TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |||||
早大 | 0 | 0 | 2 | 0 | 3 | 0 | 1 | 7 | 13 | ||||||
法大 | 2 | 1 | 0 | 1 | 3 | 2 | 2 | 0 | 11 | ||||||
(早)吉田、髙橋浩、宮内、髙橋隆、松村、杉山―小林偉 ◇(二塁打)中村文(1回表)、松永(7回表) |
---|
優勝に向け、何としても勝ち点が欲しい早大は、敵地・法大多摩グラウンドで法大との2回戦に臨んだ。この日は、両校の打線が爆発。早大は3点を先行される苦しい立ち上がりとなったが、3回に笠井駿汰(政経3=埼玉・早大本庄)の適時打などで1点差に詰め寄ると、2点ビハインドの5回には徳廣快副将(文構4=東京・国立)の適時打と小林偉月(商1=長野・屋代)の適時二塁打で逆転に成功する。しかし、直後に逆転を許すと、その後も投手陣が相手打線の勢いを止めることができず、7回終了時点で5点を追う展開となる。それでも、8回に久保嶋真也(社3=神奈川・桐蔭学園)の適時打、小林偉の適時打、中村文哉(法4=埼玉・早大本庄)の適時打などで一挙に7点を奪うと、その裏の相手の攻撃を杉山恵琉(文構1=東京・早実)が0点でしのぎ、大会規定【注】によりコールドゲームが成立。法大との対戦成績を1勝1分とし、勝ち点獲得に向けて大きく前進した。
8回、勝ち越しの適時打を放った小林偉
早大の先発は吉田悠平(スポ1=神奈川・川和)。8月に行われた全日本大学選手権・準々決勝で公式戦初先発を果たすなど、今夏から台頭した期待のルーキーだ。しかし、吉田は初回、先頭打者に安打を許すと、犠打で送られてから3連打を浴び、2点を先制されてしまう。さらに、2回には2死から相手9番に安打を許すと、続く打者には二塁手の横をゴロで抜ける強烈な打球を放たれる。打球は右中間深くまで到達する適時三塁打となり、追加点を奪われた。その後、味方打線が反撃を見せたが、投手陣は相手の勢いを止めることができない。吉田の後を受け、3回から登板した髙橋浩成(教3=東京・早実)は3回こそ三者凡退でしのいだものの、4回、5回に合わせて5本の安打を浴びるなどして計4失点。6回には宮内康汰副将(教4=東京・早実)が走者を背負って降板すると、後を受けた髙橋隆之介(法4=東京・早実)が犠飛と適時打を浴びて2点を失う。さらには7回に松村悠生(教3=神奈川・川和)が3安打で2点を追加され、7回までで計11失点を喫した。主力級の投手を投入しているにもかかわらず、相手打線の勢いを止められない――。もしかしたら、この日のグラウンドには『魔物』がいたのかもしれない。
一方の打線は3点を追う3回、先頭で打席に入った代打・塩尻真生(文2=東京・早実)が強烈な打球で相手の失策を誘うと、続く中村文の犠打も相手の失策を誘うなどし、1死二、三塁の好機をつくる。この場面で打席に入った笠井の打球は、内野手と外野手との間にポトリ。相手の打球処理の間に2人がかえり、1点差に詰め寄った。リードを2点に広げられて迎えた5回には、笠井と松永賢三(スポ3=東京・早実)の連打、久保嶋の犠打で1死二、三塁の好機をつくると、打席には久々のスタメン出場となった徳廣副将が入る。振りぬいた徳廣副将の打球は左翼ポール際に飛び込む逆転3ランになったかと思われたが、法大が判定に対して猛抗議。法大の投手が三塁審判に対して語気を強めながら詰め寄る場面も見られる中、法大の主張が受け入れられて判定はファールに。徳廣副将は仕切り直しの打席に臨んだ。しかし、徳廣副将は冷静だった。カウント2ストライクからの3球目を捉えると、打球は中堅手の左に落ちる同点の2点適時打となる。なおも続く好機で8番・小林偉に適時二塁打が飛び出した早大は、一気に試合をひっくり返した。
8回、適時打を放った久保嶋
