ベスト8進出を逃し、講道館杯出場ならず

柔道

 個人戦での学生日本一を決める全日本学生体重別選手権(全日本学生)が開幕した。日本武道館が2020年の東京オリンピック開催に備えて改修されることになったため、今年は秋田県立武道館に全国の強者たちが集った。今大会でベスト8以上の成績を残すと、講道館杯体重別選手権(講道館杯)に出場するきっぷを手にすることができる。早大からは男子3名が出場。しかし、全国のかべは厚く、目標としていたベスト8進出には届かなかった。

 この日のオープニングゲームを飾ったのは90キロ級の高波勁佑副将(社4=富山・小杉)だ。「自分でも驚くほど緊張していた」と振り返る1回戦だが、大腰で一本勝ちを決めた。ここで勢いに乗った高波は冷静さを取り戻し、2回戦でも投げ技を決める。つづく3回戦の相手は明大の神鳥剛(4年)。勝てばベスト8進出が決まる大一番だ。神鳥に対して研究を続けてきた高波は、簡単に相手に投げさせない。しかし、「最後は自力の差が出て負けてしまった」と指導を3回取られてしまい、高波は3回戦敗退となった。同じく90キロ級で出場した空辰乃輔(スポ3=広島・崇徳)も得意の寝技や足技を見せ、2回戦まで順調に勝ち上がる。3回戦は東京都学生体重別選手権(東京学生)で敗れた杢康次郎(東海大、4年)。講道館杯出場をかけた戦いは空にとってのリベンジマッチとなった。空は序盤から相手に技を仕掛けていき、自分のペースで試合を進めていった。しかし、試合開始から1分26秒。一瞬の隙を突かれ、内股で一本負けを喫した。

2回戦、裏技で得点を決める空

 100キロ超級に臨んだ清水祐希(スポ3=愛知・大成)は初戦から優勝候補と名高い中野寛太(天理大、1年)との試合となった。清水は一回り大きな相手に対して「実際にそこまでの力の差を感じなかった」と言うように、引けを取らない。試合は4分間で決着がつかず、延長戦へ。最後は大内刈りで負けてしまったが、大学トップクラスの相手に自分の柔道ができたことは大きな収穫となった。

一回り大きな相手に向かっていく清水

 3選手にとってこの大会が今年の最後の個人戦となった。特に高波にとっては学生最後の個人戦だ。負けてしまったが、これまでの三年間は結果が出ず、4年生になり全日本学生初出場となった高波は「全日本学生の舞台に立てたことが感慨深い」と振り返った。一方の空は2年連続ベスト16という結果にふがいなさをあらわにした。今大会では各選手が自身の力を出し切ったが、結果につなげることができなかった。しかし、来月には全日本学生体重別優勝大会が控えている。体重無差別で戦った6月の全日本学生優勝大会のようにベスト8進出を目指す早大にとって、この3選手の活躍が必要不可欠だ。それぞれの思いを背負って今年度最後の団体戦でひと花咲かせたい。

(記事、写真 瀧上恵利)

結果

▽90kg級

高波勁佑副将(社4=富山・小杉) 3回戦敗退

空辰乃輔(スポ3=広島・崇徳) 3回戦敗退

▽100kg超級

清水祐希(スポ3=愛知・大成) 2回戦敗退

コメント

高波勁佑副将(社4=富山・小杉)

――今大会はどのような目標で臨みましたか

最初で最後の全日本だったので、ベスト8進出して講道館杯に出場することを目標としていました。

――東京学生から何か調整した点はありますか

東京学生ではすごく調子が良かったので、勢いそのままでやってきました。あとは対戦相手の研究と投げ込みを徹底的に行なって、投げて勝てるように練習を積んできました。

――きょうの調子はいかがでしたか

1回戦は本当に緊張しましたね。オープニングゲームということもあって自分でも驚くほど緊張していました。そこで勝つことができたので、波に乗れたと思います。

――2回戦はどうでしたか

2回戦は本当に落ち着いてできました。自分の一番得意なかたちで技をかけることができたので、良かったです。

――3回戦はどうですか

3回戦は勝たないとベスト8に入れないので、しっかり研究して臨んで、その研究の成果は出ました。しかし、自力の差が出て負けたという感じですね。

――ラストイヤーとなった今年の個人戦を振り返っていかがですか

これまでの三年間は個人戦であまり結果が出ませんでした。でもこうやって最後の年に結果が出て、全日本という大舞台に立てたことは感慨深いです。これからまた負けられない団体戦があるので、しっかり頑張りたいと思います。

