新人戦も力及ばず、準決勝敗退

準硬式野球

準決勝 10
立大 10
早大
(早)●黒須、矢坂、山口、齋藤凌-蘆野、利光

◇(本塁打)岸山(三塁打)吉田康、中村(二塁打)吉田康、菅谷

 まさかの敗戦。そう言っても過言ではない。東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)を終えて迎えた木村杯新人戦(新人戦)。このチームの主将に抜てきされたのは、すでにリーグ戦で4番打者に定着した笹井健佑(社2=東京・早実)。そして、先発のマウンドを託されたのは、早大投手陣の柱となっている黒須裕太(人2=栃木・真岡)。戦力は十分にそろっていた。しかし、結果は10-9で敗退。リーグ戦で3位に終わった一軍同様に、若いチームも課題を突き付けられた。

 この日の先発を任されたのは黒須。安定した制球を武器に頭角を現した今季はチームの柱として活躍し、将来のエース候補筆頭の位置にまで上り詰めた。立ち上がりは、低めに集めた丁寧な投球で相手打線を前に凡打の山を築く。しかし、7回課題のスタミナが底を尽き始めると、あっという間に4失点。ここまで好投を続けていただけに、悔しい降板となった。この後は、試合経験の少ない3投手が登板。しかし、延長10回に5失点を喫するなど、課題の残る結果となった。「秋季リーグ戦までにはもう一段階上げなければいけない」(寺西洋新人監督、社4=神奈川・桐光学園)。チームの底上げへ、若い投手のレベルアップは必要不可欠だ。

失点を許し肩を落とす黒須

 課題が浮き彫りとなったこの試合であったが、収穫も多かったことは間違いない。先制本塁打を放ったのは岸山智大(文構1=静岡)。昨年夏の甲子園にも出場した期待の新人が、ようやくその実力を現した。この日、岸山は守備でも好プレー披露。1年生ながら、大きな存在感でチームを鼓舞した。他にも、これまで出場機会に恵まれなかった選手が躍動する。4点を追う8回には、代打・曽我光(法1=東京・早大学院)が初球を振り抜き中前安打。続く中村大輔(商1=東京・早大学院)も初球を左中間へ運び、適時三塁打を放つ。たった2球で1点を返した早大打線はここから奮起。一挙4得点をあげて同点に追いついた。最後は1点に泣いたものの、追い越されても追いつく。その粘り強さを垣間見ることができた試合でもあった。

攻守で活躍が光った岸山

 若きチームで臨んだ試合は、あと1点及ばなかった。この試合から学ぶべきことは多いことには違いない。早大はこれから鍛錬の夏を迎える。決して平たんな道のりではないだろう。しかし、ここで立ち止まっているわけにはいかない。チームの底上げのためにも、この新人戦に出場した選手の台頭は欠かせない。これから待ち受けるカベを乗り越え、さらなる向上を図ることができるのか――。早大の長い夏がこれから始まる。

(記事、写真 杉田陵也)

コメント

寺西洋新人監督(社4=神奈川・桐光学園)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

新人のフレッシュさが出ていた試合で、収穫も課題も多く良い機会になったと思います。

――2年生はすでにチームの主力となっている選手も多い中で、どのようなプランで試合に臨みましたか

新人戦は経験を積ませるという部分が大きいので、1軍で出ている選手を上手く使いながら勝てれば良いなと思っていましたが、勝たせられなかったのは非常に残念です。

――1軍でもスタメンに定着している矢野匠選手(社2=東京・早実)と鈴木夏亥選手(社2=東京・早実)を初め起用しなかったのは、そのような意味があるのでしょうか

彼らに関してはある程度力も分かっていますし、一度チームを離れたところから見なければいけないので、スタメンからは外して終盤の代打要員に回しました。

――甲子園出場経験もある岸山智大選手(文構1=静岡)が先制本塁打を放ちました。ようやく頭角を現してきたと思います

彼は元々実績がある選手で、この場で1本打ったからといって、どうということでもないと思います。打った後にゆっくり走ったりとか、まだまだ意識が足りないなということは感じました。彼にはもっと高い物を求めていきたいので、あれで満足してほしくないです。

――8回は1年生の連打がきっかけとなって同点に追い付きました。その点では収穫も多いと思います

初球から振っていったということが一番良いと思いました。日頃の練習から曽我(光、法1=東京・早大学院)も中村(大輔、商1=東京・早大学院)も打撃が良いことは分かっていたので、それをしっかり(試合で)出せるということは非常に頼もしく思いましたし、今後にもつながると思いました。

