今シーズンの前半、最後の個人戦となった全日本学生選手権が兵庫・姫路市立中央体育館で行われた。早大からは笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)と芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)、長沼俊樹(スポ1=東京・保善)が男子個人組手に出場した。全国から実力のある選手が集う今大会で、芝本が昨年の悔しさを晴らす3位に輝き、笹野と長沼は3回戦で惜しくも敗退したが、健闘を見せた。
今回、初めての出場となった長沼は「初めてだったので、一年生ということもあるので、いい経験になればいいかなと。自分の持っている力を出し切れればいいかなという感じで臨みました」と気後れすることなく、持ち前の積極的に前に出る攻撃で勝ち進んで行った。初戦は開始わずか5秒で上段突きを決め、先取する。その後に再び上段突きを決め、相手に反撃の隙を与えずに勝利を挙げた。続く2回戦では、同点となり勝敗は審判に委ねられたが、攻撃の積極性などを評価され判定勝ちで突破した。3回戦では強豪である帝京大の選手相手にお互いに譲らない接戦に。残り1秒で上段突きを決め同点とするも、先取していた相手の勝利となり、3回戦突破とはならなかった。
上段突きを決めた長沼
全日本への出場が1年時以来、3年ぶりとなった笹野は、「作戦通りに試合が進められて良かったなと思います」と試合後に振り返ったように、事前にトーナメント表で判明していた対戦相手の特徴を把握して試合に臨んだ。初戦はお互いに相手の出方を探り合い、均衡状態が長く続いた。動いたのは、試合時間が残り5秒となった時だった。笹野が相手の一瞬の隙を逃さず、素早く上段突きを決め勝利を収めた。次の試合でもお互い一歩も譲らず、無得点のまま試合が終わるかと思われた。しかし、残り8秒で今度は相手選手に鋭い上段突きを決められ、敗戦を喫した。
3回戦で敗退も、奮闘を見せた笹野主将
昨年、早大から唯一出場し、惜しくも3回戦で姿を消した芝本は、「去年の悔しい思いを一年間持ち続けてやってきたので、今年こそ絶対にメダルを取るという強い気持ちで、悔しい思いを忘れずに練習してきた」と今大会に特別な想いを抱いて臨んだ。「きょうはすごく自分の身体の調子が良くて、技も調子が良かった」と試合後に振り返ったように、この日の芝本には勢いがあった。初戦から力強い上段突きでテンポよく得点を重ねていき、順調に勝ち進んでいった。準々決勝では、相手とお互いにポイントを取り合う接戦となった。相手が粘り強く前に出る組手で攻めてきたが、芝本も果敢に技を仕掛けてポイントを着実に奪い、8対6で勝利を収めた。準決勝は相手の鋭い上段突きに圧倒され、悔しい敗戦となったが、それでも3位という堂々の成績で今大会を終えた。
「3位だったんですけど、その負けから学べることがやっぱりあると思うので、きょうの試合で慢心にならずに、この試合で出た課題を一つ一つクリアしていってさらに上のステップに行きたいと思います」(芝本)。次の大会まで、しばらく時間が空く。今大会での経験を生かして、さらに飛躍していくだろう。また、「メンバー同士で切磋琢磨しながら力をまたつけていきたいと思っています」と笹野が言うように、これからのオフシーズン、そして合宿を通して個人だけでなく部全体の力も高めていく。この夏を超えた時、早大空手部の進化した姿が楽しみでならない。
※掲載が遅くなり申し訳ございません。
(記事、写真 石黒暖乃)
3位という成績を収めた芝本
結果
▽男子個人組手
芝本 3位 笹野 3回戦敗退 長沼 3回戦敗退
コメント
笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)
――今大会はどのような気持ちで臨まれていましたか
今回4年生ということで最後の前期の個人戦だったので、やはり出せる力を思い切って全部出そうというふうに試合に臨みました。
――きょうの試合を振り返っていかかでしたか
初戦の相手が強かったということもあって、それは前からトーナメントが出ていて分かっていたので、作戦を練って作戦通りにやれたのかなというふうに思っていて、重要な一点だったので、重かったなと思って。それで守り切れて、作戦通りに試合が進められて良かったなと思います。
――その作戦を具体的に教えていただけますか
向こうも正直攻めの組手じゃなくて、守りの組手で後ろに下がってカウンターだったりという戦法を中心とする選手だったので、そう考えると自分もあまり攻めるタイプではないので、お互い守りながらそこで駆け引きをして、相手の隙を見て、1ポイントを取っていく。そういうところでポイント重ねていければなと思っていたんですけど、それで最後の残り5秒で取って、そこで決められて本当に良かったなと思っています。
