連載1回目は男子団体組手メンバーとして入学時から活躍する「セタガク」コンビの笹野由宇(スポ3=東京・世田谷学園)と芝本航矢(スポ2=東京・世田谷学園)、そして期待のルーキー?田翔太(スポ1=埼玉・栄北)。前期の個人戦は明暗の分かれる結果となったが、ハードな夏合宿を経て、来たる関東大学選手権(関東)への準備は整った。4年生と戦う最後の団体戦シーズンを「1試合でも長く」と闘志を燃やす3人に迫った。
※この取材は9月26日に行われたものです。
「とてもいい環境にいる」(笹野)
もうすぐ最上級生となる笹野
――お互いの印象についてお伺いしたいです。まず笹野選手から芝本選手、吉田選手の印象をお願いします
笹野 そうですね。吉田は、印象っていうと、高校生の時結構練習来てくれて。その時は大人しいひとだなと思って、なんかもうはいはいはいって感じで(笑)。今もそんなに印象は変わらずに、そんな感じですね。
――大人しい感じですか
笹野 大人しいですよ、本当に。でも試合になるとそんなに大人しいわけじゃなくて、また変わるんですけど。それで航矢は、高校から一緒なんですけど、ずっとやってきて。本当に真面目なんですよ。根が真面目で。大学入ってからも、高校生が来たときとかもほんとにもうバチバチで。そんな感じでずっと印象は変わらずに継続してる感じですね。
――次に芝本選手、お二人の印象をお願いします
芝本 由宇先輩(笹野)は高校の時から一緒なんですけど、お互い技とかアドバイスとかしあったりして。凄い競技に対しての前向きさがあって、一緒に高め合っていける感じで、すごい頼れる先輩っていうか、一緒に空手をやりたいなっていう、一緒にやってていいなっていう先輩です。
笹野 ほんといいこと言うじゃん(笑)。
一同 (笑)。
――やはり同じ高校だからということですか
芝本 そうですね。もう長いから。
笹野 5年くらい?
芝本 そうっすね。
――友情みたいなものが生まれて
芝本 いやもう深いっす。
一同 (笑)。
芝本 それでよっち(吉田)は、ほんともう変わんない。ずっと大人しいから。その印象がずっとあって。なんだろ、裏もないっていうか、そのままの子だから。
一同 (笑)。
芝本 すごいいい子なんだよ。ちゃんと言ったことも素直に聞いてくれるし、すごい素直な子っていう印象ですね。
――では吉田選手お願いします
吉田 由宇先輩は高校の時直接喋ったりとか、二人で会ったこととかなかったんですけど、大会で同じコートでとか練習試合でとかそういう機会で会うというか、結構一緒にやってたことはありますけど、正直言うとめちゃくちゃ怖くて。
一同 (笑)。
吉田 印象で言うとめちゃくちゃ怖くて、初めて練習来たときとかも、ビビってたっていうかちょっと怖かったんですけど。こうやって部で練習したり合宿で一緒に生活しているとすごい優しくて。あと周りが見えているというか、いつも気にかけてくれてるって感じがして、すごい優しい先輩です。航矢先輩は練習に真剣で、誰よりもストイックにっていう気持ちでやっていらっしゃるので、自分もそれについていけるように頑張ろうと思ってます。
――お二人から大人しいという印象とのことですが、実は隠しているということは
芝本 (笑)。
吉田 人見知りが小さい時からすごくて、あと話すネタがほんとになくて。由宇先輩とは釣りのこととかちょっと話出来て最近は楽しいです。
――釣りをされるのですか
笹野 そうですね。自分と一個上と吉田で。
――一緒に釣りには行かれるのですか
笹野 そうですね。10月の終わりに3人で行こうって話してて。一昨日くらいに先輩と2人で行ってきたんですけど。
――ちなみにどちらで釣られるのですか
笹野 自分は金沢八景の方に船で沖釣りを。
――吉田選手は早稲田大学入ってから初めての試合があったと思いますが、高校時代と異なる点などはありましたか
吉田 高校の時はメンホーっていうヘッドギアみたいなものを被るんですけど、大学生はそれはなしで。足のサポーターとかも高校の時は薄っぺらで軽いような感じだったのが、重くなったりとか足首固定されたりとかして多少違和感はあったんですけど。僕は流派がメンホー着けない流派だったのでそこに関しては別に違和感なく出来たかなと思ってます。あと高校生は意外と寸止め寸止めで当てなくても取ってもらったりするんですけど、大学生は当ててしっかり引きをとってアピールしないと旗が上がらなくて。そこが入ってから一番苦労したとこでしたね。
