今尾が3位入賞!創部史上初の快挙

空手

 5月5日、関東学生選手権が日本武道館で開催された。7月に行われる全日本学生選手権(全日本)への切符が懸かるこの大会。そのボーダーラインであるベスト32以上まで駒を進めるため、誰もが必死で食らいついていた。組手では今尾光(スポ2=大阪・浪速)が3位に入賞し創部史上初の快挙を成し遂げ、優秀選手賞を獲得。末廣祥彦(スポ2=東京・世田谷学園)もベスト16入りを果たし、全日本への出場権をつかみ取った。

 組手では男子7人女子2人が出場した。中でも目立ったのはやはり今尾である。初戦は30秒を残して6−0で勝利し、滑り出しは上々。難なく駒を進めていく。昨年の関東学生選手権で「自分より体格の良い選手が苦手だ」と口にしていた今尾だったが、迎えた4回戦、昨年破れた相手である、大きな体格の芳賀(拓大)に当たると、上段突きを2度決め着実に点数を取り白星を奪っていった。続く5、6回戦でも試合の終盤で蹴りを決めるなど、体力面も向上している。今尾は「正直ベスト4まで来れるとは思っていなかった」と語ったが、この1年で確実にレベルアップしているのが見てとれた。

攻めの体勢を終始維持していた今尾

 しかし末廣祥も負けてはいない。「気持ちが前に出ていた」と語る末廣祥は、初戦で開始7秒後に上段蹴りを決め、8−2で抑えるなどその言葉通り勢いづいていた。終始引き締まった表情で戦い、その流れのまま勝ち進んでいく。3、4回戦では格上の相手にも判定勝ちで制した。準々決勝で惜しくも敗れたが、全日本出場が決定した。高校までのプレースタイルを一から組み直したという末廣祥だったが、「少しずつ慣れてきて自分のかたちができつつある」という。今尾と同様に躍進し、またこれからの成長の兆しが見える。自身の型が完成してからの末廣祥にも期待だ。

得意の蹴りを何度も入れた末廣

 「空手部全体の底力が上がってきている」と永田達矢主将(商4=東京・早稲田)が語る通り、今尾、末廣祥に続き、1年の澤入迅人(スポ1=静岡・常葉菊川)や塚本惇樹(スポ1=千葉・拓大紅陵)も奮闘し3回戦まで駒を進めた。「緊張はあったが、相手のことをしっかり見て、落ち着いて出来た」(塚本)この2人も来年は一回り大きくなってこの大会に臨んでいることだろう。次世代コンビの今後に期待が高まるばかりだ。次は団体戦である東日本学生選手権。団体戦でこそ、進化しつつある早大空手部の底力を見せ付けて欲しい。

★形で石川が高得点!

 形には男子2人、女子4人が出場。惜しくも上位トーナメントに進む者は居なかったが、石川みらい(社1=群馬・前橋工業)が1年生ながらキレのあるジオンを披露し、圧倒的な存在感を示した。大学最初の大会でトップバッターではあったが、しかし何一つ動じず、しっかりと自分の形を見せた。得点は21.9。上位入賞には繋がらなかったものの、高得点をたたきだした。「ワセダの名前を今回のような大会で売ることができるような大きな選手になりたい」と今後の抱負を口にした石川。頼もしいフレッシュマンの活躍が楽しみだ。

キレのあるジオンで周りを圧倒させた石川

(記事 三田侑実、写真 渡辺新平、芦沢仁美)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

結果

【男子組手】

今尾 光(スポ2=大阪・浪速) 3位

末廣 祥彦(スポ2=東京・世田谷学園) ベスト16

コメント

永田達矢主将( 商4=東京・早稲田)

――今大会にはどのような気持ちで臨みましたか

ベスト32で全日本に出れるので、とりあえずそこまでは行かないとなと思っていました。

――六大学選手権から今大会にむけて調整などはありましたか

練習中の試合数を増やしたりしていました。また、個人戦ということで、試合数が多くて体力が必要になってくるので、体力作りのために練習後の走り込みとかも自主的にそれぞれやったりだとか、トレーニングをしていました。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

