創部85周年!世代と国境を越えた祝賀会に

空手

 この日の午後に行われた演武会に引き続き、リーガロイヤルホテル東京にて早稲田大学空手部創部85周年記念祝賀会が開かれた。現役部員を始めOB・OG、さらに国外からも多くの来賓が出席。文化の相違を感じさせない晴れやかな雰囲気で会場は大いににぎわいをみせた。

国外からの来賓へ向けて英訳を交えながらあいさつする田中愛治部長

 まず、ここ五年間で亡くなられた先輩方へ向けて1分間の黙祷を行った後、田中愛治部長(昭49政経卒)の式辞から会が始まる。「私は政治経済学部を卒業しましたが、本当の卒業は空手部です」とユーモアあふれるあいさつで会場を大いに沸かす。5年前の創部80周年の祝賀会に続いて二度目の出席となった鎌田薫総長(昭45法卒=東京教育大付駒場)は「世界各地からこの場にお集まりくださいましたことについて、早稲田大学を代表して感謝の念とそれから祝意を申し上げたいと思います」と、長き伝統を祝うとともに国際化を目指す大学としても謝意を表した。その後、稲門空手会会長の金子茂男氏(昭49法卒)による乾杯を行うと、会場内のボルテージは最高潮となり歓談の時間を迎える。皆思い思いに食事や会話を楽しむ中、過去五年間の部員の活躍が上映。その素晴らしい健闘ぶりに、拍手や歓声が上がる。続いてOBの現役時代の写真がスライドに映し出されると、世代や国境を越えた会話で笑い声が絶えることはなかった。

創部85周年を祝う言葉を述べた鎌田総長

 会も終盤に近づくと現役部員たちが壇上に上がる。代表として末廣哲彦主将(スポ4=東京・世田谷学園)が歴代の先輩方への感謝と今後の取り組みについて述べると会場は大きな拍手に包まれた。そして最後は全員で円をつくり、肩を組んでの校歌斉唱。空手部のつながりの強さを心から感じた瞬間であった。大盛り上がりとなった祝賀会は稲門空手会副会長の松本隆広氏(昭49政経卒)による一本締めで幕を閉じた。

現役部員を代表して話す末廣哲主将

 部員たちにとっては古き歴史をもつ体育会の一員になれたことへの誇りと感謝を改めて感じた一日になっただろう。「引き継がれてきたワセダの空手というのを忘れずに」(末廣哲)。先輩方からの思いを受け取り、目指すは日本一。部員の思いは闘志となって熱く燃え上がっている。全日本大学選手権への切符となる関東大学選手権まで残り2週間。どんな活躍を見せてくれるだろうか。今後も彼らの活躍から目が話せない。

(記事 秦絵里香、写真 郡司幸耀)

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コメント

鎌田薫総長(昭45法卒=東京教育大付駒場)

 創部85周年記念式典が盛大に開催されましたことにまずは心よりお慶び申し上げます。稲門空手会の皆さま、そして早稲田実業の若い生徒さんまで大変幅広い皆さん、また世界各地からこの場にお集まりくださいましたことについて、早稲田大学を代表して感謝の念とそれから祝意を申し上げたいと思います。私は総長になって6年目ですけれども、この会に来るのは二度目でございます。早稲田大学の体育各部のこういう式典には100周年くらいでないと引き受けないことに「なっておりますけれども、80周年と85周年と二回も出席させていただいたこと、大変うれしく思っております。この稲門空手会の皆さまを中心にしたこの集まりは早稲田大学の体育会の事業の中でも最も盛大であり、かつ最も国際的な会であることに最大限の敬意を表するために出席をさせていただきました。とりわけ大島劼先輩(昭28政経卒)のご尽力によりまして海外から多くの皆さまに駆け付けていただいているということはもちろん空手部にとってもそうでしょうけれども、早稲田大学にとっても大変誇らしいことでございます。空手部は85年前、1931年に創部され、その2年後には早稲田大学の体育会として公認をされました。その当時の部長は、私も法律家でございますけれども、法学部の大濱信泉先生(大7法卒)でいらっしゃいます。大濱先生は十二年間に渡って早稲田大学の総長を務められました早稲田大学にとっても大変大切な人でございます。大濱先生は空手の一つの源流であります沖縄からさらに南の石垣島のご出身でいらっしゃいまして石垣島には大濱信泉記念館という立派な記念館もあります。最近ワセダから訪れる人が大変少ないと地元の人は嘆いておりますので、ぜひお時間がありましたら石垣島の大濱信泉記念館を訪問いただければ大変うれしく思います。早稲田大学空手部の皆さまは本当に文字通りの文武両道を体現され、卒業後は各界で大変なご活躍をされております。早稲田大学の空手部を発展させただけでなくまさに日本の空手を世界に広めていただいたということで大島先輩を始めとして早稲田大学空手部の諸先輩方に心からの御礼を申し上げたいと思います。早稲田大学の創立者である大隈重信もたびたびですね、スポーツの大切さ、とりわけ学生がスポーツを行うことの大切さを強調いたしております。何よりも体力がこの世の中でしっかりとした人生を歩み、また世界に貢献するために最も重要な基礎であります。それに加えてスポーツを通じて養われる精神力、あるいはルールを遵守する遵法精神をスポーツを通じて学ぶことは極めて重要であるということを協調しております。空手はそういう意味では非常に精神性の強いスポーツでありますから、大隈老公の教えを受け継いでいく上では非常に適切なスポーツであると思います。それと同時に、大隈老公は学生はスポーツを打ち込んだために大学の卒業が少し遅れてもいいというようなことをおっしゃっておりまして、その教えを遵守した先輩も大勢この中にいらっしゃるのではないかと思います。それぐらいスポーツのために打ち込む一年間というのはその後の人生に大きな成果をもたらすということを強調したかったのだと思います。そういった意味でもちゃんと四年間で卒業した先輩も含めて空手部の皆さま方が世界でおおいに活躍されていることに重ねて敬意を表したいと思います。空手部の85年の歴史に対して重ねて敬意を表するとともにますますのご発展を記念して私のあいさつとさせていただきます。

