女子部からは、小野華菜恵(スポ2=長野・松商学園)、上領悠月(社2=山口・高川学園)に登場していただく。早慶対抗戦(早慶戦)では、男子の20人勝ち抜き制の前のエキシビションに出場するお二人。創部史上初の快挙となった全日本学生優勝大会優勝の瞬間の気持ち、早慶戦での役割などをお聞きした。
※この取材は10月22日に行われたものです。
「みんなで切磋琢磨(せっさたくま)できる環境」(上領)
チームについて語る上領
――これまでのシーズンを振り返っていかがですか
小野 ことしは創部史上初の全国優勝ができてよかったんですけど、結果は良かったものの自分は納得できる良い内容じゃなくて、個人戦も結果的に全部負けちゃったので、課題は残るような試合だったかなと思います。
上領 自分も同じで、女子としては三人制の団体戦で優勝して、チームの勢いもあって目標を達成することができたのでよかったんですけど、個人的には一年間頑張ってきた成果が出たっていうのもありますし、それでもまだ勝てないっていうので課題が見つかってまた来年に向けて頑張ろうと思いました。
――団体戦優勝の時のお気持ちはいかがでしたか
小野 もうやばかったよね(笑)。とりあえずもうこみ上げてきたものもありました。自分最後大将で出たんですけど、最後の方の1分間が長くて、まだかまだかと思って(笑)。決まった瞬間はやっぱりみんなが喜んでいたりとかおめでとうって言ってもらえて、やったなという感じがありました。
上領 三人制で絶対優勝するっていう目標に向けて、メンバーだけじゃなくてみんなで同じ意識を持ってこられたから、優勝した時も全員で喜ぶことができたので、すごくうれしかったですし、来年もまた頑張らないとなと思いました。
――お二人から見てことしはどんなチームだと思いますか
小野 みんなもう全体が仲いいので明るい雰囲気はすごくあって。今3年生に選手がいなくて4年生、2年、1年って感じなんですけど、本当に全員仲がいいです。意見を言い合える環境もあるし、一人一人の意見を大切にしてくれるので、とてもいい環境だと思います。
上領 全体的にいい意味でバランスが取れているというか、みんな結構個性が強いチームなんですけど、それを先輩たちが補ってくれたり後輩が支えてくれたり、お互い学年同士で競い合ったり、みんなで切磋琢磨(せっさたくま)できる環境だと思います。
――このチームの強みは
小野 さっき上領も言っていたんですけど、一人一人個性が強いからそこを見て、「自分もやらなきゃ」とか「あの人がやってるならやらないと」とか刺激を受ける場面が多いので、それでみんな向上していけるのが強みかなと思います。
――女子にとって早慶戦とはどのような大会でしょうか
上領 やっぱり勝たないといけないじゃないですけど、男子がメインといっても早稲田の学生の一人なので、誇りを持って勝ちにいかないといけないっていう気持ちはあります。
小野 確かに。エキシビジョンって言ってもやっぱり勝負は勝負なので、個人的にも勝ちたいし、自分たちが勝つことで男子に流れをつなげていけたらなと思います。
――去年の早慶戦を振り返っていかがですか
上領 自分たち二人は出てなくて、他のメンバーが出ていたんですけど、やっぱり試合前とかプレッシャーも感じつつ集中して作戦も練って練習していたので、それまでの練習とかも含めていい意味での緊張感のある早慶戦でした。
小野 他の試合と雰囲気違うよね。一つの試合場でその試合しかないから、独特な空気が漂っている感じで。
上領 結構背負っている誇りみたいなものがあるというか、負けられないという感じがありました。
――男子の試合は見ていていかがでしたか
小野 ドキドキするよね(笑)。もうみんな願うって感じで。
上領 初めての早慶戦だったのでどんな雰囲気かもわからなかったんですけど、一試合一試合ドキドキで。
小野 勝って喜んで負けてやばいってなって(笑)。波がすごいよね。
――刺激を受ける部分はありますか
小野 やっぱり自分は最後の方競ってくると負けられないってなるんですけど、去年浅賀先輩(慎太郎副将、社4=静岡学園)の試合を見ていて、ちゃんと勝ってくるというか決めてくる柔道をするのですごいなと思いました。
