男子団体優勝!個人戦でも男女二名が入賞を果たす

空手

 4月10日、法大市ヶ谷総合体育館にて行われた第26回東京六大学大会。今季の開幕戦となったこの試合で早大は最高の滑り出しを見せた。男子団体で優勝を飾ると、続く個人戦でも男子は澤入迅人(スポ2=静岡・常葉菊川)が、女子は中村朱里(スポ2=愛知・旭丘)がそれぞれ3位入賞を果たす。新体制として臨んだ初の対外試合で好結果を残し、大きな自信を得た。

 午前は男子が6校、女子が5校の総当たりで団体戦が行われた。女子はいきなり2連敗を喫するも、その後の東大と法大には連勝。なんとか巻き返したが、3位という結果に終わった。一方の男子は初戦の明大にこそ、合計点の差で惜敗するも、立大、東大、慶大には完勝。3勝1敗で法大との最終戦に臨んだ。ここまで4連勝中の強豪との、優勝の行方を占う大一番。まず、先鋒・末廣祥彦(スポ3=東京・世田谷学園)が上段突きで着実にポイントを重ね、勝ち星を持ち帰る。中堅・今尾光(スポ3=大阪・浪速)も勝利し、優勝まであと1勝という場面で登場したのは末廣哲彦主将(スポ4=東京・世田谷学園)。序盤から中盤にかけては互いにけん制し合い、膠着(こうちゃく)状態が続いたが、末廣哲が終盤に相手選手を倒して上段突きを決める。「よく集中できていた」と言うこの一本で勝負あり。早大が3-1で勝利し、東京六大学の頂点に立った。

優勝した男子団体メンバー

 午前の男子団体優勝の流れをそのままに、個人戦でも早大勢が躍進。男子個人組手に出場した澤入は持ち前の負けん気を前面に出して勝ち進んでいく。「もっと自分から前に出ていけたら」(澤入)。準決勝で敗れ、悔しさをのぞかせたが、堂々の3位入賞を果たした。女子では中村が中段蹴りを中心に点を重ね、ほぼ無傷のまま準決勝へ。しかしその準決勝では、4点をリードしながら立て続けに5点を連取され、逆転負け。「集中力が最後までもたなかった」(中村)。次戦は試合終了まで高い集中力を持続させたい。

個人戦では3位入賞を果たした中村

 早大が伝統的に重んじてきたものこそ『自主性』。どんな時も自分に何が必要かを考え、主体的に練習に励んできた。この日は男子団体の優勝に加え、個人戦でも2人が3位入賞。代々受け継がれてきた早大空手部の精神が、一つの結果として実を結んだ。そんな彼らが次に見据えるのは5月の東日本選手権。昨年、まさかの初戦敗退を喫し、苦杯を舐めた因縁の舞台だ。「きょうの勢いそのままにしっかり一戦一戦大切に勝ち上がれれば」(末廣哲)。先を見すぎる必要はない。目の前の勝利をつかみ続けたその先に、栄冠は見えてくる。

(記事 郡司幸耀、写真 鎌田理沙、杉野利恵)

★ルーキー・笹野が奮闘!

蹴りを繰り出す笹野

 この試合が大学デビュー戦となった笹野由宇(スポ1=東京・世田谷学園)が新人ながら団体、個人ともに奮闘した。「かなり緊張していた」と言う笹野は序盤こそ固さを感じさせたものの、徐々に調子を上げていく。団体戦は主に次鋒として東大戦と慶大戦で勝ち星を挙げるなど、優勝に貢献。個人戦では惜しくも準々決勝で敗退したが、今後の活躍を予感させた。「1年生からレギュラーになってチームに貢献したい」と意気込むルーキーが、フレッシュな力で早大を勝利に導く。

結果

▽男子団体組手

早大 優勝

【優秀選手】

 末廣哲 末廣祥 今尾

▽女子団体組手

早大 3位

【優秀選手】

 中村

▽男子個人組手

澤入 3位

▽男子個人組手

中村 3位

コメント

末廣哲彦主将(スポ4=東京・世田谷学園)

――男子団体で見事に優勝を果たしました!

素直に嬉しいという思いがありますね。ただ、一試合一試合を細かく見ると課題もまだまだ多いなというのが正直なところですね。力を出し切れていない部員もいたので、そういうところをもっともっと本番に強くやれたらなと思います。

――最後の法大戦では一本を決め、優勝を大きく手繰り寄せました

あの時は夢中で。負けてられないなと思ってとっさに出たので、個人的にはよく集中できていたのかなと思います。

――団体戦、個人戦ともに1年生の笹野選手が奮闘しました

想像以上の働きをしてくれたかなと思いますね。やっぱり高校から大学に上がってすぐでちょっとやりづらい部分もあったかと思うんですけど、そこも上手く調整しながらやってくれたので、東日本に向けてもチームとして層の厚みが出たのかなと思います。

――個人戦では中村選手と澤入選手が3位入賞を果たしました

あの二人も一年間やってきて、大学の空手に慣れてきましたね。澤入は負けん気が強いので、それをしっかり発揮してくれたかなと思います。中村もそういう部分は持ってます。準決勝の時は引き気味になったんですけど、いい技が出てるのであれを継続してもらいたいです。

