TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |||||
慶大 | 3 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | |||||
早大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | |||||
(早)●吉田、松村、髙橋浩―阿部剛 |
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25日の2回戦では近大を相手に劇的なサヨナラ勝ちを収めた早大。この日はベスト4を懸けて慶大との準々決勝に臨んだ。東京六大学野球リーグ戦でもしのぎを削る永遠のライバル・慶大との早慶戦。しかし、その試合展開は早大にとって苦いものとなった。初回に3点を先制されると、中盤には追加点、9回にはダメ押し点を献上。反撃は9回の1点にとどまり、完敗を喫した。4年ぶりの『日本一』を目指す戦いは夢やぶれる結果となった。
この日の先発は公式戦初登板の吉田悠平(スポ1=神奈川・川和)。入部以来、Bチームの試合で好投し、全国の舞台で大抜擢となった。ところが、吉田は慶大打線にいきなり洗礼を受けることに。初回は危なげなく2アウトを取るも、ここから5人連続で出塁を許し一挙3失点。3回にも1点を追加され、吉田はこの回限りで降板となった。後を継いだのは松村悠生(教3=神奈川・川和)だったが、チームにいい流れを導けない。4回は無失点に抑えるも、5回には3四死球などで失点。終盤までに5点を献上した。
大役を任された先発の吉田
打線は慶大先発・岡見大也(2年)に苦しめられた。少ない球数でカウントを整えられ、次々と凡退。岡見の降板する7回までわずか2安打で、1点も返すことができない。8回に投手が交代しても状況は変わらず、凡打が続いた。特に、この日は打球が上がらず、8回までの24アウト中16アウトがゴロアウトだった。
そして迎えた最終回。5回途中から続投の髙橋浩成(教3=東京・早実)が引き続きマウンドに上がった。無失点でしのぎ、最後の攻撃に託したいところだったが、またしても慶大打線につかまる。1死から安打と盗塁を許すと、続く打者に適時打を浴び、ダメ押し点を献上した。これまで大逆転劇を演じてきた早大にとっても、6点差は厳しかった。9回裏、先頭の岡田和也(スポ3=東京・国学院久我山)と市川諒汰郎(社3=早稲田佐賀)の連続安打で最後の望みをかける。しかし、反撃は村上翔祐(商3=東京・早実)の適時打1本に終わり、ゲームセット。4年ぶりの全日本大学選手権は準々決勝敗退に終わった。
9回、この試合唯一の適時打を放った村上
「猛省している」(池田訓久監督、昭60教卒=静岡・浜松商)「すべてを悔いている」(春名真平主将、教4=東京・早大学院)。前日とは一転、早大の良さを出せぬまま試合終了を迎えてしまった。序盤から主導権を握られ、着実にリードを広げられた。逆転する力のあった打線も、この日は鳴かず飛ばずで1点止まり。試合終了後には、球場の外で多くの選手が涙を浮かべてうずくまり、悔しさをにじませた。『日本一』の目標は来年に託すこととなる。しかし、今年の戦いはまだ終わっていない。来月からは東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)が開幕。早大の初戦も9月9日に迫り、もう間もなくだ。「いつまでも落ち込んでいる場合ではない」(池田監督)。この悔しさを、この涙を、慶大との再戦、そして秋季リーグ戦優勝争いにぶつける。
(記事 横山勝興、写真 横山勝興、渡邊悠太)
コメント
池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)
――準々決勝敗退という結果について
