投打で横浜国大を圧倒!山口、矢坂が完封リレーで成長見せる

準硬式野球
TEAM
横浜国大
早大 ×
(早)○山口、矢坂―吉田龍、齋藤成
♢(本塁打)加藤瑛(三塁打)山口(二塁打)鈴木、倉本、吉田龍

 春季東京六大学リーグ戦(春季リーグ戦)で守りの乱れから4位に終わったチームを再建し、夏季オープン戦に臨んだ早大。相手は関東地区大学選手権で準優勝し、全日本大学選手権への出場も決めている強豪・横浜国大だったが、この日の早大は圧巻だった。投げては、先発した山口将宏(スポ3=愛知・横須賀)、救援・矢坂颯雅(社3=東京・早実)が完封リレー。打っても、4番・鈴木夏亥(社3=東京・早実)の3安打など計13安打を浴びせて7得点。投打ががっちり噛み合い、完勝した。

 課題の立ち上がり、山口は春からの進化を存分に発揮して見せた。先頭をあっさり3球で打ち取ると2回まで1人の走者も出さない完璧な投球。3、4回には安打を浴びるも「バッテリーで内角を厳しく攻めるというテーマを持っていた」(山口)と攻めの投球で後続を断ち切った。その後も安定感抜群の投球で、5、6回は三者凡退。7回2死からこの試合唯一の四球を与えるも「春季リーグ戦の経験が自分の自信になっている」(山口)と走者を出しても慌てずに内角を攻め、次打者を三振に料理。春以降重点を置いて磨いてきた変化球を得意の直球に効果的に織り交ぜ、三塁すら踏ませない見事な無失点投球を披露した。8回から山口の後を受けた矢坂も「低めに変化球を投げられた」と丁寧な投球で1人の走者も出さず、2回をきっちりと締めた。

変化球の精度が増した山口

 投手陣のいいリズムに乗せられるかのように攻撃陣も奮起した。初回、1年生ながら1番を任される今井武(法1=東京・早実)が中前安打で出塁すると、2死二塁から4番・鈴木が左翼線二塁打を放ち先制。続く倉本芳郎(法3=広島・修道)も適時打を放ち、さらに1点を加えた。2回にも先頭の吉田龍平(スポ1=東京・小山台)が左越え二塁打を放つと1死三塁から森田達貴(スポ2=埼玉・県立浦和)がスクイズ。この打球は小飛球となるが、投手の頭を越え、追加点をあげた。運も味方につけた早大はさらに4回、先頭の池上倫平(政経2=東京・早実)が右前安打で出塁するとすかさず盗塁を決める。その後、森田が左犠飛を放ち、横浜国大を突き放した。5回にも三塁手の落球で池上が二塁から一気に生還すると、さらに山口が右中間三塁打を放ち、ダメ押しの6点目。なおも早大の猛攻は続く。8回先頭で代打・加藤瑛二(スポ2=愛知)が出場すると2ボールからの3球目、放った打球は大きく伸び、左越え本塁打。打った加藤は全力疾走でベースを回り、ベンチを沸かせた。

鈴木は3安打を放ち、好調ぶりをアピールした

 投手陣の充実ぶりが見えた試合だった。「山口が成長してくれたのが僕らにとって一番大きい」と鈴木が語ったように山口は今後も投手陣の柱となるだろう。矢坂も救援として存在感を増している。春の課題だった守備でも池上らが好守を見せ、無失策と改善が見られた。打線は今井や吉田龍ら新戦力と上級生が融合し、5回まで毎回、先頭打者が安打を放つなどいいつながりを見せている。暑さの中、ベンチの声は試合を通して途切れることがなかった。矢坂が「助けていただいた4年生が気持ちよく引退できるように、2、3年生で引っ張っていきたい」と意気込む秋季リーグ戦に向けて、早大の準備は整った。

(記事 皆川真仁、写真 加藤耀)

コメント

山口将宏(スポ3=愛知・横須賀)

――7回無失点という結果でしたが振り返っていかがでしたか。

中1日ということで疲れもあったのですがリーグ戦の第3戦ではこういった状況になるのでそれを想定して投げました。きょうはバッテリーでインコースを厳しく攻めるというテーマを持っていてそれがある程度上手くいったことが無失点につながったのかな、と思います。

――四球が一つで球数が少なかったですが特別心掛けていたことはありますか。

特別心掛けていたことはありませんでしたが、春のリーグ戦(春季東京六大学リーグ戦)で投げたという経験が少なからず自分の自信になっていて、ランナーを出してもあまり気にせずいこうという気持ちで投げられているのでそれが上手くいって結果的に四球が少なくなったと思います。

――7回に初めて四球を出した後の三振は狙って取りましたか

あの四球はそれまで四球を出していないことを意識してしまった結果、出してしまったので、それは反省です。三振は狙って取ったというよりもしっかり右打者のインコースに投げることを心掛けていたのでそれが結果的に三振につながったかなと思います。

