期待のルーキーが2位、7名が全国の舞台へ

柔道

 夏の鍛錬の成果を表すべく、全国への切符を賭けて早大柔道部は東京学生体重別選手権に挑んだ。日本武道館で行われた今大会には、男子19名、女子11名の総勢30名が出場。その中から男子5名、女子2名が全日本学生体重別選手権(全日本)へ駒を進めた。さらに、女子63kg級の渡邊聖未(スポ1=山梨・富士学苑)は1年生ながら2位と健闘した。

 大会前に行われた合宿で肩を痛め、万全とはいえない状態の中で大会に挑んだ男子60kg級の古川凌(社3=愛知産業大三河)。3回戦までは序盤から指導を取るなど、着実に勝利を収めて行った。この時点で全日本代表権獲得と昨年以上の成績という自身の目標は達成し、上位進出を目指して迎えた準々決勝。相手の隙を見て技を繰り出そうとするも、決めきることが出来ず指導差での敗退となった。また、男子73kg級でも吉野拓馬(社4=石川県立工業)が準々決勝まで駒を進めた。しかし、強豪・東海大の選手と対戦し、合わせ技で敗退。「相四つが苦手なので、そこの部分をもう少し強化できていれば」としっかりと敗因を見極め、全日本へ向け苦手の克服を決意した。他にも、男子100kg級の圓山泰雄(社3=島根・作陽)がベスト8、男子81kg級の中上駿(社3=大阪・清風)がベスト16、男子100kg級の熊田耕成(社3=福島・桐蔭学園)が代表決定戦で勝利という成績となった。

ケガを負う中、健闘する古川(右)

 女子部では、期待のルーキー渡邊が女子63kg級で出場。得意とする寝技で勝利を収めて行き、決勝まで進んだ。会場の注目を浴びる中行われた決勝は帝京大の選手と対戦。序盤から何度か相手を崩しにかかるも、自分のスタイルにもっていくことができずに惜しくも敗れた。「きょうは全体的に調子が良かった」というだけに悔しさの残る結果となったが、「全日本ではしっかり柔道をつくり上げて優勝したい」と全日本へ向けて闘志を燃やす。女子78kg級の小林真実子(社3=埼玉・常盤)は腰に痛みを抱える中の戦いとなった。1回戦、2回戦と共に優勢勝ちを収め勝ち進んだものの「良くない柔道をしてしまった」と自身の戦い方を語る。準決勝では技をかけるも相手に返され、大外刈りで敗戦。自身の目標にはあと一歩及ばなかった。

試合後悔しさをにじませる渡邊

 男女併せて7名の選手が全日本への出場権を獲得、そのうち6名が3、4年生と上級生の活躍が目立った。古川は「ことしは少しでも上に勝ち進みたい」と全国の舞台での昨年以上の奮闘を目標に掲げた。今大会では試合後に心残りを語る選手もいる。これまでの経験と今回の悔しさを糧に1か月間練習を積み、さらなる強化を目指すワセダに注目だ。

(記事、写真 笹澤桜)

3位入賞を果たした小林(左)と2位の渡邊

結果

▽男子60kg級

中嶋 1回戦敗退

古川 ベスト8

▽男子66kg級

高橋 1回戦敗退

▽男子73kg級

矢野 3回戦敗退

吉野 ベスト8

吉原 1回戦敗退

▽男子 81kg級

浅賀 2回戦敗退

河田 1回戦敗退

下田 2回戦敗退

中上 ベスト16

▽男子90kg級

井上 2回戦敗退

齋藤 1回戦敗退

立浪 3回戦敗退

田中 1回戦敗退

林 2回戦敗退

▽男子 100kg級

熊田 3回戦敗退 代表決定戦勝利

圓山 ベスト8

▽男子100kg超級

坂田 代表決定戦敗退

長谷川 1回戦敗退

▽女子 48kg級

上領 1回戦敗退

▽女子52kg級

齋藤 1回戦敗退

▽女子57kg級

市場1回戦敗退

長山 3回戦敗退

山口 2回戦敗退

▽女子 63kg級

五十嵐 1回戦敗退

渡邊 2位 70kg級

小野 1回戦敗退

佐々木 1回戦敗退

滝澤 代表決定戦敗退

▽女子78kg級

小林 ベスト4

コメント

吉野拓馬(社4=石川県立工業)

――1回戦から3回戦までを振り返ってみていかがですか

1、2回戦はぽんぽんっと勝てたのですが、3回戦は自分は体力がないのであのような試合はしたくなかったのです。粘り強く行って勝てて良かったです。

――準々決勝では合わせ技で敗退してしまいましたが、敗因はどこにあると思いますか

自分も左組みで相手も左組で僕は相四つが苦手なので、そこの部分をもう少し突き詰めて練習できていればなと思います。

――6月の団体戦から期間が空きましたが、どのようなことに重点を置いて練習してきましたか

個人戦ということで体格も自分と同じような人ばかりなので、体重の似たような選手と組み手をしたりしました。また、体力でも劣らないようにということを意識しながらやっていた部分はあります。

