうか

芝本 個性豊かなんですよね。面白い部員ばかりなので、これからが楽しみです!

一同 爆笑

「1試合でも多く5人で並んで試合したい」(吉田)

今年は上級生として、重要な場面を任されることが期待される吉田

――今年は夏合宿の代わりに二部練習が行われたとのことですが、その振り返りをお願いします

芝本 二部練習は体力的にも、精神的にも非常に追い込みました。ただ単に追い込むだけではなくて、この練習メニューは何のためにやっているのか、自分の課題は何でその課題を解決するためにはどうすればよいのか、という所までしっかり考えながら追い込んでいけたので、皆が「これだけやったんだ」という自信を持てる非常に良い期間だったのではないかと思います。

――例年の夏合宿から変更したところはありますか

細田 そもそも合宿ではない所から違うんですけど、合宿より時間が結構限られているので、いつもよりシビアだったなと思います。もちろん追い込むのは夏合宿でもそうなんですけど、今回はその上で、精神的にも練習的にも今度の関東団体を常に意識した内容だったなと思います。具体的に言うと、いつもは午前中は全部基本の練習で、午後は形・組手で分かれていたんですけど、今回は午前中から基本だけじゃなくて形・組手で分かれることもありました。例年に比べてより大会を意識したような内容だったなと思います。

――この二部練習を通して特に成長した選手は誰ですか

細田 形のメンバーの後輩の益田恵理花(東京・早実)は上手くなったなと思います(笑)!彼女はもともと入った時から空手は経験しているけどあまり大会出場を意識した練習をしている選手ではありませんでした。それで伸びしろがかなりあるので、二部練習でも午前午後で繋げてやると前の練習でやったことをそのまま生かしやすいので、そういった点でいつも以上に伸び率がすごくあったなと思います。

芝本 みんな絶対レベルアップしてると思います。中でも変わったなと思ったのは天本(菜月、スポ1=宮崎・宮崎第一)かな。彼女は練習中でも勝ちをどん欲に意識していて、私達スポ推の男子にもしっかり立ち向かっていきます。男子とやるのはやりにくいと思うんですけど、そういう所を一切出さず立ち向かっていく所がすごくレベルアップしていますね。また(二部練習は)彼女なりに考えて悩んだ期間でもあったんですけど、それを乗り越えて組手の引き出し、攻撃のパターンが非常に増えたので、今後は対戦相手に応じて戦い方を変えられる選手になって行くのかなと。非常に成長したと思います。

吉田 自分も天本を挙げたいと思います。組手は高校と大学で審判に好まれる技とかスタイルも結構変わってしまうので、「高校の時にこの技は(点を)取れたのに何で大学生になったら取れないんだろう」とか、そこで戸惑う期間がちょっとあるんですよね。けど、練習で自分たちや芝本主将が「大学はあまりこういう技は取ってもらえないよ」とか、「こういう技の方が取ってもらいやすいよ」ということを伝えて、それを彼女なりに咀嚼して技やプレースタイルを変えたり色々模索したことをこの二部練を通してしっかり形にできているのかなと、この前の部内戦を見て感じました。なので、1年生ながら今度の関東団体では活躍してくれるんじゃないかなと期待してます。

――話を伺う限り、練習での接し方やメニュー作りの際に、部員自らが考えることを意識されているように思いました。このような点についてはいかがでしょうか

吉田 みんな練習後に自主的に筋トレや技の練習をしてますね。別に自分や芝本主将が何か言わなくてもやってる学生はしっかりやってますし、スポーツ推薦の学生はオフの日に母校に参加したり、自分なりに時間を見つけて空手に携わってくれているのかなと感じます。

細田 幹部として自主性を重んじさせようという意識は別になかったんですよ。けど、後輩が自主的に頑張ってくれました(笑)。練習後に皆すごく自主練をしたりビデオでの復習をしていて、「オフの日もビデオを見てた」という話を聞いたりもしました。こっちから何か言ったわけではなくいつの間にか皆が勝手にやっていたので、そこはすごく良いですね。まあでも、主将がこんな人だからだろうなとは思います(笑)。

吉田 それはありますね(笑)。

――今年も8月はオフだったと思いますが、その期間はどのように過ごされましたか

細田 例年よりオフが短かったんですよ。いつもは8月いっぱいオフなんですけど、今年は割と早めに切り上げて。まあ私とか地方出身者はだいたい帰省ですね。帰省といっても外出はできないから家族と過ごして、みたいな生活でした。東京はどうでした?(笑)

芝本 東京は怖いんですよね、(新型コロナウイルスの影響で)外出できないから…

一同 爆笑

細田 どうせ練習してるじゃん。

芝本 どうせ練習なんですよ。怖いんですよね、空手をやらないのが。ランニングとか筋トレとか空手の練習で、とりあえず一日一回は汗をかくようにはしてましたね。汗をかいて気分転換してました。