――三回戦では最後の数秒で点を取られてしまいましたが、そこについてはいかがですか
そこもやはり、自分も正直、攻めの組手じゃなく守り、引いて(ポイントを)取るタイプなんですけど、その中でなかなか相手が難しかった、強かった、一枚上手だったというふうに思っていて、まだ作戦が練り切れていなかったのかなというふうに思っています。
――では今大会、主将として見た芝本航矢選手と長沼俊樹選手についてはいかがだったでしょうか
40年ぶりぐらいの3位に芝本がなったので、本当にそれも総監督からも言ってくれたんですけど、主将の指導があったからというふうに言ってくれたので、そういうところは自信になったし、後期に向けて、次は団体戦なのでチームみんなを引っ張っていけたらなと思っています。
――このあとしばらく大会がありませんが、次の大会までの間の夏に個人として取り組みたいと思っていることはありますか
これから7月の中旬にオフに入って、8月いっぱい休みなので、自分自身で課題を見つけるんですけど、守りじゃなくて少し攻められる、相手に1ポイント取られた後に攻める組手、取られた後に攻められる組手や、自分で攻められる組手をできればなと。そこが課題なのでやってきたいです。
――部全体としてはいかがですか
オフもあって、そこで各々課題を見つけてもらって、これから試合も無いので7月の前半の半月間は自分自身の課題を見つけてもらって、また合宿が9月に始まるので、早慶戦に向けて、全日本もありますし、集大成となる早慶戦に向けて、底上げも力入れて取り組まないといけないと思っていますし、メンバー同士で切磋琢磨しながら力をまたつけていきたいと思っています。
芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)
――昨年、3回戦で惜しくも敗退でしたが、今回はその3回戦を突破して、結果3位でした。その点も含めて今大会いかかでしたか
去年の悔しい思いを一年間持ち続けてやってきたので、今年こそ絶対にメダルを取るという強い気持ちで、悔しい思いを忘れずに練習してきたので、それで結果が出て良かったなと思います。
――きょうの試合全体を振り返っていかかでしたか
きょうはすごく自分の身体の調子が良くて、技も調子が良かったので、自分がなんかすごい自信を持てて組手ができたので、すごい自分のなかできょうは勝てるなという強い思いがありました。
――試合が進む中で、相手の特徴などを掴みながらやっていたのでしょうか
とりあえず1、2回戦は対戦相手の対策とかはビデオとか見てやっていて、1、2回戦を突破すればそのまま勢いに乗っていけるかなと思ったので、とりあえず1、2回戦は対策をして、あとはみんなほとんど高校時代などでやってきた相手だったので、そういうのを意識しながら。あとはきょう調子がよかったので、自分のスタイルで勝ちに行こうと思いました。
――前回の東日本大学選手権(東日本)から何か意識など変えたことはありましたか
自分は素直に攻めてしまうという課題があったので、そこで相手に崩しを入れたりなど、相手がやりにくい組手を心掛けて練習してきたので、それがよく出たので、それが理由で勝てたのだと思います。
――この夏の間に取り組みたいと思っていることはありますか
3位だったんですけど、その負けから学べることがやっぱりあると思うので、きょうの試合で慢心にならずに、この試合で出た課題を一つ一つクリアしていってさらに上のステップに行きたいと思います。
長沼俊樹(スポ1=東京・保善)
――今大会、はじめての全日本学生選手権となりましたが、どのような気持ちで臨まれましたか
初めてだったので、一年生ということもあるので、いい経験になればいいかなと。自分の持っている力を出し切れればいいかなという感じで臨みました。
――きょうの試合を振り返っていかかでしたか
正直言って悔しいです。負けた相手もあまり納得のいく試合ではなかったので。自分の悪いところもいくつか見つかったので、それをこれから直していきたいなという感じです。
――今回、積極的に上段突きを決めていましたが、前回の東日本大学選手権から何か意識などを変えた点はありましたか
東日本では反則負けをしてしまったので、少し当てるのを気を付けた感じで、でも勢いは落とさずにしっかりとコントロールできるようにという感じでやりました。
――次の大会まで時間が空きますが、この夏に何か取り組みたいと思っていることはありますか
自分は再来週に世界大会の選考会を控えているので、それに向けてまた明日から頑張っていきたいなということと、夏のオフが明けたらまた試合とか始まるので、そこは自分で空手もトレーニングも頑張っていきたいなと思っています。