早大の第44回女子全日本学生ホッケー選手権大会(インカレ)が幕を開けた。初戦の相手は北海道大。序盤から早大ペースの展開が続く。2クオーター(Q)には先発のFW野中ほなみ(教1=宮崎・高鍋)がケガをし交代を余儀なくされるなどトラブルにも見舞われたが、3Qの終了間際にFW鈴木千心(社3=東京・東学大付国際中教校)が値千金の先制点を挙げる。4QにもMF山下天海(スポ2=京都・須知)が得意のドリブルから得点を追加し、2-0の快勝でインカレ初戦を終えた。2回戦は初戦で慶大を破った天理大との対戦が決定している。
ボールを運ぶDF吉野真啓(スポ3=富山・石動)
今年度のインカレの開催会場は大井ホッケー競技場。東京2020年オリンピック競技大会のタイミングで改修された、国際基準の競技場である。サブユニフォームである白いユニフォームに身を包んだ早大は、序盤から展開を掌握。4分、7分と連続でPCを獲得するが、山下、DF鈴木悠(スポ2=愛知・向陽)の繰り返しのシュートは相手GKの好セーブに阻まれた。2Qに入っても早大の攻撃は止まらない。安岡裕美子監督(平16人卒=山形・米沢商)の「前からしっかりとプレスをかけて攻めていこうというプランを持って入った」という言葉通り、前線からのプレスでペースを作る。しかし3分、早大に思わぬアクシデントが。1年生ながらこの日も好プレーを見せていたFW野中ほなみ(教1=宮崎・高鍋)がサークル内で倒されPCを獲得。このタイミングでけがをしてしまった野中は、途中交代を余儀なくされてしまう。早大は前線の貴重な戦力を欠くことになった。
MF小川紗知(スポ3=東京・日比谷)は持ち前の快足でチームをけん引
3Qに入ると7分、北大のPCからピンチに。ディフェンスの脇を抜けたシュートは際どいコースに飛んだが、守護神・山口永恋主将(国教4=神奈川・洗足)が左足一本ではじき出した。その後は早大がペースを握って渡さず。12分には吉野が反則を受けながらも一人でサークル内に侵入しシュートを放つ。14分にはカウンターから山下、MF小川紗知(スポ3=東京・日比谷)、鈴木(千)とつないでゴール前まで運んだが、いずれもゴールとはならない。公式戦ここ3試合無得点というスタッツもちらつく3Q終了間際。PC後のリスタートを吉野がゴール前へ送ると、待っていた鈴木(千)が押し込みついに1-0。本人も「チームに勢いをつける先制点として重要だった」と笑顔を見せた。4Qに入ると早大はさらに攻勢を強める。13分のカウンターの場面では、山下が幾人ものディフェンスをものともせずエリア内に侵入。そのままあっけなく左隅にシュートを叩き込み2-0とした。リードを広げた早大は集中した守備で試合をクローズし、快勝でインカレ初戦を突破した。
貴重な先制ゴールを挙げた鈴木(千)
この日の勝利で早大は、今季のチーム目標の一つである「全国大会でベスト8」を達成。また公式戦では4試合ぶりの得点が生まれ、試合終了後のチームの表情も明るいものになった。次戦の相手は今年7月に行われた第41回全日本大学王座決定戦・東西交流戦(王座)の優勝校。全国屈指の強豪である。それでも監督、主将が口をそろえたのは「得点」。たとえ勝ち筋が少なくとも、1得点でもすればそれは王者にも爪痕を残すことになるだろう。早大の長いようで短いシーズンも終わりを迎えようとしている。どこが相手でも、ぶつけるのは今の早大の全力だ。
(記事 大幡拓登、写真 髙田凜太郎、星野有哉)
結果
TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 |
北大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
安岡裕美子監督(平16人卒=山形・米沢商)
――快勝でした。率直にいかがですか
勝ってベスト8に入れたのでひとまず良かったです。苦しい展開ではありましたが、得点することができたのが大きかったと思います。
――どういったプランを持って入りましたか
得点をとるのが目的だったので、前からしっかりとプレスをかけて攻めていこうというプランを持って入りました。
