東京六大学秋季リーグ戦 10月20日 早大東伏見キャンパス 軟式野球場
最終節を迎えた東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)。昨日の試合で勝利を挙げた早大は、今試合で勝利を収めれば、明大戦の勝ち点を獲得し、4年生は引退となる。笑顔でこの秋季リーグ戦を締めくくるために、重要な一戦を迎えた。試合は先発を務めた宮本陸(文構1=東京・早実)が9回を97球で投げ切り、ノーヒットノーラン&マダックスを達成。宮本の好投に応え、堅実に得点を重ねた早大が4-0で逃げ切り、今カード勝ち越しを決めた。
初回、宮本は安定感のあるピッチングで、左飛、空振り三振、三ゴロで明大を三者凡退に抑える。一方、早大の攻撃陣は初回から走者を出していたものの、打線につながりが出ず、得点を奪えない。3回、宮本がフルカウントから見極めて四球を選び出塁するも、塩尻真生(文3=東京・早実)が送りバントに失敗する。しかし次の打席に入った市川諒汰郎(社4=早稲田佐賀)も四球を選び、1死一、二塁の好機を生み出した。その後、村上翔祐(商4=東京・早実)が放った中飛を明大の中堅手が落球。左翼手の送球エラーも絡み、この間に一塁走者、二塁走者がともに生還を果たした。2点を先制した3回裏、宮本は無死から四球で走者を出したが、次の打者を併殺に打ち取り、ここも難なく切り抜けた。
次に得点を奪ったのも早大だった。5回、先頭打者の塩尻が2ストライクから二塁打を放ち、市川が犠打で確実に三塁に送る。さらに1死三塁の場面で打席に入った久保嶋真也主将(社4=神奈川・桐蔭学園)は、明大一塁手の野戦により出塁し、その間に塩尻が生還。貴重な追加点を奪うことに成功した。6、7回は互いに三者凡退で攻撃を終えたが、8回には早大の村上が安打で出塁。9回は先頭打者の瀧澤憲登(人4=大阪・早稲田摂陵)が相手失策により出塁すると、宮本が犠打で三塁に送り、5回と同じ状況を作り出す。塩尻の打席の時、明大が暴投で3つ目の失策を記録し、この間に三塁走者が生還した。4点のリードを奪った早大は、ついに9回裏の守備に向かった。
ここまで明大に許した出塁は3つの四球のみという被安打0の投球を続けていた先発の宮本投手。「今季はあまり良いピッチングを出来ていなかったが、気持ちを入れ替えた」と振り返ったように、今試合では4年生の引退試合に花を添える好投を見せた。迎えた最終回は、早大の勝利を待つ観客の全員が固唾を飲んで見守る。1人目の打者を遊ゴロに打ち取り、2人目の打者からは空振り三振を奪って2死に。最後の打者は遊ゴロに打ち取って、見事ノーヒットノーランを達成した。マウンドには宮本の元に駆け寄ったメンバーが集まり、会場は歓喜に包まれた。
春季リーグ戦では完全優勝を達成した早大だったが、秋季リーグ戦は苦戦を強いられ、順位は4位に沈んだ。しかし、最終カードの明大戦は投手陣の好投もあり、2連勝で勝ち点を獲得。久保嶋主将の話した「ミス無く、チャンスで1点をもぎ取る野球」を体現し、早大はこの2連戦で失策0という固い守備を見せた。チームではこの2試合を先発した町田倖大(政経2=埼玉・早大本庄)、宮本陸(文構1=東京・早実)など下級生の活躍も光る。秋季リーグ戦での雪辱は、来季以降、頼もしい下級生たちが果たしてくれるに違いない。
(記事 濵嶋彩加、写真 梶谷里桜)
◆コメント◆
ーー大事な試合での先発を任されましたが、どのような気持ちで臨みましたか
4年生を快く送り出せるようなピッチングが出来ればいいなと思っていて、そういったマウンドを任せてもらえるのは非常に光栄ですし、それに恥じないピッチングをしようと思ってマウンドに上がりました。
ーー投球内容を振り返っていかがですか
先頭打者の四球など勿体無い部分はあったのですが、それでも一人一人、集中して投げることが出来た結果かなと思います。
ーー最終回はノーヒットノーラン達成を意識されていましたか
かなりずっと狙っていたので、出来て良かったです。
ーー今日の投球で一番良かった点はどこですか
この秋リーグはあまり良いピッチングが出来ていなかったので、最後の試合ということで、そこで気持ちを入れ替えてやれたという部分が大きかったのかなと思います。
ーー改めて今季全体を振り返っていかがですか
初めてのリーグ戦ということで難しい部分はあったのですが、そこは今日引退される先輩方に助けてもらいながらやっていたので、感謝しかないです。
ーー来季はどのような投手になりたいか、意気込みを教えてください
来年以降もチームをしっかり勝たせられるような投手になっていこうと思います。