男子はベスト8入り、女子は3位入賞を果たす

柔道

 東京の大学団体戦の頂点を決する東京学生優勝大会が、ことしも日本武道館で開催された。全日本学生柔道優勝大会の予選も兼ねており、毎年高レベルな戦いが繰り広げられる今大会。2回戦から登場した男子は、大正大、拓大に危なげなく勝利し、準々決勝に駒を進める。最後は強豪国士舘大を相手に敗れたものの、見事ベスト8入りを果たし、15年ぶりの快挙を達成した。一方の女子3人制は準々決勝を順調に突破するも、準決勝で創価大を相手に惜敗。優勝を目指していただけに、悔しさの残る結果となった。

チームに流れを引き寄せた浅賀

 2回戦を7-0で順調に勝ち進んだ男子は、ベスト8を決する3回戦で拓大と激突した。先鋒戦で内股による優勢勝ち、次鋒戦では縦四方固による1本勝ちを収め好スタートを切ると、迎えた五将戦。勝利の流れに拍車を掛けたいここ一番で登場したのは、浅賀慎太郎(社2=静岡学園)だった。「自分の仕事をしようと気合いを入れて」試合に臨んだ浅賀は、開始後わずか15秒ほどで相手を背負投で1本に仕留める。この鮮やかな勝利にいきおいづいた早大は、5-0という好成績で3回戦のカベを突破。部としての目標であったベスト8入りを現実のものにしてみせた。続く準々決勝では強豪国士舘大を相手に果敢に挑むも、0-6と完敗。実力の差を肌で感じる結果となった。

先鋒として出場し相手と組み合う長山

 一方、2回戦で有明医療大を相手に2-0で快勝した女子。準決勝は、昨年同大会の準決勝で敗れた因縁の相手、創価大との対戦となった。中堅、大将と体格差のある相手が控えていることもあり、何としてでも勝利を収めたい先鋒・長山実樹(社3=国学院栃木)。相手に技をかけようと仕掛けるが、体勢が崩れたところを抑え込まれる展開が続く。「力の差というよりは、柔道の巧さの差がでた」と、その後も1本を決め切ることができず、試合は引き分けに。続く次鋒戦では五十嵐祥子(社3=新潟・高志)が粘りを見せるも、優勢負け。勝つしかない背水の陣で迎えた大将戦だったが、主将・山口悠子(社3=佐賀商業)が合わせ技で1本負けを喫した。3位入賞を果たしたものの、昨年の雪辱を晴らすことができず、「満足いく試合をすることができなかった」(山口)と、各選手が悔しさをにじませた。

 今シーズンを占う大会を終え、男子がベスト8入り、女子が3位入賞という好成績を残した早大柔道部。男女ともに全日本学生柔道優勝大会への出場も決定し、「これからさらに上を目指して新しい目標を持って練習していかなければならない」(小林将来主将、社4=三重・四日市中央工)、「チーム全体が一つになれるよう頑張りたい」(山口)と、気合は十分だ。強豪ひしめく全国の大舞台で、掲げた目標を達成することができるのか。早大柔道部の挑戦の1年は、まだ始まったばかりだ。

(記事、写真 山本葵)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません。

結果

【男子】

○二回戦 対大正大

先鋒 ○中上-今井 決まり技:背負い

次鋒 ○石井-横山 決まり技:背負い投げ

五将 ○林-永峯 決まり技:支え釣り込み

中堅 ○浅賀-鴇田 決まり技:大外刈り

三将 ○長谷川-中澤 決まり技:払い巻き

副将 ○熊田-立川 決まり技:合わせ技

大将 ○小林-内田 決まり技:小内刈り

○三回戦 対拓大

先鋒 ○中上-齋藤 優勢勝ち(内股)

次鋒 ○林-佐谷 決まり技:縦四方固

五将 ○浅賀-田野 決まり技:背負い投げ

中堅 ○長谷川-田宮 決まり技:横四方固

三将 ○熊田-菅原 優勢勝ち(袖釣り)

副将 △立浪-△寺井 引き分け

大将 △小林-△佐藤 引き分け

●準々決勝 対国士舘大

先鋒 林-甲斐○ 決まり技:横四方固

次鋒 齋藤-田中○ 優勢勝ち

五将 井上-近藤○ 決まり技:内股

中堅 △浅賀-△塚本 引き分け

三将 長谷川-浅沼○ 決まり技:体落とし

副将 熊田-村上○ 決まり技:合わせ技

大将 中上-江畑○ 決まり技:大外刈り

【女子】

○二回戦 対有明医療大

先鋒 齋藤-小銭 引き分け

中堅 ○山口-北原 決まり技:払い腰

大将 ○長山-佐野 決まり技:合わせ技

●準決勝 対創価大

先鋒 △長山-△蟹江 引き分け

中堅 五十嵐-岩佐○ 優勢勝ち

大将 山口-宙川○ 決まり技:合わせ技

コメント

小林将来主将(社4=三重・四日市中央工)

