全日本大学選手権(全日本)の出場枠を巡って各大学がしのぎを削る関東大学選手権(関東)が日本武道館で行われた。男子組手は2回戦、女子組手は1回戦で敗退。男女形も予選敗退と満足のいく結果は残せなかったものの、早大は3種目での全日本出場を決めた。
春の東日本大学選手権(東日本)でベスト8入りを果たし、全日本出場が決まっている男子団体組手は、1回戦で立正大を4-1で圧倒すると、2回戦では同じく東日本ベスト8の拓大と対戦した。早大は先鋒と次鋒が勝ち星を落としてしまうが、4年生がさすがの強さを見せる。中堅で登場した末廣祥彦主将(スポ4=東京・世田谷学園)が試合中盤から突きでポイントを重ねて勝利すると、続くエースの今尾光(スポ4=大阪・浪速)も壮絶な蹴り合いを制して望みをつないだ。しかし、大将の塚本惇樹(スポ3=千葉・拓大紅陵)が0-2で敗戦。早大は2回戦で姿を消すこととなった。
女子組手は1回戦で山梨学院大と対戦。1回戦に勝利すれば全日本出場が決まるこの大会。しかし、3選手とも緊張からか思うような組手ができず、0-3で完敗してしまう。早大は全日本出場校決定戦へ回ることとなった。女子団体組手はこのメンバーで戦ってきて3年目になる。「今大会で最後になってしまうのはありえないと思った(越間菜乃、教4=島根・石見智翠館)」。その強い気持ちが体を前へと押し進めた。圧倒的な内容で出場校決定戦を勝ち進んだ早大は3戦全勝で全日本出場権を獲得した。
気迫を前面に押し出して戦った越間
形部門は男女で明暗が分かれた。先に出てきたのは昨年0.1点差で全日本出場を逃した女子部門。『観空小(カンクウショウ)』を披露し、点数は21.2点。昨年(21.8点)以上を目指していただけに石川みらい(社3=群馬・前橋工)は「満足していない」と試合後に語ったが、5位で全日本出場を決めた。一方男子部門が打った形は『久留頓破(クルルンファ)』。21.5点の7位で全日本出場はならず。鈴木捷太(スポ2=群馬・太田)は「メンタルの部分で問題があった」と本来の力が発揮できなかったことを悔やんだ。6位の拓大との差は0.1点。ことしは男子部門が0.1点の壁に阻まれた。
惜しくも全日本出場を逃した男子形
今大会は各大学が夏合宿の成果を試す絶好の機会だったと言えるだろう。しかし早大は全日本出場を決めながらも、いずれも満足のいく結果を残すことができなかった。試合後に選手たちが口をそろえたのはメンタル面での課題だ。この一年の集大成を示す舞台まであと一か月半。課題を克服し、全日本の舞台では本来の力を発揮してほしい。
(記事 萩原大勝、写真 栗林桜子、石名遥)
結果
▽男子組手
1回戦 〇早大4―1立正大
2回戦 ●早大2―3拓大
▽女子組手
1回戦 ●早大0―3山梨学院大
▽男子形
7位 (得点 21.5)
▽女子形
5位 (得点 21.2)
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コメント
越間菜乃(教4=島根・石見智翠館)
――今大会はどのような気持ちで臨みましたか
全日本の出場権を獲得するというのはもちろんでしたが、第1戦を勝って全日本の出場権を得たいと思っていました。
――その第1戦である山梨学院大戦を振り返っていかがですか
個人的には点を獲得できずに終わってしまったのが情けなかったです。自分たちよりうまい組手をする相手だったとしても、得点も取れず、チームとして3-0で負けてしまったのはもう少し何か出来たのではないかと感じています。3人とも緊張していて、動きが固くなってしまいました。
――出場校決定戦では圧巻の戦いぶりでした
1回戦負けてしまって、敗者復活で勝つことしか全日本の出場権を得られる手段はないという状況でした。全日本に出場できず、このメンバーで出来る組手が今大会で最後になってしまうのはありえないなと思いました。山梨学院大の時よりも全日本に何としてでも出たいという強い気持ちがありました。緊張もほぐれて体も動いていたし、気持ちを前面に出して戦えたのが勝因です。
――技術的な面での勝因はなんでしょうか
監督やコーチの方にも前に出て勝負しに行けば勝てるというふうに言われました。自分たち自身もこちらから攻めれば勝てるという自信があったので、どんどん手数を出していきました。そこが良かったのかなと感じています。
――関東学生体重別選手権(体重別)の意気込みは
体重別は3年間1回戦負けできています。最後の個人戦になるので自分から攻めて1つでも多く勝ち上がりたいです。
――全日本への意気込みをお願いします
このメンバーで組手ができるのが全日本で最後になります。私が2年生で、2人が1年生の時から3人でやってきました。2人に感謝の気持ちをもって、3人で出来ることを全力出し切ってまずは1回戦を勝ち上がりたいです。
石川みらい(社3=群馬・前橋工)
