今年も団体戦の季節がやってきた。東京学生優勝大会(東京学生)でその幕開けを飾る。女子は優勝し、大会2連覇を達成。男子はベスト4という目標を掲げるも及ばずにベスト16に終わった。しかし男女ともに6月に行われる全日本学生優勝大会(全日本学生)の出場権を獲得した。
男子部は2回戦を6−0で快勝し、全日本学生への出場権を獲得。しかし、目標のベスト4達成には、あと2試合を勝ち進む必要がある。3回戦の相手となった中大に苦戦を強いられることとなった。先鋒戦の引き分け、続く2戦では敗退。中大のペースを乱したいが中堅戦も引き分ける。追い詰められた状況で、田中大勝主将(社4=青森北)が畳の上へ。豪快な裏投げで一本を奪う。これには控え席にいる選手たちも、一気に湧きあがった。次戦も波に乗りたかったが、引き分け。勝敗は大将の空辰乃輔(スポ2=広島・崇徳)に委ねられた。チームの期待を背に、空は積極的な試合展開を狙う。しかし、相手の大外刈りにかかり、主審の判定は一本。審判員によるビデオ審査となるが、判定は覆らず、敗退。田中は「取られなくてもいい点があった」とチームを振り返る。ベスト16という結果に課題が見えたようだ。
3回戦で敗退に「未消化」を感じる空
前回大会で優勝した女子部は、2連覇のかかる大会となった。さらに、全日本学生での3連覇にも弾みをつけていきたい。2回戦は3−0、準決勝も2−0と、一戦も勝ちは譲らずに決勝戦へ。相手は、きょねんの東京学生、全日本学生でも決勝で対戦した創価大だ。岡田蛍(スポ2=愛知・大成)が先陣を切る。序盤に体落としで技ありを奪う。その後も技を狙っていくがそのまま試合時間が過ぎ、優勢勝ち。続く佐藤美裕(スポ3=千葉・八千代)は引き分けて、大将の小野華菜恵副将(スポ4=長野・松商学園)につなぐ。岡田の勝利もあり、相手に点を取られなければ勝利という状況。技を仕掛けにいくが、崩され寝技に持ち込まれそうになる、という流れを繰り返す。互いに点を取りきれず引き分けで試合終了。最終的に岡田の勝利が、早大の優勝を決めた。試合後、小野は2連覇に胸をなで下ろすと同時に、「相手のペースに合わせて自分が後手後手になってしまったことが課題」と、自らの柔道を振り返った。
優秀選手賞にも選ばれた小野
2連覇を達成した女子部から小野が優秀選手に選ばれ、団体戦の滑り出しは好調といえる。一方で男子部は思わぬところでの敗退となった。6月の全日本学生では、さらなる強豪校との対戦が待っている。男子はベスト8、女子は大会3連覇が目標だ。1ヶ月に満たない期間だが、しっかりと調整してくれるだろう。男女合わせての目標達成に期待したい。
(記事 赤根歩、写真 江藤華)
大会2連覇に笑顔を見せる女子部
結果
【男子】
▽2回戦 対創価大戦 6−0
▽3回戦 対中大戦 1―3
【女子】
▽2回戦 対慶大戦 3−0
▽準決勝 対立大戦 2−0
▽決勝 対創価大戦 1−0
コメント
田中大勝主将(社4=青森北)
――新体制となり初めての団体戦でしたが、どのような目標で挑まれましたか
きょねんベスト8になり、ことしはベスト4の大学にチャレンジしようということで頑張ってきました。練習や合宿を通して、レギュラー選手の中にもけがをして万全の状態で大会に挑めないという中で、選手たちは自分の持てる力を十分に発揮できたと思います。中大も我々に勝つために練習をしてきたので、ちょっとした差で負けてしまったのだと思います。
――合宿ではどのような強化したのですか
京大との練習を通して、強い選手たちを相手に精神的に自分たちがどこまでできるのか、というのを理解しながらの練習や、実業団のレベルの高い選手と組むことで、自分の足りないところに気づくことを合宿でできました。
――2回戦の創価大戦は6―0と快勝しましたが、手応えは感じていましたか
動きが硬いと感じた中でも、選手たちが自分の柔道を出し切り流れを崩さない、という点ではよかったかな、と思います。