今年の関東大会(関東地区大学選手権)でタイブレークになった試合を3つ勝ってきて、昨日の近大戦は本当に粘りのあるチームがそのまま出た試合でした。ですが、今日は正直、慶大の主力選手が少し出られないという情報を聞いたりもして、私の中で「いける」という思いが、結果として隙になってしまったと思います。私の立場で選手に対して隙を与えるような雰囲気や言葉を戦う前に出してはいけない中で、もしかしたらその隙があったのかもしれません。それが、初回の3点につながってしまった気がします。自分の未熟さ、どんな試合、相手でも絶対に完璧な状態で、緩みのない状態で私から臨んでいかないと、このような結果になってしまうと思います。先制、中押し、ダメ押しという相手にとっては理想的な展開で完敗してしまったので、今日の敗戦に関しては、入りの部分の私の感じたところが選手に伝わって、あのような初回になってしまったのではないかと猛省しているところです。選手は本当によく頑張ってくれたと思います。特にピッチャーは頑張ってくれたと思います。先発の1年生の吉田は制球力のあるいいピッチャーですから、割と早めの段階で第2戦で先発させようとなっていました。よく投げてくれたと思います。その後の松村も、髙橋浩もよく投げてくれました。投手陣に関しては、昨日の大澤(龍登、文構3=埼玉・星野)、髙橋隆之介(法4=東京・早実)も成果を出してくれたと思っています。
――投手陣に関するお話がありましたが、打線に関しては
打つ方に関しては、ピッチャーが良くなってしまうと、そこまで点は取れないと思っています。フォアボールやエラーなど相手がくれるチャンスを、バントやエンドランで塁を進めて、取れるところで確実に点を取る野球を自分の中では思い描いていました。点が取れたところに関しては、そのようなところができていたと思いますが、まだその精度が高くないと思っています。そこがしっかりしてくれば、いくら良いピッチャーが出て安打が出なくても、得点が取れるチャンスはいくらでもあると思うので、精度を高めていかないといけないと思います。元々打てるバッターがそこまでいるわけではないので、打つ方は打てないことを前提に考えていかないといけないと思います。攻撃では確実な小技を考えて精度を高める必要があると思っています。
――改めて選手たちに伝えたいことは
今日は慶大にこのような負け方をしたのは、すぐに切り替えられないと思いますし、引きずるのはしょうがないと思います。ですが、秋のリーグ戦(東京六大学秋季リーグ戦)がすぐ始まるので、いつまでも落ち込んでいる場合ではありません。大会で至らなかったところをチームとして、個人として反省しながらリーグ戦に臨みたいと思います。初戦が明大という強敵で、手を緩めずに来ると思うので、まずはそこに勝てるようにしたいです。そして最終的には、秋季リーグ戦優勝を目指していかないといけないと思います。先ほどの集合時にもそのような話をさせていただきました。
――改めて今後の意気込みをお願いします
今年のチームは主力メンバーが3年生以下で、4年生はチームをまとめる側になっていて、ここまでチームとして結果を出してきました。今回、悔しい思いをしたことを忘れずに秋のリーグ戦に生かして、4年生が有終の美を飾って送り出したいと思います。
春名真平主将(教4=東京・早大学院)
――敗戦という結果について
完璧に負けたかな、と思いますね。向こう(慶大)に隙がなく、こちらには隙があってそこに付け入られ、手も足も出なかったというのが正直な感想です。
――秋に向けて修正していかなければならない点は
最後に気合が入らなかった部分、詰められなかった部分があり、どこかで「勝てる」と思ってしまったので、主将として、これから(東京六大学)リーグ戦で勝つためには、そういったところが腕の見せ所だと思います。
――今日はどういった心境で試合を見ていましたか
最初に3点取られたのですが、正直それはよくある展開だと思うので、絶対に負けるとは思っていませんでしたが、なかなか慶應のリズムから自分たちのリズムに持ってこられないな、と感じていました。
――今日のベンチの雰囲気は
本当に、ベンチにいるメンバー全員が最後まで勝つ気でいてくれていたので、ベンチとしては最高のメンバーだったと思います。
――最後の全日本大学選手権でしたが、悔いなどは
すべてを悔いているといいますか、前段階から自分が詰めるところは詰めて、いろいろなところに気を配れていたらこんな結果になっていなかったと思っているので、悔いるものが多すぎて限定できません。
――後輩たちに伝えたいことは
ここまで後輩の力で勝ってきているので、このままやっていれば絶対に日本一を取れるチームだと思っています。特に今日試合に出ていた後輩は今日の悔しい思いを感じていると思うので、今日のような悔いる思いはしないでほしいと思います。