関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)は、Aプール最終戦を迎えた。この日早大が相まみえたのは、前期にも対戦し完敗を喫した山梨学院大。関東屈指の強豪に対し、早大は序盤から集中した守備を見せる。しかし無失点で迎えた2クオーター(Q)に失点を重ねてしまう。後半にはMF山下天海(スポ2=京都・須知)がドリブルから狙うなど、反撃の姿勢を見せたが力及ばず。試合を通して前期対戦時からの大きな成長を見せたが、0-6の敗戦に終わった。早大はAプール2位フィニッシュとなり、東農大との準決勝に臨むこととなる。
組織的な守備で囲い込む早大ディフェンス陣
曇天の大井ホッケー競技場で、プール最終戦はスタートした。山梨学院大には前期対戦時0-10と大敗した早大であったが、序盤から一歩も引かない展開を繰り広げる。6分にはこの日最初のペナルティコーナー(PC)を献上するが、GK山口永恋主将(国教4=神奈川・洗足)を中心に体を張った守備で失点を許さない。その後も幾度となくPCのピンチに見舞われたが、直接のゴールはほぼ与えず。「山梨学院大の動画を確認して、攻めのパターンを確認した上で配置した。守備位置に関しては良かった」と山口も手ごたえを語った。無失点で最初の15分を終えた早大だったが、2Q開始直後から試合は動く。1分に右サイドを崩され失点すると、3分にもビルドアップ時のミスから失点。前半終了間際のPCから3点目を決められ、0-3で前半を折りした。
主将・山口はセービングだけでなくその声でチームを支える
なんとか反撃ののろしを上げたい早大イレブン。13分には山下が右サイドから持ち込みシュートを放ったが、バー上に外れた。4Qの5分には左から猛攻を受けるが、この日幾度となくスーパーセーブを見せる山口がストップ。これには「(チームの強みは)主将である山口のセービング」と安岡裕美子監督(平16人卒=山形・米沢商)も手放しの称賛を惜しまなかった。そして7分、今度はチームのエースが見せ場を作る。中盤でボールを拾った山下がそのまま独走ドリブルを開始。前期対戦時にも見せたように、2人、3人と襲い掛かるディフェンスをものともせずサークル内に侵入していく。最後のシュートはディフェンスに阻まれたが、早大がこの日最も得点に近づいた瞬間だった。しかし最後まで得点は入らず。ラストプレーで中央から崩され6点目を叩き込まれ、試合終了のホーンがなった。
山下のドリブルには王者・山梨学院大も後手に回った
「春リーグに対戦した時と比較するとみんな粘れるところは粘れていた」と話すのは主将・山口。それでも6失点完敗という結果に、少し悔しさがにじんだ。ただ何よりポジティブにとらえたいのが前期からの成長。選手交代も行えるようになったことで、この日は後半になっても足をつらせる選手はいなかった。そして何より失点数。もちろん大敗だが、前期には二けたの失点を許した相手に1Qはタイスコアで戦えている。「守備力はかなりある」とこの点には指揮官も自信をのぞかせた。一週間後に迫る準決勝。もちろん勝ち上がるのには、守備力だけでなく攻撃力も必要となるのは間違いない。春には届かなかった決勝の舞台へ。早大の真価が問われる。
(記事 大幡拓登、写真 板東萌)
結果
TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
山梨学院大 | 0 | 3 | 1 | 2 | 6 |
安岡裕美子監督(平16人卒=山形・米沢商)
――今日の試合振り返っていかがですか
自分たちのやりたいプレスやディフェンス面ではよくできていたので、そこに関しては満足しています。
――ディフェンス面というとどのような準備をしてきましたか
プレスをどこでかけてボールを取るのかというのをミーティングなどで共有して、そこで相手をはめるような形で調整しました。
――次戦に向けてどのような準備をしていきたいですか
次戦までのここ一週間はその試合だけに照準を合わせてやっていきます。試合をやったり映像を見たりもするので、ミーティングなどで理解を深めながらプレスなどを調整していこうと思っています。あとは得点をとって勝つのが1番なので、そこに関しても頑張っていきたいですね。
――今日見つかった課題はありますか
得点力の無さですね。どこから攻めるかということを考えながら、コーナーでも良いので常にとりにいきたいと思います。
――秋のプール戦が終わったことになりますが、このチームの強みはどんなところですか
全員で連動をして守備ができるというところはかなり良くなってきました。あとは主将である山口のセービングですね(笑)。守備力はかなりあると思います。
――準決勝への意気込みを聞かせてください
次が山場になるのは分かっていましたし、なんとか得点をとって勝ちたいと思います。
GK山口永恋主将(国教4=神奈川・洗足)
――強豪山梨学院大相手でしたが、今日の試合を振り返っていかがでしたか
春リーグに対戦した時と比較するとみんな粘れるところは粘れていたし、簡単なマークミスで失点してしまうという安易なミスが春リーグは多かったのですが、そういったところは比較的少なくできたかなという印象でした。ただ、春リーグで10点取られていたのもあり、5点以下までに半分に抑えることを目標にしていたので、最後の1分で6点目を取られてしまい達成できなかったところが、このチームの最後の気力の部分での弱さかなと思いました。
――守備に関しては、前季と同じように割り切って全員で引いて守ってというイメージですか
それももちろんありますが、取れたら1点は狙いたいねと話していました。サークルインしてPCを取れるかもしれないし、しっかり持てたら前を向くということはやっていたのですが、最初の目標としては失点数を抑えること、次の目標は1点取れるように狙っていこうと考えていました。
――良いセ―ビングもかなりあったと思いますか
強豪のときにしか活躍できないので。ここぞとばかりにという感じですが(笑)。
――これからは順位決定戦が待っていますが、次戦の東農大戦に向けて意気込みをお願いします
東農大はかなり個人技で攻めてくるというか、システム的にというよりは1人でどんどん抜いていってそこからシュートをその人が決めてしまうという印象です。ずっとやってきました、というような一人ひとりの能力でやってくることがあり、そこに1対1で戦っても勝てないと思います。そこに対して私たちはしっかりチームで固めて守って、絶対勝たないといけないので、点を取るということも意識していかなければならないと思っています。全員で守ることもそうですが、シュートの本数だけでなく精度も高めながら、守備も攻撃もバランスよく詰めていきたいと思います。
――PCの守備は普段の練習の中で行っているのですか
システムの中で同じようなパターンの練習を繰り返しやりながら、DFの人の個人のスキルの方も練習しています。基本的にはシステムで守れるようにという感じです。
――今日はかなりPCを取られながら、あまり点数は取られていなかったように思います
山梨学院大の動画を確認して、攻めのパターンとかを確認した上で配置してっていたので、守備位置に関しては良かったという風に思いますね。
――ここから順位決定戦からさらに先のことも考えていると思うのですが、今後の目標を教えてください
この代が始まったときから、リーグ戦で決勝に行くことがこのチームの目標だよ、とずっと言い続けてきました。リーグ戦の日程が出たときもプール戦はここ2試合を確実に勝って、1番大事な試合って順位決定戦だよね、と言い続けてきたのでみんなもうそこは分かっていると思います。来週確実に勝って、まだ分からないですけど山梨学院大とまた対戦することが私たちの目標なので、そこを目指して頑張っていきたいです。