――先発の黒須裕太選手(人2=栃木・真岡)は東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)の疲れもある中での登板だったと思いますが、きょうの投球をご覧になっていかがでしたか

彼は来年以降必ず投手陣の軸にならなくてはならない選手で、明大戦からの連投とはいえ1週間空いているわけですし、来年に至っては土日両方で彼が投げないと勝てないと思うので、これで疲れたと言われても困りますし、彼にももっと高い物を求めていきたいと思います。

――他に投げた投手はリーグ戦経験があまりない選手でしたが、きょうの試合の投球はいかがでしたか

彼らも全員2年生ですし、1年間やってきてそろそろ1軍で活躍しなければならない立場になってきたと思います。その物差しで考えるとまだまだ足らないですし、彼らなりには成長していますが、秋季リーグ戦までにはもう一段階上げなければいけないですね。

――全体的に実力が足らなかったということでしょうか

新人戦なので、それは当然だと思います。ただ、実力が足らない中で勝たせられなかったのは僕の責任です。秋に向けてチームと共に成長できればと思います。

――きょう戦ったチームの中から秋季リーグ戦で活躍できる選手が出てくれば、チームの底上げにもなると思いますがいかがですか

絶対に(活躍できる選手が)出てこなくてはいけないですね。夏はかなり走らせますし、きつい練習になると思うので、一回り大きくなって来年につながるチームにしたいですね。

――最後に若い選手たちに向けてメッセージをお願いします

自分の仕事をこなせた選手は多いと思いますが、結果的には負けたので。チームが負けたら自分が何をしようと意味がないので、この悔しさというのを忘れないでほしいです。一番必要なことはチームが勝つこと。それが達成できなかったということは、心に刻んでほしいと思います。

笹井健佑(社2=東京・早実)

――背番号10を背負って挑んだきょうの試合を振り返っていかがですか

これまでは上級生に付いていっていましたが、今回は自分がチームを引っ張らなくてはいけないという気持ちで臨みました。大変でしたが、楽しかったです。

――東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)後に新人のチームだけでの練習はありましたか

上級生に手伝ってもらって、1、2年生で打撃練習をしたりしました。

――これまで主将の経験はありましたか

主将の経験はありません。なので、自分がこれまでいたチームの主将を想像して、良いところを取っていこうと考えながら(新人戦の主将を)やっていました。 南さん(貴文、平27スポ卒)や松本さん(憲太郎主将、スポ4=福岡・筑紫丘)、高校時代の主将の良いところを真似して、自分なりに考えました。自分はプレーと声で引っ張っていくということを意識してやりました。

――試合前のノックなどではいつにも増して声が大きく感じられました

やはり1、2年生はハツラツとしたプレーをすることが大事だと思ったので、それを意識してやっていこうとしていたので、そういうふうに感じてもらえてうれしいです。

――きょうのベンチの雰囲気はいかがでしたか

最初はすごく良かったです。しかし、あまり良くない時もあったので、一定に盛り上がっていけたら良かったなと思います。

――やはり勝ち越しを許したあたりからは、ベンチも沈んでしまったのでしょうか

そうですね。きっかけがないと盛り上ることができなかったのですが、終盤に代打の1年生が連打で得点した時から盛り上がって、チームも勢いに乗ることができました。そういうこと(きっかけ)がなくても盛り上がれるベンチというか、ベンチで点を取れるようにしていくことが今後の課題だと思います。

――個人的には8回に同点打を放ちましたが、打った球は何ですか

外目の直球だと思います。ここで打たなないと駄目かなというか、主将でしたし絶対に打ってやろうと思っていました。相手の投手は要所を抑えていたので、ここで打たないときついと思いました。結果的には同点になったので良かったです。

――ミーティングではどのような反省点が上がりましたか

今回は雑な野球が目立ったと思います。うちは法大や明大のように打って勝てるチームではないです。今回は大味な野球になってしまったので、細かいことをやらないと勝てないと池田監督(訓久、昭60教卒=静岡・浜松商)にも言われました。なので、そういうことをしっかりと意識して練習をしていこうということがメインでした。

――ミーティン後にはさらに内野手で集まって話をしていましたが、どのようなことを話していましたか

タイブレークをどう戦うかということを話していました。リーグ戦ではタイブレークがないので、どうやって戦うかということを内野手で集まって、確認しました。

――秋季リーグ戦への意気込みをお願いします

春季リーグ戦、新人戦と悔しい思いをしたので、その借りを返すためにも夏にしっかりと練習をして、頑張りたいと思います。