田中愛治部長(昭49政経卒、政治経済学術院教授)

 皆さまこんばんは。只今ご紹介にあずかりました空手部長の田中愛治でございます。本日はお休みにもかかわらず、また足元の悪い中、早稲田大学空手部の85周年の記念式のためにお集まりいただきまして誠にありがとうございます。早稲田大学は松濤館の船越義珍師範の直接の教えを受けた数少ない大学の一つであります。現在も数名の先輩方、渡部俊夫先輩(昭16政経卒)や大島劼先輩、三上豊先輩(昭34商卒)といった現役で活躍されている先輩が直接船越師範の教えを受けているその松濤館の伝統を守ってきた数少ない大学の空手部です。そしてかく言う私も空手部の卒業でございまして、政治経済学部は卒業しておりますが、本当の卒業は空手部でございます。私は空手部を卒業したことを大変誇りに思っておりまして、空手部の稽古・訓練を受けていなければ今日の私はないというふうに思っております。そのように思えることを大変感謝しております。あまり長くなってもいけませんので本日は個々にお越しいただきました皆さまに感謝の気持ちを申し上げまして、楽しくお過ごしいただきたいと思います。

末廣哲彦主将(スポ4=東京・世田谷学園)

 早稲田大学空手部主将を務めております、末廣哲彦です。本日はこのような会を開いていただきありがとうございます。いま私たちがこうしてワセダで空手をできるのも、諸先輩方が積み重ねてきた歴史のおかげだと思っております。また、いま部員のほうは29名在籍しておりまして、日々『日本一』に向け練習を重ねております。今後とも先輩方に良い報告ができるように頑張りますので応援の方をよろしくお願いします。ありがとうございました。

――きょう一日を振り返っていかがですか

外国の方とも一緒に練習できたりとか、OBの先輩方にたくさん来ていただいたので、空手やっていて良かったなと思いました。

――式典では多くの先輩方とお話をされている姿が見受けられました

「いまどういう練習しているの?」と聞かれたり、逆に昔のお話を聞かせていただいたりです。いまとの違いを感じたのと同時に、いろいろな話を含めてやっぱりみんな空手が好きというのを改めて感じましたね。

――直接関わった柴崎暢子先輩(平26社卒)や薬師寺拓哉先輩(平27商卒)の姿も見えましたが、何か言葉は掛けられましたか

「頑張っているみたいだね」と。自分たちのことも気に掛けていただいていたみたいで、そういう声を掛けていただきました。柴崎先輩は会社の先輩にもなるので(笑)、頑張ろうということで声を掛けていただきました。

――ことし85周年を迎える早大空手部ですが、その節目の年に主将を務めているということに関してはどう感じていますか

本当に良い経験させていただいていると思っていますね。今まで一年掛けて準備してきて、そういうものも全部見ていたので。その上で先輩方の前であいさつさせていただくというのは緊張しましたけど、なかなか味わえないことだなと思って楽しめましたね。

――これから90年、100年に向けて歩むことになる早大空手部の将来に向けて一言お願いします

どれだけ部が変わったとしてもワセダの先輩方から引き継がれてきたワセダの空手というのを忘れずに。後輩たちはもちろん、自分も社会人になってもそれを忘れずにやっていきたいと思います。