ことしも2日間にわたり、講道館で全国体育系学生体重別選手権が行われた。全国の「体育・スポーツ系カリキュラム」を学ぶ学生が集まる中、早稲田からはスポーツ科学部に所属する7名が出場。熱戦の末、佐藤竜主将(スポ3=東京・修徳)と空辰乃輔(スポ2=広島・崇徳)が各階級で優勝を果たした。
66キロ級・73キロ級・81キロ級の試合が行われた大会1日目。81キロ級の1回戦、間瀬勇希主務(スポ3=神奈川・相洋)は内股で一本勝ちを獲得した。2回戦も前半は有利に試合を展開していたが、終盤相手に点を取られてしまい敗退。同じく81キロ級で順当に勝ち星を挙げ、決勝まで進んできたのは昨年の73キロ級王者・佐藤竜だった。普段の試合は73キロ級で臨む佐藤竜だが、「団体戦も近いのでわざわざ体重を落とす必要もないだろうと思い、1つ上の階級で試しに出場した」という。決勝戦の相手は岡虎(東海大)。試合開始から2分が経過すると、佐藤竜は背負い投げで技ありを獲得。続けて抑え込みで合わせ技一本を取った。竜と虎の戦いは見事、竜が勝利で幕を閉じた。佐藤竜は今大会全試合を一本勝ちで勝利した。「大きい選手とやっても一本取れるという自信がもてた」と今大会に手応えを感じたようだ。
きょねんの王者がことしも優勝を果たした
大会2日目には60キロ級・90キロ級・100キロ級・100キロ超級の試合が行われた。前日の佐藤竜の流れに乗りたかったが、1、2回戦で苦しむ選手が多かった。そんな中躍進したのが空だ。優勝を狙うよりも、目の前の一戦一戦に臨んだ今大会。「気付けば『次、決勝だ』という感じ」だった程、集中力は研ぎ澄まされていた。迎えた決勝戦。空は開始開始からわずか12秒で、安田夢飛(国士舘)を裏投げ。ここで一本かと思われたが、判定は技あり。ただ、ここで空は集中力を切らさなかった。指導2にまで追い詰められるが、何とかリードを守り切った。「相手が強い方が得意」という空は逆境を物ともせず、今大会うれしい初優勝を果たした。
勝ち進むにつれて調子が上がってきた空
2019年初の公式戦となった今大会は、主将とエースのW優勝で締めくくられた。「主将の佐藤竜さんが前日に優勝しているので、ついていかなきゃいけないと思った」(空)。こうして新チームを引っ張る主将やエースの活躍を見て、また全体がレベルアップしていくのではないだろうか。あくまで目標にしているのは、団体戦と語る二人。5月から始まる団体戦までにどれだけ成長できるのか。佐藤竜主将率いることしの柔道部に注目だ。
(記事 瀧上恵利、写真 瀧上恵利、友野開登)
結果
▽60キロ級
仲島聖悟 2回戦敗退
▽66キロ級
伊藤史弥 2回戦敗退
▽81キロ級
佐藤竜 優勝
間瀬勇希 2回戦敗退
▽90キロ級
空辰乃輔 優勝
▽100キロ級
瀨川勇気 2回戦敗退
▽100キロ超級
伊藤晢 1回戦敗退
コメント
佐藤竜(スポ3=東京・修徳)
――今大会の目標は何でしたか
ゼミ合宿や海外遠征があって普段の階級の73キロ級で出るのが難しかったのと、団体戦も近くてわざわざ体重を落とす必要もなかったので、1つ上の階級で試しに出場しました。元々73キロ級で出ているのですが、もっと大きい選手とやるチャンスだと思って臨みました。
――自信はあったのですか
そうですね。高校時代81キロ級でやっていたので、何とかなるだろうと思っていました。
――全試合一本勝ちでしたが、調子は良かったのですか
そうですね。調子は良かったです。僕体育系だけ調子良いです。
――しっかり調整はできていたのですか
全然できていなかったです。ゼミ合宿や海外遠征があってしっかり練習ができていなかったのですが、練習をやったときにはちゃんと自分を追い込んで試合に臨みました。
――新体制になってどんなチームを作ろうと思っていますか
造語ですが、「人のために力を尽くす」という意味を込めて「人為尽力」というスローガンをみんなで掲げました。苦しい時、辛い時に人の為に力を尽くせるようなチームを作れるようにしたいです。
――前主将・田中さんから何か受け継いだものはありますか
田中先輩は厳しく言う人だったので、絞めるところは絞めるということを意識しています。
――海外遠征で何か得るものはありましたか
海外楽しかったので、さらに仲良くなれたなと思います。(笑)
――今後の目標を教えてください
今回個人で結果を残したのですが、僕がポリシーにしているのは団体戦での早稲田の活躍です。今回は僕が大きい選手とやっても一本取れるという自信を持てました。これからチームで目標の全国ベスト8を達成できるように頑張ります。
間瀬勇希主務(スポ3=神奈川・相洋)
――きょうの試合はどのような事を目標にして臨みましたか
結構組み合わせが良かったので、入賞を目標にしていました。