――続く中大戦で、どこに相手の強さを感じましたか
我々のチームは中大に比べて軽いチームで、1点取られたら取り返さなければならない重みがあった中で、取られなくてもいい点があったかな、と思います。
――中大戦で、引き分け以上が求められる場面もありました。どのようなお気持ちでしたか。
僕はもともと、点を取るべき選手だと自覚していたので、チームの流れも考えてここは勝たなければいけないな、と考えていました。
――新入生が出場し、2回戦では勝利も収めました。今後、どのような点に期待していますか
若さあふれる、エネルギッシュな試合ぶりでした。今回の中大戦では負けてしまいましたが、これをいい経験にして成長していってほしいと思います。
――最後に、今後への意気込みをお願いします
東京都学生でのベスト4という目標は達成できませんでしたが、全日本学生の舞台でベスト8に入るという目標を改めて選手同士で確認して、またこれからの練習を頑張っていきたいです
小野華菜恵副将(スポ4=長野・松商学園)
――優勝おめでとうございます
ありがとうございます。自分としてはホッとしたのが一番で。今回コンディションとかよくなくて結構不安だったのですが優勝できたのは良かったです。でも決勝戦は取りきれなかったので課題は大きいので悔しいですね。
――具体的に課題とは
決勝戦とかはどんな状況でも取っていかないと。今は結果的には取っていってるのですが、内容がまだ上に行けると思うのでああいう場面(決勝戦)でも守らなくてちゃんと取っていかなければならないと思います。
――ご自身は優秀選手にも選ばれました
岡田(蛍 スポ2=愛知・大成)が優秀選手だと思ったので、自分がもらってちょっとあれですが。でも一本勝ち出来たので、決勝除けば良かったかなと思います。
――1、2回戦と押さえ込みでの勝利でした。振り返っていかがですか
あんまり覚えていないのですが。寝技に関しては自身を持てたかなと思います。
――去年と同じ創価大との対戦でした。やはり手ごわかったですか
そうですね。何度もやってるので、相手も分かるのですがやっぱり油断できないです。創価大も1年生が入ってきてメンバーもガラッと変わってきてるので全日本学生でも侮れないなと思います。
――創価大の印象は
怖いですね。みんながちゃんと仕事をすれば勝てるとは思うのですが、創価大は波に乗ると怖いので乗らせないことが一番大きいかなと思います。
――今までやってきたことはきょう発揮できましたか
あんまり自分自身試合自体に緊張しなくなったというのがあって。それは自信の部分というのもあるのですが、多分段々強くなっていけてるのかなとは思います。
――きょう見つかった課題と良かった点を教えてください
1、2回戦で取れたのは大きくて、そこが良かったポイントです。課題は最後の決勝戦で相手がポイントを取らなければ終わる(勝利する)という試合でちょっと守りが多かったかなって。相手のペースに合わせて自分が後手後手になってしまったことが課題ですかね。
――最後に全日本学生優勝大会へ向けて意気込みをお願いします
全日本学生は3連覇しか目指していないので、取らないといけないし、取れるとも思っているのでさらに今からもうちょっと強くなって、優勝目指してみんなで一致団結して頑張っていきたいと思います。
空辰乃輔(スポ2=広島・崇徳)
――今大会にはどのような気持ちで挑まれましたか
きょねん、4年生の斎藤(光星、平29スポ卒=静岡・加藤学園)さんというエースがいて、その人が抜けてしまって、自分が大将とかの役割で出るな、と思っていたので、ポイントを取りに行って次のエースとして活躍できるように頑張りました。
――ベスト16という結果に、悔しさは残りますか
やりきった感がなくて、未消化感っていうんですかね。
――どのような点に納得いかなかった部分がありますか
