【最終回】森田達貴主将✕池上倫平副将✕諏訪健太

準硬式野球
  •  今年のワセダは幹部学生抜きに語れない。例年よりも池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)との意思疎通を密に図り、監督もその姿勢を受け入れ、高く評価をしている。そんな新体制でスタートを切った春、関東地区大学選手権では悔しい負けはあったものの、好成績を残すことに成功。しかし、東京六大学春季リーグ戦ではまさかの4位という結果に終わってしまった。違いは何だったのか、この夏以降ワセダはどう進んでいくのか。最終回は森田達貴主将(スポ4=埼玉・県浦和)、池上倫平副将(政経4=東京・早実)、そして監督の補佐を行う諏訪健太(スポ4=東京・小山台)の幹部学生三人にお話を伺った。

    ※この取材は8月1日に行われたものです。

    「監督さんと学生が距離の近い状態で野球ができているという状態」(池上副将)

    文武両道の明るい池上副将。「最高の夏」にできるか

    ――関東大会を振り返っていかがでしたか

    池上 正直、関東大会で全日(全日本大学選手権)は決められるかな、と思っていました。最初はもちろん自分たちが関東の大学の中でどれくらいのレベルにいるのかわかりませんでしたが、戦っていくうちに、このチームやれるんじゃないかな、と思っていました。そんな中で、(勝てば全日出場が決まる)準決勝で東洋大に負けて、そこが1番悔しかったというか。その時、3日くらいは落ち込んでいたのを記憶しています。それくらい、悔しさの残る関東大会だったかな、と思います。

    森田 準決勝で負けて、その翌日に(3位決定戦の)中大戦があったのですが、気持ちを上げよう、上げようとはしていたのですが、正直落ち込みながらの戦いでした。(強豪校の中大に)当たって砕けろ、みたいな。

    諏訪 ベンチでは、中村(大輔、商4=東京・早大学院)と監督と僕との三人で色々していた感じなのでした。勝っていた試合はもちろんうまくいっていたので勝つことができましたが、負けた東洋戦に関しては、ピッチャーの継投に関して、最初決めていた事ををちょっと自分自身ブラしてしまって。それで、万全の状態で前田(直輝、スポ3=熊本)と杉山(周平、教3=神奈川・山手学院)を(マウンドに)上げてあげられなかったので、それですかね。それによって杉山もケガをしてしまいましたし、春のシーズン(東京六大学春季リーグ戦)を(出場できずに)棒に振ってしまったので。前田もブルペンで投げさせすぎてしまって、疲れた状態でマウンドに上げてしまいました。大事な場面で選手の力を発揮できるようにする、というのがベンチでいろいろ動く人間の役割だと思うのですが、それがあの試合ではできなくて、結果的に全日も逃してしまった。すごく反省していて、それがあって今いろいろ気は使うようにはしているかな。

    ――3位決定戦では強豪の中大と対戦して勝ちましたが、いかがでしたか

    森田 最初は、前日に試合を見ていて、中大か国士館かどちらが(ワセダの対戦相手に)来るのかな、と思って見ていて。その試合を見ていたら、正直勝つイメージがあんまりわかなくて、こいつら強いな、って。家に帰って、勝つとしたら明日どうやって勝つかな、どんな感じで勝てるのかな、と思いましたね。それでも、せっかく強豪校(中大は過去10年で6回の全国制覇の経験を持つ全国屈指の強豪校)とやれるチャンスなので、切り替えて頑張りました。

    ――春季リーグ戦を振り返っていかがでしたか

    森田 入りが悪かったよね。

    諏訪 関東大会にとても集中してしまっていて、翌週の(春季リーグ戦第1カードの)立大の対策をちょっと怠っていた部分があって。関東大会の日大戦にかけていたところと比べると、少し弱かった部分があって。それによって、対応が遅れて負けたのかな、と思う部分はありますね。

    ――春季リーグ戦では、第4カードの慶大カードと最終カードの法大カードに4連敗しました

    森田 (第3週目終了時点で、自力)優勝が復活したところの試合でした。りょま(鈴木涼馬、商3=東京・早実)が村石(就昭、慶大4年)から同点ホームランを打って、9回にチャンスを作って繋いできたんだけど、最後ライトオーバーを打たれた試合か。