――きょうはどのような意気込みで臨まれましたか
きょうは去年(21.8点)よりも良い点数を出そうという気持ちで臨んだんですけど、結果が伴いませんでした。
――試合を振り返っていかがですか
自分たちの調子もあっただろうし、少し空気に飲まれたというか、緊張もあったのかなと思います。去年と同じメンバーで結束力がより増して、いい感じでやってきてはいたんですけど。
――先日の全日本松濤館選手権では準優勝されましたが
その時は自分の形ができたというか運がよかったです(笑)。決勝の形は自分の目指していた形ができたので、その時は一番メンタルが強かったと思います。今回もいつも通りやろうとしたんですけど、どうしても難しいのは緊張でした。
――5位で全日本出場という結果について
最初は5番まで行けるというのを知らなかったので、4組で「終わったな」と思ってたんですけど、まさかという感じです。内容が内容で点数も上がらなかったので、自分たちで満足はしていないんですけど、これを良いチャンスだと思って、このチャンスをものにできるように、このあと1か月練習をしていきたいです。
――試合後コーチ陣からはどのような言葉をかけられましたか
コーチ陣も「出られるのか」といった感じだったので(笑)。「頑張るしかないな」という風に声をかけていただきました。全体的に見て他の大学と比較したときに力強さが足りなかったりしているので、体の使い方も審判受けをするような形を目指しつつ、自分たちの強みを出せるようにやっていきたいなと思います。
――全日本への意気込みをお願いします
この団体で行く初めての全日本なので、挑戦者の気持ちで、後悔のないように行けるところまで行きたいと思います。
鈴木捷太(スポ2=群馬・太田)
――きょうはどのような意気込みで臨まれましたか
自分たちはベスト6位まで全日本にいけるということを知らなったので、ベスト4に常連の大学を追い越して、全日本出場を目指すつもりで臨みました。
――去年とはメンバーが変わって団体形は2年生だけになりましたが、どのように稽古をされてきましたか
去年と違う形で、全部リニューアルして新しいことに挑戦してきていたので、わからないことだらけではあったんですけど、やっていくなかで方向性が決まっていきました。去年は先輩に引っ張っていってもらうだけだったんですけど、お互い引っ張りあって練習に取り組んできました。
――3人で試合前はどんな言葉をかけあっていたのでしょうか
団体形の公式戦は初めてというメンバーもいたので、平常心でいつも通りということを話していました。
――7位という結果について
不完全燃焼というか、やり切れた感じがしなくて、負けたことよりもいつも通りの動きができなかったことが悔しいです。
――具体的には何ができなかったのでしょうか
上がってしまって、周りとの比較以前に、技術的なところというよりはメンタル面で弱い部分が出てしまいました。これまで意識して積んできたものは他の大学と比べて間違っていないと思うんですけど、それが発揮できなかったのでメンタルの部分で問題があったかなと思います。
――今後はどこに照準を合わせて稽古していきますか
個人としてはここからだと一番近いのは早慶戦で自分には組手で出るチャンスがあるので早慶戦で勝つという目標があるのと、団体としては来年の関東団体、春の関東個人にも繋がる練習を両方念頭に置きながら頑張っていきたいと思います。
芝本航矢(スポ1=東京・世田谷学園)
―― きょうの試合への意気込みを教えてください
きょうは絶対勝つ、何が何でも優勝するという強い気持ちで臨みました。
――1回戦の立正大戦では、6−0で圧勝しました。1回戦を振り返っていかがですか
調子は悪くありませんでした。早稲田大学の先鋒として、チームを盛り上げられたなと思います。
――2回戦は0−2と惜敗でした
間合いとか組手がかみ合わなくて、自分の思うような組手が出来ませんでした。せっかく試合に出させていただいたのに申し訳ないなという気持ちがあります。次に出させてもらうときは、この悔しさを忘れずに挑みたいと思います。
――個人ではなくチームとして、この結果をどう受け止めていますか
負けたことをしっかりと反省して、チーム一丸となって次の全日本で日本一を獲るという強い気持ちで日々練習していきたいと思います。強い気持ちで全日本に臨みたいです。
――具体的な反省点を挙げるとしたらどこでしょうか
身長の高い相手に対して、遠い間合いから素直に攻めてしまいカウンターをもらうという場面がありました。もう少し自分の組手に意地悪をして、相手に読まれないような詰め方で相手を捕えるというのを課題にしたいです。
――今月末の関東学生体重別選手権への意気込みをお願いします
世界学生の選考会も兼ねている試合なので、しっかり勝って、早稲田大学には強いやつがいるというのを見せたいです。優勝して、世界学生に繋げられたらと思います。