上領 4年生が最後の早慶戦で、去年のキャプテンの立浪先輩(祐、平28社卒=富山・小杉)の覚悟っていうか、絶対勝たなきゃいけないっていう機会で他の人を盛り上げたりとか周りに影響を与えるところが、キャプテンだし改めて尊敬できる先輩だなって思いました。
――ことしの慶大にはどんな印象を持っていますか
小野 女子が2人しかいないのですが練習でたくさんこっち(早大)に来てくれるので、手の内を知っているからやりづらいっていうのはあります。
上領 自分も結構やりづらい(笑)。2人とも強めな方たちなので。
小野 あっちも慶大のプライドがあるからね。
上領 その気持ちに負けないようにしたいです。
――男子に向けてはどうつないでいきたいですか
小野 どっちも勝っていい流れで勢いづけられたらなと。
上領 男子の方に勢いがいって、頑張ってもらいたいなと思います。
仲の良い学年
2年生の仲の良さがうかがえる対談になりました
――お二人は2年生ですが、2年生はどのような学年ですか
小野 ほんとに個性強い(笑)。あと二人、自分とゆづ(上領選手)とみーちゃん(滝澤美咲、社2=群馬・前橋育英)ときよたん(渡邊聖未、スポ2=山梨・富士学苑)がいるんですけど、もうみんな個性強いよね。あと仲良しだよね。
上領 結構みんなでご飯一緒に食べに行ったりとかいろんな話して、真面目なことはしっかり話して、ふざけるところはふざけて(笑)。
――推しメンはいらっしゃいますか
小野 推しメンかー(笑)。みーちゃんはやっぱり、今新しい自分達の代のキャプテンなんですけど、ギャグもこなすし(笑)。かといって抜けてなくてしっかりしているので、さすがだなって感じがします。
上領 同じく(笑)。
小野 きよたんも強いけどね。意外とシャイだからね(笑)。見た目とのギャップが激しい(笑)。
――お二人が初めて会ったのはいつですか
小野 ゆづとはガイダンスの時だよね。見たことはあったけど。確か合宿で会ったよね。
上領 広島県の合宿だよね。高校生の時、だいたい夏休みの頃、しゃべったことはないけど見たことはあるっていう。
――お互いの印象は
小野 階級が全然違うから、この子柔道部!?みたいな(笑)。ここ(柔道場)に来た時に、嘘でしょ!?ほんとに柔道部かな?みたいな感じになって(笑)。めっちゃ可愛かったです。ほんとに柔道やっているのっていう。第一印象はとりあえず可愛かったです。
上領 とりあえずもう柔道が強いっていう印象が一番にあったのと、明るくて接しやすいと思いました。
小野 照れる(笑)。
――お二人のエピソードはありますか
小野 どっちも三代目(J Soul Brothers)が好きです(笑)。ファンクラブに入っていて、この間一緒にライブ行って。
上領 はい(笑)。二人で行ったね。
小野 やばかったね、近かったね(笑)。
――どなたのファンなのでしょうか
小野 臣さん(※登坂広臣)(笑)。
上領 臣さんです。同じく(笑)。二人で分かち合っています(笑)。
――2年生の間で流行っているものはありますか
小野 『君の名は。』はとりあえず全員見たよね。
上領 見た見た(笑)。
小野 あと流行っているというか恒例行事にしているのは、誕生日に絶対何かするっていう。
上領 サプライズは絶対するね(笑)。
――どんなサプライズをしましたか
小野 自分一番引っかかってるよね(笑)。顔面シュークリームはとりあえずやるんですけど、2年目なので(笑)。1年目からやっているんですけど、みんな警戒して大分ばれてきていますね。
上領 それでも無理矢理顔にぶつけにいくっていう(笑)。
小野 私だけだよ2年連続引っかかってるの(笑)。プレゼントも今年からは(お金を)みんなで出し合って、1つのものにしようってなりました。「あの子何持ってないからこれにしよう」みたいな感じで。
――お二人は今寮にお住まいですか
上領 元々は寮だったんですけど、今は一人暮らしです。
小野 私とみーちゃんときよちゃんは寮です。二人部屋で聖未と一緒の部屋です。
――寮生活はいかがですか