    諏訪 僕らのチームで選手もちゃんと打てて、いい状態だったらこれだけ力を発揮できるよっていう、それを見せられたのが関東大会だったのかな、って。リーグ戦に関しては、関東の時よりもピッチャーもバッターも調子を落としていて、その中で、これも準備不足という事になってしまうんですけど、打てなくても点を取るという部分で、詰め切れませんでした。一応そういうサインとかはあったんですけど、実際練習でやってないとできないので。そこでなかなか歯がゆい攻撃になってしまったかな、というのもありますし。それを踏まえて、今夏休み、細かい練習をしています。

    ――春、エースの杉山投手がケガで離脱してしまったというのは、チームにとっていかがでしたか

    池上 抜けた事は大きかったですし。けど、抜けてもやれるかな、という思いはありました。今考えても、うまくいくビジョンもあったのですが、なんか打線と守備がうまく絡まなかったな、というのは、杉山どうこうというよりはあって。杉山の穴は確かに大きかったですけど、それでも勝たなければいけないので。

    森田 投手もそういう風に頑張っていた。

    池上 江藤(健太、教3=早稲田佐賀)であったり、大津(杜都、文構2=東京・宝仙学園)であったり、福川(千明、スポ2=兵庫・白陵)もそうですけど、今まで投げていなかったピッチャーが頑張ってくれたのに、僕は野手なので、あまり活躍できなかったところに歯がゆさというか、後悔というか、悔しさが残るリーグ戦でした。

    諏訪 春のリーグ戦の緊迫する場面で投げることが、特に福川とか大津とか、経験も全然なかった選手がそういう緊迫する場面で投げることも多かったので、それを糧にして、清瀬(杯)もそうですし、秋のリーグ戦も、今でもいいボールを投げているんですけど、より試合で勝てるピッチャーになってくれるんじゃないかな、と期待しています。

    ――野手陣はどなたを中心にまわしていますか

    池上 それは間違えなく(3番の)永井(隆太、スポ4=石川・七尾)、(4番の)中村(大)ですね。その二人を軸に、そこにいかにチャンスで持ってこられるか。そして、その前後のバッターが大事になるかな、というのが春を通してこちらが認識していることです。今後誰が調子良くなるかというのはわからないのですが、春、関東大会からキーマンになってきたのは永井、中村(大)なので。あと、もう1人2人あれくらいのバッターが出てきてくれたらあれくらい得点力も上がるのかな、と思っているので、僕なんかはそうなれるように今頑張っている感じですね。あの二人が中心だってことは間違えないです。

    ――春のMVPを1人挙げるとしたらどなたですか

    池上 僕は、江藤かな、と思います。やっぱり、江藤は(春季リーグ戦第1カードの)立大戦では先発として投げていないのですが、その後、(チームが)これやばいな、と思った時に、明大戦、東大戦と江藤が頑張って(先発投手として)一人で投げてくれて。結果的に早い段階で(リーグ)優勝がなくならずに済みました。その後の(第4カードの)ケイオー戦では負けてしまったのですが、ケイオー戦まで優勝争いができたというのは、江藤の力が大きかったのかな、と思いますし、これからも、(エース)杉山は戻ってきますけど、清瀬(杯)、秋のリーグと江藤の力は絶対に必要になると思うので、その期待も込めてMVPに選びたいと思います。

    諏訪 僕は、龍平(吉田龍平、スポ3=東京・小山台)。キャッチャーの吉田龍平ですね。龍平に関しては、関東の前に練習中のケガで鼻の骨を骨折したという事があって、本人は本当に痛く、辛かったと思うのですが、それでも色々と病院とかに通ってきちんと出れる状態で関東に間に合わせてくれて、龍平がいてくれたことによって3位になれたというか。(3位になったことで出場権を獲得したので)清瀬(杯)にも出られるんだと思いますし。リーグ戦もピッチャーが2回、3回とか細かいイニングでつないでいくことが多かったので、そういうピッチャーに1人1人対応してくのはとても大変だったと思います。試合時間も長かったのですが、集中を切らさずにしっかりリーグ戦を戦ってくれました。後は、バッティング面でもかなり龍平は成長していて。フォアボールも選べますし、欲しいところでヒットも打つことができて。打率も最初に出始めた頃(1年時)よりも1割くらい上がったんじゃないですかね。たぶんそうだと思うので、そういった面で色々と攻守にわたってチームを支えてくれたかな、と思います。