――新体制になりきょうの開幕戦を迎えるまで、主将としてどのようなチーム作りをしてきましたか

本当に自主性というものだけです。自分の方から「ああしろ、こうしろ」と言うことはせずに、基本的な練習の中で自分で考えてやるということを徹底させて。それが試合中の修正能力にもつながったと思っているので、やり方は間違ってなかったと思えた試合でしたね。

――最後に次戦の東日本選手権への意気込みを聞かせてください

優勝をしっかり狙って、きょうの勢いそのままにしっかり一戦一戦大切に勝ち上がれればなと思います。

澤入迅人(スポ2=静岡・常葉菊川)

――団体戦優勝おめでとうございます。いまの率直なお気持ちはいかがですか

ずっとチームになってから、優勝しようと言ってやってきていました。他の大会に勝つにもまず六大戦で優勝しなきゃ始まらないと言っていたので、うれしい気持ちもありますね。

――少し悔しい気持ちもありますか

そうですね。自分はあんまり団体戦で活躍できなかったので、悔しい気持ちはあります。

――個人戦は振り返ってみていかがですか

3位だったのですが、負けた試合では、プレッシャーに負けていたかなとあったので、最初からもう少しガツガツいけたらよかったと思います。

――今季開幕戦となり、先ほどもおっしゃっていましたが、きょうは勝つという強い意気込みで臨まれましたか

はい、わりとやる気で臨みました。

――きょうは1年生の活躍も目立ちましたが、どのように映りましたか

きょねんの自分たちより、もうちゃんとやってくれていたのですごいなと思いました。

――刺激になりますか

自分がちゃんとしないといけないという気持ちになります。

――2年生になり後輩もできたと思いますが、どのような先輩になっていきたいですか

いろいろ教えていく立場なので、そういうのをちゃんとできるのが当然なんですけど、試合でやはり勝つことも後輩には大きく映る姿だ思うので、試合で勝つことが自分たちが一番やることかなと思います。

――きょう見つかった課題はありますか

きょう見つかった課題は、やはりちょっと引いてしまうところがあるので、もっとガツガツ前に自分から出ていけたらなと思います。

――次は東日本選手権がありますが、それに向けての意気込みをお願いします

昨年の東日本選手権は1回戦敗退だったので、ことしはしっかり全員で集中していきたいです。優勝するのも夢ではないと思うので、しっかりきっちり練習して、優勝目指したいと思います。

中村朱里(スポ2=愛知・旭丘)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうの試合は団体戦から始まりました。最初は緊張していて体が硬くて思うように動きませんでしたが、だんだん試合をこなすにつれて、体が動くようになってきました。自分の中では練習してきたことが出せるようになってきたかなと感じます。

――団体戦では3位となりましたが、収穫や課題などは見つかりましたか

団体戦では今回の六大学大会で初めて、組手メンバーは女子が3人しかいないのですが、この3人で出続けることができてとても良かったと思っています。自分と菜乃(越間、教3=島根・石見智翠館)先輩が勝たないと次につながらないので、これからはもっと二人が強くなって二人で勝ち上がってひとみにバトンタッチできるようにしたいと思います。

――男子の優勝についてはどう思われますか

男子は日本一を目標にして練習しているので練習が最近きつくなっているのも見ていて、優勝するだろうなと思っていました。予想通りで、良かったです。

――個人戦では3位となられましたが、個人戦を振り返っていかがですか

個人戦は午前中の団体戦のおかげで体がほぐれていたのでよく動きました。いつもはあまりやらない蹴り技で1回戦、2回戦と流れたのが良かったです。準決勝は早慶戦でもやっている相手なのですが、早慶戦では引き分けだったのですが、今回は負けてしまったので次の早慶戦は勝ちたいと思います。

――準決勝ではご自身が4連続ポイントを取ったあとに相手選手に5連続ポイントを取られ、逆転負けという形になってしまいましたが

集中力が最後までもたなかったというのが大きいと思うので、もっと集中を切らさない練習をしたいと思います。

――優秀選手もとられていましたね

優秀選手は団体戦の優秀選手なのですが、誰でも良かったと思いますが、自分が一番勝ち点が多かったのでもらいました。うれしいです。

――次戦での目標をお願いします。

東日本団体に同じメンバーで出ます。1回戦から勝って、ひとつひとつを大事にしていきたいです。ベスト8が目標です

笹野由宇(スポ1=東京・世田谷学園)

――きょう一日を振り返っていかがですか

朝からかなり緊張していたのですが、先輩方の掛け声もあって、1試合目を終えてからは徐々に調子が上がっていきました。初試合にしては良い戦いができたと思います。

――どうしてワセダを選んだのですか

高校のOBで憧れの末廣(哲彦、祥彦)先輩がワセダに進まれていたので、自分も同じ道に進みたいと思い、ワセダを選びました。

――ワセダの空手部の雰囲気はいいかがですか

オンとオフの切り換えがとても早いと感じました。練習が始まった瞬間にトップギアが入るので見習っていきたいです。

――形と組手ではどちらに力を入れていきたいですか

高校までは型の方が成績は良かったのですが、大学では組手メインでやっていきます。

――最後に四年間の抱負をお願いします

1年生からレギュラーになってチームに貢献したいです。日本一を目指して頑張ります。