――押し込む展開が多かったと思いますが、相手の出方はイメージ通りでしたか
夏に一度練習試合をしていたのでイメージはありましたね。
――課題として持っていた得点力に関しては2得点という結果になりましたがそこに関してはいかがですか
PC、そしてフィールドプレーからも得点が生まれたので良かったと思います。PCの数を考えればもう少し得点が欲しい部分ではありましたが、そこに関しては課題として持ち帰りたいと思います。
――明日の次戦に向けて意気込みをお願いします
競合大が相手なので、今までやってきたことがどれだけできるかということをまずは試して、欲を言えば得点を取れたらいいなと思います。
GK山口永恋主将(国教4=神奈川・洗足)
――まずは率直に今日の試合の感想を聞かせてください
ベスト8進出はこの代のチーム目標として掲げていた目標の一つなので、この大事な1試合に勝つことができて一安心という感じです。
――けがで野中選手が途中交代してしまった中でチームとして崩れずによく戦えていたと思います
ほなみ(野中)が抜けてしまった瞬間は「やばい」と思いました。経験者の一人で、精神的にもそうですが単純に貴重な戦力が減るという意味で崩れてしまうととても危険だと思ったので、抜けた瞬間は「大丈夫だから集中しよう」ということをどこまで聞こえていたかは分からないですが、後ろから伝えました。
――課題にしていた得点力に関しても2得点と良い結果だったと思いますが
私たちにとっては久しぶりに公式戦で得点できたので、率直に嬉しいです。一応目標としては3得点を掲げていたのでそこが達成できなかったというところと、PCも含めチャンスはかなりあったので、そこは次戦や早慶戦に向けて決め切る力をつけていきたいと思いました。ただチームとして向上は見えたのでよかったと思います。
――一度試合した相手であるということもプラスに働きましたか
8月に一度東伏見で練習試合をしました。その時は副主将など試合に出ていない選手もいたのですが、1-1の引き分けで終わっていました。万全ではなかったとはいえ難しい試合だったので、その試合があったからこそ油断をせずにここまでのリーグ戦のように高い集中力を持ってプレーできたと思うので、そこに関しては試合をしておいて良かったと思います。
――明日の次戦に向けて意気込みをお願いします
相手は強豪とはいえ目標は1点を取ることというのはみんなにも伝えました。守備に集中しながらも、マイボールになった時にはしっかりと前を向いて攻めていきたいです。かつもう一つの目標として、慶大が天理大に0-13で負けているので、その失点数では負けないように頑張っていきたいと思います。
FW鈴木千心(社3=東京・東学大付国際中教校)
――快勝でのベスト8進出となりましたが、率直な感想をお願いします
ベスト8を今年度のチームの目標としていたので、攻めの姿勢を忘れずに(ベスト8に)入れたのがすごくうれしいです。
――貴重な先制点となりましたがどのように振り返られますか
勝たないといけない試合の中、1、2Qでお互い無失点で、0-0だったのでチームの中でも焦りというものがあったのですが、3QのPCのリバウンドで(点を)取ることができて、そこはチームに勢いをつける先制点として重要だったと感じています。
――最初にケガ人が出た中でもチームとして崩れずに戦えていたと思いますが
経験者がケガをしてしまったり、人数が少なくて不利な状態もあったりしたと思いますが、チームの中でお互いに声かけだったり、作戦や取りどころとかをミーティングの中でも話してきたので、そこは実践することができたと思います。
――今シーズン取り組んできた前からの守備も見せることができていたと思いますが
守備に関しても、前の方でかけるというのが早稲田の戦略としてあって、前からかけつつ守備は守って取れるとこはちゃんと取っていくというのが戦略だったので、守りつつ攻められる時は前に進めることができて、その切り替えはちゃんとできたと思います。
――明日への意気込みをお願いします
明日は強豪と戦いますが、今日みたいな攻めの姿勢、前で1、2Qでも前半からチームとして盛り上げられたらなと思います。