    森田 えー・・・。永井、中村(大)ですね。リーグ戦に入って、関東みたく調子が上がらない中で、そんなチーム状態の中でも必ずあいつらはチャンスを作ってくれるし、ランナーを返してくれるし、打点では、あいつらに頼っていた部分が大きいので、すごい頼りにしているというか、これからも中心選手なので。二人は、これまでリーグ戦に通しで出てはいなかった二人なので。この春で活躍してくれたのでMVPかな、と。

    ――春先に池田監督は、今年は「学生主体の考える野球」をしている、とお話しされていましたが、具体的にはどのようなことをなさっているのでしょうか

    諏訪 練習に関しては、この二人(森田、池上)が中心でやっていて、僕は練習に関しては特に何もしていないです。変わったこととしては、今年の練習メニューには去年よりも、「こういう目的があって」、とか「こういうためにこういう練習をしているんだ」、というのをきちんと示してくれているんじゃないかな、と思います。練習に関してはそれです。

    森田 最初、こういう野球をしたいというのを、僕が監督さんに言って。

    池上 新チームが始まってキャプテンが森田に決まった時に、たぶん監督さんと森田の中で話し合いがあって、森田がそこでこういう野球がしたい、という事を伝えて。そうすると同時に、そうしたらもっと選手から発信していかないと、そういう野球はできないよね、という風に監督さんも理解してくださって。それこそ諏訪の役割なんかも新チームの始動当初は決まっていなかったのですが、試合を通していくうちに、諏訪が監督のアシストというか。そういう立場にいてくれることによって、やりやすい部分がある。監督さんも、最初は多分やりにくかったと思うのですが、今となってはそこを頼ってくれて、結構自分たちの意見を聞いてくれるようになったり。逆に監督さんの考えというのも、自分たちが下級生の時よりも深く知ることができたので、なんだろう、「学生主体」というよりは、僕の解釈としては、監督さんと学生が距離の近い状態で野球ができているという状態です。

    森田 (監督さんと)信頼関係がある。

    池上 そうですね。より深い関係(笑)。

    一同 (笑)。

    ――主将、副将というのはどのようにして決められましたか

    一同 色々ありましたね(笑)。

    池上 主将は、今年は監督さんだったり、OBの方々が決めてくださりました。1つ上(卒1)の先輩たちの話を監督さんがまとめてくださって、監督さんが最後に最終決定されて、森田、という形になりましたね。自分(が副将)、というのは、森田と監督さんで話し合って。何か、うまくバランスというか。自分は良く分からないんですけど(笑)。そのような形かな。

    森田 副将は、監督さんから、「森田が今後やっていく上で1番やりやすい人で良いよ」と言われていたので、倫平(池上)にしました。

    ――では、実際に就任されて、いかがですか

    森田 キャプテン経験はあったので。歴代の(キャプテンをやっていた)チームからしたら、やりやすい。4年生、最上級学年のみんなが自立してる、しっかりしている人が多いので。僕があまり言わなくてもちゃんとみんなやってくれているので。しっかり後輩の事も見てくれるし。僕が引っ張っているという感覚は、自分ではあまりないですね。

    池上 監督さんが、新チーム始まった時にみんなの前でおっしゃられたのは、「森田はキャプテンに決まったけど、4年生全員がキャプテン、くらいの思いでやらないとあれだけいる100人の組織はまとまらないよ」という話をされたんですね、その時に、僕が副キャプテンという中で、僕は今まで、学年リーダーなどの経験も1度もなくて、自分がそういう立場になるとは全く思っていませんでした。副キャプテンということで、変に別に今も何かをしてるわけではありません。練習メニューも森田と話し合って、というか森田が決めたことを聞いたり、という位の立場でしかないのですが、自分が今1番やっていることとしては、より森田がやりやすいように。1番(大事にしていること)は、森田の事を1番にわかってあげられるような立場が自分になればいいのかな、と最初から思っていて。今できているかはわからないですが、そういうのは意識して。後はみんな本当に、全員がまとめてくれるような人ばかりの代、それが今の4年生ですね。下級生の面倒も見てくれる人の多い4年生なので、そこは信頼しています。

