学生から実業団に所属する選手までが頂点を争う、講道館杯全日本体重別選手権(講道館杯)がことしも開催された。全日本強化選手や世界選手権代表選手の選考も兼ねるビッグタイトルだ。早大からは、小林真実子女子主将(社4=群馬・常磐)、田中大勝(社2=青森北)が出場。ともに1回戦を突破し、ベスト16の成績を収めた。
女子78kg級に出場した小林は1試合目、開始1分ほどで指導を立ててづけに2回取られる展開になる。何度も相手に寝技に持ち込まれそうになるところをこらえると、試合終了22秒前に好機は訪れた。相手が崩れた隙にすかさず大内刈りで有効を奪う。残りの時間でポイントを取り返しに来た相手から逃げ切り2回戦へ駒を進めた。「最初ほんの一瞬だが頑張ればいけると思った」と振り返る2回戦。序盤小林の組手が優位に立つも、抑え込みで有効をとられると流れは完全に相手のものとなり、横四方固めで一本を決められてしまった。
この日が引退試合となった小林
男子90kg級に登場した田中は、「初めてシニアの大会に出られたので、チャレンジャーとして思い切りいこうと思っていた」との言葉通り初戦から積極的に動いていった。開始30秒ほどで内股すかしでの有効を奪うと、残り30秒でも小外刈で技ありを取って優勢勝ち。「自分から前に出て勝負しようとした結果が試合に出た」と2回戦へ駒を進める。次の相手は、昨年この大会で2位の成績を収めた実力者・小林悠輔(旭化成)だ。強敵を前に序盤から押され、指導を取られていく。「力の面でも技術の面でもうまくいかず、自分のいいところが1つも出ていなかった」(田中)。合わせ技での一本負けを喫した。
田中は1回戦で積極的な柔道を展開した
大舞台で1勝をもぎ取った小林と田中。この大会が引退試合となる小林からは「このような感じで終わってしまうのはさみしい」という言葉も出たが、同時に「最後にこの大きな試合に出ることができて、少しは進歩できたのかなと思う」と振り返る。一方の田中は、「まず1勝できたことは大きな自信になったが、上には上がいる。もっと成長しなくては」と向上心を見せた。この経験を糧に、それぞれの次の舞台へステップアップしてほしい。
(記事 熊木玲佳、高橋里沙、写真 熊木玲佳)
結果
▽男子90kg級
田中 ベスト16
▽女子78kg級
小林 ベスト16
コメント
田中大勝(社2=青森北)
――講道館杯全日本体重別選手権(講道館杯)にはどのような意気込みで臨まれましたか
全日本ジュニア(全日本ジュニア体重別選手権)が終わって、初めてシニアの大会に出られたので、自分はチャレンジャーとして思い切りいこうと思っていました。
――硬くなってしまったり、緊張してしまったりはしましたか
硬くなったというよりは、思い切って後悔のないようにやろうかなと。
――具体的な目標はありましたか
一戦一戦勝ち上がっていけたらいいなということで、集中して対策を練りながらやってきました。
――1試合目はいいペースで進めていましたね
尼崎(全日本学生体重別団体優勝大会)の時に相手を見て柔道をやって負けてしまいました。今度は自分から前に出て勝負しようとした結果が試合に出たので良かったなと思います。でもどちらも相手の技を返してのポイントだったので、これから早慶戦(早慶対抗戦)に向けて自分から技をかけて相手を投げられるように練習していきたいと思います。
――2試合目の小林悠輔選手(旭化成)の印象は
昨年2位ということで実力もあって、自分よりもっと格上だったので、何かやってやろうと思ったのですが。やはり力の面でも技術の面でもうまくいきませんでした。そこは自分の足りないところかな。
――試合内容を振り返って
やはり力負けだと。あと技術面で負けて、自分のいいところが1つも出ていなかったなと。そういうときにも対応できるようにこれから練習していきたいと思います。
――講道館杯はご自身にとってどのような大会になりましたか
まず1勝できたことは大きな自信になりましたが、上には上がいるので、もっと成長しなくてはいけないという明確な目標ができました。今の位置に落ち着いているだけでは選手として伸びないので、これから練習を頑張っていきたいと思います。
――では最後に、改めて早慶戦への意気込みをお聞かせください
早慶戦は4年生との最後の試合なので、笑って終われるように、自分が活躍して勝てるようにしたいです。
小林真実子女子主将(社4=群馬・常盤)
――大きい大会ということで緊張などはされましたか
初めての実業団の方と全国の有力選手と戦ったのでいつもと違う空気ですごく緊張はしました。計量の雰囲気などもいつもと違う雰囲気で緊張はしたのですが、キリッとしました。
――1試合目では試合終了20秒前で有効を取られました
苦し紛れの、相手が入ってきた瞬間に自分の体が入っていったので運というのもありました。
――そのあと、相手が必死にポイントを取り返そうとしにきました
逃げ切ってやるという気持ちで、すこしずるいのですが、勝負なので相手が(技を)かけられないようにしました。
――2試合目での相手との組手の感触はいかがでしたか
最初、ほんの一瞬ですが「頑張ればいける」と思ったのですが、やはり相手の方が経験上で組ませてくれないという展開になりました。
――公式戦での引退試合となりましたが、振り返っていかがでしたか
今までいろいろな試合に出させていただいた中で、このような感じで終わってしまうというのはさみしいし、もうちょっとがんばればよかったなというのがあります。
――今までの4年間を振り返っていかがでしょうか
私はメンタルが弱くて、試合に関してはがむしゃらにしかできなかったので、もっと4年間でメンタル面をきたえられたのかなと思うのですが、最後にこの大きな試合に出ることができて少しは進歩できたのかなと思います。