小野 自分高校の時の寮がめちゃめちゃ厳しくて、今はなにしても怒られないし自由なので、全然苦じゃないです。
――一人暮らしは大変なこととかありますか
上領 料理が・・・(笑)。一番料理ができないですね。練習終わってだいたい21時半で、そこから作って食べるとなるとあんまり凝ったものは作れないですね。
――得意料理はありますか
小野 肉じゃがって言っとけ(笑)。
上領 煮物系でお願いします(笑)。
――お家に遊びに行ったことは
小野 まだないですね。行く行くって言ってまだ一回も行けてないっていう。今度行きます(笑)。
――オフの日は何をしていますか
上領 自分は結構買い物とか外に出かけることが多いですね。それか本当に家から一歩も出ないでテレビ見たりとか。
小野 自分も極端かも。行くって決めたらその日は一日行動的になれるんですけど、寝腐ってる日もあります(笑)。でも基本どこか行きたがりですね。
――どちらに行かれるのですか
小野 映画が好きですね。でも一人で見るのは寂しいので、聖未を連れて行きます。ポップコーン買えばついてきてくれるので(笑)。
「いい勝ち方をして男子につなげたい」(小野)
明るく取材に応じる小野
――試合の話に戻りますが、団体戦は緊張しますか
小野 緊張するよね。
上領 個人戦より緊張します。プレッシャーを感じるので。
小野 個人戦は自分が負けたら自分のせいで完結するんですけど、団体戦は自分が負けたらチームに影響するって考えると緊張は大きいなと。
――どのような戦い方をしていきたいですか
小野 自分は結構伸び悩んでるというか、技が掛からなくなってきていて悩んでる時期なんですけど、やはり早慶戦で一皮むけた自分というか、成長したところを見せられるように、自分の柔道を貫いていけたらなと思います。
上領 相手に合わせないように、自分のペースをつくりながら先に先に前に出るように、心がけたいと思います。
――何か自分なりの緊張のほぐし方などありますか
上領 自分は結構試合前は開き直っちゃって、なるようにしかならないからやるだけみたいな感じで、試合には臨んでいます。
小野 自分、試合前は掃除します。願掛けのような感じで。ルーティーンのような感じで部屋の掃除とかすごくしたくなって、お風呂とかトイレとかもずっと掃除していますね。あともう一つあって、試合前みーちゃんがいつも和風パスタを作ってくれるのでそれを食べます。
上領 だいたいいつも持っていく物とかは決まっていたり、次試合の時とかはだいたい同じ所を叩いたり体伸ばしたりっていうのはしています。
小野 意外とあったね(笑)。
――ここを見てほしいというアピールポイントを教えてください
小野 自分は結構攻める柔道をするので、やっぱり前に出る柔道が一番自分の取り柄だと思います。見ている人に「あいつやばくない?」みたいに思ってもらえるような感じで頑張ります(笑)。
上領 私は姿勢がいいらしくて、足技とかを混ぜながら攻める柔道です。だいたい足技からいろいろ技をつなげていきます。
――最後に、改めて意気込みをお願いします
小野 やっぱり伝統のある試合なので二人とも勝って、自分たち個人の課題も克服しながらいい勝ち方をして男子につなげたいと思います。
上領 とりあえず負けたくないという思いがあるので、早大の学生としてしっかり礼儀とかもちゃんとして、いい流れをつくりたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 松富リサ)
可愛らしいポーズで、パシャリ
◆小野華菜恵(おの・かなえ)(※写真上)
身長159センチ。長野・松商学園高出身。スポーツ科学部2年。試合前には、歌詞に感情移入しないようにアップテンポな洋楽を聞くという小野選手。早慶戦でも、音楽の力でいい流れをつくってくれるでしょう!
◆上領悠月(かみりょう・ゆづき)(※写真下)
身長156センチ。山口・高川学園高出身。社会科学部2年。小野選手も最初「本当に柔道部?」と疑うほどに小柄な上領選手。それでも、「大きい柔道をするので、瞬発力とかスピードについていけるようにしたい」と意気込みを聞かせてくださいました