    ――諏訪選手は監督のアシストをされていたりと、選手の皆さんからの信頼も厚いようですが、ご自身でいかがでしょうか

    諏訪 自分で言うんですか(笑)。どうなんですかね。最初は、たまたま監督がいない時に試合に出ていない控え4年の中で誰かサインを出すことになって。森田とかが、諏訪が良いんじゃない、と言ったことでその試合ではやることになりました。そういう風にして始まった立場で、みんなからの同意を得ていなくて。流れでなってしまったものだったので、不安というか、これで良いのかな、という思いは常に持っていたのですが、そんな思いで迎えた関東大会の3位決定戦で中大に勝った後に、スタンドにいた選手などに、僕はその試合に出ていなく、(プレーで)貢献はしていないのですが、「ありがとう」とか声を掛けてくれる人がたくさんいて。それがものすごくうれしかったですし、少しはみんなに認めてもらえたのかな、と、より頑張ろうと思いましたし、よりちゃんとやらなければいけないな、と自覚も芽生えました。

    ――お互いの印象はいかがですか

    森田 池上は変わっているな、と。なんか、練習中に突然叫んだりするんですよ(笑)。周りの選手たちも「いきなりどうした」、ってなりますし。(そういう部分は)変わっているな、って。でも、実は頭良いんですよ(笑)。実は色々考えているのかな。なんで変なこと言うのかな。

    諏訪 なんで・・・(笑)。あれよ、森田は下級生から見たら固い存在なので、その分倫平(池上)が声を掛けやすい存在としていてくれることで、いい中間管理職みたいな感じですね(笑)。(池上を)間に挟んで、それを森田にこっそり伝えて、ということができる。ちゃんと意見も吸い上げられますし。変なところとか、たまにふざけているところもあるんですけど、そういうところがいい方に向いているのかな、と。

    池上 変なところ、と書かないでいいですよ(笑)。

    諏訪 でも、やる時はやるというか、本当に勝負強いので。今まで下級生の頃から2アウトで負けている時には絶対打つので、そういう逆境に強いタイプなのかな、と。そこは強いな、と。僕は全然駄目なので(笑)。そういう場面で活躍できるという事は、選手としてすごいな、と思っています。

    池上 ありがとうございます(笑)。なんで俺に対する話題が最初だったんだろう・・・(笑)。

    森田 諏訪はすごく真面目な印象が強くて、野球をよく知っているな、と思います。リーグ戦の試合後の反省会などでも、自分の考えを言えるし、オール関東とやった時も、諏訪だったらやってくれると思ったからですし。

    池上 僕も真面目という印象はあります。あとは、諏訪は帰る方向が一緒なので、電車を使う組で20才を過ぎてからはよくお酒を飲んでいたのですが、その中で感じたのは、実はとても熱い人だなと。熱い思いを持っていて。自分はすぐにそういう熱い思いを人に伝えてしまう、後輩に対しても強いことを言ってしまうことがあるのですが、諏訪は同じポジションの後輩に対しても、気遣いができるというか。自分にはもう少し足りない部分も持っていて、そこは副キャプテンとしてまとめる立場にいて、そういう時に参考にしていて。何でも厳しくすればいいわけではなくて。相手の気持ちを考えた上で注意したりと、人格者だと思います。信頼もされていますしね。

    森田 謙虚なんですよね。本当に。

    池上 森田は下級生の時にはポジションなどの接点もなくて、全然話していなかったんですよ。キャプテン、副キャプテンという立場になってから今までの会話数を超えたというか(笑)。仲が悪かったというわけではなくて、接点がなくて。そんなに話さなかったのですが、(春に行われた)新人戦の時に出られなかった悔しさをバネに、その年の秋にはもうレギュラーを取って。ずっと、「(メンバーに入れなかったことは)悔しい」とは聞いていたのですが、きちんと有言実行した(レギュラーを取った)ところは、努力家で、言ったことは必ず成し遂げる人なのかな、と。とても尊敬できる人だと思います。