――では今後の目標を教えてください

尼崎でベスト8を達成して、最後の早慶戦でも集大成を飾れるようにこれからも頑張っていきます。

清水祐希(スポ3=愛知・大成)

――今大会はどのような目標で臨みましたか

大きな目標は講道館杯出場でそこに向けて頑張っていました。でもそれより一つでも多く勝てればいいかなという気持ちで臨んでいました。

――東京学生から何か調整した点はありますか

特にないですね。東京学生は結構いい出来だったと思っているので、そのまま自信を持って継続して練習していました。

――実際に相手と組んでみて感じたことはありますか

初戦の相手が優勝候補と言われていた相手だったのですが、臆することなく挑もうと思っていました。実際に組んでみたらそこまでの力の差を感じなかったので、負けてしまったのですが自分にとって自信がついたのでプラスになる試合でした。

――具体的にきょうの良かったと思うところはどのあたりですか

ゴールデンスコアまで粘り強く戦えたことと自分の持っている技をそれなりに出せたことですね。

――今年の個人戦全体を振り返っていかがですか

昨年はひざのけがの手術があって1試合も出場できていないので、3年生になって東京で勝ち上がって全国に出られたことが今年全体を振り返って良かったと思う点です。でも負けてしまっているので、来年はもっと勝ち上がりたいです。

――来年の目標は何ですか

まずは東京でベスト4に入って、全国で勝って講道館杯に出場することですね。

――来月に行われる団体戦への意気込みをお願いします

階級別の試合になるので、自分がチームを勝たせるんだという強い思いを持って臨みたいと思います。

空辰乃輔(スポ3=広島・崇徳)

――今大会はどのような目標で臨みましたか

元々対戦相手が決まるまでは3位ぐらいを目標にしていました。でも対戦相手の当たりがあまり良くなくて、講道館杯に出場できるベスト8を目標にしました。東京都で負けた杢康次郎選手(東海大、4年)に勝てば講道館杯に出場できるので、リベンジという意味でも3回戦が山場になると思っていました。

――東京学生から何か調整した点はありますか

東京学生ではあまり出せませんでしたが、僕の一番の持ち味はくっついてからの投げと足技の2つです。なので、自分の得意なかたちで勝負できるように意識して練習してきました。実際にそれができた部分もありましたね。

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

きのうは調子が良かったのですが、きょうは精神的なものなのか食べ過ぎたのか分かりませんが、あまり体が動きませんでした。ちょっと足が重くなってしまって、がちがちになっていましたね。それでも得意の寝技で無難に勝つことができて良かったです。2回戦は少し油断していました。不戦勝で勝ち上がってきた相手なので、よく相手のことが分からないまま試合に入ったのですが、戦ってみたら強いなと感じました。ちょっとびっくりしながらも自力で頑張りました。次が正念場だなと思いながら杢さんとの試合に入りました。戦ってみて最初は意外と練習してきたことができているなと感じました。でもふとしたところで相手に入られてしまって「あっ」という感じでしたね。

――ちなみにきのうは何を食べましたか

きのうの午後4時に計量があったのですが、体重を落としすぎてしまったのでお弁当を1つ食べてました。そして軽量が終わってからお弁当をもう1つ食べました。そのあとにきりたんぽを食べにいって、はなまるうどんにも行きました。おいしかったです。

――たくさん食べましたね

少し苦しかったのですが、とりあえず減量でエネルギーが抜けていたので、補給しなきゃいけないと思ってたくさん食べました。

――今年の個人戦全体を振り返っていかがですか

良くないですね。大学に入学する前に全日本学生の大会で3番以内には入りたいと思っていました。4年生になると最後というプレッシャーがあるので、2、3年生のうちに3番以内に入ることができたらいいなと思っていたのですが、蓋を開けてみれば2年連続ベスト16で終わってしまいました。なんだかしょっぱいですね。自分の中で納得できていないです。成長していることは実感できるのですが、それが結果に出ていないなといった感じです。強い人と練習しているとやっぱり強いんだなと当たり前のことを感じました。

――来年はどういった年にしたいですか

柔道の競技者として最後の年になりそうなので、最後に花を咲かせて潔く柔道界から消えたいなと思っています。

――来月に行われる団体戦への意気込みをお願いします

無差別階級の6月の大会でベスト8という目標を達成したので、今回負けてしまったらあれは当たりに恵まれたと周囲から思われると思います。やっぱり実力でこの代は強かったのだなと思ってもらえるように強豪校を倒してうちが表彰台に登れるように頑張ります。また僕がそれを引っ張っていけたら、ヒーローみたいで気持ちいいので、そういうのを目指していきたいです。