――試合を振り返ってどうですか
いつも緊張でガチガチになっちゃうのですが、きょうは動きが良かったです。最後は不用意に点を取られてしまったのですが、もっと試合したかったなと思いました。
――調子は良かったのですか
そうですね。結構動けていました。
――新体制はどんなチームですか
佐藤竜主将をみんなで盛り上げていけるチームかなと思います。
――3年生の海外遠征で何か得るものはありましたか
シンガポール・マレーシアに行って、向こうのナショナルチームと試合をしました。日本と違って向こうは柔道があまり発展していなくて、私たちが指導する時もありました。やっぱりそこで言葉のカベを感じました。言葉の面も早稲田として勉強していきたいと思いました。
――今後の意気込みを教えてください
主務として部の運営を携わっているのですが、選手としても活躍できるように頑張っていきたいと思います。
瀨川勇気副将(スポ3=北海道・東海大四)
――きょうの試合はどのようなことを目標にしていましたか
1回戦で負けた人が言うことではないのですが、優勝を目指していました。
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
動きとしては悪くなかったです。課題としている力の強い相手のプレスに上手く対応できなかったです。
――最近の調子は良かったのですか
そうですね。今日まで調子がずっと上がってきていたので、その分悔しさがあります。
――新体制になって何か変わったことはありますか
部の目標を人のために力を尽くすという意味で「人為尽力」と掲げました。チームのためにみんなで頑張ろうという目標にしているので、練習の雰囲気も良くなっているし、辛いときに目標を思い出して頑張れているかなと思います。
――3年生の海外遠征で何か得るものはありましたか
現地の人たちはさまざまな柔道のレベルで、純粋に柔道をやっている人たちが多くて刺激になりました。
――来月の東京都選手権に向けて一言お願いします
今日の悔しさを忘れずに明日から合宿が始まるので、また頑張ろうと思います。
空辰乃輔(スポ2=広島・崇徳)
――きょうの大会に向けてどのような目標を設定して臨みましたか
いつも上を見てしまい、優勝しようと思うと2回戦で負けることがたまにあったので、今日は目の前の、最初だったら1回戦で、勝ったら2回戦に集中することだけを考えようと思っていたら、「決勝だ、優勝だ」そんな感じでした。
――きょうの試合全体を振り返っていただけますか
今日は僕の中で自分のいいところを出していこうというのがあって、強みを出していこうというのをずっと意識していました。きれいな柔道というのがあるのですが、自分はそういうのを目指すよりは自分の得意な形にいかに持っていくかを意識して、それができた結果勝てたのではないかと思います。
――準決勝までは一本勝ちで進んだと思いますが、調子は良かったですか
調子は別に良くはなかったです。1・2回戦とかも全然体が動かなくて、練習通りの50パーセントくらいしか出ませんでした。きょうはやばいなと思ってたのですが、僕は相手が強いほうが得意なので、相手が強くなってきたら自分も調子が上がってきて、最終的にはそんなに悪くなかったのかなと思います。
――準決勝は延長戦にもつれましたが、決勝に向けて体力面はどうでしたか
延長といっても6分ですし、そんなに僕も疲れる柔道をしていないので、ある程度余裕をもって延長に入れました。判定なので負けちゃったらしょうがないですけど、そんなに負ける気もしなくて、相手がちょっと嫌がっているなと思って柔道をしていたら勝てたという感じです。
――新チームになって初めての試合だったと思いますが、そのような面ではどうですか
キャプテンの佐藤さんが昨日優勝しているので、やっぱりついていかなくてはいけないなと思いました。佐藤さんの1個下で僕は得点を取るポジションだと認識されていると思います。キャプテンがあれだけ準備しておいて、佐藤さんは本当より重い階級で優勝しているから、そろそろ俺も負けられないと思いました。新チームの発進という面では、良いスタートだったのではないかなと思います。
――冬の間、空さん個人としてはどのように準備をしていましたか
1日1日テーマを練習前に決めていて、例えば今日は至近距離からの技の打ち合いで負けないということを意識したりとか、寝技で得意な十字固めを他はできなくてもいいからそこはとりきろうなどを決めたりして、淡々とこなして練習に臨んでいます。特別何かしたという覚えはあまりないです。減量のために少し食事を変えたりはしましたが、そんなもんです。
――今後の目標を教えてください
インカレは優勝したいです。頑張ればいけると思うので、それができたらいいなと思います。