    諏訪 努力家だな、という印象ですね。僕達の代は、近くにアパートを借りて一人暮らしをしている人も多いのですが、彼は紺碧寮(早大の体育会の選手のための寮)に入って。野球をしっかりやる、という思いの表れだったと思うのですが。下級生の頃は先輩と相部屋だったようで、部屋も狭いですし色々と大変なこともあったと思うのですが、そんな中でも野球をやりたいという思いで、本人がすごく努力して。結果として2年の秋からずっと活躍していますし。すごいことだと思いますし、そういうひたむきな姿が先輩やOBの方に評価されてキャプテンに選ばれたのかな、と。

    ――部内でイチオシの選手を教えて下さい

    諏訪 僕は4年の阪下くん(駿、人4=東京・成城)ですね。足はずっと前から速いのですが、外野はうまい人が多いので、入部した頃はその中で実力は下の方だったと思うのですが、頑固、というか、周りから何を言われても自分の信じたことをずっとやり続けた結果、今守備もバッティングも走塁も、走攻守にわたって、4年生ですけど、レギュラーを脅かすレベルにまで伸びてきて。実力をあげている選手なので、春の法大戦も出ましたし、今後清瀬(杯)、秋のリーグ戦であいつが、走塁はもちろん攻守にわたって活躍してくれるのかな、と。(自分と同じ)4年生なのですが、イチオシです(笑)。

    森田 日によってこんないいところがあるんだな、すげえな、と思う人が違うのですが・・・。最近だと、1年生の関(大輝、基理1=茨城・江戸川学園取手)ですね。今、(正中堅手だった)大(加藤大、人3=大分上野丘)が投手になったこともあり、1年生なのですが、(外野の)スタメンで使っていて。去年、全国優勝をした同志社大学(同大)との試合で同点の時に、ホームランを打ったりだとか。同大は本当に強いチームなのですが、(関の)ポテンシャルはすごいな、って。

    池上 僕は、須能(浩太郎、商1=東京・早実)ですね。早実から今年入ってきた1年生です。高校にスポーツ推薦で入った選手で、それなりにいい選手かもしれない、とは聞いていたのですが、今Aチームで一緒にやっていて、フリーバッティングの時などにバッティングを見て、非凡な才能があるな、と。年は3つも違いますけど、同じ左バッターとして参考になりますし。彼がこの先もっと活躍できるように、恩着せがましいかもしれませんが、リーグ戦に(まだ1年生の須能とは違い)出たことのある自分が、アドバイスしていこうと思える存在ですね。少しルーズな面もあるのですが、これから見ていきたいな、と思える選手です。

    「(センバツで)謙虚に野球をやらなければいけないな、ということを学びました」(諏訪)

    その人柄から、信頼を寄せられる諏訪。『2冠』達成に向け監督を支える

    ――期末テストの結果はいかがでしたか

    森田 テストはまあまあですね(笑)。そんなになかったので。

    池上 僕はテストは1個もなかったですね(笑)。4年生で単位を取りきっていて、ゼミしかないので。ずっと野球をしていた感じですね。

    諏訪 テストは1個だけで。体育の授業で卓球のラリー50回をやったら終わり、みたいなだったので楽でしたね。

    ――おすすめのテスト勉強の方法はありますか

    一同 (笑)。

    森田 ここは倫平(池上)が(笑)。彼1番頭が良いので(笑)。

    池上 そんなことないですよ(笑)。自分は直前になってやるタイプで、部活もやりながらなので。勉強するといったら通学中に勉強することですかね。短い時間でいかに詰め込むことができるか、だと思います。すみません、偉そうに(笑)。

    ――受けてほしい授業はありますか

    森田 スポーツ方法実習です。気分転換にもなったので。野球以外の事もできますし。結構楽しいです

    池上 ゲーム理論という授業がおすすめです。経済学の中にある分野で、僕はそれに関するゼミに所属しているんですけど。心理学にもつながる内容で、とても楽しかったです。

    諏訪 この春(学期)に取った、オープン(全学部オープンの授業)のスポーツジャーナリズム論という授業ですね。本キャン(早稲田キャンパス)での授業で、早スポの方も結構取っていましたよ。五輪にも出場した、渡部暁斗(平23スポ卒=現北野建設)さんなどをお呼びして、記者会見のようなものをし、それを基にコラムを書く、というものでとても楽しかったです。入学前は自分も早スポの方のような事をやってみたいな、と思っていた時期もあったので。