しかし、早大は直後に逆転を許すなどし、5点のビハインドで8回の攻撃を迎えた。しかしこの回、この日の試合で顔を見せ始めていた『魔物』が牙をむく。先頭の中村文が四球を選び出塁すると、続く岡田和也(スポ3=東京・国学院久我山)が安打でつなぐ。さらに笠井と松永が四球を選び、点差を4点に縮めてなおも無死満塁という絶好機を迎えた。ここで打席に立った久保嶋は、粘った末に右前に安打を放つ。すると『魔物』のいたずらか、久保嶋の打球が右翼手の手前で大きくイレギュラーバウンドし、右翼手がこれを後逸。打球が右翼フェンスに到達する間に走者3人に加えて打者走者の久保嶋までもが生還し、同点に追いついた。さらに、続く徳廣副将が四球を選んで出塁すると、水野修吾(人1=神奈川・相模原)が送り、1死二塁の好機をつくる。ここで打席に立った小林偉はカウント1ボールからの2球目を捉え、中堅への適時打を放った。中村文の適時打でさらに1点を追加した早大は、2点リードの状態で8回裏の守備を迎えた。
8回、好救援を見せた杉山
この時点ですでに試合開始から3時間近くが経過していたため、大会規定により8回が最終回になることがほぼ確実な中、マウンドを託されたのはこの日が公式戦初登板だという杉山だった。杉山は法大の強力打線を相手に好投。先頭打者を平凡な右飛に打ち取ると、続く打者も遊ゴロに打ち取り、わずか3球で2死を奪った。2死から味方の失策と四球で一、二塁のピンチを招いたが、杉山は表情を変えることなく投球を続け、最後の打者を右飛に打ち取り試合終了。両校合わせて29安打、24得点の乱打戦を制した早大が、勝ち点獲得に向けて大きな1勝を手にした。
【注】今大会では試合開始から3時間を超えて新しいイニングには入らないこととなっている。この試合では、8回終了時点で試合開始から3時間以上が経過していたため、8回終了時点でコールドゲームとなった。
(記事、写真 渡邊悠太)
コメント
徳廣快副将(文構4=東京・国立)
――今日の試合を振り返っていかがですか
スコアだけを見たらかなり大味な試合で、両チームともにエラーだらけで締まった試合とはとても言い難いような試合でしたが、チームとして、レギュラーの選手も欠けている中での試合だったので、全員「気迫で」といいますか、最後にどのような形でもいいので勝てればいい、というところでスタートした試合だったので、全員が死に物狂いでやってくれたかなと思います。
――今日はスタメンでの出場となりましたが、普段と試合への入り方は違いましたか
いつでも出れるように準備はしていて、関東大会(関東地区大学選手権)、春リーグ(東京六大学春季リーグ戦)とスタメンで出ていた中で、春の法政戦で自分のエラーが原因で負けてしまって、その次の試合からスタメンを外れて今に至るので、今日は相手も法政ということですごく「(試合に)出たい、リベンジしたい」ということで準備をしてきたので、こうしてスタメンの機会をもらえて、チームに貢献できたのでよかったかな、と思います。
――今日はバッテリーを始め、徳廣副将以外の内野陣は全員が下級生でした
レギュラーの選手がいない中で、自分以外にも普段はスタメンで出ていない選手がスタメンに名を連ねていたりしていたので、「ミスを恐れずに」といいますか、「エラーをしたり打てなかったりは休んだレギュラー選手が悪い」というくらいの気持ちで(笑)、割り切っていこうと思っていました。
――5回にはタイムリーを放ちましたが、あの場面ではどういった気持ちで打席に入りましたか
前の打席では真っ直ぐにかなり振り遅れて三振に打ち取られていたので、「真っ直ぐで決めにくるかな」と思っていて、結局ファールにはなってしまいましたが、2球目を狙いにいってホームラン性の打球になって、結局ファールになったので気持ちを立て直すのは大変でしたが、自分は元々バッティングが持ち味の選手というよりは守備が持ち味の選手なので、あまり周囲の期待を気にせず「打てなかったら休んだ選手が悪い、6番打者で起用した監督、幹部が悪い」というくらいの気持ちで打ったので、割と気楽にいけました。この考え方は髙橋隆之介くん(法4=東京・早実)がいつもマウンドに上がるときに「この場面で起用したのが悪い」といった気持ちで臨んでいるのを参考にさせてもらっています(笑)。
――打った感想は
ホッとしたというのが感想です。(2球目の)ホームラン疑惑の直後で、その後2ストライク0ボールの状況で仕切り直しになって、とにかく手を出していかなければいけないという中で、内野手も前進守備だったので、とりあえず芯に当てれば間は抜けていくかな、と、意外と気持ちは冷静だったので、とりあえずヒットになってホッとしました。
――最後のリーグ戦にかける思いは