――慣れたりなどはしましたか
吉田 最近やっと旗をもらえるようになってきて、距離もだいぶ高校の時から変わってしまったんですけど、最近は突きも取りたいときに取れるようになってきましたね。
――芝本選手、後輩ができて変わったこととかありますか
芝本 上級生としての自覚と覚悟っていうのはできましたね。1年生の時は先輩を目指して目指してひたすらやってたっていう部分はあったけど、今は後輩ができて少しでも見本みたいないいところを見せて、後輩たちに刺激を与えられるような存在になりたいなってのは思いながらやってますね。
――この対談の前日まで世界大会があったということですがいかがでしたか
芝本 結果は2回戦敗退という悔しい結果だったんですけど、貴重な経験をして、出ただけじゃもったいないんで選手の技とかステップだったりとか学んできたつもりなので、これから試合で生かせるようにしたいですね。
――笹野選手は来年最高学年ということですが、3年生として去年までとは違った意識などありますか
笹野 そうですね。そこまで変えたつもりはなくて。2年生の時も後輩はいましたし、3年生になっても後輩は多いので、面倒を見ることは前提として、上もだいぶ。今4年生の先輩も結構仲がいいので、上下関係はあるんですけど練習中とかあんまりなく、してもらっているのでそういう面では自分のやりたい練習とか言えたりしてるので、とてもいい環境にいるなと思いますね。
――今年の1年生の印象はいかがですか
笹野 先日夏合宿があって結構1年生も大変かなって思ってたんですけど、しんどい練習も元気にやってたので全員で乗り切れたのはあったりしました。
芝本 自分は同期が1人しかいないので、見ているとうらやましいってのはありますね(笑)。でも、みんなで仲良く楽しくやってくれているので、いいかなと思います。
――三役対談の際に1年生が自分たちで考えて動くことが多いと伺ったのですが、特に伊坂選手(夏希、スポ1=鳥取・米子東)の声が聞こえると仰っていていました。同学年の吉田選手はどう思いますか
吉田 伊坂は次期主務と呼ばれてるくらい。
一同 (笑)。
吉田 仕事のことを全部覚えていたり、よく気づいたりとかしてくれてほんとに頼りすぎちゃっているとこがあって。ほんと助かっています。
――スポーツフェスタの際は伊坂選手中心として動いていたのですか
吉田 9割がた伊坂君がやってくれました(笑)。
一同 (笑)。
「1試合でも多く先輩たちと戦えるように頑張っていきたい」(吉田)
対談中も部の仲の良さが垣間見えた。左から吉田、右が芝本
――では次に澤入主将(迅人、スポ4=静岡・常葉菊川)の印象をお願いします
笹野 練習中は真面目で、その他となると4年生だけじゃなく全学年と仲良くしてくれるので。結構オンとオフを切り替えてやってる感じです。
芝本 由宇先輩と同じ感じなんですけど、そうですね。完璧な人っていうか。練習でのアドバイスとかもすごい的確に言ってくれるし、練習以外でも一緒に授業取ったり、食事とかも一緒に行ったりしてすごい優しいし、こういう風な先輩になりたいなっていう先輩ですね。
吉田 まだお世話になってから数カ月しか経ってないんですけど、男らしいっていうか男の中の男って感じで。なんか包容力っていうか。
芝本 安心感。
吉田 一緒にいる安心感。試合前とかも自分の最初の東日本(東日本大学選手権)、5月の時は緊張してガチガチだったんですけど、「勝ち負け気にしなくていいから行ってこい。」って言ってくださって、すごい気楽に試合することができたし、気遣ってくださったので、すごい主将って感じです。
――続いて、塚本副将(惇樹、スポ4=千葉・拓大紅陵)の印象は
笹野 澤入先輩と塚本先輩は練習メニューを考えてくれたりするんですけど、その中で練習中とか結構周りを見るっていうか、後ろから支えるっていうのが塚本先輩は多くて。一人一人を見てくれたりとか、すごい全体を見てるって感じがします。
芝本 由宇先輩と同じなんですけど。
一同 (笑)。
芝本 ほんと同じで。副将の中の副将っていうか。
一同 (笑)。
芝本 あと、めちゃくちゃ面白いんですよね。部活でもいいとこいいとこに、ちょっとこう盛り上げるために入れてくるんですけど。そういう盛り上げるっていうのもできますし、面白い先輩ですね。