    ――今までで1番記憶に残っている試合はどういう試合でしたか

    森田 僕は、2年の秋のリーグ戦(東京六大学秋季リーグ戦)でのケイオー戦ですね。後2アウトを取れば試合に勝てるというところで、サヨナラホームランを打たれて負けてしまい、とても悔しかったので、それが1番記憶に残っている試合です。

    池上 2年の春の関東選手権(関東大会)の時のケイオー戦ですね。自分が初めて出してもらった公式戦で代打出場だったのですが、その時初めてワセダのユニホームを着て準硬式野球部員として試合に出て。ようやく目指していた舞台に立てたな、と。今でも初心を思い返す時のための大事な試合でもありますね。

    諏訪 今までの野球人生ですと、高校の時に、甲子園(第86回センバツ高校野球)に出た時の試合(履正社戦)ですね。0-11の1安打完封負けて。それまでは結構甲子園(センバツ)に出られたことで調子に乗ってた部分もあったのですが、そういうことがあって、やはり謙虚に野球をやらなければいけないな、ということを学びました。また、いろんな人が応援してくれているのだな、ということも本当に実感しました。大学では、練習試合なのですが、昨年の11月のオール関東のチームを相手にした試合をしまして。自分は今、監督(池田訓久監督、昭60教卒=静岡・浜松商)の補佐のようなことをしているのですが、その試合が初めてサインを出すなどの仕事をした試合で。監督としての仕事の難しさを知った試合だったので。そこをきっかけに監督さんの気持ちになって考えよう、と思いました。なので、これが大学に入って1番印象的な試合ですね。

    ――今年の甲子園で注目している高校や選手はありますか

    諏訪 母校(東京・小山台高、東東京)が決勝で負けた相手の二松学舎大付属ですかね。勝ってほしいです。(森田に向けて)埼玉じゃないの。

    森田 浦和学院かな・・・。でも、ニュースとかで史上最強世代といわれている大阪桐蔭ですかね。普通に参考にしたりします。どこまで行くのか、何連覇するのか。楽しみですね

    池上 僕は(硬式の)高校野球をやっていないので。軟式野球をやっていて。そんなに詳しくないのですが、自分が神奈川出身なので、久しぶりに出ることになったケイオーに注目してますね。今、準硬でもケイオーと戦っていて、逆にどこか親近感があるので。高校生(で接点はない)とはいえ、頑張ってほしいですね。それくらいです(笑)。

    ――池上選手は、出身である早実軟式野球部の試合を見に行ったりはしますか

    池上 たまにしますよ。いまいいところまでいっていますよね。あす決勝なんですよね。頑張ってほしいです。18年ぶりの決勝で。(早実は、この後18年ぶりの全国大会出場が決まりました。)

    諏訪  勝ったら、大阪でやるやつに。

    池上 そう。『もう一つの甲子園』 。

    ――プロ野球の応援しているチームはありますか?そのチームで注目している選手は

    森田、池上  プロ野球のことは諏訪さんが(笑)。

    諏訪 僕は、(東京)ヤクルトスワローズの大ファンです。ファンクラブも入っていて、結構(観戦に)行くんですけど(笑)。注目している選手はオリックス(バファローズ)を戦力外でヤクルトに来た坂口選手(智隆、東京ヤクルトスワローズ)です。そこから3割打って、今首位打者争いもしていて(※取材当時)。地味であまり目立たないのですが、ひたむきにやってどん底から這い上がってきた選手だと思うので、僕は個人的に好きです。かっこいいな、と思います。

    森田 あまりひいきのチームはないのですけが、うまいプレーなどを見て参考にしています。二遊間の守備だとか、バッティングのタイプの近い選手だったりだとか。ファンというか、参考にしています。すごいんだな、と。例えば(北海道日本ハム)ファイターズの中島卓也選手(北海道日本ハムファイターズ)とかですね。きのうは、上林(誠知、福岡ソフトバンクホークス)のホームランを見ていました。

    池上 小さい頃から(読売)ジャイアンツのファンですね。最近調子が悪いんですけど。特に好きな選手は同じポジションで、右投げ左打ちの外野手ということで亀井選手(義行、読売ジャイアンツ)が好きです。小さい頃から参考にしています。引退しちゃいましたけど、今監督をやっている高橋由伸選手(読売ジャイアンツ)も好きでしたね。

