【連載】準硬式野球部新歓企画2023 第6回 蒲原実希也アナリスト×西村豪朗アナリスト

準硬式野球

 第6回では、蒲原実希也アナリスト(スポ4=兵庫・神戸)、西村豪朗アナリスト(法4=東京・早実)にお話を伺いました! 早大準硬では今年度からアナリストという役職が誕生しました。アナリストの仕事とは? アナリストのやりがいとは――。

――準硬式野球部に入部した理由を教えてください

蒲原 高校野球を引退したときに「まだ野球上手くなれるな」という実感があって、野球選手として伸びしろを感じたので、しっかり成長できる環境で野球を続けようと思って準硬式野球部に入部しました。

西村 自分はサークルに入ることは全く考えていなくて、自分の性格的に熱くなれる場所、心の底から頑張れる環境こそが本当に楽しい環境で、サークルとかで飲み会がメインになっている大学生活よりも、何かに打ち込んでその結果に一喜一憂しながら仲間と頑張れる環境が真の楽しさだと思っています。自分はここまで野球をやってきた中で先輩たちが早稲田の準硬にいて、野球が大好きで野球であれば何かしらの形でチームに貢献できると思ったので、入部しました。

――準硬式野球部を知ったきっかけは

蒲原 父が他の大学で準硬式野球部に入っていて、父の影響で野球を始めました。身近ではありませんでしたが、幼い頃から大学に準硬式野球部があることは知っていました。

西村 自分が早稲田実業にいた時に、準硬のグラウンドが改修工事中で先輩たちが早実の練習場を借りていて、初めて準硬式の存在を知りました。その後は高校の先輩が準硬式という道を選ぶ中で、そのような進路があることを知りました。

――アナリストになった経緯は

蒲原 新チームが始動した2年生の11月辺りでデータ班が設立されて、選手としてのチームへの貢献は思うようにできていないと感じていました。別の形でもどうにかしてチームへの貢献の仕方を探りたいと思った時にデータ班のアナリストになろうと思いました。

西村 アナリストは今年からできた役職です。昨年の秋に2つの上の代のチームが低迷してチームの課題を考えた時に1つ上の代の山浦さん(秀斗氏、令5スポ卒=埼玉・早大本庄)、鷲田さん(拓未氏、令5スポ卒=神奈川・日大高)と3人で集まってデータを活用していくべきでデータ班が必要だという話になりました。その後、自分たち3人でデータ班を創設して徐々にメンバーを増やしていきながら、データ班の幹部として主に相手チームの分析を担当する人のことをアナリストという名称でチームに置こうということで指導者の方に提唱して、今年になって認めていただきました。相手チームの分析をしたり、自チームの選手と個人面談をしていく中で選手から挙がった意見に対してこちらから提案したり、ラプソードという測定機械を用いた測定結果の分析をしたりしています。正式な部の役職として活動していきたいということで相談して認めていただきました。

――アナリストの仕事内容を教えてください

蒲原 データの収集、分析、ミーティングがメインになります。まずは、(東京六大学)リーグ戦や関東大会(関東地区大学選手権)などの試合で対戦する可能性の高いチームが出ている試合を見に行ってビデオを撮ってデータを入力して収集しています。分析というところでは、試合前に対戦相手のデータをデータ班で分析してミーティングで部員に伝えています。ここまでの話は相手チームのデータに関するものですが、相手チームのデータを入力していく中で、弊部のデータもたまっていくので、それを定期的に各選手にフィードバックしています。

西村 次戦対戦予定の相手チームの偵察に行ってデータ入力やビデオの分析をして、相手チームへの対策や作戦を考えてチームの全体ミーティングの中で伝えています。データ分析や偵察が仕事の中心になると思います。

――アナリストの知識はどこで身につけていますか

蒲原 知識はやっていく中で増えていくものもありますし、数値分析のことは本を読んだり、インターネットで文献を探したりして勉強するようにしています。

西村 世の中にはさまざまなアナリストと呼ばれる職業の方がいると思いますが、野球のアナリストとして既に活躍されている方の書籍やネットに載っている記事を読んだり、あとはスポーツ科学部でスポーツデータの分析をされている矢内教授にお話を伺ってデータ活用に関する知識を身につけました。あとは数字を見て自分たちの経験に基づいて選手を分析しています。

――準硬式野球部に入部して成長したところは

蒲原 組織に貢献する精神です。高校までは試合に出られないという経験もなかなかなかったですし、自分が活躍してチームが勝てればいいと思って、自分が上手くなることに重きを置いていました。ですが、こういうレベルの高いところに入って、出られなくてもチームへの貢献の仕方を考えないといけなくなって、実際に試合で投げて打つことだけがチームへの貢献の仕方じゃないことを学びました。

