清瀬杯直前特集『奪冠』 第5回 新井健太主将×鳥越康介副将×川原崚×吉松武竜

準硬式野球

 今回登場するのは新井健太主将(商4=東京・早大学院)、鳥越康介副将(文構4=東京・早実)、川原崚(商4=東京・早実)、吉松武竜(スポ4=早稲田佐賀)の四人だ。内野手としてチームをまとめる四人は投手や外野手とも連携を取るなど、チームの一体感を演出している。チームを引っ張る四人の素顔とは――。

※この取材は8月15日に行われたものです。

互いについて

――初めに他己紹介をお願いします

新井 川原は4番を打っていて、バッティングに関してはチームの中で一番頼りになる選手かな、と思います。六大(東京六大学)の中でもトップレベルのバッターだと思います。性格はすごくおっとりしているというか、マイペースなところがあって、良い意味で自分の世界を持っている人です。

川原は特に打撃面で大きく貢献した

川原 新井はショートをやったりしていますし、キャプテンですし、チームの中心というかたちでやっているな、という印象です。人としては、キャプテンということもあって、言いにくいこともズバズバと言ってくるな、という印象があり、そういったことがチームにも良い影響を与えているのかな、と思います。

鳥越 吉松は、野球では安定した守備と足(の速さ)が魅力の選手です。なので、バッティングでは転がすことを求められていますし、そういった期待に応えるバッティングをしてほしいと思います。プライベートでも、2年生の夏に一緒に「としまえん」でプールのアルバイトをしていて、そこで二人で「黄金コンビ」と呼ばれて大活躍をした経験があります。時にぶっ飛んだ発言をしたり、常識的なことが答えられなかったりするのですが(笑)、そういったところでチームを和ませてくれているのかなと思います。ただ、(吉松は)学部の成績優等で表彰されているくらい真面目ではあるので、そこでうまくカバーしているのかな、と思います。

対談は終始和やかな雰囲気で進んだ

――吉松さんから鳥越さんの紹介をお願いします

吉松 (鳥越副将は)野球面では、チームで一番熱い男で、バッティングも、長打力が本当に魅力で、チャンスでは絶対に打ってくれますし、みんなの期待に応えてくれる、頼りがいのある選手です。プライベートは、さっきも「としまえん」の話が出ましたが、意外と二人で気が合うところも多いのかな、と思います。ただ、一つ気になるのは、この時期は虫が増えますが、(鳥越副将は)虫が出ると大げさに避けたりして「虫嫌いキャラ」を演じているんですよ。ちょっとかわいい子ぶろうとしているのが鼻につきますが、そこも愛嬌(あいきょう)かな、という感じです(笑)。

――ここまでのそれぞれの活躍を紹介しあってください

吉松 新井の今シーズンは、主将で、ピッチャーもやって、野手もやって、本当に大車輪の活躍で、しかもそれらが全部期待に応えてくれる結果といいますか、一番結果を残しているのではないかな、と思っていて、やはり頼りになりますし、この勢いで次にある清瀬杯(清瀬杯全国選抜大会)でも秋リーグ(東京六大学秋季リーグ戦)でもチームを引っ張ってほしいな、と思います。

新井は主将としてチームをけん引している

新井 基本的には彼のプレースタイルといいますか、塁に出て、足を絡めながら、というところですとか、堅い守備ですとか、そういったところがありますが、一番印象に残っているのは、春の関東大会(関東地区大学選手権)の初戦、筑波大戦で、自分が先発で投げていて、同点で緊迫した試合だったのですが、勝ち越しのホームランを打ってくれて試合を決めてくれたので、そういった意外性といいますか、「ここぞ」の場面で何かやってくれるなという印象はあります。

吉松は高い身体能力を生かした守備も光った

川原 鳥越は最初の関東大会だったりリーグ戦の最初の方はずっとベンチで選手の交代や起用といったことをやっていて、吉松がケガをしてしまった後はセカンドで出ていて、そこでも(吉松の)穴を埋めるような活躍をしていたので「影のMVP」のようなところがあるかな、という感じです。

鳥越 川原の打席は安心して見れるくらい、川原はチームの中心バッターでしたし、「表のMVP」だったのかな、と自分は思っています。

今季を振り返って

――チームとしてはここまでいかがでしたか

吉松 昨年度は不甲斐ない結果ということで、「今年こそ」ということでチームとしては臨みましたが、今年のチームは戦うごとにチームとして強くなっていったのかな、という印象があって、リーグ戦も結果的には優勝できずに2位という結果に終わりましたが、後半に行くにつれて接戦をモノにできるようになりましたし、関東大会から戦うごとに強くなっていったという印象かな、と思います。

