早慶戦 11月24日 東京・大井ホッケー場メイングラウンド
2020年には東京五輪も行われた東京・大井ホッケー場メイングラウンドにて、初めて開催された第32回女子ホッケー早慶戦。スタンドには応援部をはじめとした多くの観客が集まり、選手に声援を送った。今年の関東学生リーグでは春季リーグ、秋季リーグともに早大が勝利していたものの、春季は1点差で、秋季はシュートアウト戦にもつれ込んでの白星。接戦が予想されていた今試合は、その予想通り、慶大に先制点を決められた後に早大が立て続けに2点を奪い、逆転した早大が2ー1の僅差で優勝を決めた。
1Q(クオーター)は互いに攻めあぐねる時間が続いた。試合開始から5分ほどは、ディフェンス中心の時間が続く。その後、好ディフェンスで相手からボールをダッシュしたDF鈴木悠(スポ4=愛知・向陽)からパスを受けたMF山下天海主将(スポ4=京都・須知)が、スピードを落とさずサークル付近まで迫る場面もあったものの、相手ディフェンスに阻まれシュートにつながらない。終盤は粘りのディフェンスで慶大をサークル内に入らせないなど、両校の堅い守りによって1Qは0ー0で終了した。
迎えた2Qは序盤から両校が積極的に攻撃を仕掛け、点数が動いた。開始2分、慶大のサイドでの早いリスタートに対応しきれずサークル内への侵入を許した早大は、PC(ペナルティーコーナー)を献上する。このPCで先制点を許してしまい0ー1とされた。なんとしてもすぐに追いつきたい早大は、ディフェンスから流れをつかみに行く。8分にFW野中ほなみ(教3=宮崎・高鍋)が抜け出してサークル内に入ると、キーパーとの1対1の勝負に。これを決め切って同点とした早大は、流れを止めず直後に追加点を奪い、一気に逆転に成功。右サイドからFW長谷川柚希(政経3=埼玉・早大本庄)がゴール前に入り込み、低い姿勢でシュートを放った。2Q終了間際のPCで堅くゴールを守った早大は、2ー1でリードをもって試合を折り返した。
後半に入った3Qは、1Qと似た展開となった。互いに慎重になってゴールを伺い、計画的な戦術で攻撃を続ける。残り5分の時、早大は今試合初めてのPCを獲得したが、ここも得点には結びつかなかった。2ー1のまま勝負の4Qに突入する。
1点差で迎えた最終Q。勝利を確実にしたい早大は、開始早々から敵陣奥深くに攻め入る果敢な攻撃を繰り広げ、開始1分でPCを獲得。さらに8分を過ぎた時にも再びMF山下主将がゴール前に迫り、観客は盛り上がりを見せたが、ここも惜しくもゴールの枠を捉えられなかった。得点を決めることはできず、波に乗り切れない早大だったが、DF鈴木がこの後も要所を締めるディフェンスで決して慶大に流れを渡さない。最後の一瞬まで懸命にゴールを狙い続けた早大は、慶大にスキを与えず、1点のリードを守り続けた。試合終了を知らせる鐘が鳴り、接戦を制してグラウンドに集まった早大の選手たちは、存分に喜びを露わにした。
現体制最後の試合である早慶戦。早大は2Qの失点からすぐに立て直し、見事逆転で優勝を決めた。創部史上初の関東大学1部リーグ準優勝という快挙を残した今年の4年生は、それぞれのホッケー人生を笑顔で締めくくった。
主将の山下は「来年は、今よりももっと良いチームになることを確信している」と、後輩たちへメッセージを残す。さらなる進化の期待を寄せられた女子ホッケー部から、来季も目が離せない。
(記事 濵嶋彩加、写真 小島大典)
※掲載が遅くなり、大変申し訳ございませんでした。
◆試合後コメント◆
FW山下天海主将(スポ4=京都・須知)
ーー最後の早慶戦、振り返っていかがでしたか
最初に先制点を入れられた時は正直焦りました。早慶戦は何が起こるかわからないのと、ラストの試合ということで4年生は特に緊張してて動きも堅かったように思えます。でも、後輩がしっかりと私たちのことを支えてくれました。ほんとに自慢の後輩です。
ーー逆転優勝となりましたが、早大への声援はどのように受け止めていましたか
すごく力になりました。早稲田のベンチはもちろん、観客席からの応援が聞こえた時はもっと頑張らないと思いました。
ーー個人のプレーについては振り返っていかがですか
個人的には不甲斐ないプレーでした。チームのために得点をとりに行こうとしたのですが、チャンスをものにできなかったりと悔しい場面が多かったです。
ーーホッケー人生を引退した今の心境を教えてください
率直に長かったなと思います。でもいざほんとに終わってしまったと思うと寂しいなと感じてます。これからもちょこちょこ後輩の練習にお邪魔しに行っちゃいそうです。
ーー後輩へのメッセージをお願いします
こんな主将に文句も言わず、ちゃんとついてきてくれてありがとう!ほんとに自慢の後輩たちです。来年は、今よりももっと良いチームになることを確信しています。これからはみんなの活躍をOGとして全力で応援します!
