新体制となって初の公式戦である全国体育系学生体重別選手権が講道館で開催された。この大会の出場資格があるのは大学で「体育・スポーツ系カリキュラム」を系統的に学ぶ学生。早大からはスポーツ科学部に所属する4名が出場し、高山康太(スポ1=神奈川・桐蔭学園)が100キロ級で3位、長嶋勇斗(スポ1=山梨・東海大甲府)が90キロ級で準優勝の成績を収めた。
大会1日目、早大からは66キロ級の仲島聖悟(スポ2=東京・修徳)が出場した。1回戦の相手は昨年の全日本ジュニア体重別選手権で敗れた松﨑(星槎道都大)。しかし、「組んだ時には負けないなと感じた」(仲島)と語るように、開始1分足らずで背負い投げを決める。2回戦も順当に勝ち進み、迎えた3回戦。前半は有利に試合を展開していたが、ラスト24秒のところで技ありを取られてしまう。「いつも負ける相手は指導を取りにくるようなタイプの選手」だと試合後には肩を落とした。しかし、技の完成度やフィジィカル面において成長を実感できる大会になった。
大会2日目には60キロ級・90キロ級・100キロ級・100キロ超級の試合が行われ、早大からは3名の選手が出場した。60キロ級に出場した伊藤史弥(スポ2=神奈川・桐蔭学園)は延長にもち込むなど、粘り強く試合を進めたが惜しくも判定負けとなった。長嶋勇斗は90キロ級に出場。今大会の目標は「前に負けたことのある2回戦の相手(内藤・日大)に勝つこと」だったという長嶋。背の高い内藤に対し、苦戦しながらも見事判定勝ちを勝ち取った。だが、そのあとの決勝戦までの試合は「体が動いていなくて、あまり調子は良くなかった」と「偶然いけたものだった」と振り返る。そのような中迎えた決勝戦。相手は長嶋より一歩上手だった。長嶋が幾度も技を仕掛けるがなかなか決まらず、延長にもつれ込んだが、判定負けを喫した。試合後、長嶋は「技数を増やすなど、もっと練習しないといけない」と次への意欲を見せた。
内藤(日大)と組む長嶋
また、勢いあふれる試合を見せてくれたのは100キロ級に出場した高山康太だ。1回戦から4回戦まで全て一本で勝利を収めるなど調子が良かった高山。特に、「強い選手で同級生ということもあり、絶対に負けたくなかった」という1回戦の相手(八木・日体大)に大内刈りで勝利を収めると勢いに乗り、難なく準決勝に進出したが、これまでの試合運びとは打って変わり、準決勝では苦戦を強いられた。「自分から攻められず、相手ばかり攻めていて、このままでは旗判定で負けてしまう」と一か八かの勝負にでた高山だったが、逆に相手に技ありを取られ、3位に終わった。しかし、「自分のいいところを出せた」と次につながる大会になった。
大外刈りを決める高山
昨年、半世紀ぶりに全日本学生優勝大会でベスト8に入るなど、早大柔道部は前進し続けているが、今回の1年生の躍進はさらに期待できる要素だ。5月から始まる団体戦でどのような活躍を見せてくれるのか、新たな早大柔道部に期待したい。
(記事、写真 倉持七海)
結果
▽60キロ級
伊藤史弥 1回戦敗退
▽66キロ級
仲島聖悟 3回戦敗退
▽90キロ級
長嶋勇斗 準優勝
▽100キロ級
高山康太 3位
コメント
仲島聖悟(スポ2=東京・修徳)
――今年度初の公式戦でしたがどのような気持ちで臨みましたか
今大会は講道館杯(全日本選手権)に出場するようなトップレベルの選手は出られないので、全国大会の中では少しレベルが落ちるかなと思っていました。自分の中ではそういった大会の位置付けだったので、優勝しておきたかったです。
――1回戦は全日本ジュニア選手権で敗れた相手でしたが、きょう戦ってみてどのように感じましたか
半年前に戦った時は力負けしていて、組み負けるシーンが多かったので完敗という感じでしたね。そこから半年間しっかりやってきて、きょう組んだ時には負けないなと感じました。すごくいい半年間を過ごせたんじゃないかなと思っています。
――得意の背負い投げが決まっていましたが、技のキレはどうでしたか
背負い投げのキレも良かったのですが、その前の何気なく出している足技とかが変わりました。今まではそういった過程が無かったシーンも多くて。背負い投げももちろん良くなっていると思うのですが、背負い投げの前の過程を意識することで背負い投げが生きてきているのではないかなと思いましたね。
――3回戦を振り返っていかがでしたか
いつも負ける相手が同じタイプの選手ですね…。指導を取りにくるようなタイプの選手にいつも負けているので、そういった面では成長していないのかなとも思います。プレーの要所を見た時に、技をかけられた時に自分の体勢が崩れていなかったり、投げることができそうなシーンもあったりしたので、そこは成長できていて良かったです。でも同じような相手に負けることは納得できていないです。