吉田 私は芝本主将とは全然違って、オフ期間は極力空手のことは忘れたいな、と。

一同 (笑)

吉田 釣りが趣味なんですけど、釣りばかりしてましたね、本当に。釣竿を振ってるか、寝てるか、たまに体を動かしてるか。で、気付いたらオフが終わってました。

一同 (笑)

――関東大学選手権が間近に控えていますが、それぞれどんな目標を立てていますか

芝本 男子組手は優勝です。優勝しか見てないです。

細田 女子形は、私としては入賞です。記録に残らないと10年後20年後になった時に思い出って意外となくなるものだなと思っていて(笑)、頑張ったことはその時は共有できるけど、やっぱり何十年も残るのは記録なので、入賞したいなというのはあります。ただ自分以外の2人は今回が大学で初めての大会なんですよね。だから、チームとしては結果よりも楽しんで、挑戦者という気持ちを持って毎回練習よりもいい形を打てることを意識してます。

――トーナメント表も発表されましたが、そちらを見ていかがですか

細田 女子形はそんなに周りのことを気にせず、自分に集中しようという感じです。

芝本 組手ももう、相手が誰かは関係ないです。一つ一つの試合が大事で、自分の組手のスタイルに持って行くことを意識できれば自ずと結果は出てくると思うので、皆自分の組手を信じてやってほしいなと思います。

――二部練習を終えて、大会に向けて今はどんなことに取り組んでいるのでしょうか

芝本 二部練期間は体力的にも非常に追い込んだのですが、今は関東団体で勝つためには何が足りなくて、何ができているのかをもう一度考え直して、残り2週間でそこを整理してクリアな状態で持って行けるように取り組んでいきたいと思います。

――チームの今のコンディションはどんな感じですか

芝本 みんな元気で声も出てるので、コンディション的にはバッチリだと思います(笑)!

一同 爆笑

芝本 語彙力がなくて(笑)。

――最後に、関東大学選手権が4年生にとって学連の最後の大会となりますが、チームとして、個人として今大会への意気込みをお願いします

芝本 正直、非常に残念ではあります。けどどうすることもできないので、もう最後はやれることを全部やった状態で大会を迎えて、今までやってきた4年間の集大成を出し切って優勝という形で公式戦を終えたいなと思ってます。

細田 私は社会人になったら空手をできるか分からないので、ただ大学だけではなく空手をやってきた16年間の最後という感じです。今までの試合は全部とにかく勝ちたい、結果を出したいという気持ちでやってきたんですけど、今の意気込みは芝本も言っていたようにとにかくやれるだけのことをやるということですね。こう言うとすごく陳腐な感じですけど実行するのは大変で、一回一回の練習がきついと手を抜きたくなるし、音を上げたくなることもあります。それでも、今は1秒でも手を抜かないということを意識して、これで負けたらもう仕方ないと言うくらいやるようにしています。

吉田 芝本主将と一緒に団体戦をできる機会が学連の公式戦だともう最後になってしまうので、本当に1つでも多く勝ちたいし、1試合でも多く5人で並んで試合したいなという気持ちが強いです。学年が1つ違いで一番長い時間お世話になった先輩でもあるので、ここで最後に一花咲かせたいなと思いますし、他の部員もそういう気持ちで試合に臨んでくれるはずです。芝本主将は勝ってくれるので、それ以外で2つ以上取るために自分たちがしっかり頑張って、一個でも一点でも多く取って次の試合に繋げる気持ちでやっていきたいと思います。

(取材・編集 名倉由夏、布村果暖)

◆芝本航矢(しばもと・こうや)

1998(平10)年8月10日生まれ。172センチ。東京・世田谷学園高出身。スポーツ科学部4年。実はプロ野球の巨人ファンで、坂本主将のキャプテンシーや原辰徳監督の指導力に刺激を受けている芝本選手。取材では時折いじられる部分もありつつ、背中で引っ張る頼もしいキャプテンであることがうかがえました。細田選手に1年時から『空手バカ』と評されるほどの熱い気持ちで、チームを高みへ導きます!

◆細田悠乃(ほそだ・はるの)

1999(平11)年3月11日生まれ。153センチ。沖縄・開邦高出身。社会科学部4年。終始笑顔で質問に答えてくださった細田選手。今年は女子団体形のメンバーを引っ張る立場として、昨年予選落ちに終わったリベンジに挑みます。実は自粛期間中に人生で初めてバラエティ番組を視聴し、芸能界について学ぶことが多かったそうです!

◆吉田翔太(よしだ・しょうた)

1999(平11)年7月4日生まれ。179センチ。埼玉・栄北高出身。スポーツ科学部3年。質問に対し丁寧に具体例を交えて説明してくださった吉田選手。自粛期間中には苦手とする筋トレで増量に取り組んだとのことで、これまでより力強くなった組手に注目です!