自分が入部してから現在に至るまでリーグ戦の優勝は経験しておらず、ということは下級生も優勝は経験していないということになりますが、何としても最後に優勝して来年以降のチームにつなげてほしいという思いと、吉田コーチ(吉田範之コーチ、昭61教卒)が「早稲田は通算で49回優勝していて、次に優勝したら通算で50回目の優勝になる。早稲田と法政で49回の優勝でならんでいるので何としても早稲田の50回目の優勝をこの代で決めよう」という話を、ミーティングで毎回されているので、何としても成し遂げたいと思います。
――明日に向けての意気込みをお願いします
ここまでの2連戦で疲労も溜まっていると思いますが、明日も今日と同じく総力戦で、最後は結果として勝てばいいというような、あまり形は気にせずに泥くさくやっていきたいと思います。
杉山恵琉(文構1=東京・早実)
――今日の試合を振り返っていかがですか
このような、誰が投げてもポンポン点が入ってしまう試合は難しい分、勝った時に「また一段と強くなれる」というような試合展開だったので、チーム全体として「勝ち切れた」という雰囲気は出ていた試合だったと思います。
――登板の準備はいつ頃からしていましたか
ちゃんと行くことが決まったのは7回裏でしたが、いつでも行ける準備はしていました。
――登板直前の8回表に試合展開が大きく変わりましたが、気持ちの変化などは
8回表に勝ち越し打を打ってくれたのも同じ1年の小林(偉月、商1=長野・屋代)で、それはすごく頼りになりましたし、自分も「行くぞ」という気持ちになりました。強い気持ちに変わったと思います。
――初登板ということでしたが、緊張などは
ああいった試合展開で、すごく緊張しましたが、先輩たちにマウンドでも声をかけていただいて、「追いつかれてもいいし、負けても大丈夫」というような声をかけていただいて、だいぶ緊張が和らぎました。
――投球している中で特に意識していたことは
自分の中で「考えてもあまり変わらないな」という思いがあって、「自分が投げられる球を投げて、ストライク先行で行く」ということは意識していました。
――自身の持ち味はどこにありますか
横から投げているので、曲がりの大きいスライダーやカットボールで打者を打ち取っていくのが理想のピッチングです。
――明日以降への意気込みをお願いします
もちろん、試合に出て貢献できるのが一番ですが、チームで長い試合を戦っているので、ベンチワークや声出しなど、ベンチにいてもできることをやっていって、そこで試合に出れば結果を出せるような準備も同時にして、頑張りたいです。
小林偉月(商1=長野・屋代)
――今日の試合を振り返って、チームとしていかがでしたか
守備では相手に1点取られて、流れも向こうにいきそうな場面はたくさんありましたが、チーム全体で攻撃をつなげることができました。流れを向こうにいかせなかったのが勝てた要因かなと思います。
――阿部剛士(社3=神奈川・川和)がいない中でどういったことを意識して試合に臨みましたか
配球とかを剛士さんに普段の試合でも聞いていたりしました。それぞれのピッチャーのボールの使い方などは剛士さんがやってきてことを参考にしました。
――今日は6人の投手をリードしましたが、それぞれの違いなど意識したことはありましたか
ピッチャーごとに得意な球種も違うので、いろいろな抑えるパターンやピッチャーの出来を考えながらリードしました。
――5回のレフトオーバーの適時打はいかがでしたか
全員でチャンスをつくってくれたので、打たなきゃいけないと思い、気持ちで打ちました。
――8回は同点に追いついてなおも勝ち越しのチャンスの場面での適時打だったと思いますが、どういった気持ちで打席に入られましたか
その裏が初登板の(杉山)恵琉(文構1=東京・早実)がピッチャーだったので、少しでも楽にさせたいと思い、打席に入りました。
――打ったときの感想はいかがでしたか
ちょっと詰まりましたが、いい感じのところに飛んでくれて良かったです。
――今日は投打に活躍がありましたが、ご自身が思う持ち味はどこでしょうか
バッティングは積極性です。リードは・・・一人一人に合わせた寄り添うリードです(笑)。
――明日に向けての意気込みをお願いします
今日は守備のリズムがつくれていなかったと思うので、守りからリズムをつくって攻撃につなげられたらと思います。