最後の栄冠へ―準硬式野球部の練習に密着!―

準硬式野球

 例年を上回る暑さが続くことしの夏。早大準硬式野球部はいつになく厳しい日々を過ごしている。ことしの東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)は3位。8月に行われる全日本大学選手権(全日本)への出場権を得ることはできなかった。この夏、チームが掲げたのは自分たちのプレーを一から見直す基本練習。練習に多くの時間を割けるようになったこの時期に一人一人がレベルアップを図り、チームは着実に成長を遂げている。秋季リーグ戦開幕まで残り3週間と迫ったこの日、本拠地・早大東伏見グラウンドで行われた練習の様子を伺った。

 午前9時。松本憲太郎主将(スポ4=福岡・筑紫丘)からこの日行われる練習メニューが発表される。それと同時に、練習一つ一つの目的が語られた。準硬式野球部では、池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)をはじめとする首脳陣と共に、選手を代表して松本らチーム幹部も練習内容の考案をしている。急務であるチーム力向上。限られた時間の中で、より効率的な練習を目指している。その後は全員で念入りなアップを行い、いよいよ本格的な練習が始まった。

一体感を持ってアップをする選手たち

 この日まず行われたのは、春季リーグ戦から主力として活躍していた選手たちによる打撃練習。ネットを隔てて作られた3カ所の打席から、それぞれの選手が快音を響かせた。また、打撃練習には入らなかった選手たちも自身の守備位置からノックよりも実戦に近い打球をさばくなど、一人一人が課題を持って練習に取り組んだ。それが終わると、次に行われたのは紅白戦。中心となるメンバーは試合経験の少ない選手たちだ。より多くの選手を起用するため、一人一人の出場時間は限られたものになったが、貴重なアピールの場となったことには違いない。試合後には「期待以上の活躍をしてくれた選手もいた」と、池田監督が語るなどチームにとって収穫のある試合となった。

打撃練習で汗を流す沼田駿希副将(政経4=東京・早実)

 いよいよ近づいてきた秋季リーグ戦開幕。準硬式野球部は、8月15日から選抜された約30名の選手たちが秋田合宿を行い、さらに実戦を重ねていく予定だ。メンバー発表まで残り数週間。選手同士がお互いに切磋琢磨(せっさたくま)し合いながら、さらなるレベルアップを図っていく。勝利への近道など存在しない。しかし、この夏の鍛錬が確実にチームを一回り大きく成長させた。不退転の決意で臨む最後の決戦。目指すはもちろん栄冠ただ一つだ。

(記事 杉田陵也、写真 森原美紘、中村朋子)

コメント

松本憲太郎主将(スポ4=福岡・筑紫丘)

――東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)は3位で、全日本(全日本大学選手権)にいくことができず練習しかない中で、個人的な課題として何を意識して練習していますか

打率はそれなりに良かったと思いますが、点数が絡む場面での一打が少なかったと思います。僕がもう2、3本打っていたらリーグ順位も変わっていたのではと思うので、走者がいる時の集中力を求めていまは練習しています。

――就職活動などがある中で、いまのご自身の調子はいかがですか

正直全然練習できていませんが、調子自体は悪くないと思うので、秋にむけてここから上げていければなと思います。

――リーグ戦が終わった時は「基本練習を重視する」と仰っていましたが、いまは具体的にどのような練習をしていますか

秋リーグ(秋季リーグ戦)まで1ヶ月ないですし、練習試合での実践的練習を少しずついれていきながら、チームの底上げ、個々のレベルアップも欠かせないので、個人個人がしっかり目標をもって自分の野球レベルを上げることを言っています。

――春季リーグ戦は守備のミスが多かった部分がありますが、夏の練習で改善できた点はありますか

守備でも打撃でも、まずは基本ができていないといけないということで、基本練習をやってきたので、うまくなっているなと思う選手もいますし、それを実践的な試合でできるかというのが大事なポイントかなと思います。

――秋季リーグ戦までのあと1ヶ月くらいでチームで詰めていきたいことは何ですか

(試合で)投げられる投手がもっと出てきてほしいのと、1、2年生は来年を見据えてというのもあるので出てきてほしいです。何より目の前のアウトを取る、それの積み重ねかなと思うので、背伸びせず、自分たちのできることを試合で発揮できるように、練習でも細かいところから意識してやっていきたいです。

――もうすぐ遠征のメンバーが決まりますが、構成はどのくらい決まっていますか

いや、まだですね。まだあと2、3試合あるので、そこでアピールしてもらって、いいなと思う選手を30~35人くらい強化合宿のメンバーとして選びたいと思います。

――そのメンバー構成は、何を重視して決めますか

夏の練習を頑張った選手や、活躍してくれそうだなという選手ももちろんですが、特に1、2年生でこれから伸びていってほしい、期待の大きい選手を連れていきたいなと思います。

――最後の大会となる秋季リーグ戦に向けて抱負をお願いします

春はリーグ3位で終わっているので、(春季リーグ戦で敗戦した)法大と明大に勝って、何としても優勝したいと思います。

松下和樹副将(先理4=静岡・掛川西)

――春季リーグ戦は3位という結果で、全日本に進むことができませんでしたが、この夏の個人的な課題は何ですか

春のリーグ戦に向けて調子は上がっていたのですが、本番になったら打てないという結果でした。その原因としていままで好き勝手に打撃練習をしていたことが挙げられるので、最近は実践を意識し本番で打てるような練習を取り入れています。

――ご自身の調子はいかがですか

上り調子だと思います。

――いまの投手陣の様子はいかがですか

下級生が非常に頑張っています。上級生は就職活動などがあったのでこれからだと思います。3年生以下は、投げ込みも多くやってくれたので、それなりの結果が期待できます。

――4年生同士のバッテリー間の調整はどのように行っていましたか

(就職活動などで)会える機会が少なかったので、会える時には向江(洋光、人4=大分上野丘)と沼座(翔平、スポ4=広島なぎさ)の球を捕るようにしていました。数少ないチャンスを使ってコミュニケーションをしていました。

――秋季リーグ戦で期待できる投手はいますか

集大成となるので、向江と沼座には注目してほしい反面、頑張ってほしいです。

――来年に向けて、若い投手陣の様子はいかがですか

黒須(裕太、人2=栃木・真岡)、山口(将宏、スポ2=愛知・横須賀)、古屋(大樹、スポ3=千葉・桜林)の3人が競争を激しくしてくれています。まだ抜けてくる選手がいないですが、底上げができていると感じています。

――あと1カ月弱で最後の大会ですが、バッテリーとしてどのようなことを詰めていきたいですか

自分が出したサインに対し、投手が意図を理解して投げてくれることによって抑えられると感じるので、実践練習の中でこのようなことを詰めていきたいと思います。

――秋季リーグ戦に向けて一言お願いします

目標である『5冠』の最後の一つになってしまいましたが、最後の一つを取ってもう一つの大会に繋げれるように、絶対に優勝したいと思います。