吉田 先輩とかぶってしまうんですけど、サポート、後ろから支えてくれているっていうのが。あと一番すごいと思うのが、練習と練習じゃないときのオンオフの切り替えがはっきりしていて。練習以外のところでは本当に面白い先輩なんですけど、練習中は厳しいところもあってそこの切り替えがすごく上手だなって思います。
――渡邊主務(仁美、社4=東京・雙葉)印象をお願いします
笹野 渡邊先輩は主務として結構部をまとめて大会とかいろいろやってくださっていると思うんですけど、ほんとにミスなくまとめてくださるので、自分たちも安心していられるって感じですかね。
芝本 主務の仕事ってすごい大変だと思うんですよね。大会の処理とか色々あって。なおかつ女子の組手の方もまとめたりして。役割がいっぱいあり、限られた時間の中でやってらっしゃるのはすごい能力だなって思います。普通の人じゃできないことをやっているので、そこは本当にすごいなって思いますね。
吉田 大会の連絡とか本当に的確に全部が初めてなのでやり方とかわからない部分とか多かったんですけど、すごく丁寧に教えてくださって、すごく優しい先輩だと思います。
――ここからは夏合宿についてお伺いします。一番つらかった練習をあげるとするなら何でしょうか
笹野 自分は「千本突き」ですね。初日にやったんですけど、精神的にも肉体的にもつらかったですね。そこから7日間の合宿が始まったので、しんどい7日間になりました(笑)。
芝本・吉田 千本突きですね。
芝本 いつ終わるんだ、みたいな。次の日全身筋肉痛でしたね。でも僕は初日でよかったなと思います(笑)。
――何か楽しいイベントなどはありましたか
笹野 中日にBBQがありましたね。午後に温泉に行ってから、夜にBBQだったんですけど、中日は結構リフレッシュできました。また次の日からは切り替えて頑張ろうという感じで。
――4年生からは「吉田が一番成長した」とお伺いしたのですが、その点いかがでしょうか
芝本 最初は自分から行くような組手ができていなかったんですけど、だんだんとリーチを生かした自分から行くような組手が出来るようになってきたと思いますね。
吉田 最初は相手が来てから手を出すという流れが多かったんですけど、最近は先輩方に「うまく前後のバランスを取った方がいい」というアドバイスをいただいたので、手の長さを生かして、人よりも遠いところからいったりとか考えてやっています。
――毎年恒例の1年生の出し物がなかったとお伺いしましたが、何か準備はされていたのでしょうか
吉田 そうですね。来るかもしれないということで、夜寝る前にYouTubeをみて準備してたんですけど、結局出し物がなくて、個人的にはとても助かりました(笑)。
芝本 合宿で同じ部屋だったんですけど、「何にしようかなあ」ってずっとYouTubeの動画を観てて(笑)。考えてるのに自分でめっちゃ笑ってましたね(笑)。
――話は変わりますが、前期を振り返って一番印象に残っている試合を教えてください
吉田 6月の関東個人(関東学生選手権)ですね。組み合わせを見る限り特に問題はないだろうという気持ちでいて。油断はしてなかったんですけど、ちょっとした隙から一本もらってしまったので。そこで勝てる相手に勝ちきれずに負けてしまったということで印象に残ってます。あれは個人戦で自分の責任なのでよかったんですけど、団体戦だとチームに迷惑がかかってしまうので、後期は団体戦の大きい試合が続くので、チームの点数を取るために試合をしていきたいです。
芝本 関東個人ですね。2回戦で帝京大のエース(中野壮一朗、3年)とやって勝てたことで自信になったので、印象に残った試合ですね。出たかった全日本個人(全日本学生選手権)にも出られて、そこでは負けてしまったんですけど、大舞台で課題も見つかったので、後期はその課題と得られた自信をもって挑みたいですね。
笹野 自分は関東個人の時に鎖骨を骨折していて出場できなくて。前期だと全日本の大会に繋がる試合はそこしかなくて一番重要な大会なのでとても悔しかったですね。もし出場していたら可能性はあったかもしれないし、その可能性をゼロにしてしまったので、とても悔しくて印象に残ってますね。
――これから団体戦を戦っていくなかでご自身の役割はどのように考えていますか
笹野 自分はもう3年生ということで、チームに勝ちをつけないといけない立場にいると思います。自分がしっかりと勝ちを持ち帰ることで、後につなげて安心させたいですね。