――冬の期間に強化したのはどういったところですか
あまり意識してこれをやろうと思ったことはないのですが、稽古を積んで自力をつけようと思っていました。筋力トレーニングとは別で、柔道で使うようなフィジィカルをつけられるように出稽古に行っていました。1回戦を見てみると、そういった面では成長を実感できました。これから夏の大会に向けてもいい弾みになったのではないかなと思います。
――今年の目標を教えてください
今年は全日本学生優勝大会に出場して講道館杯全日本選手権に出場したいなと思っています。ジュニアの大会にもう出られなくて、全日本学生優勝大会しか講道館杯の出場権を取ることができないので、そこにしっかり照準を合わせていきたいです。
高山康太(スポ1=神奈川・桐蔭学園)
――試合を迎えるにあたって、何か目標はありましたか
目標は優勝でした。
――1回戦から4回戦目まで、全て1本勝ちでしたが試合を振り返ってどうでしたか
ヤマが一回戦で、1回戦を乗り切ったら後はいけるのではと思っていました。実際、1回戦で勝つことができて波に乗れたのですが、準決勝で力を出しきることができず、悔しかったです。でも、自分のいいところを出せたので、次につながるかなと思います。
――試合を通して調子が良さそうでした。実際どうでしたか
調子はよかったです。
――準決勝では延長にもつれこむなどしていましたが、体力面はどうでしたか
体力面では大丈夫だったのですが、今回は旗判定があり、最後の方に相手が猛烈に攻めてきて、実際やっている自分からしたら相手に比べて自分は攻めれていないなと感じていました。後で周りから「旗判定だったら勝ってたかもよ」と言われたのですが、自分からしたらそうは思っていませんでした。なので最後、旗判定で負けるくらいならと思い、一か八か勝負して、その結果負けましたが体力的には大丈夫でした。
――冬の間はどんな練習をしていましたか
早稲田は人数も少なくて、重量級もそんなにいないので、監督やキャプテンに相談しながら、他の大学に出稽古して自分より大きい選手と組んだり、ウエイトして力をつけたりしました。地力をつけつつ、大きい相手とやりあえる力をつけてきました。
――今年1年どういった年にしていきたいですか
最近、埼玉の県大会(埼玉県学生大会)で結果を残せたのですが、昨年のジュニアや全学(全日本学生体重別選手権)の個人の予選では全く勝てませんでした。また、今年はジュニア最後の年なので、ジュニアの大会で結果を残すことと、個人戦でもっと結果を残すということを達成したいです。あとはこれからは団体戦で主力になってくるので、一か八かの柔道ではなく、安定感のある柔道をできるようにしていきたいです。
長嶋勇斗(スポ1=山梨・東海大甲府)
――この試合を迎えるにあたって目標はありましたか
目標は前回負けた2回戦目の相手に勝つことでした。あまり大きい目標は作らないようにしているのでそれですね。
――2回戦の相手は背の高い選手でやりづらそうに見えました。勝つために何か対策をしたのですか
試合の1週間前からいろんなところに出稽古に行って、同じような選手と多く練習したり、試合前に研究したりしました。あとは、付き人の子に同じ形をやってもらって何回も反復練習しました。
――一回戦は不戦勝でしたので、2回戦目から準決勝までを振り返ってどうですか
2回戦目はなんとか勝って、3回戦目も旗判定という結果で、他の人からはいつも通りだねと言われたのですが、自分からしたら体が動いていなくて、あまり調子は良くなかったです。準々決勝もたまたま裏投げが決まって勝てて、準決勝も相手の技を返せて勝てただけですね。自分の技を出して勝てるようになればもっと勝てるようになると思います。
――決勝戦ではあともう一歩でしたが、どんなところが足りなかったと感じていますか
相手の方が一歩上手で、組手も全部上手かったので、あまり勝てる気はしていなかったです。何とか勝とうと思って技数を増やしたつもりだったのですが、なかなか相手に指導がいかなかったので、本当に練習しないといけないなと思いました。
――勝つためにこれからどんな練習をしていきたいですか
技数を増やすという意味で、打ち込みを増やしたり、場面を想定した部分練習をもっと増やしてやっていきたいと思っています。
――冬のオフの間はどんな練習をしていましたか
今、コーチの人と一緒にウエイトさせてもらっていて、毎日しています。そのおかげで全体的に体が太くなったかなと思います。
――今年1年をどういった年にしたいですか
今日は勝ちきれなかったですが、今年1年は全部一個一個勝ちきれように頑張りたいと思います。