    ――参考にしている現役のプロの選手はいますか

    池上 茂木栄五郎選手(平27文構卒=現東北楽天ゴールデンイーグルス)です。早大出身の。もともとバッティングが好きで。隣(野球部の練習場である、現安倍球場)でやっているところを生で見たこともあったので。いい選手だな、こういうバッティングができればな、と思って。茂木さんのバッティング集などを試合前に見て、参考にしていますね。こんな感じで打てれば良いな、と。

    森田 同じポジションの山田哲人選手(東京ヤクルトスワローズ)と菊池選手(涼介、広島東洋カープ)ですね。

    諏訪 大学に入ってからはそういう意識は薄れましたね。プロ野球選手を、というよりは近くにうまい選手がいて、それぞれ参考になる部分を持っているので、それを参考にしていることが多いですね。倫平(池上)や森田もそうですけど、中村(大)とかは下級生の頃からバッティングを教えてくれたりしていたので。今、プロ野球は見ますけど、参考にするのは、後輩も含めていろんな学年の人から学んで、という形ですね。

    「優勝にこだわって、勝ちにこだわって」(森田主将)

    ひたむきに努力を重ねてきたという森田主将。集大成となる後半シーズンでは有終の美を飾りたい

    ――清瀬杯全日本大学選抜の位置付けを教えてください

    池上 僕らとしては、結構重要な大会として臨みます。これはチーム皆共通だと思います。清瀬杯というと、全日の2つ目の大会、ランクの少し落ちる大会、という印象が自分たちもありました。しかし、いざリーグ戦が終わって出場が決まると、自分たち(現役選手)は(早大の選手として)全国大会に出ることが初めてなので、そういった大会で野球ができるというワクワク感がありますし、どうせやるから優勝を目指してやりたいな、と思うところもありますし。関東大会では春のリーグ戦を視野に入れていなかったという反省を生かして、秋のリーグ戦はもちろん視野に入れつつ。秋のリーグ戦はもちろん視野に入っていますけれど、その前の清瀬杯、北海道で優勝したい、というのがあります。

    森田 優勝します。

    諏訪 優勝したいですね。

    池上 何か1つくらいタイトルを取りたいな、ということを幹部の中でもずっと話していることですし。

    ――チームとしては具体的にどのように戦っていきたいですか

    諏訪 結構日程が詰まっていて、決勝までいくと考えると、3日間で4試合をこなすので。2日目がダブルヘッダーなんですよ。なので、具体的なところで言うと、総力戦になるのかな、と。うまく休ませつつ、それでも勝たなければいけないので。レギュラーの選手をどれくらい出すのか、などを監督やみんなと相談し、うまく回していかないと決勝まで持たないと思うので。その辺はピッチャーも野手も含めて考えていきたいです。少しまだできていない部分も大きいのですが、今後の練習試合を見ながら。徐々に固めていかなければいけないな、と。

    池上 多分強いチームばっかりなので、上からじゃなくて、挑戦者の気持ちでやっていかなければな、と思います。そのために今何が必要かなって思った時に、やっぱり打力であったり投手力がまだまだなので、投手戦になっても打撃戦になっても強いチームというか、これを目指してやっていきたいなと。得点パターンも増やしながら(戦っていきたい)。

    ――初戦は近畿大が相手ですが

    森田 結構強い印象で。去年全国制覇した同志社に勝っているんですよ。話によるとハマるとすごい強いらしくて。その相手の雰囲気にのまれないようにやっていきたいと思います。

    ――キーマンとなる選手は誰でしょうか

    一同 ピッチャーですね。先発投手ですね。

    諏訪 公式戦に初めて出るピッチャーがさっき挙げた関とか。あと今内野手(ショート)は高木(寛人、基理4=東京・早実)と池澤(一真、スポ2=栃木・大田原)がレギュラー争いをしていて。もちろん(春正遊撃手だった高木ではなく)池澤などの下級生が出る可能性もありますし。また、プレッシャーは去年に比べてかかると思うのでしっかり支えていきたいと思います。

    池上 僕はあと永井がカギというか。加藤大が投手に転向してセンター空いた状態で、練習試合から(永井が)センターで出ていて。清瀬では永井がセンターかは分からないですけれども、センターラインを固定したいなと考えている中で、永井には春同様活躍してほしいなと思います。