鳥越 吉松も言ったように、昨年はふがいないシーズンだったので、昨年と比べればリーグ戦2位、清瀬杯出場は良い結果だったのではないかなと思いますが、やはりどちらも目標には一歩届いていないので、チームの雰囲気なども悪くはありませんが、どこか一つ足りていないのかな、というのは感じています。

川原 昨シーズンのこともありますが、今年は清瀬杯に出れたのは良いことなのかもしれませんが、全体的に見たらやはり悔しい結果かな、と思っていて、リーグ戦では明大戦も法大戦も3戦目までもつれて負けてしまったという、最後の詰めの甘さが出たりしたので、あと少しのところまで来たからこそ悔しいかな、という感じです。

新井 目標としてはリーグ戦での優勝であったり全日本選手権(全日本大学選手権)での優勝というものを掲げていたので、そこに到達できなかったというのは悔しい部分はあります。どちらの目標も、リーグ戦はあと1勝すれば優勝できた、全日本にもあと1勝すれば出れたというところで、そのもう一歩、もう一勝をつかみ取るためにどうすればいいのかを考えて、最後の清瀬杯、リーグ戦と詰めていきたいと思います。

――リーグ戦2位、清瀬杯出場を果たせた要因、逆にリーグ戦優勝や全日本大学選手権出場にあと一歩届かなかった要因については

鳥越 ポジティブなところとして、下級生の頑張りは大きかったのではないかなと思います。特に久保嶋(真也、社2=神奈川・桐蔭学園)であったり、下級生ではありませんが(リーグ戦、各カードの)第2戦で先発していた髙橋(隆之介、法3=東京・早実)、といった、自分たちの後輩がチームを引っ張ってくれた、最初は計算にあまり入っていなかったというわけではありませんが、ここまで活躍してくれるとは思っていなかったので、予想外の活躍というところが(リーグ戦で)2位になれた要因ではないかと思っています。そしてあと一歩届かなかった原因としては、やはり自分たちの弱点である投手陣であったり、野手も点が取れないときは本当に取れないといったような、調子の波というのがこのチームにはあったと思うので、安定感さえつかめれば自分たちは勝てるのではないかな、と思います。

川原 リーグ戦で2位に入れた要因としては大澤(龍登、文構2=埼玉・星野)が頑張ってくれたのが一番大きいかな、と思っていて、去年とかも安心できるピッチャーがいなかった中、確実に任せられるピッチャーが出てきたのが一番大きいかな、と思っています。逆に目標に届かなかった要因としては負けのパターンが一定化してきているといいますか、序盤に点数をバッと取られて、そのあとは打線が無抵抗で、といったパターンが結構多かったかな、と思ったので、そこがダメだった要因かな、と思います。

吉松 良い意味でも悪い意味でも、チームが団結していました。勝っているときはその団結心が出ていいのですが、負けているときはみんな打てない、あるいはみんな波に乗れていない、といったかたちだったので、一つそこに空気を変えてくれる存在が今後出てくれたらチームとしてもう一皮むけるのかな、と思います。

新井 チームが一つになった、という話がありましたが、出ている選手もそうですし、サポートしてくれる選手だったりとか、スタッフだったりとか、そういったことをやってくれる選手たちが試合に出ている選手と同じように「勝ちたい」と思ってやってくれたのが上手くいった方の要因かなと思います。あとの一歩届かなかったのは、勝ちきれなかったということで実力の部分もあるかな、と思うので負けのパターンが一定化していると川原からもありましたが、負けのパターンを一定化しない、といったところですとか、試合を勝ちきれるようにしていくのがこれから必要なのかな、と思います。

鳥越副将は熱いプレーでチームを盛り立てた

チームの連携は

――今年は意思疎通が盛んであるように感じましたが、内野手としてグラウンド内外で意思疎通を図ったりはしていますか

吉松 試合中などはよく話す方なのかな、と思います。自分はセカンドで、新井がショート、川原がファーストと、両サイドに(4年生が)いるので、左バッターが続いているときは川原に「そっちは任せるよ」と言ったり、大きな当たりを打たれた後には新井などと「さっきのは甘かったね」と言ったりするなど、試合中に会話をすることは多いのかなと思います。

鳥越 同級生が多いのも大きいかな。

新井 割と下級生のころから出ている人が多くて、ウチのチームは内野手に関しては野球に必要な指示の出しあいだけでなく、何でもない会話もしたりなど、コミュニケーションも盛んなので、それが今年もそのまま出ているのかな、と思います。