――きょうの試合を振り返って

15年ぶりにベスト8に入れたので、とても嬉しかったです。

――1回戦、2回戦は大将として試合に出場されました

自分が試合をする時はもうチームの勝ちは決まっていたのですが、自分が大将戦で負けると流れが悪くなって次の試合に影響が出るので、しっかり取っていこうと心掛けました。

――きょうの試合はシーズン開幕戦でしたが、緊張はありましたか

緊張はしていました。ただ、今回の大会は組み合わせに恵まれていたので、ベスト8に入るぞというやる気の方が強かったです。

――シーズン前はどのような練習に取り組んでいましたか

試合に向けた実戦練習を中心に、体力強化に取り組んできました。

――主将という立場から、きょうの試合の結果や内容をどのように受け止めていますか

皆でベスト8入りを目指して、今回その目標を実現できたということは、部全体としてもプラスになる経験だと思います。ただ、最後に負けた試合を通じて、これからさらに上を目指して新しい目標を持って練習していかなければならないとも感じました。

――新入生も入部されましたが、現在の部の雰囲気はいかがですか

部の雰囲気は良いと思います。新入生が入部したことで部内競争にも拍車が掛かって、いい刺激になっています。

――最後に、全日本への意気込みをお願いします

全日本ではまたベスト8入りを目標に掲げているので、その目標が達成できるよう頑張っていきたいと思います。

浅賀慎太郎(社2=静岡学園)

――きょうの試合を振り返って

チーム一丸となって一人ひとりが自分の役割をこなすことができました。良い試合になったと思います。

――1回戦、2回戦は共に1本勝ちでしたが、どのような気持ちで試合に臨みましたか

1回戦目は皆が一本取ってくると思っていたので、自分も絶対に一本取ろうと思い臨みました。2回戦目は、先鋒、次鋒と続けて同期の中上(駿)と林(孝樹、スポ2=富山・小杉)が取ってきてくれたので、その流れを崩さないように、自分の仕事をしようと気合いを入れて頑張りました。

――3回戦は強豪である国士舘大との対戦でした

強かったです。その一言に尽きます。

――きょうの試合で得た課題や収穫はありますか

もっと力をつけないと国士舘のような相手には勝てないので、力と技術、粘り強さを磨いていきたいと思います。

――最後に、全日本への意気込みをお願いします

当初からのチームの目標であるベスト8入りを目指して、頑張ります。

中上駿(社2=大阪・清風)

――きょうの試合を振り返って

最初の二試合は、先鋒として出場して自分の役割をしっかり果たすことができて。ベスト8に入ることができたので、よかったです。

――先鋒として特に意識されたことは

勝って次の選手に回すということが一番だったので、絶対ポイントを取って次の人に気持ちよく回せるよう意識しました。

――3回戦は強豪・国士舘大との対戦でしたが

相手は高校の頃から有名な選手だったので、自分の今の力でどの程度渡り合えるのかやってみようと挑戦する気持ちで試合に臨みました。

――シーズン前はどのような練習に取り組みましたか

新ルールに自分の柔道があまり適していなかったので、新ルールにどのように対応して自分の柔道を確立していくかということを一番に考えて練習していました。

――きょうの試合で得た課題・収穫は

先鋒として出場した二試合は自分の持ち味もしっかり出て、いい試合ができたので、その点は自分の自信になりました。最後に負けた国士舘戦では実力差がはっきりと出てしまったので、この実力差を埋めるために今後どのように練習していけばよいかしっかりと考える必要があると感じました。

――最後に、全日本への意気込みをお願いします

部の目標としても全日本でベスト8に入るということがあるので、その目標に向け少しでも貢献できるように頑張っていきます。

山口悠子主将(社3=佐賀商業)

――きょうの試合を振り返って

練習はしてきたつもりだったのですが、あまり成長が見られず、満足いく試合をすることができなかったです。私自身が一番だめな試合をしてしまったということもあり、とても悔しいです。

――きょうの試合はシーズン開幕戦でしたが、緊張はありましたか

緊張はありましたが、優勝も狙えたので、不安というよりは挑戦していく気持ちの方が強かったです。

――主将という立場から、きょうの試合の結果や内容をどのように受け止めていますか

大会メンバーの中で怪我人が出てしまい、フルメンバーで試合に臨めなくて。全員で試合に臨めていたらもっと良い結果を残せたかもしれないので、試合内容以前のそういった部分にもっと気を配るべきだったと思います。主将になってまだチームをきちんとまとめきれていない部分もあり、その甘さが出てしまった結果だと思うので、次の全日本までにはチーム全体が一つになれるよう頑張りたいと思います。

――シーズン前はどのような練習に取り組みましたか

体力や筋力を強化し、戦う基礎を作る練習に皆で取り組んできました。

――最後に、全日本への意気込みをお願いします

全日本はきょねんはベスト8だったので、ことしは入賞を目指して頑張っていきたいと思います。

長山実樹(社3=国学院栃木)

――きょうの試合を振り返って

準決勝戦で、自分が取らなければならなかった試合を取り切れなかったことがとても悔しいです。力の差というよりは、柔道の巧さの差がでたので、練習に力を入れてその差を埋めていかなければならないと感じました。

――準決勝では創価大と対戦しました

後ろに控えている2人が重い相手ということもあって、その二戦は相手が取ってくるだろうと分かっていたので、私の試合でその流れを防がなければならないということは見えていて。私が自分の試合に勝てなかった時点で、残りの2戦を(早大が)取り切れないことも想定内でした。

――シーズン前はどのような練習に取り組みましたか

私は怪我が多くて、ウェイトにしても強化しなければならない部分をあまり強化できなかったので。その分体幹トレーニングなどをこなして足りない部分を補いました。

――最後に、全日本への意気込みをお願いします

全日本ではきょねんのベスト8という成績を上回ることができるよう、優勝を目指して頑張っていきます。