力ここに及ばず、日本一への切符を逃す/明大2回戦

準硬式野球
明大2回戦
明大 13
早大
(早)●黒須、向江―松下
◇(二塁打)青木

  その結果はあまりにも厳しい現実を早大に突き付けた。目標とする全日本大学選手権(全日本)予選への出場権、最後の一枠を巡り争った明大2回戦。この日も先制点を獲得したが、4回先発の黒須裕太(人2=栃木・真岡)が明大打線につかまり逆転を許す。逆転の機会をうかがいたい早大打線であったが、明大投手陣を前にこの日も凡打の山を築いてしまう。結局、13-4と圧倒的な力の差を前になすすべなく惨敗。3年連続の全日本出場は夢と散った。

 東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)当初、不振に苦しんだ早大打線。しかし、ここにきてようやく本来の力を現してきた。初回、先頭打者の松本憲太郎主将(スポ4=福岡・筑紫丘)が四球で走者に出ると、土屋聡(スポ4=静岡・磐田南)の適時打で先制。続く回でも追加点を獲得し、2回途中で明大の先発を降板に追い込んだ。これまでの試合では淡白な攻撃が続いていたが、この試合の序盤では小技を挟むなどして相手守備を翻弄(ほんろう)。守備のミスを誘い、主導権を握った形で得点を重ねることができた。しかし、逆転を許した4回以降は状況が一変する。ここまで粘り続けて出塁の好機をうかがっていた早大打線であったが、逆転への焦りからかその後は単純な攻撃が続く。ここからはほとんど見せ場を作ることなくねじ伏せられ無得点。試合の流れを引き戻すことはできなかった。

最後の打者となり悔しい表情を見せる休波隼(スポ4=茨城・日立第一)

 不振に陥っていた打線に対し、リーグ戦当初から好調ぶりをキープしていた早大投手陣。しかし、その投手陣が明大打線に捉えられた。この日は先発として通算2試合目となる黒須が登板。序盤こそ持ち前のコントロールで相手打線を封じたが、4回までに5失点。大事な一戦を任されていただけに悔しい降板となった。続いてマウンドを任されたのは、向江洋光(人4=大分上野丘)。前日の試合で先発登板し7回を投げていたが、試合序盤から肩を温め、いつでも投げられる体制は整っていた。一球に全力を込め、気迫のこもった投球を続けた向江。それでも2日連続登板は、確実に向江の肩に負担をかけていた。球が高くなり、6回ついに相手打線が向江を攻略する。8回にも3連打をはじめとする畳み掛けた攻撃で、一挙5点を献上。終わってみれば13失点を喫し、レベルの差を見せつけられた。

失点を許し天を仰ぐ向江

 全日本への出場がなくなり、秋季リーグ戦まで公式戦がない早大。4年生にとっては最後となる大会で、春の雪辱を誓う。夏に行う練習として池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)が挙げたのが「基本練習」。もう一度原点に立ち返り、チームの底上げを狙う。この悔しさをバネに厳しい夏の練習で生まれ変わることができるのか――。秋に向けての戦いはすでに始まっている。

(記事 杉田陵也、写真 尾澤琴美)

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コメント

池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

やはり打つ方は調子が上がってきていたのですが、ここまで頑張ってくれていた投手陣が良い調子を維持できませんでした。どうしても疲れがあったりだとかいろんな要因はあるんですけれども、本来のピッチングができずに明大に捕えられてしまった。打撃が上がってきていたのでもう少し相手が嫌がるような野球ができればというのもあったのですが、そういうところをうまくプレーと繋ぎ合わせてやれなかったのは私の責任もあるのかなという風に感じていますね。

――明大戦2試合の立ち上がりを見ると、シーズン序盤の課題は克服されつつあるように見えましたが

そうですね。いままではほとんどが相手に先制されて、そこから追い付いて勝った試合は逆転するというパターンでした。確かにこの2試合は先制して、2点3点と取ったにも関わらず相手にひっくり返されてしまいました。個々の持っている力の差が出たという感じですかね。

――今回逆転された後の打線が振るわなかったように見えましたが

もっと相手が「なんだまだ食いついてくるのか」と感心させられるような野球をしなければならないと思います。要は(早大は)ポンポン打って点を取って勝つチームではありません。小技とか機動力とかいったものを絡めながら点数を取っていく。それを繰り返していくと、流れも一気にこっちに来るので。そういうところをもう少しやれればと。これまでで少しやれるようになってきてはいましたが、そこは相手にパワーで押し切られちゃったのかなと思いますね。

――ベンチ等を含めたチーム全体の雰囲気としてはいかがでしたか

選手たちは一生懸命声を出して、なんとか良い雰囲気をつくろうとしてくれているのは感じました。長いリーグ戦(東京六大学春季リーグ戦)の中でその点は少しずつ上がってきたという感じはします。けど、みんなに伝わるような気持ちとかが出てくればもっと違ったのかなという感じはしました。