――今シーズンは下級生がマウンドに立つ時間が長くなっていますが、そうした下級生への声掛けで意識していることは

新井 自分はピンチの時ですとかピッチャーが焦っているな、と思うときにはキャプテンという立場でもあるのでホッとさせるような声掛けをすることを心がけてはいますが、サードに2年生の久保嶋がいるので、そうでもないときには割と任せてしまっているという感じです。

今季の早大はチームの団結が目立つ

――野球面でこだわりはありますか

鳥越 自分はこのグラウンドまで自転車で通えるのでジャージで来るのですが、春リーグの時は(開幕カードの)明大戦の時に黒のジャージを履いていたら負け越してしまったので、それ以降はグレーのズボンにしたら連勝が続いたので、試合の時にグラウンドに向かう時の服装は固定するようになりました。それがルーティンですね。

吉松 白にしろよ(笑)。

一同 (笑)。

鳥越 白のジャージ持ってないから(笑)。

吉松 僕は逆に「こだわらない」ことにこだわっていて、形を作ってしまうと、それができなかったときにマイナスに考えてしまう方なので、「何も気にしないように」という意識は持っています。

川原 試合前日に、試合についてみんなでコミュニケーションを取ることですかね。

新井 僕は割とこだわりすぎる方ですね。ルーティンに関しても、打席に入るまでのルーティンですとか、試合前も朝起きる時間ですとか、食べるものですとか、通る道ですとか、そういったものを全て固定しています。こだわりがありすぎて言い切れません。

清瀬杯について

――ここからは清瀬杯について伺います。清瀬杯はみなさんにとって久しぶりの全国大会ですが、そちらについてはいかがですか

新井 自分は1年生の時に全日本選手権の3回戦まで試合に出してもらって、(全国大会の)経験をしているというのはありますが、久しぶりだね(笑)。久しぶりだから、というよりは最上級生として最後に臨む全国大会ということで、前回(1年時)の全国大会とは気合いの入り方が違う、というのは自分のなかでは感じています。

川原 前回の全国大会には出ていないので、自分の中では久しぶりという感情はあまりなく、本当に初めてという感じで挑むので、そこは新鮮な気持ちです。全国の舞台で戦ったことはあまりないので、そこは楽しめるかな、と思います。

鳥越 自分は1年生の時もベンチに入っていないので、大学では初めての全国大会になりますが、高校3年生の時に軟式野球の全国大会に出て楽しい経験をしたので、今回もみんなで一つでも多く勝って、優勝して、楽しい全国大会にできればな、と思います。

吉松 自分は高校2年生の時と大学1年生の時に全国大会には出ましたがどちらもサポートメンバーで試合に出る立場ではなかったので、今回こうして試合に出る側で全国大会に出場できるということで、あまり気負わず、楽しんでやりたいな、と思います。

――今回の清瀬杯の会場には2019年に全国制覇を成し遂げた際の会場であるパロマ瑞穂野球場も含まれていますが、そちらに対するイメージはいかがですか

新井 きれいな球場です。人工芝ですし、広くてきれいで、やっていてとても楽しい球場です。

吉松 自分は1年生の時はずっとバット引きでしたが、三塁ベンチからバット引きで一塁コーチのところまで行くのですが、その時に「広いな」という印象を抱いていて、裏側も広いので、カバーリングなども大事になってくるのかな、と思います。

鳥越 (1年時に)スタンドから見ている場所なので、そこからまた、グラウンドに立ってプレーをできるというのは、正直今は何とも思っていませんが、当日になったら「こういう景色なんだな」というのは思うかもしれません。

川原 あまり球場自体のことは分かりませんが、1年生の時にやった球場でまたできるということで、全国大会という舞台なので、また頑張ろう、という感じです(笑)。

一同 薄っ(笑)!

