早大飛躍の第一歩、期待の新星が準優勝

柔道

 秋の気配が近づくなか、全国への切符を賭けた東京学生体重別選手権が日本武道館で行われた。早大からは男子16名、女子7名の総勢23名が出場。男子7名、女子1名の計8名が東京代表選手として全日本学生体重別選手権(全日本)への出場権を手にした。中でも男子90㎏級の斎藤光星(スポ1=静岡・加藤学園)は1年生ながら堂々の戦いぶりを見せ、準優勝という快挙を達成した。

 全日本出場を目標としていたルーキーの斎藤。「気持ちだけでも負けないように」と、常に攻めの姿勢で挑んだ。2回戦に勝利し全日本出場を決めた際の「ここからが本番だ」という吉村拓郎監督(平成3年卒)の言葉に再度気を引き締めると、3回戦を除き全て一本勝ちで決勝に駒を進めた。迎えた決勝は強豪・東海大の選手との一戦。気合い十分に臨んだ斎藤だったが、開始1分ほどで大外刈りに仕留められ一本負け。「あっさり負けてしまった」と悔しさをにじませたものの、今大会の6試合は1年生の斎藤にとって貴重な経験となった。

準優勝を果たした斎藤

 2年連続の全日本出場を目指して臨んだ男子66㎏級の蛯沢敏生(スポ3=埼玉・蕨)と男子90㎏級の井上昂亮(社2=山形工業)。蛯沢は代表権を懸けた3回戦、序盤から激しい攻防を繰り広げ、残り1分を切ったところで合わせ技を決め見事一本勝ちを収めた。一方の井上は慎重な試合運びで2回戦に勝利。蛯沢は準々決勝、井上は3回戦で敗れたものの、共に2年連続で全国への切符を手にした。

激しく組み合う蛯沢(右)

 また、2回戦に勝利した男子81㎏級の中上駿(社2=大阪・清風)のほか、男子60㎏級の古川凌(社2=愛知産業大三河)、男子100㎏級の熊田耕成(社2=福島・桐蔭学園)、圓山泰雄(社2=島根・作陽)の3名が敗者復活での代表決定戦に勝利。念願の全日本出場を決めた。

 前年の計3名という結果から計8名へと大幅に代表選手を増やしただけでなく、うち7名を1、2年生が占め、大躍進を遂げた早大柔道部。準優勝を果たした斎藤が「(周囲の)支えがなかったらこんなに何試合もできなかった」と語るように、選手・スタッフ一丸となって残した結果に、今後の活躍への期待が高まるばかりだ。

(記事 水落真央、写真 平岡櫻子)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

★念願の全日本出場を達成

 女子部で全日本出場を決めたのは、52kg級の齋藤裕里子(社2=長野・松商学園)だ。初戦を一本勝ちで突破すると、2回戦では創価大の選手と激突。延長戦にもつれ込む接戦となったが、「最後の最後まで諦めずに戦った」と攻めの手を緩めない。相手の一瞬の隙を突いた大外刈を決め、一本勝ちを収めた。続く3回戦では国士舘大の選手に敗れた斎藤。望みを託し、代表決定戦に挑んだ。1戦目は開始2分ほどで指導を取られ優勢負けを喫したが、2戦目は不戦勝。「今回の勝ちは自分の中ではあまり良くなかった」と語ったものの、全国の舞台に挑戦する機会を得た。また、57kg級に出場した長山実樹(社3=國學院栃木)、五十嵐祥子(社3=新潟・高志)は共に3回戦に進出したが、敗退。惜しくも全日本出場とはならなかった。

全日本出場を決めた斎藤(右)

結果

男子

▽60kg級

山田 1回戦敗退

古川 3回戦敗退

▽66kg級

高橋 3回戦敗退

蛯沢 準々決勝敗退

▽73kg級

小林 2回戦敗退

桐生、吉野 3回戦敗退

▽81kg級

石井雄 2回戦敗退

浅賀、中上 3回戦敗退

▽90kg級

林、立浪 2回戦敗退

井上 3回戦敗退

斎藤 準優勝

▽100kg級

熊田、圓山 3回戦敗退

女子

▽52kg級

斎藤 3回戦敗退

▽57kg級

市場、山口 2回戦敗退

五十嵐、長山 3回戦敗退

▽70kg級

佐々木 2回戦敗退

▽78kg級

小林 1回戦棄権

コメント

齋藤光星(スポ1=静岡・加藤学園)