――監督に就任されて初の東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)でしたが、振り返っていかがでしたか

難しいですね。勝負なのであやがあって流れがあって、こっちが良いと思っても結果に結び付かないこともあるし。それが結果として負けとなってしまいましたし。逆にまずいと思っても勝てた試合もありましたしね。そういう意味では私が勉強不足な部分もあってこういう結果で終わってしまいましたけれども、このリーグ戦を糧にしてまた秋以降しっかりやっていきたいと思いは新たにしました。

――リーグ戦を通じてチームに何か変化はありましたか

変化というところからすれば、先ほどもお話したようにスタートの頃は先に点を取られてしまうようなチーム状態だったんだけれども、この明大戦では先制できたというところ。 そういう意味では、反省を生かしながら次の試合、次の試合とステップを踏んでやれることはできたのかなと。そういったところはしっかり考えながら、感じながら野球をやっていたのかなという印象はあります。

――夏はどのようにチームを強化していきたいとお考えですか

やはり基本が大事なのでまず基本練習。特に野球というのはピッチャーを中心とした守りを固めた上でやっていかなければいけないので、まずは守備をしっかりするということですね。あとは投手陣ですね。やはり投手陣がしっかりしないと野球にならないので、しっかりと計画を立てて走り込み投げ込みをやってもらう。チーム全体としては『適応力』。要は野球というのはいろんな場面があるじゃないですか。その場面に対して臨機応変な対応ができるようなチームにしていかないと勝ちを呼び込めない。うちの場合は打って打って打ちまくって点を取るようなチームじゃないので、接戦をものにしていくという面では機を見てチャンスをつかんで点に結び付けていかなければいけません。そういった部分をこの3か月間でしっかり磨いていきたいと思います。

松本憲太郎主将(スポ4=福岡・筑紫丘)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

全体的に力負けでしたね。

――今季は先制される試合が多い中で、この2試合は先制点を獲得することができました。試合序盤の流れは良かったと思います

試合の入りとしてはすごく良かったのですが、2試合とも僕らが必死になって取った点数を(相手に)簡単に取り返されてしまいました。その差が何であるのか、いまは分かりませんが、粘り切れなかったです。

――試合の後半になって急に打線がつながらなくなってしまった要因はどうお考えですか

序盤の点数が取れている好機に、もう一本適時打が出て点数を取れていたら試合の流れに乗っていけたのではないかと思います。しかし、そこであまり点数が取れずに相手を助けてしまうようなプレーでこちらの攻撃を終えてしまって、相手を勢い付かせてしまいました。なので、序盤にさらに点数が取れていれば後半も変わったと思います。

――きょうは明大打線に打ち込まれましたが、相手打線の印象はいかがでしたか

粘り強かったです。低めの難しい球でも食らいついて安打を重ねられました。それに対して、早大は好機で硬くなってしまいました。

――しかし、序盤は早大打線にも粘りが見られました

そうですね。そういうことができていたので、先制点を取って追加点も取ることができました。それが後半はできなくなってしまって、相手を勢い付かせてしまいました。

――約2カ月間にわたって東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)が続きましたが、この春を振り返っていかがですか

前節の慶大戦で、絶体絶命というところまで追い込まれましたが、何とか盛り返して今週の明大戦までつなげることができました。本当に勝ちたかったですが、僕たちの力は現状では順位通り3番目だと思います。しかし、これを悲観することなく秋(秋季リーグ戦)でやり返せればと思います。グラウンドに出ている選手はもちろん、ベンチのメンバー、そして何より応援の人たちが本当にリーグ戦を通じてすごく頑張ってくれたので、みんなに感謝しています。

――夏はどのような点に重点を置いて練習しますか

やはり投手を中心にしっかり守ることが僕たちの野球のベースになってくると思います。なので、投手はもう一度走り込んだり投げ込んだりして、僕たち(野手)は基本を忠実に確認しながらやって、好機であと一本安打が打てるような打撃の集中力を養っていければと思います。

――春シーズンを通じて感じたチームの良いところは何ですか

チーム一丸となって相手に向かっていけるところです。周りのチームを見渡しても、これだけ応援してくれているところは他にないですし、それを背に受けながら力を出してプレーしています。

――反対に直すべきところは何ですか

一度崩れてしまうと、相手の勢いに押されてしまうところです。この2試合もそうですし、法大3回戦もお手上げ状態になってしまうので、大事なところで踏ん張れないところは弱い点です。

――秋季リーグ戦に向けての意気込みをお願いします

もう目指すところは秋しかないので、そこに向けてやるしかないですし、4年生を中心にまとまって相手に向かっていければと思います。