――清瀬杯で警戒する相手や大事になる試合はありますか

新井 やはり初戦ですね。相手が東北学院大ということで、全日本にも出ているような力のあるチームだと思うので、まずはそこで勝っていけば勢いに乗っていけるのかな、と思います。戦ったことがないチームが多いですが、一戦一戦、全試合、全チーム警戒しながら戦っていきたいな、と思います。

吉松 新井が言った通りですが、自分は九州出身で、九州の準硬式野球には良いチームが多いので九州地区から来るチームは警戒したいな、と思います。

鳥越 やはり初戦で対戦する東北学院大ですかね。(東京六大学連盟の)東北遠征に参加した選手たちからも良い投手がいる、良い選手がいる、というような話を聞いているので警戒しています。あとは、関東の大学には絶対に負けたくないな、という思いがあります。

川原 東北学院大が強いというのを抜きにしても、初戦の入りが一番大事かな、と思うので、そこが一番重要かなと思います。

――清瀬杯ではどういったところに注目してほしいですか

吉松 チームとして、ここまで積み上げてきた団結力は見てほしいかな、と思います。得点した時もそうですし、守備から戻ってくるときなどもベンチも一体になって盛り上がっているところが自分たちの強みなので、そういったチームの一体感はぜひ見てほしいです。

鳥越 自分も同じようにチームの一体感を見てほしいです。吉松が言ったことと同じになりますが、点を取った時ですとか、例年と比べても今年は盛り上がれるチームになっていると思うので、そこをリーグ戦の通りしっかりと発揮して、一つでも勝って優勝して、大会自体も盛り上げていきたいと思っています。

川原 個人としてはバッティングも見てほしいですが、その後の走塁意識も見てほしいです。そういったところでチームに貢献できれば、と思っているので、そういったところも見てほしいと思っています。

新井 ハードル自分で上げたよね?

鳥越 ね、めっちゃ上げた(笑)。

新井 個人としては、ピッチャーとしても野手としても出ることになるかな、と思いますし、リーグ戦では1試合しか投げられなかったので、投打両方で主軸として活躍できるように頑張るので、そこは見てほしいかな、と思います。チームとしてはリーグ戦2位だったりですとか全日(全日本大学選手権)に出られなかったりですとか、まだまだ未完成な部分も多いですが一戦一戦、勝ち上がっていくごとに強くなっていきたいと思っているので、毎試合勝って強くなっていく姿を見てもらえたらな、と思います。

――最後に、それぞれ意気込みをお願いします。

吉松 関東大会でも全日予選(全日本出場校選出予選会)でも最後の打者になってしまい、リーグ戦も途中からケガで離脱して、不完全燃焼なシーズン前半だったので、清瀬杯では大事なところでもそうですし、自分でも満足のいく結果を残せるように全部全力で頑張っていきたいと思っています。

鳥越 自分の役割として、「チームを回すこと」が自分の役割の大きな部分だと思うので、選手を準備不足のまま試合に出さないように、そこを頑張っていきたいな、と思っています。また、自分の出場機会もどん欲に狙っていきたいと思っています。チームとしては、優勝します。それだけです。

川原 清瀬杯ということで、変に気負わずにチームに貢献できることをやっていきたいな、と思っていて、その中でチームとして優勝して、秋リーグ(東京六大学秋季リーグ戦)にも弾みがつけられたらな、と思っています。

新井 自分たちの代は1年生の時に全日本優勝を経験させてもらって。最後の、4年生となったこの代でまた清瀬杯というぶたいではありますが全国大会に出られるので、もう一度、日本一というのを経験したいな、という思いもありますし、自分たちが下級生の時にしたような経験をまた下級生にもさせてあげたいなという思いもあるので、チームとして勝つのももちろんですが、自分がチームを勝たせられるように頑張っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 渡邊悠太、写真 渡邊悠太、荒井結月、藤田珠江)

◆新井健太(あらい・けんた)(※写真中央左)

2000(平12)年6月11日生まれ。170センチ、65キロ。東京・早大学院高出身。
商学部4年。主将。最近、サウナにハマっているという新井主将。最初は同期と一緒に行っていたそうですが、最近は練習後に一人でサウナを回っているそうです!

◆鳥越康介(とりごえ・こうすけ)(※写真中央右)

2000(平12)年9月3日生まれ。175センチ、74キロ。東京・早実高出身。
文化構想学部4年。副将。夏休み期間限定でプールのアルバイトをしていたという鳥越副将。そのアルバイトで得たお金で自転車を購入したそうです!

◆川原崚(かわはら・りょう)(※写真右)

2000(平12)年7月12日生まれ。183センチ、85キロ。東京・早実高出身。
商学部4年。最近、ゴルフにハマっているという川原選手。4年生同士で行くことが多いそうですが、川原選手が4年生の中で一番うまいそうです!

◆吉松武竜(よしまつ・たける)

2001(平13)年2月13日生まれ。173センチ、68キロ。早稲田佐賀高出身。
スポーツ科学部4年。最近、語学の勉強をしているという吉松選手。現在はTOEICで800点(900点満点)を取ることを目指して勉強に励んでいるそうです!