1試合目は勝てたので良かったとして、2試合目は自分の間合いが掴みきれずにいて、自分の間合いより遠いところから飛んで行ってしまっていて、全然ツキが入っていないなという感じでしたね。あと、上段上段で入れてしまっていて、なかなか中段に入れられなかったので、そういうところは修正して、東日本に臨まないとな、と思います。

――今大会で残った課題や収穫したものはありましたか

全体的に腰も高くて、下からいくということができなかったので、下から下からというのを意識していかないとやっぱり強い相手だと当たり負けしちゃうと思うので。もっと足腰を強化して頑張っていきたいと思います。

――空手部全体で勢いが増してきていると思うのですがいかがですか

男子は組手は7人しかでれなかったんですけれども、全体的にレベルが上がってきていると思います。全体の底力が上がってきているからこそ上も危機感をもって練習できるので、そういう面ではみんな頑張ってきてるなと思います。

――次回の大会に向けて意気込みをお願いします

きょねん3位に入って全日本への出場権を獲得しているので、3位以上に食い込んで行けるようにしていきたいと思います。きょねんのベスト4がまぐれだったと言われないように、それが必然とできるようにみんなで頑張っていきたいと思います。

今尾光(スポ2=大阪・浪速)

――昨年度のベスト32からかなり順位を上げ、きょうはベスト4となりました。いまのお気持ちは

正直に言うと、ベスト4まで行けると思っていませんでした。その後負けてしまいましたが、満足している部分もあります。負けた試合では課題が残ったので、次に生かしてやろうとは思っていますが。昨年負けた相手に勝つことができたので、それは自信になりましたね。

――昨年負けた拓大の芳賀選手は大柄で、昨年度は体格差に苦しんでいらっしゃいましたが

試合運びを常に意識して、身体の大きい選手とも戦えるような空手を意識するようにしていました。

――6回戦、準々決勝はどちらも逆転勝利でしたが、その勝因は

集中力、そして勝つという気持ちを最後まで切らさず戦うことができました。それが勝利につながったのかなと思います。

――この試合に向けて準備してきたことは

個人戦なので、チームというより個人の力を存分に発揮するということ。そして、ワセダの名前をより大学空手界に知ってもらうためにも、全日本(選手権)に出たかったですね。3回戦に勝てば出られたのですが、そこまではしっかり勝ち進んでいきたい、と。失点のない空手を意識しました。

――創部以来初めてのベスト4入りかと思いますが

ただ、かなり前に全日本では上位に入賞していらっしゃる先輩がいらっしゃるので。それ以来かと思いますが、満足することなくこれからも戦っていきたいと思います。

――末廣祥彦選手(スポ2=東京・世田谷学園)もベスト8まで勝ち残っていましたが、意識はしていましたか

はい、自分の試合をしながらも、末廣祥彦の試合は気にかけていました。あいつが勝ち残っているなら負けられない、というライバル精神を忘れず、自分の試合にも気合いが入りました。

――同期ということで普段からライバル意識はあるのでしょうか

そうですね、常に意識しています。プライベートは空手は持ち込みませんが、常に一目置いて、互いに切磋琢磨(せっさたくま)できる良い仲間だと思います。

――次は団体戦の東日本選手権が控えていますが、目標は

昨年度3位になっているので、もちろん3位に入ること、そして今回こそ決勝の舞台に立つことです。

末廣祥彦(スポ2=東京・世田谷学園)

――今大会を振り返ってみていかがですか

目標は優勝だったのですが、全日本の出場権を得るためにはベスト32に残る必要があったので、そこは越えなければならないと思っていました。3回戦で強い相手と当たったのですが、気持ちで判定勝ちにもっていけました。きょうは調子が良かったので、それがでたのかなと思います。

――3、4回戦は判定となりましたが振り返ってみていかがですか

自分の方が前に気持ちが出ていて、技も積極的に出せていたため判定で旗が上がったと思います。

――敗れてしまった準々決勝を振り返ってみていかがですか

相手の動きが良いことも、相手の技についてもよく知っていました。自分が調子が悪かったわけでもなく、技もしっかり出ていて負けてしまったので一枚相手の方が上手だったと思います。