――きょうを踏まえてさらに強化したいポイントは

もっと体力をつけないとだめですね。あとは相四つの強化をしっかりしていきたいです。

――今大会で全日本体重別選手権の出場権を獲得されました。1ヶ月後に控える大会の目標は

最後の年なので、悔いの残らないように自分の柔道ができればいいかなと思っています。

古川凌(社3=愛知産業大三河)

――今大会での目標は何だったのでしょうか

昨年は全日本(全日本学生体重別優勝大会)出場を目標にしていたので、ことしは全日本出場を狙いつつ、昨年のベスト16という成績より一つでも多く順位を上げられるように頑張りました。

――3回戦までは指導差での勝利が多かったですが、ここまでの試合を振り返っていかがでしょうか

今回は減量がかなり厳しかったので本来の動きができていたかどうか分かりませんが、基本的にしっかり動くことができて、自分なりの柔道をすることができたかなと思います。内容については、もともと自分は一本を狙いに行く柔道ではなくて。ポイントを取って地道に勝つ柔道だと考えているので、今回はそのスタイルでしっかり勝ち進むことができたのではないかと思います。

――準々決勝では指導差1という僅差(きんさ)での敗退となりました

もともと自分は階級の穴というか、勝ち上りやすいブロックにいるなと思っていました。準々決勝では返し技で有効が取れたかなと思っていたのですが、結局それは有効にならなくて、指導1で負けてしまって。この試合に勝てていれば3位入賞だったので、僅差(きんさ)で負けてしまって悔しいです。自分の努力や判断が足りなかったのかなと思います。

――試合中に肩をテーピングされているのが見えましたが、コンディションはいかがでしたか

夏の合宿が1、2週間前くらい前にあったのですが、そこで肩を痛めてしまって。肩鎖関節という部分が浮いてしまって、あまりコンディションは良くなかったのです。でも、テーピングをして痛み止めを飲んで何とか試合に出場することができたので、そこで勝負していこうと思っていました。

――最後に、全日本に向け意気込みをお願いします

昨年は2回戦で負けてしまったので、ことしは少しでも上に勝ち進みたいと思います。入賞を目指して頑張りたいです。

小林真実子(社3=埼玉・常盤)

――今大会の目標は何でしたか

本来は、1位2位になって講道館杯に出ることが目標でした。

――1回戦、2回戦共に優勢勝ちでしたが振り返っていかがですか

今、腰を痛めているので無理やりな柔道というか良くない柔道をしてしまったなと思います。心残りがありすぎてちょっと話きれないです。

――「得意な形に持っていけ」と周囲から声援を受けていましたが、試合中も意識されていましたか

はい、意識していました。

――準決勝は振り返ってみていかがですか

本当はあのときにかけなくてもいい技をかけてしまって、それを返されたので、悔いが残ります。自分でばかしたなと思います。

――来週にも試合が控えていますが、来週はどのように戦っていきたいですか

来週と、さらに1ヶ月後にも試合が続くので、できるだけ自分に負担がかからないように、それでもしっかり勝っていけるようにしたいと思います。

渡邊聖未(スポ1=山梨・富士学苑)

――今大会では準優勝されました。この結果をどのように考えていますか

決勝まで勝ち進むことができたので優勝したかったですが、立ち技のキレがなくて準優勝になってしまいました。全日本では優勝できるように頑張りたいと思います。

――以前の取材では技術面・フィジカルはまだ大学柔道のレベルではないとおっしゃっていましたが、今大会を通して成長を感じた点はありますか

組み手が大学と高校では少し違うので、その部分は練習したことによって上達したと思います。フィジカルの面に関しては海外試合などに出場していた関係もあって他の大学生に比べて強化できていない部分があって。もっと力をつけないといけないなと感じました。

――今大会でも寝技で勝利を収める場面が多かったですね

きょうは全体的に調子が良かったのですが、私はもともと立ち技にキレがないので立ち技で崩して寝技で攻めるというのが自分の柔道のスタイルで。その点はいつも通りだなと思っていたんですけど、やっぱり決勝レベルになると立ち技もできないと勝ち切ることができないので、寝技だけではなく立ち技も強化して全日本までにつくり上げたいなと思います。

――今夏は世界選手権にも出場されましたが、海外試合に出られたことはプラスになりましたか

世界選手権では1回戦でオーストリアの選手と対戦したのですが、負けてしまって悔しかったです。でも、世界の柔道を見てきた分勉強になって、自分の技も変更することができたのでそういった点はプラスになりました。

――最後に、全日本への意気込みをお願いします

今回は2位だったので、全日本ではしっかり柔道をつくり上げて優勝したいなと思います。