――準優勝おめでとうございます。今の率直な感想をお願いします

高校時代のインターハイで優勝目指していたのに一回戦敗退してしまって、大学に入ったら絶対に優勝したいと思っていました。それが1年目で、まずは決勝まで行くことが叶って嬉しいです。

――大会前、目標としていたことは何ですか

対戦の組み合わせが良かったこともあり、まずは全日本に出れるように頑張ろうと思っていました。

――では目標としていた全日本出場が2回戦に勝利した時点で決まって以降、気持ちの変化はありましたか

(全日本への出場権を得て)嬉しくて少し気が緩みそうになってしまったのですが、監督が「2回戦までは予選で、ここからが本番だ」と声をかけてくださったことで、気が引き締まりました。

――監督にそのように声をかけられたのはどのタイミングだったのでしょうか

2回戦に勝った直後です。その言葉のおかげで、最後まで集中して頑張ることができました。

――準決勝までは3回戦以外全て一本勝ちでしたが、狙っていたのでしょうか

いや、一本を狙っていたわけではないですね。

――準々決勝では日体大、準決勝では日大と、強豪校の選手との対戦でした。何か特に意識していた点はありましたか

自分は高校も無名なので、強豪校の相手と対戦するのはすごく緊張しました。圧がすごいので、それに気持ちだけでも負けないようにといいたことは意識していました。

――どの試合でも、常に攻めの姿勢が見受けられました

自分は才能はあまりないですし、身長も他の選手に比べると低いので、攻め続けることで相手に技をかけさせないようにしていました。

――準決勝を振り返っていかがですか

対戦相手が、ジュニアの大会で見ていて強いと感じていた日大のレギュラーの選手で。正直勝てないかと思っていたのですが、攻めの姿勢で、勝ててよかったです。

――一本が決まった時にはガッツポーズも出ていましたね

あまりするなと言われていたのですが、嬉しくて思わず出ちゃいました(笑)。

――決勝戦にはどのような気持ちで臨まれましたか

対戦相手が同学年で、全国制覇したことのある選手だったので、緊張していました。でも勝つぞという気持ちではいましたね。

――試合内容についてはいかがですか

あっさり負けてしまって…。課題が見つかりました。

――その課題とは何でしょうか

やっぱり自分は右で組むケンカ四つが苦手なので、そこをもっと克服していきたいなと思いました。

――きょうの収穫はありましたか

他の人より多く試合ができたので、経験を積めてよかったです。

――後半の試合の合間には、学生トレーナーや上級生を含む他選手にアイシングやテーピングをされる姿が見られました

そうですね。強い相手と対戦したので、ずっと力を入れていて、腕が張ってしまっていたので。それを冷やしてもらったりしていました。

――日頃から学生トレーナーを始めとしたチームメイトに支えられていると感じる場面はありますか

はい、常に感じますね。きょうも学生トレーナーの方々にテーピングを巻いてもらって試合をしましたし、そういった支えがなかったらこんなに何試合もできなかったなと思います。

――全日本への意気込みをお願いします

東京都の代表として、恥ずかしい試合をしないように、一つでも勝ち上がれるように頑張りたいと思います!

斎藤裕里子(社2=長野・松商学園)

――今大会では何を目標に試合に臨まれましたか

全日本に出場することを目標にしていました。大学に入ってから試合で結果を出せていなくて、この間のジュニア(東京都ジュニア体重別選手権)でも全日本ジュニア(全日本ジュニア体重別選手権)出場を狙っていたんですけど、駄目だったので。全日本は枠も多くてチャンスはあると思ったので、絶対に出ようと気合いを入れて試合に臨みました。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

本当にいつ負けてもおかしくない試合ばかりで、その中でたまたま自分が勝っただけで、今回の勝ちは自分の中ではあまり良くなかったと思うので、もっとしっかり勝てるようにしたいと思います。

――2回戦では延長戦の末勝利しました

いつも自分は競った試合で負ける方なので、このような競った試合で勝てるように最後の最後まで諦めずに戦いました。

――全日本への意気込みをお願いします

今回たまたま運よく出場させていただくので、全日本では一つでも多く勝てるように一生懸命練習して、自分のできることをしっかりやって全日本に備えたいです。