今季初、屈辱の零封

準硬式野球
法大2回戦
法大
早大
(早)●黒須、矢坂―利光、齋藤成

 前日に全日本大学選手権(全日本)出場の可能性がついえた早大準硬式野球部。法大を迎え、第2戦が行われた。先発の黒須裕太(人3=栃木・真岡)は今季自己最長の8回を投げ、3失点。粘りの投球を披露した。しかし、打線は先発・室木大(法大)の直球とブレーキの利いた変化球にタイミングが合わず、ほとんど好機をつくることさえできなかった。放った安打はわずかに2本。今季初となる完封負けを喫した。

 黒須は2試合に登板して計13回で5失点。この5失点は全て6回以降に取られたものである。この日も例外ではなかった。6回までは強力な法大打線を高めでも空振りをとれる球威ある直球とコーナーに丁寧に投げ分けた変化球で手玉にとっていった。しかし、0—0で迎えた7回表。先頭打者にあわや本塁打となるようなフェンス直撃中越え二塁打を浴びる。次の打者にきっちり進塁打を決められ、一死3塁のピンチ。捕手・利光健作(法3=東京・早実)のサインに2度、3度、首を振った黒須が投じた3球目は黒須のグラブをかすめ、二遊間を抜けていく。ついに均衡が破れ、大きな1点が法大に入った。またもスタミナ面の不安がそのまま結果に現れてしまった。

黒須の好投は報われなかった

これまで数少ない好機をものにし、効率的に得点を重ねてきた。しかし、この日はその少ない好機さえつくらせてもらえなかった。初回、先頭打者の矢野匠(社3=東京・早実)がしっかりボールを選び、四球で出塁する。だが、進塁を急いだ矢野は逆を突かれ、けん制死。その後、3番の笹井健佑(社3=東京・早実)も内野安打で出塁するが、盗塁死。試合開始直後、早大に傾きかけた流れをつかむことができなかった。2回から7回は三者凡退。好投を続ける黒須を見殺しにした。

チームトップの安打数を誇る笹井も2三振だった

「早い回で攻めきれなかった、崩しきれなかったという点がきょうの敗因のひとつ」。池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)はこう分析する。機動力を駆使した攻撃は失敗すれば、勢いを止めてしまうという大きなリスクを伴う作戦だ。結果的に、機動力野球が裏目に出て、不安定な立ち上がりだった室木を助けるような形になってしまった。次戦は最後のカードとなる立大戦。春季東京六大学リーグ戦(リーグ戦)をせめていい形で締めるため、秋季リーグ戦につなげるために、目指すものはただひとつだ。

(記事 加藤耀、写真 新津利征)

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コメント

池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)

――2年連続で全日本大学選手権出場の可能性がなくなりましたがそれについてどうお考えですか

去年の秋からこのチームを勝てるチームにするためにきっちり取り組んできたつもりだったんですけど、やはり細かい部分での取り組みや私の指示も含めて足りなかったのかな、と思います。それがこのリーグ戦の結果につながっていると思いますね。もっと私の方から勝つための取り組みを指示してあげて、それを学生がそれに従ってやってくれれば、もっと違った結果になったと思います。

――きょうの試合を振り返ってください

黒須(裕太、人3=栃木・真岡)がよく投げてくれました。法大に勝つためには接戦に持ち込んで、ワンチャンスをものにして逃げ切るというのが必要です。きょうのように後攻のときには、一番そういうことがやりやすい試合ではあったんですけどね…。結局、先に点を取られてしまって、さらには失策も重なったりして、追加点を許してしまった。決してベンチはあきらめていた訳ではないのですが、もっと一人一人がそれぞれの役割を意識した上で打席に入っていれば、また違った流れに持って来れたのかな、という感じはしますけれども。

――法大というチームについて教えてください

打撃が非常に力強いです。元気はそんなに感じないんですけれども、個の技術というのが一定以上ありますので、それがチーム力を形成していると思いますね。

――ベンチから見て、室木投手(法大)にどういう印象を受けましたか

直球と変化球に関しては事前に偵察などでわかっていたのですが。投手なら誰でもそうですが、立ち上がりがよくなかったのに、初回に牽制死があったりとかああいうところで拮抗(きっこう)したこちら側に傾いていた流れを法大側に戻してしまいました。たしかに室木くんはいい投手なのですが、やはり早い回で攻めきれなかった、崩しきれなかったという点がきょうの敗因のひとつだと分析しています。室木くんは非常にいい投手でした。

――今季の初めは失策に泣く試合も多くありましたが、最近の試合ではずいぶん少なくなったように感じますが、いかがですか

守備に関しては、基礎練習を繰り返せと新チーム結成のときからずっと言っておりました。春先というのは試合勘が出来上がっていない中で、さらに昨年からポジションを替えた選手もいるので、慣れという部分もあったのかもしれません。慣れてきたおかげで、本来備わっている力が出てきたのかな、と。試合勘が戻ってきた結果かな、と思っています。

――犠打や盗塁などを織り交ぜた攻撃が目立ちますが、その手応えは

バントに関しては決まらない選手も多かったので、平日の練習にそれをしっかりやって、土日の試合でできるように、という指示を出していました。そこは学生がしっかりやってくれた成果だと思います。盗塁に関しても、自分で感覚を持って、投手のタイミングを常に計りながら、というのができていたと思います。ノーサインで成功するという場面もいくつかあったので、そういう意味では、選手の意識を持って行った練習が功を奏した結果だと思います。

――来週はリーグ戦、最後のカードである立大戦です

投手はもうね、よく投げているんですよ。きょうも黒須が投げて非常にいい投球をしてくれている。投手は試合をつくってくれるということを前提で、あとはやはり打線ですよね。きょうのように2安打では勝てないと思うので、好機は数少ないとは思いますけれども、丁寧な野球の上に機動力を織り交ぜつつやっていくのが大事ですね。やはりそういうことができれば秋にもつながるという風に思っています。

黒須裕太(人3=栃木・真岡)

――きのうの敗戦で全日本の可能性が消えましたが、それについてはどうお考えですか。

結果としては消えてしまったのですが、法大から勝ち点を取るというのは前々からの目標だったのでそこで集中を切らさずに法大戦に臨もうと思っていました。

――6回まで粘りの投球でしたがいかがでしたか。

本当に法大はいい打線なので、丁寧に攻めなくてはいけないなと思いながら、その結果丁寧に投げることができたのであの様な粘りの投球が出来たのかなと思いました。

――7回の適時打では捕手のサインに首を振っていましたが、どういう考えで6番打者と対戦しましたか。

あの場面は空振りが欲しい場面だったので、自分の持ち球の中で一番空振りが取れるボールを選択して投げたのですが、それが結果的に打たれてしまったので、まだまだ自分のレベルが足りてないのかなと思いました。

――来週で最後のカードになりますが、どのように春を締めくくりたいとお考えですか。

春のリーグ戦ここまで負け越している試合が多いので、最後勝ってしっかり秋のリーグ戦につなげられればと思うので、最後の2連戦は勝ちたいなと思います。