――今季のプレースタイルについてお聞かせ下さい

昨年は高校の組手を全部ゼロに戻して一から自分の組手を組み立てるというところから始めたので、それがいま少しずつ慣れてきて自分のかたちができつつあると思います。同期に今尾(光、スポ2=大阪・浪速)とか蹴りが上手い選手や先輩にも突きがきれいに取れる選手がたくさんいるので、真似して良い部分は取り入れています。自分のプレースタイルというものを考えながら、徐々に全日本までに作っていけたらと思います。

――次は団体戦となりますが、チームにおけるご自身の役割をどのようにお考えでしょうか

昨年は学連の試合ではないのですが、12月の全日本でベスト8に入ることができ、部内やOBの先輩方の期待を感じています。自分にとっては今尾がいるということが大きくて、今尾が絶対に勝ってきてくれるので、そこで自分がもう一個勝ちを作れば自分と今尾で二つ勝ちが取れて流れをもっていけるのではないかと思います。そして、あとは先輩や後輩に任せたいと思います。自分は駒というか、勝ちを取りにいける存在だと自分自身で思って勝負していきたいと思います。

――次の大会に向けての意気込みをお聞かせ下さい

東日本で昨年はベスト4に入っていて、そのような目で周りにも見られると思うので、もう一つ上に行って決勝の舞台で戦えることがベストだと思います。

塚本惇樹(スポ1=千葉・拓大紅陵)

――きょうの試合への意気込みは

この大会は全日本に繋がる大会だったので、それに出れるところまで勝ち上がりたいと思っていたのですが、結果はついてこなくて悔しいです。

――前回は緊張で思うような結果を残せなかったとおっしゃっていましたが、今回はいかがでしたか

日本武道館という大きな場所で初めて試合をしたので緊張はありました。

――1回戦と2回戦では果敢に攻撃しているのが印象的でした

緊張はありましたが、相手のことをしっかり見て、落ち着いて出来たとは思います。

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

まだ相手を攻めきって勝つことが出来ず、相手の動きを見てから仕掛けているので、自分の課題が克服出来てないなと思いました。

――きょうの試合で良かった点は

前回はポイントが全然取れなかったのですが、今回ポイントを取ることが出来たという点は良かったと思います。

――反省点は

自分から技を仕掛けてポイントが取れるようにしていきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

次は団体戦なので、チームに貢献できるよう一つ一つの試合を着実に勝っていきたいと思います。

石川みらい(社1=群馬・前橋工業)

――予選敗退という結果という結果について

この間群馬に戻った時に出た大会で音とか息吹とかを細かく注意されていたんですけど、それを少しでも克服できました。あとは(大学)デビュー戦にしては良い点数が出たのですごくうれしいです。とりあえずは予選を通過することが目標だったんですけど、やはりレベルが高かったのでこの結果を次につなげます。

――21.9点という高得点をたたき出しましたが、今回の演武の自己評価はいかがですか

ワセダに入って最初の試合にしては本当に良かったなと思います。

――入学後初めての試合でしたが緊張はありましたか

(予選のコートで)トップバッターだったということもあって少し構えたところはあったんですけど、トップバッターだということを分かった上でやっていたので、緊張はあまりしなかったかなと思います。

――きょう披露されたジオンはワセダの団体形で使うことが多いですが、団体形の練習はされているのでしょうか

きょうまでは個人形の練習をしていたんですけど、今後は団体に向けて練習を始めると思います。

――試合が始まる前に上級生の方々から何か声は掛けられましたか

「楽しんでこい」と言われました。

――大学トップレベルの選手を実際に目にした感想は

やっぱり筋力が全然違うなと思いました。自分は全然筋力がないので、ことしはあと3回しか個人戦がないんですけど、その3回に筋力をつけて臨みたいです。

――これからどういう選手になっていきたいですか

早大の名前を今回のような大会で売ることができるような大きな選手になりたいと思っています。

――今後に向けて意気込みをお願いします

高校時代でやってきたことも忘れず毎日の練習に励んで、ワセダを背負っている身なので、それに見合う選手になりたいです。