DF鈴木悠副将(スポ4=愛知・向陽)
ーー最後の早慶戦、振り返っていかがでしたか
沢山の方々が見に来てくださり、観客席を見た瞬間により一層身が引き締まりました。お世話になった方々が見守ってくださる中、無事勝利出来て本当に良かったです。
ーー先制されてから立て続けに奪っての逆転。その後は鈴木副将を中心としたディフェンス陣の好守備もあったと思いますが、ディフェンスについて振り返っていかがですか
ディフェンスに関してはみんな落ち着いてプレー出来ていたと思います。PCで失点したので、出来る限りサークルの外で早めに当たろうと共通認識を持つことが出来ました。カードが出されるなどのイレギュラーな場面もGKの智美(坂本智美、文構4=福岡・小倉)を中心に、声掛けで対応出来たのが大きかったと思います。
ーーその中でも個人のプレーについてはいかかですか
ヒットの調子が悪く、チームメイトの声も届きにくい中で自分でなんとかしようと空回りしてしまった場面が多くありました。ハーフタイムでコーチや同期からアドバイスをもらって落ち着くことが出来たので感謝しています。1ー1のディフェンスに関しては目の前の相手に集中して守備をすることが出来ました。冷静にマイボールに出来たのは良かったです。
ーーホッケー人生の引退を迎えて、今の心境を教えてください
高校から始めて7年間、苦しいことも多くありましたが、今、最後まで続けて良かったと心から思えていることが幸せです。活動の中で支えていただいた人々や環境に感謝の気持ちしかありません。ホッケーを通して沢山の大切な出会いがありました。今後も大切にしていきたいです。
ーー後輩へのメッセージをお願いします
特に大事な場面で私たちのことを沢山支えてくれた後輩たちなので、正直期待しかありません。限られた時間を大切にしながら、みんならしいチームを作っていって欲しいです。そして何よりもホッケーを楽しんでください!
GK坂本智美副将(文構4=福岡・小倉)
ーー最後の早慶戦、振り返っていかがでしたか
チーム2024、最後の試合を勝利で終えられて、それが何より嬉しいです。本当にそれに尽きます。
ーー先制された後は切り替えての好ディフェンスだったと思いますが、先制された時の心境は振り返っていかがですか
無失点に抑えたいと思っていたので、あのPCはどうしても止めたかったです。でも、これまでの試合で失点後にいつも仲間がすぐに点を取り返してくれていたので、「絶対大丈夫」と信じていました。ほなゆずき(FW野中ほなみ、教3=宮崎・高鍋)(FW長谷川柚希、政経3=埼玉・早大本庄)、点を決めてくれてありがとう!!
ーーその後のプレーも含め、個人のプレーについてはいかかですか
みんなの好守備のおかげで、直接ボールに触る機会は少なかったのですが、コーチングに関しては秋リーグで慶応と対戦した時に課題として挙がったホットラインの声掛けや、広い視野で逆サイドまで指示することを意識して、声掛けできたと思います。
ーー早大でのホッケー人生の引退を迎えて、今の心境をお願いします
「楽しかったなぁ」と、しみじみ感じています。ホッケー部に入る決断をした過去の自分を褒めたいです。もちろん、辛いことや悩んだこともありましたが、それを上回るくらい嬉しいことや楽しいことがたくさんありました。そんな素晴らしい環境を作ってくださったスタッフ陣、OB・OGの方々、一緒に闘ってくれた仲間に心から感謝しています。
それと、GKというポジションを卒業することが本当に寂しいです。逆サイドの相手のシュートをスライディングで止められた瞬間、相手のリバウンドにギリギリ反応できた瞬間、シュートアウト戦で相手の動きを読んで止められた瞬間、日々の喜怒哀楽とは次元が違う、感動を何度も経験しました。GKを選ばなかった自分が、今では想像できません。それほど、このポジションが大好きだったので、終わるのが悲しいです。
ーー後輩へのメッセージをお願いします
みんなまっすぐで、熱い心を持っているから、これからもお互いに良い刺激を与え合い、強くて明るいチームを作っていけると確信しています。思うような結果が出ない時もあるかもしれないけれど、今年の秋リーグ、チームみんなで証明したように、諦めずに努力を続ければ報われる日がくると思います。だからこそ、焦らず、自分たちのペースで、何よりもホッケーを楽しんでほしいです。いつもみんなのことを応援しています!
私にとってホッケー部で過ごした時間は、悔し涙も嬉し涙もたくさん流した、大切な思い出です。そんな素敵な時間を、愛おしくて大大大好きなみんなと一緒に過ごせて本当に良かったです。ありがとう!
FW野中ほなみ
(教3=宮崎・高鍋)
ーー4年生と戦う最後の試合、振り返っていかがでしたか
勝利という形で、4年生さんを送り出せて本当によかったです。試合の雰囲気もよく、今年のチームの集大成にふさわしい試合だったと思います。また、保護者やOB・OGの方々、応援部をはじめ、たくさんの方々に応援していただいていることを実感する試合でした。
ーー同点に追いつく貴重な1点を決めましたが、振り返っていかがですか
試合前から、自分が先制点を決めると宣言していました。慶應に先制されてしまったので、目標達成はできませんでしたが、失点しても気持ちを切らさずにプレーできていたので、それが得点に繋がったのかなと思います。前線からプレッシャーをかけてボールを奪うという、自分らしいプレーができた点がよかったです。
ーー1年間、チームを率いた4年生の姿はどのように映っていましたか
本当に憧れで、大好きでした。時には背中で見せて、時には同じ目線に立って話を聞いてくれるような、7人の頼れるお姉ちゃんという感じです。愛が止まらないです。
ーー来年への意気込みをお願いします
「関東1部リーグ決勝進出」「全国大会ベスト8」「早慶戦優勝」の3つの目標を達成したいです。自分たちにとっても、先輩たちにとっても誇れるチームが作れるように頑張ります。