丸山主将がベスト4に輝く

空手

 4年生の意地を見せた。第24回関東学生体重別選手権。男子67キロ級に出場した丸山政宏主将(社4=東京・世田谷学園)は、自身初のベスト4に入った。男子84キロ級の谷崎遼介(政経4=東福岡)もベスト8と健闘。先日行われた関東大学選手権での不調を振り払い、二人にとって最後の個人戦に花を添えた。

 主将として、一切の妥協を許さない戦いぶりは目を見張るものがあった。各階級の中で出場人数が136人と最も多く、ハイレベルな戦いが繰り広げられた男子67キロ級。最初のヤマ場とされた3回戦は、2―2と同点のまま試合終了。再試合にもつれ込むも、集中を切らすことなく中段突きを2本決めて試合を制した。勢いそのままに4、5回戦と勝ち進み、迎えた準々決勝。対するは花車勇武(法大)。春の六大学大会決勝で敗れた因縁の相手だ。両者無得点で、けん制し合う状態が続く。残り40秒を切ったところで丸山が1点を先制するも、上段突きで技有りと有効を立て続けに許し、1―3と窮地に立たされる。残り時間は十数秒。しかしここで丸山主将は諦めなかった。負けじと上段突きで攻めていき、試合終了間際に見事逆転。4―3で勝利し、自身初のベスト4進出という快挙を成し遂げた。激戦を勝ち抜き、丸山主将は「正直にうれしい」と思わず笑みがこぼれた。

主将としての意地を見せた丸山

 男子84キロ級2回戦に登場した谷崎は、180センチの高身長を生かした試合を展開した。間合いでリードを取ると、上段突きで得点を重ねていく。積極的な攻めで相手を圧倒し、5―1と快勝した。3回戦では膠着(こうちゃく)状態が続くも、1―0の粘り勝ち。準々決勝では敗れたものの、ベスト8と健闘した。

上段突きで相手を圧倒した谷崎

 関東大学選手権で男子団体組手が初戦敗退と課題を残す結果となったが、個人戦となる今大会では4年生二人が嫌な流れを断ち切る活躍を見せた。11月10日には早慶定期戦が早大空手道場で開かれる。過去3年間敗戦を喫しており、4年生はまだ一度も勝利を手にしたことがない。「絶対に負けられない」(丸山主将)。4年ぶりの勝利を懸けて、伝統の一戦に挑む。

(記事 加藤万理子、写真 河合久美子)

結果

▽男子67キロ級

丸山 ベスト4

▽男子84キロ級

谷崎 ベスト8

※上位進出者のみ

コメント

丸山政宏主将(社4=東京・世田谷学園)

――ベスト8おめでとうございます、いまのお気持ちを聞かせてください

やっぱり入賞は正直にうれしいですけど、嬉しさ半分悔しさ半分という感じですね。4年間で最後だったので優勝を目指していたんですけど、途中でまだ力が足りないなと痛感する試合でした。

――関東大学選手権であまり調子が良くなかったと思いますが、それからきょうの好調の要因は

そうですね、反省するところは反省して。勝たなければいけないとか、ちょっと消極的になっていた部分があったので、あの試合をきっかけに開き直るじゃないですけど、やっぱり何のためにやっているかっていうと試合に勝つためにやっているというのもありますけど、思いっきり楽しくやりたいというのが一番の根底にあるので、せっかく練習しているのに勝たなきゃって堅くなっている自分がすごくもったいないなって気づいたので、きょうはその反省を生かせたのかなと感じています。

――きょう3回戦の日大・西本亮選手との試合がヤマ場だと聞いていましたが

そうですね。強豪校で、しかもメンバーで活躍している子で、高校からも知っている子だったので絶対に上がってくるなと思っていましたし。あそこを乗り切ればもうちょっといけるかなと感じていたので、しっかり勝てて良かったです。

――5回戦の美濃部秋五選手(駒大)では3点を許してからの勝利でした

美濃部君は実は高校の後輩なんです。彼もやっぱり高校時代頑張っていて、全国でも活躍した選手だし、先輩としての意地みたいなものがありました。最初3点取られた時、やばいなと思ったんですけど、そこはちょっと皆が見ている前だから、負けられないなと…。意地とプライドだけで頑張りました、あれは。

――準々決勝では六大学戦の決勝で敗れた花車勇武(法大)選手に見事勝利しました

同じ相手に2度負けたくないなというのが自分の中にあって。しかも相手は1年生ですし、恥ずかしいなという気持ちがあったので、とにかくあの試合はものにしたいというのが強かったので、接戦になりましたけど、いい感じに体が動いてくれたかなと思います。

――残り10何秒の状況から連続得点を決めました

焦らないで落ち着いてやるのが自分のスタイルというか、どんなに離されても空手って大技の倒しや蹴りで2、3ポイント入るんですけど、もしそれで入ったとしても自分の中で状況は変わらないというか、焦ってしまう部分もあると思います。1個ずつ返していければ、逆に相手にプレッシャーを与えられるという心理戦もあると思うので、その点では10何秒だけど焦らないで自分のスタイルで返せた、貫けたというのがあったと思います。

――試合内容としては2試合共に逆転勝利ということについて

やっぱり最後まで諦めちゃいけないなというのがあって。いくら点差が離れようが、時間を自分がうまく使えば、自分の流れに持ってくることができるので。3ポイント開いちゃったからもう駄目だなんて思ってやっていると、後輩も見ていますし。先輩が必死に1個ずつ返して逆転して、それを後輩が見てくれて自分のスタイルにつなげてってくれれば、頑張って良かったなって自分の中で思えるので、あの逆転は後輩のためにもすごく良かったかなと思います。

――今季残りの2試合に向けて

今回いろんな反省点を直すいい経験になった試合でした。本番は来週と再来週なので、全日本は絶対に強豪大学と勝ち逃せない一戦なのでとにかく上を目指して頑張るというのが目標です。早慶定期戦は絶対に負けられないなと、僕たち3連敗しているので。絶対に勝てる要素はあると思いますし、サブメンバーの子たちもいま一生懸命頑張って練習して慶大に必死に食らい付こうと皆で頑張っているので、とにかく来週は勝ちたいなと思います。

谷崎遼介(政経4=東福岡)

――きょうの試合を振り返って

関東団体のときに不調だったので、いやな流れを断ち切ってのびのびと試合したいなという気持ちがありました。関東団体のときは「勝とう、勝とう」と気負って試合をしていたところがありました。きょうの試合では、個人戦なので肩書きとかにはこだわらず動くままに楽しくやってみようと思っていました。

――ご自身の調子は

ぼちぼちだと思いますが、3回戦で0―6でやられてしまったのは痛かったですね。

――戦略は

やはり積極的に手を出すことと、身長の高さを生かして上段突きで相手を圧倒させることを徹底的にやりました。

――早慶戦と全日本が控えていますが、ご自身の役割としてはどうお考えですか

対戦相手を圧倒して、チームを勢いづけたいです。

――これからの試合に向けての意気込みは

小さい頃からずっと空手をやってきていますが、全日本は集大成になると思います。悔いが残らないように挑みたいです。また、早慶戦は3連敗中なので必ず勝ちたいと思います。