――春のリーグ戦が終わった後に夏合宿などで特に取り組んでいた練習はありますか。

夏合宿はなかったのですがOBの方々に指導していただき、フォームもいろいろ試してみました。特に春のリーグ戦では真っ直ぐ中心になることが多かったのでしっかり変化球でカウントを整えたり、時には変化球も投げることによって自分の得意な真っ直ぐもより生きてくると思うので、そういったところは意識して練習しています。

――秋への抱負をお願いします

夏の練習やオープン戦でいい状態できているので秋のリーグ戦もしっかり守備からリズムを作って攻撃につなげられるように、自分のピッチングをしていきたいと思います。

矢坂颯雅(社3=東京・早実)

――登板も決まっていたと思いますが、きょうの試合に向けてなにか意識したことはありましたか

中継ぎは準備のタイミングが難しいです。なるべくブルペンでの投球数を少なくして、試合に臨むことを意識していました。

――2回を投げて2奪三振でパーフェクトでしたが手応えは

きょうは低めに変化球を投げられました。初球から打ってくれたので、球数も少なく抑えられてよかったですね。

――夏も半ばに差し掛かっていますが、ここまで調子はいかがですか

今季は投手陣が試合をつくれていると思います。先発の山口、黒須(裕太、人3=栃木・真岡)がすごく調子いいので、二人に負けないように点を取られないように頑張っていきたいと思います。

――春季リーグが終わってからこの夏、重点的に取り組んだのはどういったところですか

春は先発で3、4試合投げて、それ以降は抑えのポジションを任されていたのですが、先発した時は球が高くてそれを打たれていました。なので直球、変化球共に低めに集めることを意識しています。

――春はチーム事情もあってリーグ戦途中から中継ぎ転向となりました。今季は開幕から中継ぎ、抑えというポジションでの登板が予想されます

そういうかたちでチームはここまでオープン戦で勝てているので、中継ぎ・抑えのポジションを自分がしっかり守っていけるようがんばっていきたいです。

――それでは秋季リーグ戦に向けての抱負を聞かせてください

春は残念な結果(4位)に終わってしまって、全日本(全日本大学選手権)の予選にも出られなかったので、今季は様々な面で助けていただいた4年生が気持ちよく引退できるように、2、3年生で引っ張っていきたいと思います。

鈴木夏亥(社3=東京・早実)

――快勝でした。振り返っていかがですか

横浜国大は全日本(全日本大学選手権)に出るところなので、僕らは夏なにもない中、結構練習してきた成果が横浜国大の前の国士舘大であったり関東学院大との試合でできていたので、自信持ってやれていたなと思います。

――ご自身の成績も4打数3安打でした

3番の笹井(健佑、社3=東京・早実)がいつも打っているのですが、前回の関東学院大戦の試合前に、(笹井から)ちょっとしたアドバイスをもらって、それが僕の中ではすごくはまったというか、きょう結構それがいい感じで(結果に)出ました。

――ことしの夏合宿はもう行われたのですか

ことしの夏合宿はなくて、このグラウンドで1日練習というか、結構普段より長い練習をしています。

――夏の試合では4番を打っていますが、その責任などどうお考えですか

春のリーグ戦(春季東京六大学リーグ戦)でも何回かやったのですが、任されているというのはうれしいことなので、今後の試合どうなるかわからないのですが、きょうみたいな結果が残せればいいなと思います。

――きょうの試合はいい形で点を取れている印象でしたが、チームの雰囲気はいかがですか

今、1番(今井武、法1=東京・早実)とキャッチャー(吉田龍平、スポ1=東京・小山台)が1年生なのですが、結構打線になっているというか、みんながいろいろ工夫してやれていると思うので、僕ら3年生ももちろん試合をさせてもらってますし、スタメンで出られる中では3年生が多いので、僕らが引っ張っていけたらなと思います。

――守備や攻撃も春季リーグ戦より確実にレベルが上がっていますね

バッティングは水物だと思うのですが、守備は春季リーグで結構苦戦したので、そういった面では夏のオープン戦は本当に守備がいいので失点も少ないですし、やはり山口将宏(スポ3=神奈川・横須賀)が成長してくれたというのが僕らにとって一番大きくて、きょうも無失点で抑えてくれましたし、本当に強豪相手にいいピッチングできていると思うので、今後も続けて欲しいですね。

――暑い中、気持ちを切らさずプレーするにあたって、どのような工夫をされていますか

やはりベンチワークといいますか、試合に出ているのは9人なのですが、ベンチにいるみんなと声を掛け合ったり、あとは攻撃と守備でその都度切り替えて、声の掛け合いといいますか、ここはチームワークがすごく問われるところだと思うので、それを意識してきょうはやれたのかなと思います。

――残りの夏どう秋季リーグ戦に備えていきたいですか

そうですね。あと何試合か残している中では慶大との試合もあるので、六大学で戦う相手なので、僕らは調子がいいですがそれに慢心せず自分らの野球ができればと思います。