自分が最後に勝っていれば、チームも勝っていたので、そこに残っています。
――勝ちが求められる場面でしたが、プレッシャーは感じましたか
プレッシャーはそんなに感じずにできたんですけど、逆にプレッシャーがなさすぎてふわふわしちゃったかなと。緊張感がないわけではないんですけど、少し不用意にいってしまった場面も多くて、そこは反省ですね。
――ご自身の良かった点、悪かった点を踏まえて、今後にどう活かしていきたいですか
きょう、2回戦で130キロ近くある結構大きな相手と戦ったんですけど、新しい技が出せて一本勝ちできたので、違う方向の柔道ができたのは収穫でした。中大戦の反省として、力負けしたかな、という印象があるので練習を積み重ねていきたいです。
――新しい技というのはいつ頃から練習されていたのですか
2、3週間前くらいですかね。海外の柔道のビデオを見ていて、韓国の選手がやっているのを見て、自分の柔道のスタイルにあっていると思ったので取りいれました。まさか自分は試合で出せると思っていなかったんですけど勝てました。
――団体として、反省点や次に生かしていきたい部分を教えてください
強いチームと比べて小柄なんですけど、簡単に失点する場面が多くて。自分たちは絶対に失点をしないことを意識しないと、上の方では戦えないと思うので、失点を減らすということですね。それと、体が小さい分、トレーニングとかでパワーの足りなさを補っていくことが必要だと思います。
――チームには1年生が加入し、今大会では出場もしました。上級生になって何か変化した点はありますか
正直そんなに変わった感じはないですね。いつも通り、という感じで試合をしました。やっぱり、下級生には頑張ってほしいですね。来年、再来年とまた先輩が抜けて、下級生が入ってこないとチームとしての力が落ちてしまうので。
――最後に、今後に向けての意気込みをお願いします。
最初に言ったように、これからは自分がポイントを取りにいくエースという役割を任されることが多くなると思うので、チームが劣勢でも自分が出れば一気に流れが変わる、というような選手になれるように頑張りたいと思います。
岡田蛍(スポ2=愛知・大成)
――昨年に引き続きの出場となりますが、振り返っていかがですか
やはり連覇がかかっていることもあって、プレッシャーもあったのですが、みんなで団結して戦えたかなと思います。
――2連覇を目指す戦いでしたが、どのような意気込みで臨みましたか
2連覇というよりも一試合一試合目の前の相手に勝つとか、次の後ろに控えている選手につなげる柔道をすることを意識しました。
――昨年に引き続きご自身の勝利が優勝を決めました
結果的には取れて勝利につながったのですが、内容で見たら絶対一本取れるところがあったのに全部寝技で逃がしてしまったのでそこが自分の詰めの甘さので。先輩に支えられているところもあるので全日本学生では寝技でもチャンスを逃さないような柔道をしっかりして優勝につなげたいと思います。
――1年経ってご自身の成長を出せた点はありますか
ここ最近の試合では不調で全然いい柔道が出来なかったのですが、東京学生(優勝大会)で切り替えていいスタートを切れたと思うので全日本学生(優勝大会)に向けて頑張っていきたいです。
――新入生が加入し上級生にもなりました。女子部の全体の雰囲気はいかがでしょうか
新入生がケガをしていたり、軽量級で大変なこともあると思うのですが、自分たちは先輩に引っ張ってもらって活躍ができたので自分たちがもっと引っ張れるようになったらもっといい雰囲気が出るのではないかと思います。
――6月に控える全日本学生優勝大会でも連覇がかかっています。これからに向けて一言お願いします
楽な試合でないし大変なこともたくさんあると思うのですが、一人一人しっかりと切り替えて勝利に向かって練習したら絶対勝てると思うので必ず3連覇できるように頑張りたいと思います。