早大勢は苦戦、主将の末廣哲「思い切ってやれなかった」

空手

 文化の日に行われた関東学生体重別選手権に団体戦のメンバーが中心のAチームの選手はもちろん、普段の公式戦では裏方に回るBチームの選手も数多く出場した。早大勢は早々と敗退する選手が目立ち、最高成績は男子67キロ級に出場した末廣哲彦主将(スポ4=東京・世田谷学園)のベスト8。再来週に控えた全日本大学選手権に向け、チーム全体で弾みを付けることはできなかった。

 個人戦ということもあり、多くの選手が出場。だが、早大の選手たちは次々と敗退していく。Bチームの選手はおろか、今尾光(スポ3=大阪・浪速)らAチームの選手も厳しい戦いを強いられた。末廣哲も準々決勝で法大の1年生の前に0-1の敗戦。3回線では1-1のロースコアになってしまい、判定勝ちで突破する辛勝だった。「もう少しプレッシャーを掛けて思い切って技を出さなければいけない」(末廣哲)。お互いに得点が取れない中で積極的に技を出してきた相手選手を認めざるを得なかった。

気迫のこもった戦いを見せた末廣哲。惜しくも準々決勝で敗退となった

 全日本大学選手権(全日本)前の貴重な実戦であり、個人の力を試す絶好の機会だった。しかし、早大の選手は次々と敗退。他校に比べて個の力ではまだ劣っているのが現実だろう。気付けば一年の集大成となる全日本大学選手権まで2週間余り。残された時間は決して多くない。短期間で劇的に力を上げるのは難しいかもしれないが、細細かい部分の修正を徹底できれば勝機は広がる。そして何より楽しむこと。「楽しんで日本一を目指す」。4月に意気込みを伺った時の末廣哲はこう口にした。泣いても笑っても現体制で臨む最後の試合。一年間の歩みを証明すべく、最後は最高の笑顔で有終の美を飾ってみせる。

★減量は練習より過酷?

厳しい減量に立ち向かった中村。2回戦で国士館大の強敵を相手に敗れてしまった

 今大会は体重別ということもあり、厳しい減量に取り組んだ選手も少なくない。昨年は女子55キロ級に出場した中村朱里(スポ2=愛知・旭丘)は50キロ級に登場。強敵を相手に負けはしたが自分の限界に挑戦できたことは大きな経験だった。「ヘロヘロです(笑)」とは試合後の末廣哲。最近は一食にコンビニエンスストアのサラダしか食べない生活を送ってきたという。減量に励む部員たちの中にはお互いの体重を報告して励まし合ってきた部員もいたとか。試合には勝てなかったが、過酷な体重制限を乗り越えて精神面も部員間の絆も強まった?

(記事 郡司幸耀、写真 萩原大勝、杉野利恵)

結果

▽男子67キロ級

末廣哲 ベスト8

※上位進出者のみ掲載

コメント

末廣哲彦主将(スポ4=東京・世田谷学園)

――まず、この大会の位置付けというのはどう考えていましたか

チーム全体として個人でどこまでやれるか、それと参加人数が多いのでBチームの力を図る、そしてAチームも一人でどれだけ勝てるか。前期では「団体としては強いね」というレベルでしかなかったので。そこを計るという意味で今回は重要な大会でした。

――Bチームの選手たちはなかなか勝てずに苦戦を強いられたと思いますが

決めが弱かったですね。攻撃を仕掛けきれませんでしたし、積極性に欠けたのかなと思います。もう少し攻める気持ちでやってほしかったなというのが正直なところです。

――前回の関東大学選手権では完敗を喫しましたが、きょうこの日までチームはどのように練習してきましたか

一週間に一回に練習試合をして改めて基本の大事さを感じましたので、チーム全体で基本の見直しを徹底してきました。その中で良くなった人と、基本から何も得られなかった人といたんですけど、得られた人も結果が伴ってないので。そこはもっと徹底していかないと。あとはもう少し実戦を増やしていこうかなと思います。