    ――最後に清瀬杯と秋季リーグ戦への意気込みをお願いします

    森田 関東もそうですし、春リーグも優勝を狙えた段階での敗退で、それを経験してきたので。見えるところで届かない、というか。僕は初めての全国大会なので、そこを楽しみたいっていうのもありますけど、優勝にこだわって、勝ちにこだわってやっていきたいと思います。(秋季リーグ戦は)最後4年生が中心となってリーグ戦優勝を必ず成し遂げたいです。

    池上 リーグ戦とかが終わった後にみんなで集まって必ず、お疲れ様会を開くんですけれども、それが今まで祝勝会になったことがなくて。自分たちが入部してからは優勝が1回もないので。この前の春リーグの後もみんなでお疲れ様会をしたのですが、残念会というか、清瀬頑張ろう、みたいな会になってしまったので、今度はみんなで盛り上がれるような。清瀬(杯)優勝、秋リーグ優勝の二つを必ず取りたいなという中で、自分が活躍することはチームが勝てればそんなにいいかなとは思っていたんですけれども、やっぱり自分が活躍しないとチームも上にはいけないなと最近考えるようになりました。野球生活最後でキャリアハイというか、今まで自分が1番打った2年の秋、自分が初めてリーグ戦全体を通して出たシーズンが1番いい結果だったんですけれども、それは最低限超えられるように。また一からやりたいな思います。優勝はします!

    諏訪 優勝したくてしょうがない、という感じですね。自分の立場もあるので、春リーグなどの時は冷静でいなければいけない時に冷静でいられなかった時があって。普段ならばできる判断ができなくて、それで負けたかな、という試合も自分の中で何試合かあって。そういうことは絶対なくして。あとは、監督さんがとても熱い人なので、自分や他の4年生はそれを支えていけるように。きちんと意思疎通をして、チームをいい方向に導いていけるように、冷静に頑張りたいです。4年生になってからはあまり試合に出ていないので、レギュラーで活躍することはないかもしれませんが、僕にとっても最後のシーズンなので、ベンチに入っている以上、野球の方でも結果を出すことが責任だと思っています。後何打席あるかはわかりませんが、代打とか、守備の機会があれば、きちんと結果を出して、ベンチワークでも選手としてもきちんと結果を残せるように残りの期間を頑張りたいです。

    ――ありがとうございました!

    (取材・編集 石﨑開、金澤麻由、新井達久)

    決勝の日は森田主将の誕生日。ワセダに頂点を、そして主将の誕生日に栄冠を

    ◆池上倫平(いけがみ・りんぺい)(※写真左)

    1996(平8)年5月21日生まれ。175センチ70キロ。O型。東京・早実高出身。政治経済学部4年。右投左打。外野手。男3人兄弟の末っ子の池上選手。後輩も親しみやすい明るい性格が魅力です。体育会では学業面で優秀な選手が表彰されるのですが、その表彰選手が今年の4年生は多いそうです。勉強が大変な政治経済学部に在籍する池上選手も、入学以来ずっとGPA3以上を修めています。この夏は文武両道な副将が清瀬杯優勝へと導きます!

    ◆森田達貴(もりた・たつき)

    1995(平7)年8月30日生まれ。163センチ59キロ。AB型。埼玉・県浦和高出身。スポーツ科学部4年。右投左打。内野手。「キャンパスではオーラがないので、後輩から気づかれません」と笑いながら話してくれた森田選手。ゲームをすることが好きで、パワフルプロ野球をやっているそうです。しかし今は来る教員採用試験に向けて勉学に励んでいます。静かな印象の森田選手ですが、優勝に対する熱い気持ちは人一倍。 平成最後の夏、ワセダに優勝を持ち帰ってくれるでしょう!

    ◆諏訪健太(すわ・けんた)(※写真右)

    1996(平8)年6月29日生まれ。179センチ72キロ。A型。東京・小山台高出身。スポーツ科学部4年。左投左打。外野手。深夜ラジオ・『オードリーのオールナイトニッポン』が好きだという諏訪選手。電車などで聞いて、リフレッシュをしているそうです。しっかりしていて真面目だと言われる諏訪選手も、池上選手と同様にGPA3以上を維持しているそうです。監督からも、もちろん選手たちからも厚い信頼をおかれる諏訪選手が、この夏も勝利への道筋を描きます。