西村 今までは甘い人間で楽な道を選んできた方だったと思います。ですが、準硬式野球部に入って、とりわけアナリストの仕事をする中で妥協しないことを掲げて活動するようになりました。例えば分析の面であっても試合に出ない可能性の高い選手についてもぬかりなく分析をしていますし、偵察に行くか迷う試合であっても偵察に行って、映像の編集でもチャプターをつけて、普通なら妥協していまいそうなところを、チーム、選手のためを思って最後まで妥協しないことを念頭に活動しています。自分自身、そこについては達成し続けられていると思っていて、自分に打ち勝つ、徹底的にやる、妥協しないところは成長できた部分だと思います。

――入部して大変だったところは

蒲原 自分は選手兼アナリストとしてやっているので、試合に出たい気持ちもありますし、自分の練習時間を確保するために、練習時間以外の時間でアナリストの業務をすること、二兎追うことは非常に難しいですね。

西村 準硬式というのは未発達な組織で欠けている部分もある組織だと思っています。その中でも自分たちが大切にしていること、勝利のために必要だと思っていることを追求してやろうとすると、人が足りなかったり、制度が追いついていなくて、寝る間も惜しんで徹底的にやる必要があるところに難しさを感じています。いい意味で自由度が高い分、頑張るのも自分の自由なので、どこまでも際限なく頑張れてしまう分大変ですし、一度頑張っている姿を仲間に見せてしまうと、それ以上なかなかクオリティを下げられない部分も生まれます。常にライバルは自分ですし、過去につくった分析よりもいい分析をつくりたい思いがあると、際限なく頑張る必要があって妥協できないので、大変だと思います。

――学業との両立についてはいかがですか

蒲原 準硬式野球部自体が授業優先で出られる時に練習に出る形態を取っているので、授業との両立自体は全く難しくないと思います。

西村 自分の場合は部活を優先に考えていて、授業もレポートが中心で試験があまりない授業を優先的に選んでいます。その結果として、オフの日を除いた週6日間部活に参加する時間を作り出しています。でも、法学部の授業はレポートや試験の一発なので、期末の期間に頑張る形で部活に臨んでいます。

――準硬式野球部ならではの魅力を教えてください

蒲原 「準硬式野球は硬式野球の下位互換でサークルよりはしっかりやっている」みたいな感じで見られることが多くて、そこまで野球に真摯に取り組めていないというのが一般的な見方だと思いますが、早稲田の準硬に限ってはみんなすごく練習しますし、スタッフも何とかチームに勝ってほしいという思いでやってくれているので、集まってくる人は準硬界一の熱さを持っていると思います。

西村 「自分の働き次第で勝利に直接貢献できる」としました。この部活は頑張る人を認める文化があると感じていて、頑張る人のことを悪く言わないですし、際限なく頑張れる環境があります。自由度の高い分、勝利に向かってどこまでも貢献できるところは魅力的だと思います。特にアナリストは今年できたばかりの役職で柔軟性が高くて、勝利のための貢献の仕方が無限大だと思っています。

――アナリストのやりがいはどのようなところに感じていますか

蒲原 前提としていくらデータがあっても、プレーするのは選手で試合に勝つのは選手のおかげなので、見返りを求めることは思っていませんが、「ミーティングで言ってくれたことをやったらいい結果が出た」と選手から言ってもらった時はやっていて良かったと感じます。

西村 自分の分析をもとに選手たちがプレーしていってくれる中で、責任はとても重大ですし、気安いことはとても言えないと思います。その中でも自分たちの指示が的中したり、準備があったことで試合に勝利したり、他のチームを圧倒できることに一番の魅力とやりがいがあります。

――最後に新入生へのメッセージをお願いします

蒲原 人数が多いので、AチームとBチームに分かれますし、僕も下級生の頃はBチームにいて試合に全く絡めずに「何しに部活に来ているんだろう」と思っていたことがありました。ですが、自分が高学年になって選手以外の立場を持つようになって貢献の仕方は試合だけじゃないと気付きました。BチームのメンバーでありながらもAチームの練習を補助することも必要な役目ですし、不必要な人間はいないと思います。

西村 「野球愛がかなう場所」としましたが、野球が大好きな人にピッタリな環境だと思います。誰かにやらされる野球ではなくて、自分たちがやりたい本当に楽しい野球で全国に行きたい純粋な気持ちで試合に臨めます。野球が大好きな人たちが集まった部活で純粋に野球を楽しめる場所ですし、のめり込めばのめり込むほど仲間からの信頼やチームへの思いも増してきて、熱い人が浮かない環境だと思います。

(取材・編集 横山勝興)