強さを証明し、2連覇達成

柔道

 2年に一度開催される東南アジア競技大会(SEA Games)が、ことしはシンガポールで開催された。今大会では陸上、サッカーなどの一般競技に加えて、セパタクローなどの東南アジアの伝統競技、柔道やレスリング各種格闘技といった約40種にわたり行われた。早大柔道部からは女子57-63kg級に渡邊聖未(スポ1=山梨・富士学苑)がフィリピン代表として出場し、見事大会二連覇を成し遂げた。

 初戦、準決勝と前回大会優勝者として順当に勝ち進んだ渡邊。会場が盛り上がる中、迎えた決勝ではSENATHAM Orapin(タイ)との対戦となった。指導や有効でポイントを重ねるもののなかなか技を決めきることが出来ずに苦戦。しかし、「金メダルを取るのは自分しかいない」という強い気持ちで得意である寝技を仕掛ける。約4分間の戦いの末、見事一本勝ちを収めて女王として2度目の頂点に立った。「自分の柔道をやれば勝てる」。まさにその通りであった。

 今回連覇を果たし、シンガポールの地で強さを体現した渡邊。しかし、「優勝して当たり前という大会」とこの結果にまだ満足はしていない。今大会では得意の寝技で勝ち進んだが、今後の課題として立ち技を磨くことを挙げている。「オリンピックに出場できる枠に入れるように」と目標は明確だ。国際大会での経験を積み、4年に1度のスポーツの祭典への出場を目指す。

(記事 笹澤桜)


※掲載が遅くなり、申し訳ありません。

結果

▽女子57-63kg級

渡邊 優勝

コメント

渡邊聖未(スポ1=山梨・富士学苑)

――優勝おめでとうございます。2連覇を成し遂げた感想は

大学入学後の初めての国際試合で少し緊張していましたが、 1回優勝しているので、優勝して当たり前という大会だと思っていました。勝てた安心感と3連覇へ向けまた頑張ろうと思っています。

――東京学生優勝大会(東京学生)が終わった後、短い調整期間の中での試合になりましたが、気を配った点などは

東京学生は階級がなくて無差別で行われたのですが、この大会は階級があるので、体重調整は少ししました。試合に関しては東京学生から続いているという感覚で、気持ちの切り替えなどは特にありませんでした。ただ、国際試合なので日本の試合とは力の入れ具合は違いました。日本の選手は足技などをかけても割としぶといのですが、外国人の選手はどちらかというと力でくるので、足技をかけていくと投げやすくなります。

――フィリピン代表として今大会に出場することになった経緯は

中学3年生の時に、親がFacebookに柔道の動画を載せて、それをフィリピンの柔道連盟が見て、メールでのやり取りを通じて興味を持ち始めたのがきっかけです。中学3年生の終わり頃に初めてこの大会に出て、3位入賞しました。その後、シニアの大会にも出ようということになり、フィリピンの強化選手として活動し始めました。また、出身校である富士学苑高校の先生は国際試合でも活躍している先生で、その先生から寝技など外国人選手との対戦の仕方なども教えてもらい、高校2年の時にはこの大会で優勝できました。

――海外遠征で苦労することは

食事には気を使っています。匂いなどを確かめてから口に運ぶようにしています。ホテルなどでも気を使って、食べられなさそうなものは食べずに、日本から持って行った食事で補うようにしています。

――逆に、楽しいことは

外国人選手はフレンドリーなので、試合後に握手を求められたりします。自分にとって良い経験になっているとは思います。

――前回大会の優勝者として今大会に臨みましたが、プレッシャーは

多分ありました。同じフィリピン代表選手の中に前回大会の優勝者がいたのですが、自分の試合の前で2回戦敗退となってしまって。そこで金メダルを取るのは自分しかいないという意識は持ちました。ただ、自分の柔道をやれば勝てるという思いもありました。

――対戦相手で1番苦労したのは

決勝戦です。決勝戦に入る前に太鼓を叩いたりして、日本の大会での決勝とは違ったので変に緊張してしまいました。初戦と準決勝は1分ほどで勝ったのですが、決勝はほぼ4分間試合をしました。苦労というか少し疲れましたね。

――今大会を通して得た収穫や見えてきた課題は

得意な寝技で勝ち進んでいきましたが、立ち技を磨かなければいけないと改めて気づきました。寝技のキレも落とさないようにしつつ、立ち技も練習していきたいです。

――今後も積極的に国際大会には挑戦して行きますか

はい。今回の大会はオリンピックの選考基準には入っていないのですが、今後の国際大会にも出場して、世界ランキングに入ることでオリンピックの選考にも関わってきます。フィリピン代表としてオリンピックに出場できる枠に入れるようにしていきたいと思っています。