――哲彦選手自身は最近攻め立ててはいるものの、なかなか技が決まらずポイントに結び付かない場面が目立ちます

きょうの負けた試合なんかはもう少しプレッシャーを掛けて相手があわてたところをポイント取りたかったなと思いますね。あとは、上半身に力が入っていました。打ち込みのときから力が入っていたので、できるだけ点を取られないようにと意識していました。それでロースコアになってしまったのかなと。ロースコアだから取り返しづらい、審判にも印象が良くないというのは、2、3回戦からの積み重ねでも思いますね。

――最後は0-1の惜敗でしたが、どう受け止めていますか

正直、(あの1点は)抜けたと、ポイントじゃないと思ったんですけど、きょうの審判を見ている限りいつもより遠くでも点を取っていたので、そこを踏まえていないといけなかったです。あそこのタイミングで思い切って技を出してきた相手の方が上なのかなと思います。僕ももう少しプレッシャーを掛けて思い切って技を出さなければいけないと思います。

――準々決勝での敗退という結果についてはどう受け止めていますか

決勝まで行くつもりで準備はしてきたので。(準々決勝が)一つのヤマ場だと思ってきたので、そこで勝ち切れない、思い切ってやれなかった痛かったと思います。そこは修正して全日本(全日本大学選手権)を迎えたいです。

――次はいよいよ全日本です。最後にどんな戦いを見せてくれるでしょうか何より楽しむということをモットーにやってきたので、一年の集大成としてみんなで思い切って楽しんでやっていきたいと思います。

中村朱里(スポ2=愛知・旭丘)

――きょうの大会はどのような位置付けで臨まれましたか

この大会に去年は55キロ級で出て自分の普通の体重で出たのですが、ことしは減量をしてみようと思って50キロ級で出ることにしました。1カ月間減量して7キロ落としました。減量がめっちゃめっちゃきつかったのですが1カ月間耐えて、結果としては負けてしまいましたがいい鍛練になったと思います。自分の限界に挑戦できたという点では良い大会になったと思います。

――どのような目標を持って試合に挑まれましたか

目標が何位とかはないのですが、自分の体格と同じぐらいの体格の人が出る大会なので、一試合一試合を勝ちにいこうという気持ちでいました。

――1回戦を不戦勝で勝ち上がられて2回戦敗退という結果でしたが、2回戦を振り返っていかがですか

2回戦の相手は強い相手で、手足が長く、スピードも速く、自分とは逆の構えをする、自分にとってやりにくいスタイルの選手でした。さらに自分も1回戦は不戦勝できょう初めての試合だったので、体が固まってしまってやりづらかったんですけど、後ろで3年生の今尾光先輩(スポ3=大阪・浪速)が応援してくれていてすごく声も掛けてくれたので、緊張が少しほぐれて、「こうしないと」など思いながらやりました。

――以前からおっしゃられていた気持ちを前へ、という点ではいかがですか

前で先に点数を取らないと、と思って先に攻めて返し技で逆に相手に先制点を取られてしまったので、前に出るという気持ちはあったんですけど、1本目で取りに行けていない詰めの甘い部分があるのでそこを改善して、1本でしっかりと点数を取れるようにしていきたいと思います。

――女子組手としてはきょうの試合はいかがですか

女子組手としては個人の試合なのでそれぞれが目標を持ってやっていると思うんですけど、渡邊(仁美、社2=東京・雙葉)とは一緒の50キロ級で、二人とも減量しなくてはいけなかったので減量の段階からLINE(無料通信アプリ)でお互いに体重を報告したりして励まし合いながら、減量を頑張りました。試合は一つ一つを大事に勝っていこうという気持ちで臨みました。菜乃先輩(越間、教3=島根・石見智翠館)は階級が違うのですが、去年減量を経験しているので辛さを分かってくれてすごく応援してくれていてうれしかったです。

――来週には全日本の試合がありますが、課題や収穫点などは見つかりましたか

全日本もトーナメントが出て、やる相手も分かっています。まずは目標としては団体で一つ一つ勝つことなので、一人一人が前に出るという気持ちをもっと前面に出して、前に出るだけじゃなくて点数を取れるように、前に出ていけるようにみんなでしていきたいと思います。

――再来週の全日本に向けて意気込みをお願いします

3人で盛り上げて一体となって戦っていきたいと思います。