芝本 自分は組手スタイルがガツガツ系なので、チームを勢いづけるという意味でも人一倍声を出して、チームを後押しして、勝ちを持ち帰りたいですね。
吉田 自分は1年生ということで先輩方もあまり自分の勝ちにはあまり期待してないと思うんですけど、ビビったりはせずに1年生らしく思い切ってゴリゴリといけたらなと思います。
――自身の組手の強みについて教えてください
笹野 自分はそんなにガツガツスタイルではなくて、相手を誘ったり相手の動きを見ながら自分のタイミングで突きを出すというスタイルなんですけど、しっかり相手を見れるというのは長所かなと思います。
芝本 自分はガツガツとスピードが武器かなと。あまりガツガツ行き過ぎてもカウンターを食らってしまうので、間合いを冷静に把握しつつ、スピードで相手を圧倒したいと思います。
吉田 人より背があって軽めなので、階級別だと特に手の長さを生かして他の人より遠いところから行けるというところが僕の長所なんですけど、大きい分とろい部分があるので、スピードのある選手とやるときは間合いに入られてしまうケースが多いので、しっかりと前足を使って自分の距離を保てるようにしていきたいです。
――身長の高い吉田選手が入ってきたことで練習は変わりましたか
芝本 よっちが入る前は、平均的に身長が低めの部だったんですけど、よっちが入ってきてくれたことで、身長が高い選手にはどうやって攻めたらいいのか、何を相手は待っているのかとか、色々聞きながら研究することができているので、すごくいいです(笑)。
――関東の3回戦では東日本大学選手権(東日本)で負けてしまった国士館大との対戦ですが勝利のカギは何だと思いますか
笹野 キーマンは航矢(芝本)ですね。航矢がどう最初に勢いをつけるかで変わってくると思います。そこで勝ちをつけてくれれば、必ずこっちまでまわってくるので、あとはこちらで何とかするという感じなので。
――キーマンにあげられましたが、芝本選手いかがですか
笹野 自覚あるでしょ(笑)。
芝本 そうですね(笑)。出るからには勝ちたいですね。期待をプラスにして、気負わずに自分のスタイルを崩さなければ勝てると思うので、それを心がけてやりたいと思います。
「自分のスタイルを崩さない」(芝本)
団体戦のキーマンに挙げられた芝本
――後期の団体戦シーズンはどのようなシーズンにしてきたいですか
笹野 もう本当に関東まで時間がないので、チームで盛り上げながら、全日本(全日本大学選手権)に出るのは当たり前と考えて、そこからまた組み合わせ次第で研究も重ねていきたいと思います。
芝本 4年生の先輩と組めるのはもう最後で、一つ一つが最後になってくるので、それをかみしめながら、一瞬一瞬を大事にしていきたいですね。
吉田 先輩たちと組める団体戦も少なくなってきてしまったので、1点でも多くとって、1試合でも多く先輩たちと戦えるように頑張っていきたいです。
――最期に関東大学選手権の目標をお願いします
笹野 まずは国士舘大と当たるのでそこで勝つことを目標にして、そこからはベスト4に入ることを目標に頑張っていきたいです。
芝本・吉田 ベスト4ですね(笑)。
――ありがとうございました!
(取材・編集 萩原大勝、千葉洋介)
残り少ない4年生と組める団体戦に向けて、『1点でも多く、1試合でも多く』戦えるようにと意気込んだ3人
◆笹野由宇(ささの・ゆう)(※写真左)
1997(平9)年10月23日生まれ。175センチ。60キロ。東京・世田谷学園高出身。スポーツ科学部3年。落ち着いた物腰で質問の受け答えをしてくださった笹野選手。船を借りて沖釣りに出るというほどの釣り好きでもあります!対談中も吉田選手と釣りの話で盛り上がることも。
◆芝本航矢(しばもと・こうや)(※写真右)
1998(平10)年8月10日生まれ。172センチ。67キロ。東京・世田谷学園高出身。スポーツ科学部2年。この対談の前日まで海外遠征に行かれていた芝本選手。時差ボケが残るなかでも明るく丁寧に質問に答えてくださいました。ワセダの勝ち頭としてチームを勢いづける勝利に期待です!
◆吉田翔太(よしだ・しょうた)(※写真中央)
1999(平11)年7月4日生まれ。179センチ。66キロ。埼玉・栄北高出身。スポーツ科学部1年。対談では緊張した面持ちでしたが、質問に対して丁寧に答えてくださいました。笹野、芝本両選手から大人しいと称される吉田選手ですが、父親の影響でよく釣りに行くという一面も!